ChaoS

オリジナル小説、日常、福山雅治、読書や雑記など盛り沢山♪ 小説「目覚めのセレナーデ」連載終了しました。♪ご拝読、ありがとうございます。次回作は未定です。

スポンサーサイト

スポンサー広告


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

目覚めのセレナーデ 4-30 最終回

第四章・春は燦めき(最終章)


「うちで、須美子さんと同居する事にしたの。あの人も一人で寂しいから、
置いて欲しいって。勿論、同居するんだから、ヘルバー代は要らないって言うのよ。
逆に部屋代とか生活費を払うって。その代りに、余所へヘルバーの仕事に出るそうよ」
 思いがけない母の言葉に、芹歌は二の句が継げない。
「じゃぁ、私の世話は誰が?って思うでしょう?それは大丈夫。私は引き続き、
ゆう君と須美子さんの助けを借りて、ちゃんと歩けるように頑張るから。今だって、
時間は多少は掛るけど、身の回りのちょっとした事なら自分で出来るのよ?」
「あ、あの、本気なの?」
 やっと言葉が出るようになった。他人と住むなんて、信じられない話しだ。
「本気よ。それとね。須美子さんや、神永君がいない昼間はね。自宅で英会話教室を
開くつもりなの。それなら私でも出来る仕事でしょ?ひとりで寂しい思いをしなくて済むし、
お金にもなるし、一石二鳥じゃない?」
「だ、けど……」
 何と言ったら良いのかわからなくて、芹歌は真田へ顔を向ける。真田も驚いたように
目を瞠っていたが、芹歌の視線を受けて静かに微笑んだ。
「それがいいってお母さんがおっしゃるなら、いいんじゃないのかな?」
「ええ?でも。そんな簡単にいく?私、心配だわ」
「大丈夫よ。須美子さんとは長いでしょ?気心が知れてるし、ずっと私の我がままに
上手に付き合ってきてくれた、あの人よ?私は信用してるの。それにね。この案は、
ゆう君の提案なのよ。私、ゆう君から聞いて、コレだ!って思ったわ。さすがよね、ゆう君」
「芹歌さん……」
 落ち着いた声音だった。
「他人の僕が、さしでがましい事をしてすみません。ですが、どうすれば実花さんに
とって一番いいのか、僕も考えた結果です。自分の足で歩こうと頑張りだした
実花さんが、このまま日本に残って自立しようって思ってる。その気持ちを
大事にしてあげたかった」
「神永君……」
 せつなそうな表情で見つめられて、胸がジンとした。
「ゆう君はね。これからもうちに遊びに来てくれるのよ。近くに引っ越して来て、
頻繁に私たちの様子を見てくれるの。勿論、足の訓練も引き続きやってくれるって。
だから、あなたの留守中、あなたのピアノを彼に貸してあげてもいいわよね?」
「あ……、の……」
 頭の中が混乱しだした。それで良いのだろうか、と思う気持ちと、良かったと
安堵する気持ちがせめぎ合っている。
「お母さんね。ゆう君にそばにいて欲しいのよ。本当は、あなたのお婿さんに
なってくれれば一番嬉しいんだけど、そういうわけにもいかなくなっちゃったでしょ?
でも、ゆう君は息子みたいなものなの。ゆう君も本当に天涯孤独になっちゃったし。
須美子さんも同じ。だから寂しい者同士3人で、助け合って生きてくのよ」
 実花は晴れ晴れとするような笑顔で、そう言った。
「神永君は……、それで、いいの?」
「勿論です。芹歌さんがいないのは寂しいけれど、これで実花さんとまで
お別れしたら、僕はちょっと自分の人生に自信が持てなくなりそうなんです。
互いに助け合える人がいるって、幸せです。血の繋がりはないけど、
須美子さんと3人、新しい家族だと思って頑張っていきますよ。だから、あなたは
安心して渡欧して、あなたの人生で、幸せになって下さい」
「神永君、ありがとう……」
 彼の想いがまだ自分にある事を感じた。当然だろう。そんなに早くに
切り替えられるなら、あんなにも執着はしなかったろうし、こんなに寂しそうな顔もしない。

「私、彼の事を思い出すたびに、胸が痛くなるの……」
 真田は芹歌を抱く手に力を込めた。
「そうだな。それは、仕方ないと思ってる。いい奴だし、寂しい奴でもあるよな。
俺がいなかったら、お前と幸せになってたかもしれないんだ。だからこそ、
俺は、お前を幸せにする。絶対に。俺を選んだ事を後悔なんてさせやしない」
「幸也さん……。ありがとう」
 優勝記念コンサートの後は、渡欧の準備に追われた。二人が住む場所は
ドイツのデュッセルドルフだ。ライン川の河畔に面した美しい街で工業が盛んだ。
日本人を始めとして外国企業が多く、治安も安定していて住みやすい。
気候も一年を通して安定している。
 優勝した事で、その後、何かと忙しくて実際に渡欧するまでに時間がかかった。
その前に、久美子が先に渡米した。
「私は向こうで一人で頑張って来る。芹歌、真田さんと幸せにね」
 見送りに来ないでくれと言われたので、芹歌も真田も空港まで行かなかったが、
ただ一人、片倉は見送りに行ったようだ。二人の間にどんな時間があったのかは
分からないが、きっと笑顔で別れたに違いない。
 そしてその片倉は、久美子が旅だった後に婚約者と結婚した。
「悪いね、一足お先に独身とサヨナラするよ」
 そう言って、地元で身内だけの地味な結婚式を挙げた。華やかな片倉に
似つかわしくないと思ったが、本人は「葬式みたいなものだから、地味でいいの」と
悪態をつくような口ぶりで笑っていた。
 そして、渡欧の3日前に、芹歌と真田は結婚式を挙げて入籍した。
 籍だけ入れて渡欧するつもりだったが、真田の母親である麻貴江がそれを許さなかった。
「一生に一度の事なのよ?しないと、後悔するわよ?芹歌ちゃん!」
 もう殆ど、強引だった。
 仕方が無いので任せたが、想像以上に盛大で、芹歌はただただ花嫁人形になって
笑顔で座り続けていた時間だったと、後になって思う。だが、真田はとても素敵だった。
いつも素敵だとは思うが、この時は最高の男ぶりで、彼の姿を見る度にポォっとなって、
長い時間、正視できずにいたのだった。
 芹歌自身も真田が選んだドレスに身を包み、彼の傍にいられる事が最高に
幸せだった。これからもこうしてずっと、一緒にいられるのだ。
 披露宴も終わり、二人は疲れた体を近くのホテルで休め、翌日はディズニーランドへ
出かけた。初めてのデートだ。二人して訪れるのは初めてだったので、勝手が
全く分からずに何度も迷った。
 音楽から離れて、純粋に恋人と楽しむ時間も幸せなんだな、と実感する。
そして、2日に渡って楽しんだ後、旅立ちの日となった。
 芹歌にとって、日本を離れるのは久しぶりだ。真田の国際コンクールの時に
一緒に渡欧したが、あの時はコンクールの為だけだったし、終わればすぐに
帰国したので観光らしい観光もしていない。
 それにあの時は、ソリストと伴奏者の関係でしかなかった。お互いに心は
コンクールの事で一杯だったのだ。
 だが今は違う。
 音楽の為に渡欧するが、それは自分だけの為ではなく、共に奏で合う為だった。
二人で広い世界に挑戦する。それが嬉しくもあり、怖くもあった。
 皆の見送りを受けた後、二人で手を繋いで搭乗ゲートをくぐる。
「芹歌……」
「はい……」
「やっと一緒に歩いていけるけど」
「そうですね」
「いいことばかりじゃ、無いと思う」
「ん……」
「だけど……、何があっても、信じ合おう。他の誰も信じられなくなっても、
俺は芹歌だけは信じてる。だから、芹歌も俺だけは信じつづけて欲しい」
「そうする。信じつづける。だけど私、おニブだから」
 わざとそう言うと、真田は笑った。
「あはは、そうだな。でも大丈夫。それはよく分かってる。ちゃんと通じるように、
言葉を尽くすよ。それでも駄目だったら、音楽だな。この最終兵器があれば、
大丈夫だろ?」
「そうだね」
 芹歌は真田の手を強く握りながら、笑った。
 そう。最終兵器があれば、大丈夫。音楽があれば、必ず通じ合える。今までもそうだった。
 飛行機に乗り込む時、神永が歌うセレナーデが聞えて来た気がした。随分と聴かされて、
ウンザリもしたが、今は耳に心地良く蘇って来る。
――芹歌さんの幸せを祈ってます。
 そう歌ってくれているようだった。
「芹歌……」
 真田が手を伸ばす。その手を取ってタラップを登った。これから共に奏でる音を、
世界が待ってくれてるような気がして、芹歌の心は躍った。


                                            The End.

今年のクリスマス

日常13(2015.07.28~2016.02.08)


クリスマスも終わりました。


今年はどこも慌ただしいクリスマスって印象でしたねぇ~、


ブログやツイッター上を眺めてると。。。


今日から冬休みの人も多いのかな。


うちは28日の月曜日に出勤して、29日から冬休み。

おまけに、今日の土曜日も出勤です……。


前の会社よりも冬休みは短い感じ。とは言っても、2日くらいだけど。


朝も帰りも、前よりも早くて遅く、労働時間が長くなったのに

給料は少ないっつーーー。


でも、早々に移って良かったです。前の会社、その後色々あって

終わりそうな感じなので。早期退職した組は、その分手当があったから

残った人達よりも、良い結果になったみたい。ヤレヤレだな。




さて。


我が家のクリスマス。



年々、しょぼくなっていきます。



毎年、丸焼きチキンか手羽焼きかを作るのですが。


丸焼きは案外面倒くさくありません。オーブンが焼いてくれるだけだし、

空洞になっている腹に何かを詰めなきゃならない事もないので。


でも、なかなか丁度良い大きさのものが手に入らない事もあるので

今回は、手羽焼きにしました。いつも利用しているパルシステムで買いました。


だけど。



で、、、でかい!!


1本の大きさが大きくて、これじゃぁ、オーブンに2本しか入らん!!


何度も焼くの、面倒くさい。


それに、オーブンのトレイの始末とかも、面倒くさい。油が一杯出るから。

あれ、大きいだけに、洗い難いんですよね。


それでふと考えた。


煮たらどうかと。


似た、柔らかチキンも美味しいよね。それに、焼くと、骨回りの肉が

結局最後まで綺麗には取れなくて、なんとなく勿体ない感がいつもあった。


柔らかチキンなら、無駄なく全てを美味しく食べられる。。。


でもクリスマスで焼いてないチキンって、どうなの?


ためらいが……。


そばに居た息子に相談したら、全然、オッケー、むしろ煮た方がいいって

意見だったので、ヨシ!!と思い、コンソメで煮て、煮汁は野菜やキノコを

加えて、スープ仕立てに。


激ウマだった。 肉がすぐに骨から離れて、無駄なく綺麗に食べれた。

スープも美味しくて。

4本煮たから、結構な量だったので、肉が終わった後も、スープだけ、

その後、3食くらいに渡って楽しめました。


あと、息子は何故かクリスマスになるとマカロニサラダを所望するので、

こちらも作りました。クリスマスの料理はこれだけ。


私が糖質制限を始めた4年前から、もうクリスマスにケーキを作ってないんだけど、

今年はナマクリームを円錐状にして、その回りをイチゴで囲むケーキが

写真に出てたので、それを作ってみる事に。


台にするスポンジケーキは、私が普段つくる、アーモンドプードルのケーキに

することにして、それを焼いて、半分の薄さにカット。台に使わない方は

8等分にカットして冷凍保存。


今回、ナマクリームを乗せる為、ケーキの方はいつもよりもバターと甘味料は

少なめにして焼いてみた。


苺は縦半分にカット。あと、安いメロンも薄くスライスしてトッピング。



151224_190932.jpg



151224_190951.jpg




う~~~~ん、、、しょぼいね。

本当はもっと、クリームが円錐状にタワーのように高くなる予定だったのに、

ナマクリーム1パックじゃ、ちょっと足りなかったみたい。

あと、9分立てにしないと、クリームがしっかり形づけられないので、

しっかり泡だてたつもりだったのに、実際にデコレーションしてみると

予想以上に柔らかくて…………。


トランス脂肪酸の件もあるので、うちではもうずっと前から、生クリームは

生乳タイプを使っています。しかも、脂肪率の高いもの。

それでも、これだもんな。。。泡立ても過ぎるとホロホロになってしまうので、

見極めがけっこう難しいのよね……。


でもまぁ、美味しそうだよね。これはこれで良しかな。

実際、とても美味しくて、ナマクリーム系のケーキは苦手な息子も

「お母さんの手作りは美味しいから好き」って、喜んで食べてくれました。

勿論、ダンナもです。彼は甘党でケーキ大好きだから、大喜び。

アーモンドプードルのケーキは作るのが簡単なので、来年はこれを土台に

普通のデコレーションケーキにしようかと思います。

スポンジケーキみたいに、玉子を泡だてて……とか面倒くさい事をせず、

ただ混ぜるだけなので、超簡単。普段は、冷凍ブルーベリをトッピングして

焼いてます。これがまた、激ウマなんだよね。


3人揃って食事ができなかったのもあって、クリスマスらしくなかったけど、

まぁ、それなりに雰囲気を楽しめました。


息子は相変わらず、サンタ用の靴下袋を目立つようにぶら下げて、

まだ信じてるのか、よく分からないけど、クリスマスイブの深夜に

袋にプレゼントをこっそり入れておきました。

25日の朝、起床一番に袋の中身を確認して、息子、ご満悦。

今年は妖怪ウォッチバスターズが欲しいって言ってて、

また妖怪ウォッチかい!って半ば呆れてた。しかも、赤と白の2パターン。。。

もう、本当に、こういうの嫌。前回は、本家と元祖でしょ。勘弁してよって感じ。

赤と白、どっちにするか決めかねていたので、ダンナにその事を話したら、


「両方あげたらいいじゃん。で、どっちかは、あなたがやればいいんだし」


との返答が。


『あなた』とは、私の事です。元々、一番最初の妖怪ウォッチは私のなので。


そっか! そうだね。 それでいいね。

って、事で、両方あげることにしました。

現在、息子は白をやっていて、じゃぁ、私は赤をやろうかな、と準備中。。。


そして、夫婦間では、今年は特にプレゼントもなく。

もう20年以上連れ添ってると、あげるものって無いのよね……。

ほとんど、持ってるからね、互いに。

それに、互いにファッション系には興味はなく、趣味にお金を費やす方で。

その趣味って言ったら、ゲームやガンプラだし。。。

今現在、プレゼントで欲しいものは互いに無いし。



だけども。


ダンナとは全然関係ないんだけど、最近、好んでやってるオトゲー関係で、

Rejet Fes 2016-ONLYONEってイベントが来年の2月にあるんだけど、

2日ある方の2日目(14日)の方に、大好きな声優さん、鳥海浩輔さんが

出る事になって、チケット、駄目もとでエントリーしたら、イブの日が

発表だったんだけど、当たったのぉ!!


