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Book レビュー


秋山香乃 「密偵」

2011.08.03  *Edit 

明治の御代になってから、約20年。

文明開化の裏で、農村部の人間が重税と飢餓で苦しみ、何十万人もの餓死者が。

政治家や官僚が欲しいままに国を操り、国民の多くが徳川の時代よりも

惨めな生活を送る現状を憂えて起こった自由民権運動。

その、自由民権運動側の密偵と、運動家たちを弾圧する官側の密偵の、

手に汗握る攻防を描いた物語……。

主な舞台は北海道の空知集治監と樺戸集治監。

重罪を犯した犯罪者と一緒に、自由民権運動の運動家がここへ

次々に収監され、極寒で未開の土地の開拓作業に従事させられていた。

ここに、それぞれ囚人と看守として官側の密偵が送り込まれる。

目的は、維新前夜、前天皇である孝明天皇の死に纏わる秘密の

証拠の品の在りかを探る事。そして、同じ目的を持った民権側の密偵が、

その身分を偽って官側の密偵となっている。

情報が洩れてる事に、裏切り者の存在を探しながら、証拠の品の在りかも

探す指名を帯びた、官側の密偵、桐生征二。


いや~、とても面白かったです。

桐生は元桑名藩士。

桑名は藩主が会津藩主、松平容保の弟だった事もあり、

維新時は幕府側。そのせいで、辛酸をなめてきたわけなのですが、

今は生きる為、そして母と義姉の生活を守る為に、危険な官の密偵

と言う仕事を家族に内緒でやっているのです。

いつ死ぬともしれない仕事。

物語の舞台の中心が集治監の中で、しかも囚人と言う立場なので、

労働をし、看守の暴力を受けながらも仕事を達成せねばならず、

また、誰かが裏切り者なわけなので、危険と背中合わせの日々。

一人、また一人と仲間が死んで、次は自分?との恐怖とも

戦いながらのストーリー展開には、どきどきハラハラ。

楽しいのは、桐生の上司が藤田五郎こと、元新撰組三番隊長の

斎藤一さん、なんですよね。警部をしてます。

そして、樺戸集治監の中には、剣術師範として、永倉新八が。

おまけに、京都では、昔新撰組が一時屯所として使っていた

西本願寺で、島田魁が衛士として働いててご登場。

いやはや、懐かしい。

これは、著者の新撰組三部作や、「獅子が棲む国」の

続編って感じですね。

「獅子が棲む国」では、幕末から明治にかけての、会津藩元家老、

山川大蔵こと、山川浩の物語で、この中で、斎藤一も出てきます。

今作でも、山川浩はちょこっとだけ登場してます。

「獅子が棲む国」を呼んで、すっかりファンになったnarinariでございます。

さてその後、斎藤一が警部になった事は周知の事実ですが、

斎藤ファンとしては、その後が気になります。

今回の話しでは主人公ではありませんが、桐生の上司として、

そして、会津の密偵だった斎藤が、孝明天皇の死の真相を

探る人々の中で重大な位置にいた事など、色々な事が分かって

とても興味深かった。

孝明天皇が薩長側に毒殺された説は有名ですが、

ここでは、それを証明する証拠が存在すると言うことで、

それを得て、一挙に政府転覆を狙う自由民権運動側と、

それを阻止し、一挙に弾圧鎮静化しようという思惑の政府側との

殺るか殺られるかの、非常に緊迫した状況が描かれてます。

それと同時に、かつては辛酸をなめさせられた側にいる

斎藤や桐生が、何故政府の密偵となって働いているのか。

そして、逆に、民を憂えて運動している側の人間達の思い。

とても胸に沁みて来ます。

そして読んでて、なんだか日本って、昔から根本はちっとも

変わってないんだな、と改めて思った次第。


秋山香乃は、やっぱり幕末物を描くのが一番、向いてると言うか、

筆が生き生きしてるように感じられました。

斎藤一と永倉新八の剣での一騎打ちのシーンなんて、

もう絶妙。命と命のやり取りが、ギリギリの所で行われてる、

その緊迫した情景の描き方が上手い。

さすが、柳生新陰流居合道4段の腕の持ち主って感じ。

面白くて、一気に最後まで読んじゃいました。

この人の描く、土方歳三と斎藤一が一番カッコ良くて好きっす。

(って、主人公をさし置いた台詞っすね(^_^;))

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