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Book レビュー


村薫 「マークスの山」

2011.06.14  *Edit 


 昭和51年南アルプスで播かれた犯罪の種は16年後、
 東京で連続殺人として開花した―
 精神に〈暗い山〉を抱える殺人者マークス、元組員、高級官僚、…。
 謎の凶器で惨殺される被害者。バラバラの被害者を結ぶ糸は?
 マークスが握る秘密とは?捜査妨害の圧力に抗しながら、
 冷血の殺人者を追いつめる警視庁捜査第一課七係合田刑事らの
 活躍を圧倒的にリアルに描き切る本格的警察小説の誕生。


本書の紹介文は上記のような文句で、まぁ、妥当だとは
思うのですが、殺人ミステリー、警察ミステリーなるジャンルは
私は昔からあまり好みではなく、直木賞を受賞し、評判になった
この作品を敬遠してきたのも、こういう紹介文を読んだから、
なんですよね……捻くれてるんです、narinariは……(^_^;)

本の紹介って難しいですよね。
この紹介文や、文庫本の背表紙にある粗筋みたいなのを見て、
読もうか否かを決めてしまう事が多いので、そのせいで、
良作を随分と読まずに損をしているのかもしれません。
いえ、「かも」ではなく、損しているんでしょう。

そういう訳で、紹介して下さったlimeさん、ありがとう!
読んで良かった。
この小説、文庫版のあとがきで「ミステリーでも、
警察小説でもなく、本格小説だ」と評されてるのですが、
激しく同意です。
殺人事件を元に、警察が事件を究明するスタイルは
ミステリーや警察小説のように見えますが、実際に
描かれているのは、謎解きが主流ではなく、登場人物達の
生き方であり、内面の葛藤なんですよね。
非常に重厚で、そして、とても面白かったです。
夢中になって、一気に読んでしまいました。
なんだか、とっても切なくて……(;_;)

十歳の時にアルプスの山中で両親との無理心中から逃れて
助かった一人の精神を病んでいる少年。
彼の、無垢な人格と残酷な人格との葛藤の連続の人生と、
警察と言う権力機構の組織の中で葛藤している合田刑事の
生き様、そして、登場人物達の其々の人生が複雑に
絡み合って進んで行くのですが、全ての事象に
「山」が関係してきます。
何て言うか、全部が「山」に象徴されているような。

「山とは何だろう」
後半、合田刑事が自身に問いかけます。
色々な推測が及ぶものの、明確な答えは出ません。
其々が其々の「山」と葛藤してる。
その「山」の向こうには何があるのか。
その頂点に登った時に何が見えるのか。

描写はどの場面でも非常にリアルで、且つ写実的な
だけではなく、見る者の胸の内に迫って来るような
迫力があります。

残忍な連続殺人犯でありながら、水沢が哀れにも思われ、
また愛しくもあり、そして対する合田刑事もまた、
深い闇を抱えて葛藤している様が愛しくて。
警察小説とかだったら、大体が、犯人を捕まえる刑事の方に
感情移入して、一方的に事件を追う事に気を取られるけれど、
この作品は両者に感情移入しちゃうんですよね。

最終章、最後の最後では、泣けてきちゃいました。
真知子が入院してからの水沢自身は描かれていないので、
それから最後に至るまでの、彼の精神がどういう状況だったのか、
何を思い、何を考えて行動していたのか、知りたかったなぁ。

可哀想なマークス。
冷たくて暗い山……。
でも、最後にその精神は救われたと信じたい。

次は「神の火」、行きます♪


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~ Comment ~

Re: NoTitle>lime様 

limeさん♪

今回は、早く読めたと思います。「レディ・ジョーカー」の方が
登場人物が多く人間関係が複雑で、経済界の背景が詳細なのもあり、
さくさく読めませんでした。それに比べると、今回は合田刑事と
水沢を中心としている事もあり、読みやすかったです。

あらすじとか売り文句は編集者が書くんでしょうね。
あと、新刊だと帯ね。あの帯に騙された~って思い、
何度かしてます。曲者です、あれは。

ドラマと映画にもなってますね。
どちらも見てないんですが、ネット上で宣伝映像を見ましたが、
とても本編を見る気にはなれませんでした。
大体、どっちもキャストのイメージが違い過ぎるし、
まさに警察ミステリーの表面上のストーリーだけを
追っているって印象。
あの作品の、重たい内面の葛藤と世界観を映像で現わすのは
至難の業だと思います。
それは他の高村作品にも言えるのですが。

さて、いきますよ~「神の火」
図書館で予約して用意が整ったので、明後日木曜日に
受け取りに行きます。
楽しみですね~。
他に予約者もいないので、2週間以上借りれそうですが、
前半は猛スピード、後半は読み終えるのが惜しいって
状態になるでしょうか?

あ~、だけど、話戻りますが、加納さんは世話女房ですよねぇ。
「レディ・ジョーカー」でも、相も変わらず合田さんの
世話焼いてます。元義兄で学生時代からの友人とは言っても、
男同士で合鍵って?って、本当に不思議な関係ですよね(^m^)

NoTitle 

うわ~~!
は・・・はやい!
いや、私が遅すぎるんですね!

読み終わりましたか!「マークスの山」
私もnarinariさんに激しく同感。

これは、警察小説じゃないですよね。
あのあらすじは、誰が書くんでしょう。
「あとがき」に書かれた文章をよんで、私も「そう!そうなの!」と思いました。

この作品、ドラマにもなったんですが、ぜったい描ききれませんよね。高村先生の作品は、ドラマにしちゃ、いけません。

そして、つぎはとうとう、「神の火」ですか!

これは、私がわざと、読むのを遅らせた、「読み終わりたくない」作品でした。
どうか、じっくり、読んでください。

どきどき・・・・・・。


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