いやぁ~、まさにクリスマスプレゼントだね。すっごく嬉しい。

この手のイベントに参加するのは全くの初めて。

若いお嬢さんが多いんでしょうねぇ。。。

私のようなオバサンが一人で行くの、ちょっと抵抗はあるんですが。

Rejet(ソフトメーカー)で出しているゲームのキャラクター勢ぞろいって

感じのイベントなので、他にも沢山、声優さん方が出演されます。

とても楽しみです。座席はS席なのに2階?と驚きましたが。

ほぼ中央の場所。もしかしたら、S席の一番後の列なのかも。2階7列で、

後ろが通路だからね。 8列以降がA席なのかも……。

国際フォーラムなのですが、ここ、2階と言っても実質3階くらいだし、

後ろの方は実質5階くらいの高さなのよね。

なので、ちょっと遠いなぁー。

他の人のライブで何度も行ってるからね。今回の席周辺は初めてだけど。



と言う訳で。


いいクリスマスでした~~~♪

目覚めのセレナーデ 4-29

第四章・春は燦めき(最終章)



 全てが終わった。
 コンクール終了後、受賞者の記念コンサートが開かれた。ソリストとして
初めてのコンサートだ。チケットはソールドアウト。山際初の日本人女性の受賞と
言う事と、真田幸也の婚約者と言う事で世間から大きな注目を集めた。
 全く、あの後は大騒ぎだった。新聞や雑誌など、多くのメディアが殺到して、
その後の紙面を賑わせた。週刊誌やスポーツ紙などは、芹歌の過去の経歴を取り上げ、
父親の死や、その後の生活などの苦しみから、真田によって抜け出せたような、
おとぎ話のヒロインのような書かれ方をされてウンザリした。
 音楽雑誌では、コンクールの1次からの批評や、当日の演奏内容、指揮者の話しや
コンサートマスターの感想など、詳細な記事になっていて非常に参考になった。
特に原道隆の批評は感動した。
 原はオケリハの前に渡された演奏CDを聴いた時から期待していたと言う。
オケリハで実際にやってみて、その期待は高まった。どの候補者達もテクニックは
しっかりしているし、オケに合わせながら自身の音楽を表現していたが、
浅葱さんほどオーケストラと一体になって音楽を奏でられる人はいなかった、と。
 更に本番では、一層深く音楽世界に入り込み、オーケストラもその音楽の中に
引き込まれていった。一緒に夢の世界にいるようだったと書かれてあるのを見て、
芹歌はあの時の事を思い出し、恍惚とした気分が蘇って来る気がした。
「演奏が終わった時、原さんが芹歌を抱きしめたのを見て、もうこれは完全優勝だって
思ったよ。ただ、ちょっと妬けたけどね。俺の芹歌が他の男に抱きしめられてるのを
見るのは、あまりいい気はしないから」
 二人で祝杯をあげている時に真田が言った。芹歌は呆れたように微笑む。
「だからって、あなたまで舞台の上で、あれは無いわ~」
 大勢が見ている舞台上で、いきなり抱きしめられて面食らった。共に演奏した後の
事なら分かるが、そうではないのだから。
「仕方ないだろう?誰より俺が、一番に抱き締めたかったのに、原さんに
持ってかれて、その後、コンマスもお前を抱きしめてたよな。でもって、
楽屋では恵子先生に先を越され、仕方ないと待ってたら、中村さん達だ。
で、お母さん……。なんなんだよ。すっかり俺の出番が無くなっちゃったじゃないか。
だから原さんに催促されてさ。もう我慢ができなくなったんだよ。あの人、
全てお見通しだったんじゃないのかな?さすが名指揮者は違うね」
 まるで神通力でもあるような言いぶりだ。
 だが真田の言う事も分かる。芹歌自身も、正直なところ同じ気持ちだった。
誰よりも先に、一番に抱きしめて欲しかった。ただ、舞台上では仕方が無い。
楽屋では、真っ先に渡良瀬が飛びついて来てビックリして戸惑った。あの時、
それを先んじて真田に来て欲しかったのに、と内心で思っていたのだった。
「幸也さんが、恵子先生よりも先に来ないから悪いんじゃない。あなたの方が
足は速いんだし、もっと全速力で来てくれれば良かったのよ」
 少しだけ、恨み節で言ってみる。
「それは悪かったな。だけどあの時はな。驚くほど、恵子先生の足が速かったんだよ。
あの先生、絶対に、俺より先に行くつもりで走ってたに違いない。
抜きんじたかったとしか思えないよ。正直、かけっこのような状況になってるのに
気付いて、それが滑稽に思えてしまって、最後は失速しちゃったのさ」
 言い訳なのか、本当の事なのか、よくわからないが芹歌は可笑しくなってきて笑った。
「嘘じゃないぞっ」
 睨むような顔に、「わかってるし」と答える。
 授賞式が終わった時には、もう精も根も尽き果てて、どこかで祝杯を
あげようと言う周囲の声を断って、母と神永と真田と共にタクシーで帰宅した。
神永と真田は二人を家へ見送った後、そのままタクシーに乗り合わせて帰っていった。
二人とも一言も口をきかずに別れたらしい。
 翌日、都内のホテルで優勝祝賀パーティが催された。渡良瀬が、
「必ず優勝する」と断言した真田の言葉を信じて、前もって会場を押さえて
おいたのだった。国芸の教師たちを始め、大勢が参加した。
 そしてその晩、同じホテルの一室で、真田と二人で祝杯をあげた。
やっと二人だけの時間が持てて、芹歌は心の底から安堵した。
「あなたには、感謝してもし尽くせない……」
 真田の腕の中で、そう呟く。
「馬鹿だな。感謝だなんて。俺はただ、お前を思ってしただけだ。自分の出来る事をね。
それに、お前にいい演奏をして欲しかった。折角良いものを持っているのに、
発揮できずにいるのを傍で見てるのは、逆に辛いものがある」
「うん……、そうね。それは、わかるかも……」
 芹歌が真田と同じ立場だったら、きっと同じように思うだろう。
「芹歌が……、本当に感謝してもし尽くせないのは、あいつだろう?」
 芹歌はピクリと体を震わせた。
 祝賀会も終焉に近づいた頃、芹歌と真田は別室に呼ばれた。不思議に思って
行ってみると、そこには実花と神永がいた。二人とも祝賀会に来ていて、
さっきまで一緒に談笑していたのに、いつの間に、と思う。
「二人にね。話しがあるのよ」
 芹歌と真田は顔を見合わせた。もしかして、結婚の件だろうか。コンクールも
無事に終わった事だし、もう何の憂いもなくその件について話し合える。
渡欧に関しては今後の生活についてしっかりと決めておかなければならない。
「まず、二人の結婚についてだけど、好きにしていいわ。お母さんはもう、
何も言いません。二人とも立派な大人ですものね」
「お母さん、ありがとう」
「ありがとうございます」
 笑顔になる芹歌の隣で、真田は深々と頭を下げた。
「色々とご心配でしょうが、絶対に彼女を幸せにします。不幸になんてしませんから、
安心して下さい」
 実花は微かに笑った。
「そうね。そう信じるわ。最初は、こんなにハンサムで人気者の男性なんだから、
周囲が放っておかないだろうし、だから芹歌が辛い思いをするんじゃないかって
心配だったけど、どうやらそれも杞憂のようだと分かってきたし……。あなたが
誰よりも芹歌を大事に想ってくれてる事が伝わったから。だから、芹歌を
お任せする事にしたの」
「ありがとうございます」
 芹歌は喜びが胸に満ちてくるのを感じた。心のつかえが取れた思いだ。
反対はしないが賛成もしない、といった状況になるのではないかと危惧していたが、
こうして認めてくれた事が矢張り何より嬉しい。
「それからね。私自身の事なんだけどね。私は日本に残るわ」
「え?残るって?私たちと一緒に渡欧しないって事?」
「そうよ。あなた達の気持ちは嬉しいけれど、私は日本で暮らしたいの」
 芹歌は自分の希望を語る実花に、その思いを汲んであげたいと思うものの、
実際問題、ではどう暮らして行くのかと新たな問題が生じた気がした。だが、
そんな心配を吹き飛ばすように実花が言う。
「あなたが渡欧するって話しの後ね。ずっと考えてたの。須美子さんやゆう君とも
相談してね。みんなで話し合ったんだけど」
 母の言葉に、芹歌は神永を見た。彼は優しげに微笑みながら頷いた。


SWフォースの覚醒

音楽・映画・芸術・ゲーム・声優等


日曜日に、夫婦で観てきました~♪


いやぁ~、最近の洋画って初日以外は字幕放映時間が午後とかが多くって、

今回はどうかな~?って思ってたんだけど、さすがにずっと午前中からやってました。

上映スクリーンは字幕2つに吹き替え3D1つ。

字幕の方は、片方はパンフレット等の販売付き。


当日の割引を利用する為、前売り券は買えないので、果たして行って観れるのか?

非常に心配でした。


土曜日は、当日の朝でも、チケットは◎の表示だったので、これなら

日曜日も大丈夫かな?と思いきや、前夜アクセスしたら、既に△ !


うううっ…………。 これは…………(^_^;)


翌朝、再びチェックしたら、まだ△ でした。


でも、ハラハラドキドキ。

販売付きが10時半、普通の字幕が11時。

普通狙いなのですが、前作のEp3の時、早めに行ったのに、既に一杯で、

前から3列目にかろうじて座れたって事もあり、今回は10時前に

着くようにしようって事で、9時には家を出る予定でいたものの、

そんな呑気な事では駄目そうな予感がしたので、支度ができた8時半に家を出発。


9時過ぎに現地に到着。

館内は、空いてる感じ。

チケット案内を見ると、売り切れてはいない様子。

券売窓口へ行って、座席を見たら、いやぁ~、、、もう殆ど埋まってる(^_^;)

前3列はほぼ全部残ってて、あとは、4,5列目に若干……。

幸い、真ん中寄りで4列と5列に縦に1席ずつあったので、それを購入しました。

何も、並んで観なきゃならないような関係じゃないもんね、今は。アハハ。



背の高いダンナに5列目を譲り、私は4列目に。


前の方もね。悪くは無いの。近い分、迫力あるし。

ただ字幕が下なので、字幕を見ると画面上部が見難いってくらい。

あと、近視用の眼鏡が小さいってのもあって、近いとメガネ内に画面が全部

入らないってのも難だった。まぁ、端っこなんて別にいいんだけどさ。



そんな状況でしたが、映画は特に問題もなく観れました。


面白かったです。


物語が新しく始まるって感じ。

ただ、前のエピソードをずっと観て来た身としては、ちょっと同じ事の繰り返しでしょう、

って感じは否めない。

Ep4とのデジャヴ感が強いです。ワザと、って所もあるでしょうけど。


新ヒロインのコは、可愛かったね。適度な庶民感もあって。

ただ、アクションに関しては全体的にレベルが落ちた印象。

まだ目覚めたばかりだから仕方ないっちゃぁ仕方ないけど。


本当に、まだ序盤って感じで、次回作から本格的になっていくのかな、と

期待しておきます。


今回は、かなり安心した感じで観れましたね。


だけど、隣に座ってたカップルの若い男子がサ。

最後のシーンでグスグス泣きだして、目を拭ってるのには驚いた!


まぁ、感動のシーンと言えば言えなくもないけど、そこまでか!って思うんだけど。


終わった後、ダンナにその事を話したら、ダンナも驚いてた。

泣くほど感動するシーンとは言えないって。

だよねぇ~~~。


まぁ、彼氏、それだけ純粋だったのかな?

彼女の手に自分の手を重ね合わせたまま、ずーーーっと、微動だもせずに

静かに鑑賞されてました。


私の左隣に座ってたんだけど、右隣にはおひとり様の若い男子が座ってて、

こちらは、大きなポップコーンのカップを置いていて、ずーーーっと、

始まる前からずーーーっと、同じリズムでポーップコーンを1こ取っては

ムシャムシャムシャ……。

1個ずつだから、全部食べるのに結局、映画上映時間の殆どを費やして。

左手でやってるもんだから、私の右腕に触れるのよ。私は自分のエリア内で

縮こまってるのに、それでも触れるの。


ほんと、気が散ってイヤでした。

上映中の飲食、いい加減、禁止して欲しいなぁ。

臭いも強烈だし。。。

煩いだけじゃなく、視界に入って来るから気が散るし。

映画館で観る時、それだけが苦痛。。。ガラ空き状態なら大丈夫だけど、

混んでる時は、ほんとイヤ。

臭い対策でマスクしてるけど、メガネかけるから曇ることもあって、

そんな時は苦痛。映画観ながら苦行を強いられてるみたいな(^_^;)

平気な人の方が多いんでしょうから、少数派はひたすら我慢するしかありませんね。。。



上映時間は130分強。

話しがサクサク進んで行くから、それほど長くは感じられませんでした。

新しいドロイドも可愛かった。


ハリソンフォードは大好きなんだけど、ハン・ソロの役柄は、

あまり好きでは無かったりする。

大分老けたけど、なんか、年をとってもやってる事は若い時と変わらないと言うか、

年取った割に、あまり成長してないなぁ……って感じでした。

レーア姫は、いい感じの貫禄で。

映画の為に痩せたそうですが、それでもまだポッチャリめ。

でも年齢的には、このくらいでちょうど良いのかも。

そして、ルーク。。。

ほんと、おじいさんになったねぇ。。。。。。


元々、ルークもあまり好きじゃなかったりする。

だから、初めてスターウォーズが公開された時には、まずビジュアル的に

好みじゃ無かったから、興味が無かった。

ヤマトが大好きだったので、ドロイドなんてアナライザーの真似っこじゃん!って

見下してたし……(^_^;)

特撮も、まだまだだったしね。でも当時としては凄かったんでしょうけど。



さて。

早く次回作が観たいですね。

物語的に、今後の展開が非常に気になります。


さっさと撮らないと、ルーク、危なくないですかぁ?

