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Book レビュー


百田 尚樹 「永遠の0」

2011.12.12  *Edit 


感動して泣きました。

途中からもう、涙出っぱなし。

戦争のお話しです。

4年連続で司法試験に敗れ、人生の目標を失いかけている

26歳の佐伯健太郎は、フリーライターの姉・慶子と共に

自分が生まれる30年も前に亡くなった祖父の事を調べる事に。

その祖父は、太平洋戦争で特攻隊として亡くなっていたが、

戦後再婚した祖母からは、亡くなった祖父については全く

知らされていなかった為、現在の祖父と血の繋がりが無いと

言う事を全く知らずにいたのだった。

戦後60年も経ち、当時の生存者も少なくなってきている中、

なんとか祖父を知っている人達を探しだし、次々と祖父についての

話しを聞いていく。

パイロットとしての腕は天才との評判がありながら、

誰より死ぬ事を恐れ、一方で「臆病者」と謗られていた祖父。

そんな祖父でありながら、何故最後は特攻隊員として死んだのか。

祖父は一体、どんな人間だったのか。


生き残った元航空隊員達の話しは、胸を打ちます。

戦後、特攻隊に対しての評は毀誉褒貶と様々。

そんな中で生き残った者たちの、無念な胸の内も哀しくて。

「特攻隊員はテロリスト」と決めつけるジャーナリストの

存在との対比は、戦後の上っ面だけの情報のみで

決め付け傾向にある現代人との対比でもあるようでした。

私の場合、祖父母は戦争体験者で、飽きるほど当時の話しを

聞かされてきている事もあり、彼らの苦しみは僅かながらも

察せられましたが、それでもウチのは戦場で戦った経験の

無い者達だけに、南太平洋で繰り広げられた命を削る戦いと、

死んでいかなければならなかった者達の思いは、計りしれない程

の深いものだったろうと、想像するしかなく。


語り部のそれぞれの戦場での修羅場との戦いと思いを

聞きながら、主人公たちの祖父の姿も少しずつ明確に

なってゆき、その人間像を知れば知る程、哀しくて切なくて、

もう、読みながら泣いてばかり。

泣けちゃうんですよ、自然に。

そして、戦争の実態を知れば知る程、怒りが湧いてきました。

大本営や参謀本部は、兵士を馬以下と思って扱ってた。

赤紙1枚で幾らでも徴兵できると、人命を軽んじてた。

そして、現在の官僚の姿のまま、キャリアとノンキャリアで

階級が厳格化され、脳無しの指揮官の元で、有能な人間達が

数えきれないほど犠牲になってて。

この官僚構造は、日本の古来からの土壌がそのまま連綿と

現在においてまで続いている悪しき構造ですよね。

最後の方で、姉の慶子が

「おじいさんは戦争に殺されたんじゃなくて海軍に殺された」

と言うんですが、本当に全くその通りだと思います。

大勢の人間が、士官の出世と軍のメンツの為に無駄死にさせられ、

戦時中は戦死すると「尽忠報国の徒」と英雄扱いされ、

終戦後は逆に「戦争犯罪人」扱いされて、遺族は大変な

目に遭わされてました。

なんなんでしょうね、人々のこの掌を返したような態度の変化は。

戦争に敗れた事で、アメリカからもたらされた民主主義と、

戦前の価値観全てを否定され、それを自ら考えずに

唯々諾々と受け入れて来た日本人。

悪しきものだけでなく、尊いものまで捨てて来てしまったんだな、

と思うばかりです。

だけど、マスコミの情報を鵜呑みにして、自ら考えないのは

今も同じですね。

危険な事です。

もうすぐ、戦争体験者達がいなくなります。

実際に戦われた方々は、もう殆どいないんじゃないのかな。

著者が多くの元パイロット達を取材して書かれた、この小説、

もっと多くの人に読まれるべきだと思います。

文体は難しくなくて読みやすいです。

哀しくはありますが、何て言うか、心が洗われる作品です。

文庫本の解説は、故・児玉清氏。

お勧めです。



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~ Comment ~

Re: NoTitle>秋沙様 

秋沙さん♪

戦争モノは手を出さないっていうの、分かります。
私も基本は同じです。辛すぎて。
だから戦争系の映画もあまり見ませんし。
ただ、実録は見たりしてるんですよね。

今回のお話は、あまり悲惨さは感じられないです。
それよりも、国家の前での個人の存在や意志、
戦う事への思い、そして何故戦うのか、
色んな想いが伝わってきます。
悲しい話で涙涙であるにも関わらず、読了感は良いのです。
とても考えさせられる小説だと思います。

あまり構えずに、ゆったりと読んでみてはどうでしょう。
秋沙さんには是非読んで貰いたいなぁ。
凄くいいですから^^

NoTitle 

まだ「永遠の0」は読んでいないのですが・・・。

と言うか、戦争モノはよっぽどのことがないと手を出せないんです、辛すぎて・・・。

でも、本当は、読まなくちゃいけないんですよね。

戦争という記録自体は、映像などで残していけるけれど、やはり、それを経験した人たち・・・それも、名も無き一人ひとりの徴兵されていった人たち・・・そういう人の「生の声」が、もっともっと遺されていくべきなんではないかと思ってしまいます。

特攻の生き残り、捕虜の生き残り、そういう人たちは、自分を恥じて、本当の事を話してくれないまま亡くなってしまっている事のほうが多いそうですね。
まだご存命の方たちが、やっと思い口を開き始めてくれている今だからこそ、なんとかそういう記録を残していって欲しいです。
いや、残して行かないと・・・と妙な焦りまで感じてしまいます。

Re: お久しぶりです。>千菊丸 

千菊丸さん♪

お久しぶりです(^^)

千菊丸さんも読まれたんですね。
この小説は涙なくして語れませんね。
とは言っても、登場人物が語っていたように、
言葉で表現しきれない思いと言うものが確かにあって、
その複雑な思いを、色んな人の語りから読み手側が
感じ推察するしかない話でもありましたね。

戦場での惨劇は、想像を絶するものだと思います。
極限状態の中にあった兵士たちの心の内は
現代の平和に馴れきった私たちには理解しがたい
部分もあるんでしょうが、想像する事はできます。

人の命を軽んじる風土土壌、精神土壌……。
何だかんだ言っても、いまだに精神論で語られる事の
多い国家の風潮。

過去をしっかり見つめ、過去から学び、
本当の民主国家を築いて行く為にも、過去の戦争を
忘れてはいけないと思います。

お久しぶりです。 

わたしも読みました「永遠の0」。

戦場を戦い抜いた兵士たちに対する理不尽な扱い、戦争の愚かしさに怒りを感じるとともに、家族の元に帰るという思いを抱きながら戦った一人の男の生きざまに涙しました。

戦争体験者の方が高齢化し、戦後生まれの親が増え、平成生まれの親が増える中、戦争の狂気などがわからぬ世の中になるのではないかと。

わたしが10歳の時に病で他界した母方の祖父も戦争体験者でしたが、生前戦争の事は話してくれませんでした。

それだけ、戦争の事は本人には思い出すのも辛いことだったのかなと、今になって解りましたが・・

読者の胸を打つこの小説、わたし達のような若い世代に読んでほしいなと思います。

小説で戦争の事などを書きますが、じかに体験していないので想像でしか書けません。

「永遠の0」にであえてよかったです。
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