彼が元気なうちに…………。



終了後にロビーに出たら、すっごい人!!

妖怪ウォッチ目的の親子さんでした。身動きとるのが大変な程の人出でしたよ。

まだまだ、凄いね、妖怪ウォッチ!



……因みに、我が家の高2の息子も、いまだに好きで、X’sプレゼントには

妖怪ウォッチバスターズを希望しています。。。



目覚めのセレナーデ 4-28

第四章・春は燦めき(最終章)



 芹歌は皆と別れて、一人舞台袖へと向かった。本選参加者は全員が集う。
その為、前日に演奏した4人も衣装に着替えて詰めていた。
 舞台の上はオーケストラ用の椅子や指揮台が片づけられており、ピアノだけが
置いてある。そのピアノも、舞台の少し後方へと移動していた。
 出場者達は誰も口をきかない。揃って祈るような表情をしている。自分も
同じような顔をしているのだろうか。だが自分の心持ちはやりきった充足感しか
無いような気がした。
 これで優勝しなかったら、真田はガッカリするだろうか?いや、そんな事は
無い筈だ。だって、誰よりもわかってくれているのだから。
「それではこれより、発表致します。出場者の皆さん、どうぞ」
 アナウンスの声が入り、会場内の拍手に迎えられて演奏順に一列になって進んだ。
芹歌は最後だ。こんな場面は何年ぶりだろう。演奏以外で舞台に上がり、衆目に
晒されるのは非常に緊張する。学生の時には、6位より上にいけるとは最初から
期待していなかったから、ただ舞台上に並んでいる事が所在ないように感じて
嫌だったが、その時と今とではまるで状況が違う。
 まずは奨励賞。2次で7位と8位だった二人が呼ばれた。ここは順位が
変わらなかったようだ。だが、次の6位から入れ変わりが生じた。
「6位入賞、畑地伸一君!おめでとうございますっ」
(あら~……)
 本番前、あんなに意気込んでいたのに。それが却って良くなかったか。
 自分より3つ左隣に立っている畑地だが、呼ばれてすぐに前に出なかった。
どうやら喜びよりも動揺の方が大きいようだ。
「畑地君……」
 再び呼ばれて、やっと前へ出た。審査委員長から賞状を渡されるものの、
明らかに表情が硬い。彼は女性に対して偏見を持っていたように感じられたが、
その女性に抜かされた。2次で自分より下位にいた女性が5位に上がり、
4位の座も下位に奪われた事になる。
 残るは上位3名。
「第3位、リ・ギジュン君!おめでとうございます」
 リ・ギジュンはすぐさま前に出て、笑顔で客席に挨拶した。それを笑顔で
拍手しながら、隣にいるラインズが芹歌の方へ敵意のこもった目をチラリと
寄越してきた。芹歌はそれを敢えて無視する。きっと無意識の行為なんだろうな、
と思う。だって、全てが終わって、今更睨んできたって意味ないし。
「第2位、2位には審査員賞も与えられます。アーロン・ラインズ君!」
 名前を呼ばれたと同時に、ラインズは掌をギュッと握りしめてから前へ出た。
「おめでとうございます」
 思わず、ハァ~っと息が洩れそうになった。足が少し震えてくる。
「さて。栄えある優勝者は、浅葱芹歌さん!浅葱さんには、更に聴衆賞、
コンチェルト賞、ショパン賞、原道隆賞が贈られますっ」
 会場内の拍手がひと際大きくなった。
「さぁ、前へ」
 芹歌は足の震えが止まらなくて、前へ足を踏み出そうとしても出来ないでいた。
念願の優勝、そしてそれ以外にも多くの賞を授与されて、こんなに栄誉な事はない。
 なかなか出れずにいる芹歌に、原が近寄って来た。
「浅葱さん、おめでとう。さぁ」
 そう言って芹歌の手を取って舞台中央まで連れだした。芹歌は足がもつれそうに
なりながら、ようやく歩き出す。
 賞状を受け取り、メダルを掛けられ、トロフィと花束を渡された。他の賞の
賞状も受け取り、最後に指揮者の原道隆がコメントした。
「浅葱さん、本当におめでとう。オケリハを一緒にした時に、浅葱さんの
秘めたる才能の一端を垣間見させてもらって、本番を期待していました。
ですが、才能はあっても本番でそれを発揮できるかは、また別の話しです。
だけど彼女は絶対にやってくれると僕は信じていました。そして、僕の期待を
裏切らず、予想以上の力を発揮してくれた。素晴らしい音楽を一緒にさせて貰って
僕はとても嬉しいです。なので、僕からのお礼の気持ちを込めて、原道隆賞を
贈らせて貰いました。これからの活躍を期待しています。頑張って下さい」
「あ、ありがとうございます……」
 既に芹歌の頬は涙で覆われていた。ハンカチもティッシュも無い。必死で
手で拭うが、後から後からこぼれてくる。
「えー、今回、この大会初の、日本人の受賞、そして更に初である、
女性の受賞となりました。今のお気持ちをお聞かせ下さい」
 司会者にマイクを向けられたものの、「ありがとうございます……」しか
出て来ない。マイクを向けられたままなので、もっと喋らないと
いけないのかと思うと、更にあがる。
 グスグスと涙ぐんで言葉が出て来ない芹歌に、司会者は言葉を促す。
「今回、学生さんが多い中での参加、不安ではありませんでしたか?」
 そこなのか、と思いながら、少し気持ちが落ち着いてきた。
「はい。卒業してから、5年も経っているので……。不安でした」
 司会者は、うんうん、と頷きながら更に質問を重ねる。
「5年ものブランクがあるのに、参加しようと思ったのは何故ですか?」
「……それは、その……、色々……あって……」
 そんな事をここで訊かれても、簡潔に分かりやすく伝えるのは無理だ。
芹歌が戸惑っていると、原が割って入って来た。
「そんな事より、浅葱さん。今の喜びを誰に伝えたい?誰に一番、感謝してる?」
 原が優しい笑顔で、けれども少し冷やかすような笑みを含みながら問いかけて来た。
「えっ?あ、あの……」
 芹歌の顔が途端に赤くなる。
(やだ、原さん、何を言わそうとしてるのぉ?)
「ほらっ!教えて?」
 子どもに秘密を問うような、そんな顔をしている。
「ほらっ!彼でしょう?彼!」
 赤くなって言えないでいる芹歌に、少し小声で催促してきた。そんな原の催促に、
芹歌は思う。ここで「母です」とか「渡良瀬先生です」とか「天国の父です」とか
言ったら、この人はどんな顔をするだろうか、と。
(だけど、言ってもいいの?)
 ここで彼の名前を出しても良いのだろうか。
「あ、あの……。このコンクールに、出る事を勧めてくれて、ずっとサポート
してくれた、真田幸也さんに、心から感謝しています」
「ええ?真田幸也さん?って、あのバイオリニストの真田さんですか?」
 司会者の戸惑うような言葉と同時に、会場内もざわついた。だが、そんな事など
お構い無しな様子で原が笑った。
「真田くーん、いるよねー?ちょっと、出てきてよー」
 そう会場に声を掛けた。場内から一斉に「えー?」「キャー」と声があがる。
ライトが会場内にいる彼を探すようにあちこちへと動いた。そんな中で
一人の男性が立ち上がり、客席の中を抜けて出て来た。それを見つけたライトが
当たる。同時に、更なる歓声があがった。
 周囲ににこやかな笑顔を向けながら、真田がステージに上がって来た。
芹歌はそれをドキドキしながら見つめていた。こうやって見ていると、
まるでスターのようだ。いつも傍にいる人とは違う人間のような、
少し遠い存在に感じた。
 マイクを向けられた真田は「こんばんは。真田幸也です」と挨拶した。
「えーと……、今情報を貰ったんですが、浅葱さんはピアノの伴奏を仕事と
されていて、主に真田さんのパートナーを務めてらっしゃるそうなんですね?」
 司会がスタッフから急きょ渡されたメモを見ながら言った。
「はい、そうなんです。彼女のピアノはとても素晴らしいので、是非ピアニストとして
頑張って欲しいと思って、今回のコンクールの出場を勧めました」
「そうだったんですか。それで如何でしたか?今回、ご期待通りの結果を
得られたと思いますが」
「はい。5年のブランクを全く感じさせず、以前よりも遥かに素晴らしい
演奏を聴かせてくれて、とても満足しています。浅葱さん、おめでとう」
 笑顔で手を差し出されて、芹歌は複雑な思いで手を握る。その拍子に
真田は軽くウィンクした。
(もう!)
 まるで、ただの演奏家同士といった顔で飄々としているのが憎たらしい。
「ちょっと、ちょっと、真田君、何でそんなに他人行儀なの。ほんとは
もっと嬉しいんでしょう。浅葱さんも」
 芹歌は思いあまって原を小声で牽制した。
「先生、やめて下さいよ……」
 顔を赤くして、焦ったようにしている芹歌を見て、原は笑った。
「えっとー、浅葱さんと真田君は、今後もパートナーとして続けて行くんだよね?」
 原の話しが少し逸れた気がして芹歌はホッとしたが、直後にそれが誤解だったと悟る。
「それは、公私ともに、なんだよね?」
 心臓が止まるかと思った。更に、「はい、そうです」と真田が返事をした事で、
卒倒するかと思うほど、頭がクラクラした。
 司会者が「ええ?」と目を剥いて驚いた。場内も一瞬、意味を掴みかねたように
ざわついたが、それに留めを刺すように真田が言葉を続けた。
「彼女は僕にとって、最高のパートナーです。音楽の上でも、プライベートでも。
彼女は僕の婚約者なんです。だから、必ず優勝してくれると信じていました。
芹歌、おめでとう!」
 真田は芹歌を抱きしめた。



目覚めのセレナーデ 4-27

第四章・春は燦めき(最終章)


 結果発表は1時間後。
 楽屋に戻って待機していると、渡良瀬と真田がやってきた。
「芹歌ちゃんっ!素晴らしかったわよ!」
 渡良瀬が抱きついてきた。
「ありがとうございます」
 渡良瀬の肩越しに真田を見た。とても嬉しそうに目を輝かせている。
「二人が言ってた事がわかったわ、私。今日の演奏、リハとは比較にならないぐらい、
素晴らしかった。本当に十全以上だわ。よくやったわね」
 渡良瀬の感動が伝わって来て、喜びが湧きあがってくる。
「芹歌っ!」
 久美子と沙織が飛び込んで来た。
「あ、二人とも来てくれてたの?」
「勿論よ、当然じゃないの」
 今度は二人が渡良瀬に代わって抱きついてきた。
「凄かったよ、芹歌~~~」
 沙織は感極まって泣いている。久美子も目じりに涙を溜めていた。
「久美子……」
「凄い、良かったよ。感動しちゃった。芹歌がこんなに弾けるなんて。最初は
無理なんじゃないか、って思ってたんだ。ごめんね。だけど、素晴らしかった」
「ううん。私だってビックリしてる」
 みんなが感動して涙ぐむものだから、芹歌も涙が込み上げてくるのを感じたが、
グッと堪えた。
(あー、だけど……)
 視線はどうしても真田の方へ行く。
 この人と一番に抱きあいたかったのに……。
 こんなに人が集まってきてしまっては、もう無理だ。
 真田の方も、ヤレヤレと少し困ったような表情をしている。
 ノックがして片倉が入ってきた。
「あ、純哉君……」
 戸惑うような久美子の呼びかけに、純哉は照れたように笑って「やぁ」と
手を挙げた。そのまま芹歌の方へ歩を進める。
「芹歌ちゃん、凄かったよ。感動した」
「ありがとうございます」
「君ならやれると思ってたけど、あそこまで凄いとはね。これで君も、れっきとした
ピアニストだ。ね?幸也」
 片倉は振り返って真田に同意を求めた。
 真田は「ああ」と言いながら、大きく頷く。
「そう言えば、芹歌、ヨーロッパへ留学するって本当なの?」
 沙織に訊かれて、そう言えば皆の前で話した事がないのに気付き、それなのに
何故知ってるのかと疑問に思う。情報の発信源は久美子なんだろうとは思っているが。
ただ、この中で沙織だけが、真田との結婚を知らないようだ。
「うん。その予定。だけど、それより何より久美子でしょう。久美子こそ、
アメリカへ行くって本当なの?私、何にも聞いてないのよ?」
「ええー?久美子がアメリカぁ?やだー、そっちも私聞いてない。なんか酷くない?
二人して、私をのけ者にしてぇ」
 いきなり自分に振られて、久美子は目を丸くしたまま「あははは……」と
誤魔化すように笑った。
「あ、ごめんねぇ。芹歌のコンクールが終わったら言うつもりだったんだけど……。
芹歌はどうして知ってるの?」
「朱美ちゃんから聞いたの。私の後の朱美ちゃんの指導を頼もうかと思ってたから、
それを朱美ちゃんに言ったら、教えてくれたの。全く、ビックリしたわ」
「ああ、そうだったんだ。まぁね。色々考えてね。私自身、一度も海外経験が無いし。
もっと広い世界を知りたくなったの。芹歌の頑張りを見てたらさ」
 久美子が少し寂しげな笑みを浮かべたので、芹歌は胸が痛くなった。真田から
詳しくは聞いていないが、どうやら片倉と野本加奈子の事も少し影響はしているようだ。
その片倉も、やるせないような表情をして久美子を見ようとしない。
「あ~、なんか私だけ取り残されてるじゃなーい。立場が違うから仕方ないけど、
でも二人して同時に外国へ行かなくても。私、すっごく寂しいんだけど」
 沙織はベソをかくように顔を歪めた。
「沙織ちゃん。あなたはあなたで、自分の道を頑張ればいいことよ。二人を
応援してあげなきゃ。それに。私だっているんだから、いつでも遊びにいらっしゃいよ」
「センセー、ありがとうー」
 沙織は渡良瀬に抱きついた。
 高校教師として地道に自分の道を歩んでいると、羨ましくも思っていた沙織が、
こんな風に寂しがり屋の一面を見せるとは意外だった。
 再びノックの音がした。皆が一斉にドアの方へ視線をやると、開いた扉から
母の実花が神永に手を取られて入って来た。
(えっ?)
 目の前の光景が信じられない。
 車椅子に乗っている筈の彼女が、立って歩いているからだ。
「お……かあさん……」
 誰もが驚愕の目で見つめていた。
 実花は神永に手を引かれて、たどたどしい足取りだが足を動かして一歩一歩
踏みしめるように歩いて来た。皆なにも言えずに、その光景をジッと見つめている。
「芹歌。素晴らしかったわよ」
 芹歌の目の前までやってきた実花が、満面に笑みを浮かべてそう言った。
「あ、……お母さん、どうして、歩けるの?」
 実花は神永の方を見た。それにつられて芹歌も神永を見る。
「芹歌さん、素晴らしい演奏でした。凄く感動しましたよ、僕」
「あ、ありがとう……。だけど……」
 何が何だかサッパリ分からない。
「お母さんの足ですが、今日の日の為に、ずっと練習してたんですよ、お母さんは」
 神永が実花に向かって力強く頷いた。それに促されて実花が話しだす。
「私ね。もう大分前から、少しずつ歩く練習をしてたのよ」
「え?それって、どういう事?それなら、どうして何も言ってくれなかったの?」
「それは……、恥ずかしかったのよ。それに、本当に歩けるようになるか、
分からなかったし。もうずっと歩いてないんだから、足もすっかり萎えてるしね。
だから諦めてたんだけど、ゆう君に勧められてね」
 恥ずかしそうに頬を染めている。
「だけど、どうして私が知らないの?一緒に住んでるのに」
 狐にでも包まれたような思いがする。
「すみません。実花さんが、歩けるようになるまでは秘密にして、驚かせたいって
言うものですから」
 神永が申し訳無さそうに頭を下げた。
「最初はね。ゆう君がアロマオイルで足湯をして、マッサージとかしてくれてたの。
それで、頑張ってみないかって言われて、ちょっと始めてみたのよ。それで、
そのまま少しずつ訓練するようになったの」
 二人は芹歌のいない時に地道に訓練をしていたらしい。神永が音信不通だった時には、
須美子が手助けしていたそうだ。
「まだ、ほんの少ししか歩けないのよ?」
 芹歌は首を振って、母に抱きついた。
「お母さん、良かった。少しでも歩けるようになって……。頑張ってくれて、ありがとう」
 まだそれほど歩けなくても、歩こうと思って訓練を始めた事が何よりも嬉しい。
そういう気持ちになってくれたのが最大の進歩だと思う。
「芹歌……。今まで、ごめんね。ずっと苦しめ続けて来て」
「ううん……」
「今日の演奏……、本当に素晴らしかったわ。芹歌が、ここまで弾けるなんて、
正直思って無かったの。凄く、感動したのよ。胸に響いた。よく、頑張ったわね」
 ずっと足掻き続けてきて、将来に何の展望も抱けなかった。何度も母を恨み、
人生を呪った。だけど、それもやっと終わるんだ……。
 芹歌は神永が優しげな顔の中に寂しい翳を湛えながら、自分たちを見ているのに
気づいた。母がここまで立ち直り、歩く意志を持って頑張れたのは、この人のお陰だ。
この人は、芹歌が真田を選んでからも、変わらず実花に尽くしてくれていた。
胸が熱くなってくる。
「神永君……。ありがとう」
 母を抱きしめながら、芹歌は万感の思いで礼を述べる。
「いいえ……」
 神永は目を伏せた。その様が芹歌の胸に突き刺さる。
(ごめんなさい)
 彼に対しては、感謝と謝罪の言葉しか出て来ない。
「そろそろ結果発表よ……」
 渡良瀬のためらいがちな声が静かな楽屋の中に響いた。その声で、室内の
張りつめたような空気が流れだした。


目覚めのセレナーデ 4-26

第四章・春は燦めき(最終章)


 舞台袖に待機する。袖からそっと客席の方を伺うと、席はギッシリと埋まっていた。
(うわっ、凄い……)
 こんなに客席が埋まってる中で、一人で弾くのか……。何だか急に怖くなってきた。
足許から震えが上がって来る。
(やだ、どうしよう……)
「浅葱さん……」
 ビクッとして振り返る。原が微笑みを浮かべて立っていた。
「あ、原先生……」
「大丈夫かい?緊張してるみたいだね」
「あ、すみません。客席が一杯で、こんなの初めてで……」
 恥ずかしくて、うろたえた。
「そうか。ソロは君にとっては初めてだものね。だけど、真田君と一緒の時には、
いつだって超満員でしょう」
「はい、そうですけど……。伴奏は脇役だし」
「大丈夫。あなたならやれるよ。ソロの時は、いつも真田君とやってるつもりで
やりなさい。コンチェルトの時には、僕とオーケストラが一緒だ。一人じゃない」
 原の言葉に芹歌はハッとした。
「この間のオケリハ、凄く良かったけど、あれが本領じゃないんでしょう?あの後、
真田君が、『本番はもっと凄いですよ』と言ってきた。僕はそれを楽しみにしてるんだ」
(え?幸也さんが、そんな事を?)
「さぁ。気持ちを落ち着かせて。あなたなら、できる。大丈夫だ。あなたの音楽を
証明してらっしゃい」
 原のニコニコした顔が、優しかった父、庸介を思い出させた。なんだか、父が
乗り移ったような錯覚を覚える。みんなが芹歌を応援してくれている。期待してくれている。
 原の言葉が胸に沁みた。そして、真田の想い……。
――俺を、愛してる?
(愛してます)
――その想いを、音楽にぶつけてきてくれ。
 芹歌は大きく頷いた。
「原先生、ありがとうございます。頑張ります」
 アナウンスが入り、名前を呼ばれた。
 芹歌は大きく息をして、ピアノに向かって歩き出した。拍手の中、正面を向いて
お辞儀をする。目が自然に真田の所へ向く。薄暗い中でも、確かにそこにいると分かった。
 ピアノの椅子を調整し、息を整える。ショパン、華麗なる大ポロネーズ。
 ポロネーズとは、元々はポーランドの民族舞踊から発展したもので、3拍子だが、
ショパンのポロネーズは民族性を持ちながらも独自に展開されている。
 この曲は、アンダンテスピアナートと言う前奏とセットになって演奏される事が
多いが、今回は、ポローズのみだ。ト音で始まるファンファーレで序奏が始まり、
転調して変ホ長調の主部が現れる。明るく華やかな曲だ。
 芹歌はこの曲に、自分の想いをぶつけた。この華やかさは、艶やかな真田の
バイオリンと通じている気がする。速く細かなフレーズがキラキラと輝くようで、
とても魅力的だ。耳の底に真田のバイオリンが響いてくる。一緒に演奏した時間が蘇る。
 一度は諦めた二人の夢のような時間。それを再び手にする事ができて、どれだけ
充実した時間を過ごせた事だろう。すぐそこに、伸びやかな肢体を使って華麗に
弾く真田の姿が見える。二人で奏でる愛の音……。芹歌はそれに陶酔した。
 想いが軽やかに指を伝って鍵盤の上を転がり、跳ねる。深い想いが深い音として
ホールに響く。強い想いが毅然とした音となって主張する。どこまでも、深く強く、
そして優しく……。最後に思いきり歌いあげて鍵盤を離れた時、ピアノの音に代わって
大きな拍手が耳を襲った。
 急激に鼓動が高まった。気持ちが高揚している。十分に弾けた充実感が芹歌の
心を満たしている。芹歌は立ち上がって、客席に向かってお辞儀をした。
顔を上げると、満場の拍手なのが分かった。
(良かった……)
 ホッとした。自分の心をぶつける事ができた。聴いてくれた人達にも届いたと、
この拍手が教えてくれている。暫く止みそうも無い勢いが感じられた。だが芹歌は、
3回ほど礼をした後、椅子に座った。それと同時に拍手が収束し始めた。
 オーケストラのメンバーが入って来た。着席する様子を眺めながら芹歌は興奮した
息を整えた。いよいよオーケストラとのコラボレーションだ。ここが勝負どころだ。
 指揮者の原道隆が姿を現すと、会場から拍手が起きた。芹歌は立ち上がって
指揮者を迎える。原は芹歌の前で立ち止まると、手を差し出した。その手に手を添える。
「一緒に奏でましょう」
 その言葉に感動する。「はい」と答えて頷くと、再び椅子に座って準備を整える。
 チャイコフスキー、ピアノ協奏曲第1番変ロ短調。演奏時間約35分。
 準備が整った芹歌は、原に視線を向けて頷いた。それを受けて原が指揮棒を上げる。
 ホルンの序奏が始まった。そしてピアノ。雄大で印象的な始まりは心を掻き立てる。
オーケストラの掛けあいで繰り返される序奏の主題。これだけ印象的でありながら、
この後、このフレーズは使われない。
 ひと区切りついた後は、ピアノのソロ部分とオーケストラ部、そして競演……。
抒情的であり、ダイナミックであり、様々な展開を繰り返し、曲が進んで行く。
 全3楽章の3部構成の曲が、雄大さと繊細さと激しさをピアノとオーケストラが
共に掛けあうように奏でながら盛り上がっていくのが、とても気持ち良かった。
こんなに贅沢な時間は無い。オーケストラは素晴らしかった。そのオーケストラの
一員になったような気がした。互いに支え合い、盛り上げる。
 芹歌はこの時も、真田が共に弾いてくれているのを感じた。表情豊かな
バイオリンの音が時に芹歌を支え、時にリードし、作品世界の深い所まで連れて行く。
豪華絢爛な世界が芹歌を迎え入れてくれて、最高に楽しい。そうして、そのまま
終焉に向かって華麗に駆け抜ける。ピアノの音を助けるようにオーケストラの
豊かな音が聞こえ、芹歌は夢中で弾きあげた。速く激しいフレーズを一気に弾き切って、
オーケストラと共に終わった。
 それと同時に、激しい拍手が潮騒のように場内を包んだのだった。
 芹歌はチャイコフスキーの夢から覚めて、暫く呆然とした。割れんばかりの
拍手が演奏の成功を告げている。自分自身が感動して目じりに薄く涙が滲む。
「浅葱さんっ!」
 原に呼ばれた。立ち上がると抱きしめられた。
「よくやったね!素晴らしかったよっ。最高だ!」
「あ、ありがとうございます」
 背中をポンポンと軽く叩かれ、その後、コンサートマスターにも軽く抱擁された後に
握手を交わし、再び原と握手する。原は自分の事のように嬉しそうに高揚していた。
そして、手を取られて客席に向かって礼をする。
 芹歌は何も考えられなかった。夢から覚めても頭はまだ真っ白だ。ただ、歓声を
浴びている事がひたすら嬉しい。
 原と共に何度もお辞儀をしているうちに、客席の真田に気付いた。心から讃え、
心から喜んでいるのが伝わって来た。
(幸也さん、私、やったよ)
 心の中で、そう呼びかけた。二人の音楽を、しっかり弾ききれた。最高の瞬間だった。
これから先も、この舞台の上で、彼と一緒に生きていきたい。ここが私の生きる世界。
音楽を作り奏でられる事に、改めて感謝の気持ちが湧いてくるのだった。


三者面談で。

日常13(2015.07.28~2016.02.08)


昨日、息子の三者面談に行って来ました。


まずは成績表を見せられ……(くれるのは終業式の時です)。



下がってるのと上がってるのと。。


期末テストの成績表も渡され、こちらは矢張り出来ている方でした。

本人が言った通り、全て平均点をかなり上回る点数。

生物も記入ミスで10点の失点とは言っても、平均点より15点も上回ってるし。


いや、もう平均点は驚くほど低いので、それを上回ったからって

威張れることでもないんですが。


クラス順位は変わらず2位。1位はいつものお友だちで、息子より50点も上。

もう、ぶっちぎりだね。


修学旅行から間があまり無いから、全体的にみんな悪かったから、

これだけの点数をキープしてるキッキは偉いって、担任の先生はおっしゃるけど。


2位の息子と3位のお子さんとは、1位と2位の点数差よりも遥かに大きい

点数差なので、1位と2位は、このまま維持されていきそうです。



まぁ、狭い中で比べてどうこう言っても無意味だけど。

本人は、よく頑張っていると思います。


特に今回、『簿記』で、なんと、『5』がついてたのでした!


このクラスは、どんなに良くても『4』って話しだったので、ビックリ!!


詳細評価が殆ど『S』だったからみたい。


一番の得意科目ではあるけれど、凄いと思う。


あと、ワープロ検定2級も合格し、合格証書を渡されて感動もひとしお。


本人も、さすがに2級となると、これまでとは違う感慨を抱いたみたい。



で、下がった科目ですが。

テストの点数は良いので、なぜ下がってしまったのか、と言うと。


集中力の欠如で、ボーっとしてる事が多く、話しを聞いて無かったり、

板書の洩れがあったり(きちんと板書できたか、ノートを回収してチェックされます)、

時々、宿題を忘れてきたり……。

そういう点が、「やるき・意欲」の点で低評価がついてしまい。



ADHD気の強い自分としては、息子の傾向は理解できるんですよね。

ただ私の場合、全ての事で集中度が高くない為、ぼーっとしてても

先生が話しだしたら気づけるので、聴き逃す事は95%くらい無いんですが、

息子の場合、ボーっとしてるのは他の事を考えてるからで、その考えの方に

集中してしまっている為、周囲の変化に気付くのが遅くなる。


車の運転じゃないけど、前に集中しながらも後ろの様子も気にしてなよ、って

感じで、他の事に意識が行っても、完全にそっちに意識をやらず、

30%くらいは残しとけ、って言うんだけど、すぐにはうまくいくわけもなく。


あれこれと対応策を考えながらも、多分、そこそこくらいまでの状況になるまで

まだまだ時間はかかるんじゃないかと思う。



進路に関しても、訓練校の感想を聞かれ、今後どうするかを話し合い。

キッキには向いてるとは思うけど、狭き門だし。でも挑戦するかな、って方向性かな。


来月の施設見学もあるから、まだはっきり決めなくてもいいけれど、

先生的には、すぐに就職は勧める気が薄い様子。


キッキは色々できる事も多いし、性格も良いけれど、なんにせよ、まだ幼いせいか

危機感がまるで無いので、就職試験を受けても、そこら辺で引っ掛かって

落される可能性が大きいと、先生は思ってるみたい。


人の話しを割って喋ったり、人の話しを聞き逃したり、指示が通りにくかったり。。。


そこが障害の特性なんだけど、企業側も結構厳しいようで。


なんせ今年は、就職組の成果が思わしくなく、かなり落ちたそう。

しかも、2次までいって……。


落すなら1次の段階で落して欲しいですよねぇ、、、と先生と言い合ったんだけど、

ほんと、2次までいって落されたら困るよね。

高校は大学と違って1者1社制だから。


落ちた理由は、ストレスに弱すぎる、、、らしい。


要は打たれ弱い。

怒られてかなりへこんだり、中には泣きだしたり。



う~~~ん。


普通の会社なら、分かる理由だと思うよ。


でも、どんな怒り方をしたのか見て無いから分からないけど、

頭ごなしに叱られたら、誰だってへこむよね。

しかもさ。

今の時代、健常の子だって、叱られ馴れて無い弱っちい子、多くないですか。


こういう障害の子どもは、普通の子より感覚も過敏。精神も過敏。

失敗度が1程度でも、5くらいに感じてしまうから、落ち込みが激しいのも当然。

勿論、だからと言って甘やかして良い訳ではないけれど、対応の仕方に多少の

配慮が必要で、その為の福祉就労な訳です。

そういう配慮をしてもらうからこそ、低賃金に甘んじて働くわけで。


普通の人と同じように働けるなら、そうするよ。

収入が段違いだもん。

スタート時点では、あまり変わらなくても、普通なら昇給してく。

でも、この子達は、殆ど横ばいだから。一生、十数万程度の月収しか得られない。

まさにワーキンブプアの代表じゃないのかな。

親元で親と一緒に暮らしているうちは良いけれど、親が死んだら大丈夫か?って

本当、心配になるよ。



うちの息子は真面目で素直だから、どこでもやっていけると思う。

ただ、採用の段階で、そういう障害特性の点で落されたんじゃ、どうしようもないよねぇ。


何にせよ、早生まれのせいか、少し他の子達よりゆっくりだし、

訓練校でもう少し学んだ方が本人にとってもプラスかなとは思うので、

そちらの方向性でいくことになると思います。


ただ、落ちた時の事も考えて、就労施設を色々調べたり見学したりして

候補を幾つか持っておいた方が良いように、先生に言われました。

慌てて、どこかへ……って状況になるのはイヤですよね?って。

そりゃそうだ。

今、身近な3年生達が大変なのを感じてるから、尚更そう思うけど、

最終的には、なるようになれ、、とも思っています。


その時々で、できることをやる、それしかないよね。


目覚めのセレナーデ 4-25

第四章・春は燦めき(最終章)


 アーロン・M・ラインズが登場した。場内から拍手が湧き、お辞儀をして椅子に座る。
大人しい顔立ちだが金髪でスラッとしていて見栄えが良い。ルックスは悪いよりは
良い方が良い。音楽だから耳で聴くものだが、こういう演奏会となると見た目の姿も影響する。
 まずはソロ演奏。ショパンのバラード3番変イ長調。とても優雅で洗練された曲調だ。
緊張感の伴う入り方だった。矢張り音は深い。しっとりと歌い上げて、全体的に
まずまずの演奏だった。拍手も大きい。だが芹歌的には、あまりピンと来なかった。
2次の方が鮮烈な印象だった気がする。真田の方を見ると、彼も顔を向けて来て
目が合った。明るい瞳の色を見て、同じように感じたんだな、と察した。
 拍手が鳴りやむ頃、オーケストラのメンバーが入って来た。いよいよコンチェルトだ。
最後に指揮者の原道隆が入って来て、ラインズと握手を交わす。
 着席した。ラフマニノフピアノ協奏曲第2番、ハ短調。冒頭の左の10度の和音を
バラける事無くしっかり掴んで弾き始めた。さすがに手の大きいピアニストだけある。
手の小さいピアニストや女性のピアニストだと10度はなかなか掴めない。
しかも連打しながらクレッシェンドしていく。
 そうして、やがて急速な音型の展開へと進んでいく。この速弾きは圧巻だ。
だがどうも、音が立ち過ぎてる印象だ。ピアノが主体のパートの時と、オーケストラが
主体の時の音の出し方が上手くいっていない。ピアノ協奏曲とは、ピアノが主役と
言えばそうだが、常に主役を張る訳ではなく、時にはオーケストラの伴奏にもなる。
そうして調和を保ちながら1つの曲を完成させるものだ。そのバランスが、
ラインズの場合、今一つのように感じられた。
 だが、超絶技巧の曲を難なく弾いているように感じられるせいか、終わった時には
会場から激しい拍手の渦が湧いた。ラインズ自身、それを狙ってこの曲にしたのかもしれない。
 立ち上がったラインズは原と握手をし、コンサートマスターである第一バイオリンの
奏者とも握手を交わした後、客席に向かって笑顔でお辞儀をした。その後再び、
原と握手が交わされた。原は手を握りながらラインズに何か語りかけている。
「良かったよ……、頑張った……」
「はい?」
 抑揚のない呟くような真田の言葉が、拍手の中で聞えてきた。
「原さんが、ラインズに言った言葉」
「ええ?分かるんですか?」
「簡単な言葉だったらな。こういう時に出てくるセリフは大体、決まってる。自分自身の
経験から、おおよそ予想をつけていたが、その通りの言葉だったようだ」
「凄い!」
「原さんが、ボソボソ喋る人じゃないからさ。だけど、あの様子だと、お世辞だな」
「え?どういう事ですか?」
「どう言う事って、言ったままだよ。テクニック的には褒めて当然だろう。よく頑張って
弾いたね、って所だ。だが、音楽的にはどうなのかな。協奏曲としての。原さんは
一流の指揮者だ。当然、分かってるだろうからね」
 芹歌は口を噤んだ。大きな手を生かした演奏は凄かった。音も深くて迫力もある。
だが確かに、オケとの調和と言う点では疑問に思う事が多かった。
 休憩のアナウンスが入って、人々が立ち始めた。残すはあと一人。
「芹歌ちゃん。楽屋へ行って、支度しましょう」
 渡良瀬に言われて頷いた。
「あのドレス、持ってきてくれたんだよな?」
 真田に言われて「はい」と答える。学内コンサートの時のドレスだ。あのドレスを
着て演奏して欲しいと真田に言われたから持ってきた。
「真田君、髪はどう思う?アップにした方がいいかしら?」
「そうですね……、髪はアップにせずに両耳に掛けて、大きめのピンで留めるのが
いいかと。少し短くなってるから、アップにして弾いている時に崩れてきたら見苦しいし。
それなら最初から下ろしたままの方がいいでしょう。それで少し乱れた方が、
却って色っぽくて美しいと思います」
「ふふっ、真田君ったら。まぁ、あなたの審美眼を信用してるから、それがいいわね」
 芹歌の方は、恥ずかしくて顔が熱くなる。
 渡良瀬と共に楽屋に入る。
「芹歌ちゃん、とってもいい匂いね。アロマのせいね。いいわねぇ。気持ち良かった?」
「はい、とっても。マッサージと違って、すごくゆったりした気分になって、
静かに血流が良くなっていく感じでした。先生にもお勧めです」
 ゆったりした気持ちでドレスアップとメイクアップをした。顔は学内コンサートの
時よりも清楚な雰囲気だ。
「コンクールですからね。清楚に。だけど地味過ぎてもいけないし、バランスが大事。
あなたもこれからは、舞台に応じたメイクを覚えていかないとね」
 髪は真田の注文通りに耳に掛けられて、スワロフスキーが付いた大きめのピンで
留められた。ボックスの中に色んなタイプのピンや飾りが入っていて、
芹歌は目を瞠(みは)った。
「随分、用意されてきたんですね」
「そうね。いつも大体、これくらいは入ってるわ。何を使うかは最後に決める事が
多いの。会場の雰囲気とか、色々あるから、しっかり対応できるように」
 さすがに凄いな、と思う。そういう所まで準備万端なんだ。
 最後に、剥き出しになっている肩回りに、キラキラしたパウダーを軽く振られた。
「どぉ?素敵でしょう?」
 鏡を見るよう促される。確かに素敵だった。
「真田君、悩殺されちゃうわね」
「やだ、先生……」
 そんな場合じゃないのに。渡良瀬がこんな時にそんな事を言う人だとは思わなかった。
「芹歌ちゃん、あなた幸せ者よ。彼の過去の行状を思えば、女として不安も
あるかもしれないけど、あなたと結ばれてからの彼は、まるで別人のよう。
あなたの事しか考えていないのが、丸わかり。コンクールの事だって、全面的に
あなたのサポートに徹して、本当に頭が下がる思いよ。だから、あなたは彼を信じて、
雑念は一切捨てて弾きなさいね」
「先生……」
「男ばっかり3人も続いて、トリは女。ソロもコンチェルトも華麗に弾いて、
女の底力、見せつけて来てちょうだい。期待してるわよ」
「はい。頑張ります」
 芹歌は明るく頷いた。
 楽屋を出ると、真田が立っていた。
「あ、幸也さん……」
 真田は嬉しそうな笑みを浮かべて「凄く綺麗だ」と言った。
「髪型とメイクで、この間とは違った美しさだな。初々しさも感じられて可愛いし、
やっぱり俺の芹歌だな」
 頬がポッとする。
 真田は芹歌の腰に手を回して、肩先にそっと口づけた。
「あっ……」
 躰がジンとする。
「芹歌の、この首から肩のラインがさ。凄く好きなんだ。このままドレスを
引き下げたいくらいだよ。いい匂いだし、そそられる」
 微かな息使いが肌を撫でて、そのまま身を任せたくなってくる。
 真田は芹歌を離すと、優しい瞳で芹歌を見つめた。
「コンディションは?」
「大丈夫」
「俺を、愛してる?」
「え?やだ……、突然に……」
「愛してる?」
 重ねて訊かれた。照れて俯いた芹歌だったが、再び顔を上げた。
「愛してます……」
「じゃぁ、その想いを音楽にぶつけてきてくれ」
 芹歌ははにかみながら、深く頷いた。


訓練校の見学会

日常13(2015.07.28~2016.02.08)


学校側の主催で、職業訓練校の見学会に親子で参加してきました。

保護者同伴でないと参加できない為、親御さんの仕事の事情で

参加できない生徒さんもいたようです。


私自身は、そこへ見学に行くのは2度目。


前回は、前の学校の父母会で、親だけ見学に行きました。



今回は本人も一緒に見て、進路選択の参考にするって事で。


年が明けたら、A型就労支援施設と特例子会社の見学会にも参加し、

最終的に3月の個人面談で進路をはっきり決めて、新年度を迎える流れ。

進路によってクラス替えになるとの事。



見学に行って、本人に訊ねてみたところ、訓練校に行きたいかな、、、

みたいな、まだゆる~い感じの感想でした。


まぁ多分、まだピンと来ないんでしょうね。


とは言え、訓練校に行かないなら、すぐに就職か、就労施設って事になるわけで。


良い求人があったら、すぐに就労でもいいんだけれど。


ただ何度もここにも書いてるけれど、実習に行って、最終的に落ちたら

悲惨と言うか、後が大変なんだよね……。


どちらを選択しても、落ちたら後が……。


見学会の時、前半は訓練校の先生の説明だったんですが、話しが長くて……。


だから実際に見学に出た時には、やってない授業の教室もあったりして。。。


前回に行った時は、体育以外の授業は全部やってて、全部見れたんだよね。


実際にやっている所を本人に見せたかった。

今回見たのは、楽そうな仕事ばかりだったから。



来月、就労支援施設を見学に行くけれど、こちらはこちらで、施設によって

やってる内容が違うから、1か所を見ただけでは、本人は判断できないような気がします。


特例子会社もね。業種によって仕事内容がかなり違うし。



もう5,6年前になるけど、自閉症協会東京支部の主催で

キュー○ーの特例子会社へ見学に行った事があるのですが、そこは凄く良かった。

仕事内容は事務系。

本人の能力に応じて、色んな仕事をしてて、サポート体制もしっかりしてると感じた。



子どもがこの夏休みに職業実習に行ったのも、特例子会社。

でも職種は全く違う。こちらは立ち仕事中心でした。

ただ、どんな仕事の内容であっても、サポート体制がしっかりしてるのと

安定感っていうのが魅力。。。


訓練校の先生は、ここを卒業すれば就労先の企業は大企業が多いので

将来的にも心配ありません、って。


今通っている学校の担任も、訓練校へ行った方が、もっと良い会社に就労できるって

おっしゃって、勧められたわけで。

まぁ、入れれば、の話しで、受かる保障は無い訳だし。

倍率は2~3倍の間のようです。

知的障害者のコースが最も倍率が高いって。


まぁ、そうなんだよね。

高校だって、そうだったし、前の学校の中等部を受験する時だって

倍率、高かった。全体的に少子化で定員割れする所がある一方で、

多い所は多いんだ。


それに、就労できたとしても、その後、ずっとそこでやっていけるかの心配も出てくる。

離職率が、年を追うごとに増えている。

就職後3年で30~40%が離職してる。


理由は様々だけど、人事の変更で理解者がいなくなったとか、会社側が本人の

能力を越えた仕事を要求するようになったとかの理由も教えてくれた。


これらは、最も心配すべきこと。


以前、就職後10年目にしてリタイヤした人の体験を読んだ事があるんだけど、

理由はまさに、これらだった。

障害に理解のある人が他の部署に移り、周囲に理解者がいなくなってしまった事。

そして、その為に、10年も働いているのに、この程度の仕事しかできないのかと

周囲や上司から責められて、精神的苦痛に耐えられなくなった事。


会社には人事異動があるわけで。

引き継ぎの時に、十分、その辺を考慮した人事変更で、引き続きサポートが

継続されるわけではない。それに矢張り、会社も営利団体だから、長く勤めれば

それなりの成果を要求されるのも仕方の無い事。


だから、就職できたから万々歳、なんて喜んでもいられないんだよね。



あまり先の事ばかりを心配していてもしょうがないけれど、将来に備えて

今、必要な事はやっておかないとって思います。

本人が少しでも生きやすくなる為に。。。



明日は個人面談に行って来ます。

どんな話しになるのやら…………。


目覚めのセレナーデ 4-24

第四章・春は燦めき(最終章)


「切羽詰まったような、余裕の無い顔をしている。仕上がってないのか、それとも
自信がないのかは分からないが、3時間もあったら練習せずにはいられないんだろう。
そんな顔をしてるじゃないか」
「そうね」と渡良瀬が同調した。
「何と言っても、ラフマニノフをやるんだからな。指の動きにまだ不安定要素が
あるのかもな」
 なるほど。だが、こんな直前にそんなに練習するのはどうなんだろう。
真田も渡良瀬も同じに考えているに違いない。だから真田はニヤけている。
「さて。周囲が賑やかになってきたから、場所を変えるか」
「え?どこへ?」
「ここでジッとしてても仕方ないだろう?お前を待っている間、恵子先生と相談
してたんだ。近くにスポーツジムがあるから、そこで軽く汗を流そう。それから
全身をアロマトリートメントして、ゆっくり昼食を楽しむ。13時のラインズに
間に合うように会場に戻ろう」
 芹歌は驚いた。幾ら時間があるとは言え、今からスポーツジム?
「私、衣装以外、何も持ってきてないけど……」
「芹歌ちゃん、大丈夫よ。ジムで全部貸してくれるから。話しはもうつけてあるし、
安心してちょうだい。私は畑地君とリ・ギジュン君の演奏をここで聴いとくから、
二人で楽しんできて」
「楽しむって……」
 戸惑っていると、真田が立ち上がり手を取られた。周囲の注目を浴びて急に
恥ずかしくなる。会場に来ているのは音楽関係者ばかりだ。だから当然のように
真田の事を殆どの人間が知っている。中には写真を撮ろうとスマホや携帯を出している
人間もいた。そんな中を素早く通り抜ける。
 真田は会場前でタクシーを拾うと、スポーツジムの名前を告げた。
「束の間のデートだな」
 途端に頬が熱くなる。
「デートって……」
「考えてみれば、俺達ってデートした事無いよな」
 音楽を共に奏でる事で一緒に過ごす時間は長かったが、二人で遊びに出かけた事は
確かになかった。だが、デートと言う言葉に、ふと神永を思い出してしまった。
(あの横浜のデートが、最初で最後だったんだな)
 思い出すとせつない。
「どうした?」
「ううん……。何か、その、恥ずかしくって」
「なんで恥ずかしくなるのか、俺にはわからない。デートと言ったって、
スポーツジムだぞ?まぁ、軽く運動した後で、ブールに入るから、水着が
恥ずかしいと言うなら、少しは分かるけどな」
「ええー?プール?水着ぃ~?」
「おい、大きな声出すなよ。そっちの方がよっぽど恥ずかしいぞ」
「ご、ごめんなさい……」
「体を適度に動かして血行を良くしておいた方がいいからさ。で、その後、
アロマトリートメントを受けてリラックス。俺はトリートメントはしないが。
水着くらいで、大騒ぎしない。どうせ色気のない水着なんだし」
 言われて少し冷静になった。コンクールの直前に、贅沢な時間の過ごし方だと思う。
ここまでセッティングしてくれたのだから、感謝しなければならない。
「それなら、デートなんて言わないで。全然、甘い要素が無いんだし……」
 結局のところ、練習の延長線上にある行為だと思う。デートなんて言うから、
無駄にドキドキしてしまったではないか。
「それは悪かったな。ま、デートはコンクールが終わってから、改めてするか。
時間があるかどうかは、わからないが」
 ジムにはすぐに到着した。フロントで手続きを済ませ、一式を手渡される。
ロッカールームで着替えて二人で軽くストレッチやウォーキングで汗をかき、
プールで泳ぐ。泳ぎ終わった後、芹歌はリラクゼーションルームで、アロマ
トリートメントを受けた。その間に真田はタブレットで動画配信サイトにアクセスして、
畑地の演奏を視聴していた。
 アロマトリートメントを受けた芹歌は、良い香りに包まれて最高の心地だった。
泳ぐ事で適度に得た疲労が解消されて心地良い。ジム内のサロンでゆったり座りながら
動画を見ている真田と合流した。
「あ、いい匂い……」
 真田はそう言って、芹歌の体に腕を回し、軽く口づけた。
「コンクールなんか無かったら、このまま抱くのにな」
「もう……」
 真田は軽く微笑むと、芹歌を促した。
「じゃぁ、食事に行こう」
 そう言って連れて行かれたのは近くのイタリアンレストランだった。そこで、
魚介や野菜、肉をふんだんに使った料理が出されたが、パスタやライス、パン、
ピザなどは一切出て来なかった。
「炭水化物は眠くなって集中力を阻害する。たんぱく質と良質の脂質で、しっかり
精力をつけて長丁場を乗り越える。まぁ、最後に口直しでジェラートくらいはいいけどな」
 とても美味しい店だった。こんな風に、ムール貝や魚をたっぷり食べれるなんて、
贅沢な事だ。運動した後だけに、よく食べれる。
「芹歌を待っている間に、畑地の演奏を動画配信で視聴したんだけど、まぁ、あいつは
敵じゃない。思った通りだった」
「どんな感じだったんですか?」
「そうだな。一言で言えば、優等生?型どおりな感じだな。あとは少し硬くなってたか。
ソロは気負いが感じられた。コンチェルトの方は、合わせるのに精いっぱいな感じ。
でも、ソツなくこなしていた。2次の時の方が、マシだったんじゃないのかな」
「そうですか」
 芹歌は始まる前に畑地とやり取りがあった事を真田に話した。
「へぇ~、そんな事があったんだ。まぁ、よくある事さ。水面下での心理戦ってやつ。
そういう事を仕掛けてくる奴ほど、大した事は無いんだ。自信の無さがそうさせる」
 そうなのかもしれない。それにしても男のイヤミは嫌だなと思う。
「それにしても、よく食べるな。それだけ食べれるなら心配ない。緊張して
食べられなくなるようじゃ、土台無理だからな」
「だって、美味しいんですもん」
「そうか。それは良かった」
「幸也さんこそ、小食じゃないですか?緊張してる?」
「ば~か。なわけないだろう。俺だってちゃんと食べてるさ。だが俺は、この後は
座って視聴してるだけだからな。食べ過ぎて太ったら困る」
「ふぅ~ん」
 太るのが嫌で我慢しているのなら、面白い。確かに普段二人で練習した後の食事も、
夕飯だからなのか控えめのように感じる。だが、昼食は割とガッツリと食べている印象だ。
 食事を終えて会場へ向かった。到着したのが12時45分頃。ホール内は人で
溢れていた。昼時だから外へ出て、戻って来たのだろう。二人は関係者用の
出入り口から中へ入る。渡良瀬が指定エリア内に座っているのが見えた。
「先生……」
「あら、どうだった?楽しめたかしら」
「はい。美味しいものもいっぱい頂きました」
「それは良かったわ」
 芹歌と真田は渡良瀬の隣に腰かけた。
「リ・ギジュンはどうでした?」
 真田が渡良瀬に訊ねた。
「そうね。まずまずね。最初の畑地君よりは、ずっと良かったわ」
「そうですか。畑地のは動画配信でさっき視聴しましたよ。ソツなくまとめてましたが、
思ったほどじゃ無かったですね」
「そうね。あれだど、下位グループと入れ替わるんじゃないかしら。昨日の5位、
6位の子達はよく頑張ってたし」
「なるほど。あり得そうですね」
 場内アナウンスが入った。開演直前の着席を促すアナウンスだ。きっとラインズも
舞台袖で緊張して出番を待っているに違いない。
「芹歌ちゃん、あなた、大丈夫?聴かない方が良くない?」
 渡良瀬が眉を微かに寄せて、心配げな表情になっている。心を平静に保つためにも、
聴かずにおいた方が良いと言う判断からだろう。
「大丈夫です。どんな演奏をするのか、知りたいし。その欲求を残したままじゃ、
却ってストレス溜まっちゃいます」
 芹歌は笑顔で答えたが、渡良瀬は呆れたように溜息めいた息を洩らした。
「だけど、2次の時の事を思うとねぇ。真田君は、よく平気ね」
「本人の希望ですから。それに、ショックを受けて弾けなくなるようじゃ、
所詮はそれまで、って事ですよ」
「全く、あなた達ったら……」
 場内の照明が絞られて暗くなり始めた。


目覚めのセレナーデ 4-23

第四章・春は燦めき(最終章)


 神永の父親、神永友喜は小田原で漁師をしていて、地元の水産会社で事務を
していた菜々子と結婚したが、悠一郎が生まれて1年ほど経った頃に漁で怪我を
して漁師の仕事を続けられなくなった。
 元々が大酒飲みだったが、陽気な性格だったせいか、飲んで暴れるような事も
無かった友喜だったが、仕事が出来なくなってから、典型的な酒乱に変貌した。
 怪我の為に漁に出られなくなっても、組合の紹介で水産会社の下働きのような仕事を
していたが、海に出られないストレスで飲んだくれてはクダを巻き、仕事は疎かになり、
周囲に当たり散らすようになった。生計は殆ど、妻の菜々子の稼ぎに頼るようになり、
自身はパチンコやギャンブルに手を出し、責められれば暴力をふるう。
 健が小学校に入学し、悠一郎が4歳になった頃は、神永家では喧嘩が絶えなかったらしい。
菜々子が子どもの学費の為にと隠していた金を友喜が発見し、大ゲンカになった事も
あったと言う。毎日のように、飲んで暴れる大騒ぎな神永家は、近所では評判だった。
 そんな時、ある日を境に、ぱったりと静かになって、近所は不審に思ったそうだ。
子ども達に訊くと、「お母さんが出て行った」と言う。友喜自身も、「あいつは俺に
嫌気がさして、書置きを残して出て行ったんだ。もう、耐えられないんだとよ」と
周囲に言っていた。
 酒を飲むと暴れて、妻を殴る蹴ると痛い目に遭わせていた。あれじゃぁ、奥さんが
逃げても当然だ。むしろ、逃げないわけがない、と周囲は誰もがそう思ったらしい。
 警察は、多岐にわたる調査結果により、いつものような夫婦喧嘩がエスカレートし、
カッとした友喜が妻の菜々子を花瓶で殴った結果、死んでしまったものと結論づけた。
その後、床下に埋めて、妻は蒸発したと周囲に喧伝した。
 家は持ち家である。その後の経済状況や、ギャンブルと酒に明けくれた生活から見れば、
家を売っても良さそうなものなのに、最後まで売ろうとしなかったのは、そういう
理由があったからだろうと推測された。
 凶器の花瓶は桐箱に納められて、天袋の隅に置かれていた。血痕が残っていて、
被害者のものと一致した。花瓶には友喜と子ども達の指紋が残っていたが、
手の大きさからしても、この花瓶で子どもが母親を殴るのは不可能であり、凶行に
及んだのは友喜であると断定されたのだった。
 事件は被疑者死亡で書類送検されて終わった。
「ゆう君、ほんとに可哀想だったわね。お父さん、ずっとお酒とギャンブルばかり
だったそうだから。お兄さんも、そんな父親が嫌で、さっさと家を出たのに、結局、
満足な仕事に就けなくて、父親と同じような人生を送るようになったみたいよ。
そんな中で、真面目に勉強して大学も出て、福祉の仕事に就いて……。しかも、
あんなにいい子で。不憫な子よね……」
 家庭環境や生い立ちを知ると、そんな中で彼は一人で健気に生きてきたんだな、
とつくづく思う。だからこそ、芹歌や実花への思いも強かったんだろうと納得する。
これから彼はどうするのだろう。
「ねぇ、芹歌。真田さんとの事だけど」
「うん……」
 急に真田との話しになって、芹歌は緊張した。
「あなた、お教室も閉じちゃったし、どうあってもヨーロッパへ行っちゃうのよね?」
「ごめんなさい……」
「あの人、ステキな人だし、音楽的にも凄いわよね。いい人だと思うし。学生の時には、
あの人の後を追ってあなたが留学するの、楽しみにしてたわ。あの人に任せても
安心だって思ってたから。だけどねぇ……」
 実花はそう言って、溜息をついた。
「結婚となるとね。やっぱり話しは別な気がするの。ヨーロッパへ行くのは、
もう反対しないわ。元々、行く筈だったのが駄目になってしまったんだから。
だけど、結婚は、そう慌てなくてもいいんじゃない?もう少し、時間をかけても……」
「ありがとう。心配してくれて。お母さんの言う事も、一理あると思う。だけど今は、
コンクールに集中したいから、終わってからまた話すって事でいいかな」
「そうね。直前にする話しじゃないわね。私の今後の生活についても、相談しなきゃ
ならないし、全ては終わってからね」
「そう。全ては終わってから」
 芹歌は小さく笑って頷いた。
 母の心配は尤もだと思う。はたから見れば、容姿端麗な世界的なバイオリニスト
である30歳の男性と結婚して、女として幸せになれるのかと心配にもなるだろう。
 そう考えると、実花が本選に聴きに来ると言うのは、丁度良い機会なのかもしれない。
自分達の愛を分かって貰えるのではないか。
――すべてをピアノにぶつける。
 それこそが全てなのだと、改めて思う。

 コンクール当日。本選2日目だ。前日は下位4名の演奏だった。聴きに行った
渡良瀬からの情報によると、勝ち残っただけに其々素晴らしい演奏ではあったが、
上位に喰い込む程では無かったと言う。下位の中での順位争いで終わりそうだと
メールにあった。
 会場へは真田と共に向かった。渡良瀬は一足先に行っている。
「どう、調子の方は?」
 タクシーの中で繋がれた手に軽くキスされて、芹歌は赤くなる。
「大丈夫です。体調も、気持ちの方も」
 真田は芹歌の指先を軽く揉む。
「指先、少し冷たいんじゃないか?」
「いつもの事です。ずっと冷たいわけじゃないから、大丈夫ですよ、心配いりません」
「そうか。ならいいが……」
 繋がれた手が温かい。並んで座る心地良さ。こうしてずっと、二人で生きて行きたい。
その想いを、今日、ピアノにぶつける。
「今日、この後、お母さんが来るって言ってました。神永君と一緒に」
「え?彼と一緒に?」
「はい。でも、大丈夫です。いい機会だと思います。私も二人に聴いて欲しいから」
「そうだな。いい機会だな。お母さんは、去年の発表会以来だろ?」
「はい。きっと、驚くと思いますよ」
 芹歌は笑った。
「驚き過ぎて、いきなり走りだすかもな」
「あはは、それ、凄い面白い。ウケますよ」
 真田がこんな冗談を言うなんて、初めて聞いた。いつも神経質で気難しい所があるのに、
新しい発見をしたような気になる。
 タクシーが到着し、二人は会場へ入った。出場者専用の受付へ進む。二人は取り敢えず
そこで別れた。出場者達は、一度会議室に集合し、今日1日の段取りなどの説明を
聞いた後は、自分の出番が来るまでは自由だ。
 上位4人は芹歌を除いて全員が男子だった。そのうち二人が外国人。アーロンの他に
韓国人のリ・ギジュン。リ・ギジュンは東和音大に留学中だ。2次予選を3位で
通過している。4位通過は日本人男子で、畑地伸一。逍遙音学院4年。全員が
20代前半で芹歌より年下だ。
 下位から始まるので、4位の畑地はすぐに衣装に着替えて軽く音合わせをし、
本番に入る。9時にスタートだ。持ち時間1時間。演奏後、1時間の休憩が入る。
だから、1番手は9時、2番手は11時、3番手は13時、そして芹歌は15時に
スタートする。芹歌にとっては長丁場だ。この順番が吉と出るか凶と出るか。
 それに、間に1時間ずつの休憩が入るとは言え、オーケストラと指揮者への負担も
大きい。渡されたプログラムを見ると、後半ほど大曲で時間も長い。特に芹歌が弾く
チャイコフスキーはかなり激しい曲だ。
「へぇ~、浅葱さん、チャイコの1番をやるんですか。ソロも大ポロネーズ。
凄いですねぇ。体力的にハードでしょうに。ぶつけてきましたね」
 4位の畑地が声を掛けて来た。畑地はリストとモーツァルトのコンチェルトだ。
1位と4位だが、そんな順位などまるで気にしていない、むしろ小馬鹿にしたような
雰囲気が感じられた。
「最近、国内のコーンクールでありながら、国際コンクールは外国人ばっかり優勝して
腹が立ちますね。派手で目立つ演奏ばかりに偏重しがちで。日本人だってスケール的には
負けてても音楽性では引けを取らないのに」
 悔しそうな口ぶりだ。今回も外国人に持って行かれそうだと思っているのだろう。
「あなたもその年齢で、しかも女性でありながら随分と頑張りましたねぇ。
でも本選では、どうなる事か。スケールと言う点では、更に女性は不利ですもんねぇ」
 男の癖にイヤミなヤツだな、と思いながら、芹歌は笑顔で対応する。
「そうですね。早く済ませて楽になりたいんですけど、順番が最後じゃ、ね。それまで
リラックスしてゆっくり待つしかないのかな。畑地君はすぐよね。早く終わって羨ましい」
 わざとクスリと笑った。畑地の顔が微かに引きつる。
 フンッと内心鼻で嗤って、芹歌は会議室をさっさと出た。ホールのカフェで真田と
渡良瀬が待っている。
 カフェの中はまだ人は少なかったが、殆どの人間が真田をチラ見していた。
「お待たせしました」
「ああ、芹歌ちゃん。もう打合せは終わったのね。段取りはどんな感じ?」
 渡良瀬が気ぜわしい様子で訊いてきた。
 芹歌は貰ったタイムテーブル表を手渡しながら、ざっと説明した。
「先が長いわね。分かっていたことではあるけど、まだ6時間も先よ」
 3番手のアーロン・M・ラインズの終了予定が14時なので、その時間になったら、
楽屋に入ってメイクアップし、遅くとも10分前には袖で待機しないとならない。
 自分の前の参加者達の演奏を聴かないのであれば、14時までは外へ出て自由に
過ごしても構わない。人によっては近ければ自宅待機も可能だ。人の演奏を聴くのも、
それなりに疲れるものだ。この時間を利用して練習する者もいる。
 ラインズはどうするのだろう。リ・ギジュンは2番目なので、当然、このまま畑地の
演奏を聴くだろう。いや、客席で聴くとも限らないか。自分より先の人間の演奏を聴いて、
動揺したり影響されたりする事を避け、わざと聴かない人間も少なくない。
 どうしようか考えていたら、ホールを早足で抜けて行く背の高い男に気付いた。
ラインズだ。その後を、男性二人と女性一人が追うようにして歩いている。三人とも
外国人のようだ。
「あら、あれは、ラインズ?」
 渡良瀬も気付いた。
「どうやら、出番まで外へ出るようだな」
 入りまで3時間少々ある。どこへ行くのだろう。
「あの調子だと、近くのレッスン場だな」
「どうして分かるんですか?」
 真田を見ると、驚いた事にニヤついていた。


目覚めのセレナーデ 4-22

第四章・春は燦めき(最終章)


 最後まで弾き終えると、オーケストラ内から拍手が湧いた。原も拍手している。
「凄く良かったよ、浅葱さん」
「あ、ありがとうございます」
 立って周囲にお辞儀する。そして振り返って真田を見た。彼も満足した顔をして
手を叩いていたので、やっとホッとする。
「さすがに渡良瀬さんのお弟子さんだね。よくここまで作り上げて来たと感心したよ。
あとはね。本番では、もっと思いきりいってもいいから。オケの事は、あまり
気にしなくていい。こちらで合わせていくから。君のピアノは気持ちいいね。
一緒にやってると、どんどん盛り上がっていく感じがする。だから、本番では
もっと自分を解放して構わないからね」
「はいっ、ありがとうございました」
 芹歌は充実した気持ちで会場を後にした。

「芹歌ちゃん、とっても良かったわ。先生、ここまで来て凄く嬉しいわよ」
 帰り道に、渡良瀬が感動したように言う。
「先生、ありがとうございます。私の方こそ感謝してます」
 本当に、一人じゃとても無理だった。そもそも、卒業後もずっと見捨てずに
きてもらえた事が何よりも感謝だ。そうでなければ、とても挑戦なんてできなかった。
「当日が楽しみだな。原さん、君と一緒にやってると盛り上がって来るって言ってたが、
さすがだね。よく分かってる。今日は7割だったからな。本番で思いきりやったら、
腰抜かすかもしれないぞ」
「え?今日は7割だったの?」
 渡良瀬が目を丸くして驚いた。
「恵子先生、何を言ってるんですか。当たり前じゃないですか。なぁ、芹歌」
 芹歌は笑顔で頷いた。
「あら、まぁまぁ……。私、9割くらいだと思ってた。あれで7割?だとしたら、
本番はどうなるのかしら?だけど、リハとは言え、7割なんて抑え過ぎじゃなくて?」
「恵子先生は、いつもリハでは9割なんですか?」
 真田に問われて、「当然よ」と渡良瀬は答えた。
「本番に近いくらいにテンションを上げておかないと、本番で上げきれないじゃないの」
「なるほど。まぁ、その辺は人によるのかな。僕はいつも7割なんですよ。
だから一緒にやってる芹歌も7割癖がついちゃってるのかもしれません。
それが良いのか悪いのかは分かりませんが、僕達の間では良い結果をもたらしてます。
リハは7割、本番は十全以上で」
「十全以上?何なの?それは」
「言葉通りですよ。十全、つまり、万全、完全、それ以上を出すと言う事です。
完璧を目指すようじゃ、逆に自分で限界を作ってるようなものです。それに音楽は
生き物ですから。いつどう変化し、昇華するか分かりません。その為にも、リハでは
十分な余裕を持たせるんです。あえて伸びシロを作っておく。だから芹歌も本番で
それが出来たら、今日とは比較にならない程の音楽が生まれて来ますよ。今から
それが楽しみです」
「ええ?それって、凄い事じゃないの?だけど、そんな、上手くいくの?」
 渡良瀬はかえって不安を募らせるように、心配げに眉を寄せた。
「やるしかないですよ、先生。それに、今日が7割だったんだから本番は確実に
今日より良い演奏だって事です。それだけでも楽しみになりませんか」
「それはそうだけど……、芹歌ちゃんはどうなの?大丈夫そう?」
 芹歌は笑った。
「大丈夫です。真田さんが言うように、少なくとも今日よりは更に良くなると思いますよ。
なんせ7割だったんですから」
「あら。あなたがそんな風に自信を持って言うなんて、珍しいわね。昔から、
あがらない子だったけど、でも自信家ではなかったのに。真田君の影響かしら。
まぁ、いい事だけど」
 渡良瀬は呆れたような、ホッとしたような、そんな顔をして芹歌と真田の顔を見た。
 芹歌はあの日から自分の心が充足して強くなったと感じている。目の前の壁を
乗り越える事が、真田への愛の証しだと思うようになった。とても愛されているのを
感じる。この日も家まで送ってきて、別れ際に熱いキスを交わした。門柱の影で
抱きしめられる。
「いよいよだな」
「うん……」
「今日は本当に良かったよ。あとは本番で出し切るだけだ。ポロネーズの方も
楽しみにしてるから」
「ありがとう。……だけど、先生にはああ言ったけど、本番、大丈夫かな。
ソロはともかく、コンチェルトの方……」
 自分自身は弾ける自信はある。だが、協奏曲はソロではない。オーケストラとの
コラボレーションだ。自分ばかりが思いきり弾いて走ってしまうような事になったら、
との不安が若干あった。
「それは大丈夫だよ、きっと。今日の原さんの言葉でも分かっただろう?
本番は思いきりって。オケの方で合わすって。原さんはきっと分かってる。
今日のお前が抑えて弾いてたのをね。だから、本番では出し切れと促してきた。
相手はプロ中のプロなんだ。指揮者だけでなく、オーケストラもね。合わせるのは
朝飯前だよ。それに、思うにきっとオケの方もお前に影響されて、遥かに
良くなると思うな。審査員も会場も唸るに違いない」
 芹歌は温かな真田の胸の中で頷いた。
 最後の口づけを交わして別れた後、家へ入る。
「どうだった?今日のオケとのリハは……」
 母が心配げに問いかけて来た。
「うん。良かったと思う。原さんにも褒められた」
「あら、本当?私、原道隆、結構好きなのよ。ダンディでステキだし、
指揮を振る姿なんて、最高よね。あの人の指揮で演奏できるなんて、羨ましいわ」
 少女のように頬を染めて興奮している実花を見て、芹歌は微笑む。
「本番は、お母さん、会場へ行くわよ?」
「え?」
 以前よりも母親らしさを取り戻していた実花だが、車椅子だけに滅多に外出は
しないから、今度の本番も当然、来ないものと思っていただけに、芹歌はビックリした。
行くと言われても、車椅子の人間を連れて行くなら、それなりの前準備が必要だろう。
当事者である芹歌に、その負担は重い。
「折角の晴れ舞台じゃない。前のコンクールの時は6位入賞で残念だったけど、
今回は違うでしょう?2次突破の時点でトップだったんだから、優勝できるかも
しれないんだし。そんな時に母親が行かないって、可笑しいわよね?幾らいい歳した
大人だと言っても」
「それはそうかもしれないけど……」
 連れて行く方の身にもなって欲しい。演奏する事に集中したいのに。
「大丈夫よ。当日はね。ゆう君に連れて行ってもらうから」
「え?神永君に?」
 神永のレッスンは、昨日で最後だった。
「1年間、ありがとうございました。楽しかったです」
 彼はそう言って、深々とお辞儀をした。そして、いつもの通りに浅葱家で夕飯を摂り、
特に別れを惜しむでもなく、いつも通りに去っていった。芹歌には何だかそれが
凄く寂しかった。あまりにも呆気ない。
「ゆう君もね。本選は是非会場で聴きたいって言ってたからね。二人で行く事にしたの。
だから、あなたは私の心配をしなくていいわよ?」
「い、いつの間に、そんな話しになったの?」
「そうねぇ……。いつだったかしら。あなたが2次を突破した頃だったかしらねぇ」
 そんな前から……。だから昨日は、素っ気ない様子で帰っていったのか。
昨日が本当の別れでは無かったから。
「そう言えば、ゆう君のお母さんの事、大体片付いたみたいね。良かったわ。
これであの子も安心したでしょうね」
 難航していた白骨遺体の件が、取り敢えず、大体の解決を見るに至ったのだった。


最近はオトゲー

音楽・映画・芸術・ゲーム・声優等


月曜日に期末テストが終わり、翌日はテスト休み。

そして水曜からは午前授業だけど、木曜日は部活に出ると言う事で

久しぶりのお弁当持参でした。


弁当のある無しに関わらず、起きる時間は同じなんだけど、

起床直後はボーッとしているせいか、何もする気が起きないので、

弁当作りの時には、変な失敗をする確率が高いんだよね。

スッキリ目覚めればいいのにって思う。



理想なのは5時50分頃に軽く目覚めて、残り10分を使って

徐々に覚醒してくのがいいんだけどね。

ま、そういう時もたまにあります。ただ、5時50分じゃなく、

5時36分とか、また中途半端な時間なんだ。

まだ30分近くあると思うと、なんか勿体ない気がしませんか?

って、だから駄目なんだろうけど、寝坊する事はまずありませんから。

ちゃんと、どんなにつらくても時間には起きます。99.9%ね。


取り敢えず、首からくる不調はほぼ良くなりました。

鼻の調子が軽くなってきたからだと思います。鼻の調子が悪い時には

矢張り、首も頭も重いので。



ところで、お楽しみのプリウスでしたが。



いや~~~。正直、あんまり嬉しくない。


カタログは手にして無いけど、発表の時にネット上で見ちゃいました。


何、あれ?


あの、薄いヒゲ…………




以前もヒゲヅラだった事がありましたが、その時もイヤでした。


今回、映画の為とは言え。



好きな人もいるんだよね。ほんと人の好みってソレゾレだわ~って思うけど、

私はイヤです。似合ってると思えないし。


しかも、伸ばしはじめの頃に撮ったからか、一層、貧相って言うか。


一挙にオッサン化している気が。



すでに下がってるテンションが更に……




ましゃの日めくりカレンダー。今日のはステキな写真です。

前髪も垂れてるし。


前髪をあげてるのも好みじゃない上にヒゲまで……



ほんと、ごめん、ガッカリです。。。。



テレビは殆ど見ないので、CMの方は見てません。

昨日、流れたのが背後で音声で分かったけど、振り返って見る気がゼロ。

ってか、見たくない。。。。。




結婚が切っ掛けだったと言えばそうかもしれないけど、

既に去年、一昨年あたりから、徐々に気持ちは下がってたんだよね。

若い若いと周囲からは言われているけれど、寄る年波には逆らえない、

落ちて来てるよな~~~って、日々年々感じていたので。

それを吹き飛ばすような新しい音楽をバンバン出してくれてれば

そんなの気にならないんだけど、なんせ、ビジュアル的な仕事の方が

圧倒的に多かったからこそ、余計にビジュアルが目に付いちゃう。。。



やっぱさ。もっと音楽に比重をって思う。なのに、また映画だし……。

しかもヒゲ姿のパパラッチって、私はもう全く興味を覚えません。




そんな訳で、トキメキを持てる人がいなくなってしまって……。

ミスチルも秦クンも音楽は最高に大好きだけど、私はときめけない。。。



だからか。

最近はめっきり乙女ゲームにはまっています。


元々、20年前にアンジェリークにハマり、その後、遥かなる時空の中で、にハマり、

遥かの3くらいで止まってたんだけれど、薄桜鬼で再び萌え……。

でも、薄桜鬼は大好きだけど、他のオトゲーには興味無かったんだけどね。


薄桜鬼の新しいソフトがvitaで出て、遥かの6もやって、

それが切っ掛けで、他にも興味が。


他人様のレビューを参考に、面白そうと思うソフトをガスガス買ってしまいました。。。


ここ2カ月の間に……


・十三支演義ー偃月三国伝1・2

・CLOCK ZERO ~終焉の一秒~

・ゆのはなSpRING!

・魔法使いとご主人様

・百華夜光

・KLAP! ~Kind Love And Punish~

・忍び恋うつつー雪月花恋絵巻ー


なんか、凄いよね。結構な量をやってる……

何本かは中古で買いました。


どれも面白かったです。

選択の基準のひとつとして、大好きな声優さん、鳥海浩輔さんが

出てるかどうかってのがあります。

上記のゲームで鳥海さんが出ていないのも数本あるけれど、

鳥海さんが出てると萌えます。

あと、絵柄も選ぶ基準のひとつ。 ゲーム内容もね。

面白そうな内容でも、絵が受け付けないものは、鳥海さんが出ていても

買う気が起こらない。。。勿論、あれもこれもと買っていては破産しちゃうし。

結構、お値段、するんですよ。ビックリしちゃう。


いずれ、徐々に各ゲームの感想をアップするかもしれません。。。

現在、忍恋の途中。半分を超えた所。

来週は、いよいよ、アンジェリークのvita版が発売されます。

懐かしいアンジェリーク。首を長くして待っております。



なんかさ。

非現実で、馬鹿じゃない?って思うかもしれませんが。


非現実だから、いいんだって思う。

こんな事で楽しめるんだから。


例えば、これらゲームの中の好きなキャラクターが

初音ミクのようにホログラムになって登場してライブーなんてなっても、

なっても………………

あ、なんか自信なくなってきたかも……(^_^;)


ってかさ。薄桜鬼だったら、萌え萌えで行くかも。

他のは全然だけど。


薄桜鬼の場合は、やっぱり新撰組ってキーがあるから萌えなんだよね。

おまけに、ゲームのキャラも声も凄くいいし。


鳥海さんは、斎藤さんの声。

一番好きなのは矢張り土方歳三だけど、歳三さんの声を出してる

三木眞一郎さんは、あまりオトゲーでは活躍してない。

むしろ、映画やドラマの吹き替えの方が多いんだよね。

WOWOWで放送してる、現代版ホームズのドラマでホームズ役だけど、

ほんと、土方さんとは思えないほどの演義っぷりで、凄い尊敬しちゃう。

普段の喋りも、全然、声の感じが違うし。

そう言う点で、鳥海さんは特徴的な声なので、他の役でも大体わかる。

とは言え、演じっぷりは凄いけどね。キャラ的には別人だから。


テレビを見ないので、知らなかったんだけど、背後でダンナや息子が

見ている、ガンダムやポケモンに出てて、背後から聞えてきた声に

「あ!トリさんだ!!」って、反応。。。

この間のポケモンでも、サイゾー役で出てた。。

ガンダムも驚いたし。


因みに、たまにしか見て無かったナルトでも、キバ役だった!!って驚き、

ダンナが好きで見てる、NHKでやってたベイビー・ステップでも

コーチ役でビックリしたし、、、で。。。

テレビアニメは出てるのが少ないせいか、かえってビックリさせられて、

思わぬ萌えでちょっぴりハッピーになったりなんかして……。

ガンダムも、ダンナは見てるけど私は背中で聞いてるだけ。

トリさんの声が聞こえてきたら、思わず振り返って見てしまう感じで。

そんな時だけ、耳を澄まし、それ以外は背後のテレビの音は

うるさくてたまらなかったりするんだけども。。。


子どもの頃にも、声優さんに萌えました。。。

高校生の時には声優になりたいって思ったりもしました。

ただ、当時は今のようにメジャーな職業でもないし、

養成所なんて無かったんだよね。

コンテストみたいなのが開始されるようになって、それに応募しようかと

思って、課題をやってはみたけれど、全然、上手くいかなくて応募しなかった。

その時に優勝したのが、アンジェリークでジュリアス様をやっている、

速水奨なんだよねー。 速水奨も大好き。すっごくステキなお声です。



これからは、ましゃ話題はめっきり減ると思います。

その分、ゲーム関係と他の音楽の比重が圧倒的に多くなるかと。。。

アハハぁ~~(^_^;)


目覚めのセレナーデ 4-21

第四章・春は燦めき(最終章)


 その日から、真田は練習後は必ず芹歌を家まで送るようになった。
芹歌は真田の貴重な時間を奪うようで遠慮したが、真田の方で譲らない。
「少しでも芹歌と一緒にいたいんだ。お前は違うのか?」
 甘い顔と声でそんな事を言われたら、断れるわけがない。それに芹歌だって、
少しでも一緒にいたいと思うのは同じだった。
「私、なんだか怖い……」
「どうして」
「だって……。こんな事、初めてだから、自分の心のやり場って言うか、
こんなに好きになるなんて……」
 思わず恥ずかしくて俯く。
「それなら、俺も少しは分かる。お前を好きな気持ちをずっと押さえつけて
きたからな。こんなに愛しくて、求める気持ちを抑えられない今が、怖いと
言えばそうかもしれないが、でも俺は、自分にこんな心があったって事の方が嬉しいかな」
「幸也さん……。それは私も、そうかも。でもずっと音楽だけで来たから、
音楽以外の事に心をこんなに奪われるなんて……」
 真田は握る手に力を込めた。
「じゃぁ、訊く。芹歌は、俺と音楽、どっちが大事だと思う?」
「ええ?」
 なんて意地悪な質問なんだろう。そんな事、考えた事が無い。
「そ、そんなの……、選べない……」
「だよな。俺も選べない」
「はぁ?じゃぁ、どうして訊いたの?」
 真剣に考えたのが馬鹿みたいじゃないか。
「例えて言うなら、音楽は空気で、芹歌は食事だな」
「はい?」
 分かる気がしないでもないが、食事に例えられたところにエロスが連想されて、
赤くなるのだった。
「空気は無くてはならないものだよな。無かったら死ぬ。自然にあって当然のもの。
食事も、しなくても大丈夫な時もあるものの、いつまでも食べないでいたら
栄養失調になって餓死する。だからこれも無かったら死ぬ。そして食事は、
心身の糧だ。良い食事ほど、良い精神と良い肉体と豊かな人生を作ってくれる。
お前は俺にとっては最高の食事なんだ。他は要らない。お前一人で全てを満たしてる。
飽きる事も決してないんだ」
「や、やだな、幸也さんったら。口が、上手すぎる……。いつからそんなに、
饒舌になったの?」
「え?そうか?ちゃんと言っとかないとさ。お前、おニブだからわかって
くれないかと思って」
「な、何よ、おニブってぇ」
 芹歌はむくれた。おニブなんて侮辱だ。
「はははっ、まぁ、いいじゃないか。そういう所が可愛いんだし。でも、躰は
鈍くないからさ。最高だよ?俺の芹歌」
 そう言って抱き寄せられて、躰の芯から熱くなる。
「もう、周囲に何を言われても、気にするな。俺の心はいつだってお前に向いてる。
こう言っちゃなんだけど、世間にも大勢ファンがいるからさ。妬まれる事が多いと思う。
だけど俺は全力でお前を守る。だからお前自身も心を強くもって欲しい。負けないでくれ」
 芹歌は頷いた。
「それから、俺を愛する心は、俺と一緒の時には遠慮しないで俺にぶつけて欲しい。
それ以外の時は、ピアノにぶつけるんだ。どちらにも、真っ直ぐに心を解放する事」
「え?ピアノに?」
「そうだ。自分の心をぶつけるんだよ。1次予選の前に、精神的に泥沼になった時、
酷かったけどピアノにぶつけてたろ。あれはあれで良かった。お前のピアノは
いつもサラッとし過ぎてたからな。ずっと心にフタをして感情を抑えて来たからだ。
でもあれから変わって来た。その後の変貌ぶりには感心してるが、まだまだ
進化していける筈だ。その為には、心を解放するしかない」
 心を解放……。言葉で言えば簡単に聞えるが、実際にやるとなると難しい課題だ。
「俺にとっても、それは言える。ずっと技巧に頼って来て、心は解放できずにいた。
お前と一緒に演奏する時だけ、自由に心が羽ばたいた。でも、まだまだだ。
俺達は今、目覚めの時なんだと思う。離れていた心がやっと一緒になって、
互いに共鳴してる。特にお前は、ずっと眠っていたからな。今が目覚めのチャンスだよ。
そして一緒に世界に行くんだ」
 目覚めの時……。確かにそうかもしれない。私はずっと眠っていた。暗い闇の中で、
自分の本来進むべき道を見失って。
「ありがとう。幸也さんって、やっぱり凄い人。ずっと憧れ続けてきて、ずっと
そばにいたかったけど、無理だって諦めてた。でも私、もう諦めない。一緒に行くから」
「ああ。一緒に行こう」
 もうブレない。動揺しない。この愛を信じて、自分の音楽を追求していく。
 本選のオケリハが始まった。二日目の夕方に渡良瀬と真田と共に会場へ入った。
「はじめまして。原道隆です。頑張りましょう」
「はい。よろしくお願いします」
 原は五十年配の、今が盛りの指揮者だ。世界の有名なオーケストラでも指揮を
とっている。エネルギッシュで尚且つ華麗なパフォーマンスが人気を博していた。
作る音も素晴らしい。
「あれ?真田君じゃないの?」
「どうも。お久しぶりです」
 二人は握手を交わした。
「渡良瀬さんも、お久しぶりですね。えーっと、先生の生徒さんなのかな?」
「ええ、ご無沙汰してます。私の愛弟子ですの。色々事情があって、今更の
コンクールなんですけど、自慢の生徒なので、よろしくお願いしますね」
「そうでしたか。それは楽しみだ。それで、真田君は?……あー、もしかして、
君の伴奏者だった人かな?去年の国芸の学内コンサートで評判だった……。
僕はあの時はボストンにいたから行けなかったけれど」
「そうなんです。ただの伴奏者でいさせるには勿体ない人なので、今回、
ピアニストとして自立する為にも、このコンクールに挑戦してもらってるんです」
「ふむ、ふむ。なるほどね。でも、それだけじゃないね?こうして付き添って
くるって事は……」
 原は冷やかすようにニヤニヤと笑った。
「ご想像にお任せします」
 真田はにこやかに微笑んで、原の言葉をかわした。芹歌は二人のやりとりに頬が染まる。
「そうかい。まぁ、いいでしょう。今後が楽しみだ。じゃぁ、やりましょうか」
 指揮者と聞くと神経質な人を連想しがちだが、原は陽気で朗らかで親しみやすかった。
「貰った録音で、オケの方の音は大体できてるから、安心して弾くといいよ」
 そう言われて、少し緊張がほぐれた。
「落ち着いて」
 真田が軽く芹歌の肩に手を置いた。芹歌は頷く。


««

Menu

 プロフィール

narinari

Author:narinari
nariです♪

福山雅治の大ファン!
堺雅人も好きです。

趣味は読書、ピアノ、手芸、ゲーム他。
東京都在住、既婚子供あり。

よろしくお願いします。

 最新記事

 最新トラックバック

 カテゴリ

 アクセスランキング

[ジャンルランキング]
小説・文学
972位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
オリジナル小説
184位
アクセスランキングを見る>>

 FC2カウンター

 フリーエリア

 検索フォーム

 QRコード

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。