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小説・クロスステッチ第1部 <完>
第9章 染まる染まらない~第15章 許されざる者許す者


クロスステッチ 第1部第13章 流れのままに 第3回

2010.03.27  *Edit 

 「これからは、俺がこういう事で機嫌を損ねても、真剣に受け
止めずに流してくれ。どうせ、一時的な事なんだから。枝本の事と
なると心穏やかではいられないが、お前の心を疑っているわけじゃ
ない。お前の気持ちはよくわかってるつもりだ。それでも、平静で
はいられない馬鹿な俺なんだ。そんな俺を赦してくれないか・・・」
 「わかりました。私もさっさと話しを先に進めれば良かったんです。
だって、枝本君との話しって言うのは、小泉君とゆきちゃんの
事なんですから」
 理子の言葉に増山は驚いた。何故枝本と、わざわざ会って話す事
があるのかと疑問に思っていたからだった。そういう事だったのか。


 「先生。枝本君からメールを貰った時に、電話で話せないかって
返事したんですよ。でも、二人の事で立ち入った話しになるから、
できれば会って話したいって返事が戻って来たんです。最初に先生に
そう言えば良かったのかもしれませんが、余計な気わずらいをさせ
たくなかったんです。先生だって、気になっちゃうでしょ?」
 「そうか。そう聞くと、やっぱり俺って馬鹿だな。もっとしっかり
話しを聞くべきだったのに、勝手にへそ曲げて、お前に悲しい
思いをさせてしまったな」
 理子は体を起こすと、立ちあがって元の椅子へと腰を落ち着けた。
増山はベッドに座ったままだ。
 「先生・・・。あの二人は、多分、もう駄目なのかな・・・」
 理子は、枝本から聞いた話しを増山に話した。
 「どうしてなのかな。枝本君は、小泉君の気持ちもわかるって
言ってたけど、私にはわからない。女だから?」
 「うん・・・、それもあるかもな。前にも言ったが、最上は
あまりにも相手に与え過ぎてしまった。まぁ、俺も、ああいう女が
好みの癖に、今さら何を言ってるとは思うけどな。でも多分、最上は
小泉の予想以上に依存性が高かったんだろうな」
 「でも、それがゆきちゃんなんじゃ・・・」
 「だから、それじゃぁ、駄目なんだ」
 増山が強く言った。
 「儚げな所が彼女の魅力とも言える。だが、だからと言って自分を
無くして全て相手に委ねるのは、はっきりいって愚かな事だ。結果的
に、弄ばれるだけだ。勿論、小泉は、最初からそんな気は全く無かった
ろう。好きだったから付き合い始めたし、セックスもした。でも、
あまりにも相手任せってのは、無責任過ぎないか?自分の事くらいは
自分で責任を持てないようでは、他人と付き合う資格はない。甘える
のと依存するのとは違うんだ。何もかも言いなりじゃぁ、まるで人形と
変わらないじゃないか。人形と付き合っていて、楽しいか?」
 増山にそう言われて、成る程と思った。
 「最上は、もっと成長しないと駄目だな。好きだから、相手の言う
通りにしたいって気持ちもわかるが、限度ってものがある。それに、
時期も悪いし。このまま距離を置いて冷静になれば、卒業の頃には
自然と道が別れてるんじゃないかな。その方が、そんなに辛い思いを
しないで済むと思うぞ」
 矢張り、そうするしかないのか。確かに、小泉がそういう気持ちで
いる以上、どうしようもない。
 「先生。枝本君に言われたんですけど・・・」
 「何を?」
 「簡単に許す女は簡単に捨てられるって。だから、理子も
気をつけろって・・・」
 増山は笑った。
 「気をつけろも何も、もう既に、やっちゃってるじゃないか」
 増山の言葉に理子は赤面した。何て直截的な言い方をするのだろう。
 「小泉君は、ゆきちゃんとのエッチが楽しくないって。枝本君が
言うには、飽きたんだろうって。手に入れた事で興味も半減した
からだって・・・」
 「はっ!笑えるな。ガキが言いそうな事だ。まぁ、若い男は、
まず性欲ありきだからな。ただ入れて、その時だけいい気持ちに
なるだけだ。あっと言う間に終わる。セックスなんて、所詮は、
それだけの事だ。ただなすがままになってる女だったら、まぁ、
すぐに飽きるのも道理だけどな」
 増山のあけすけな言い方に、理子は何と答えたら良いかわからない。
 「あの、・・・全部知ったら興味が無くなるって枝本君が・・・」
 「それは、その通りだな。人間、恋愛に限らず、知らないから
好奇心を持って探究する。知ってしまえば、それで終わりだろう?」
 「それじゃぁ、やっぱり、いつか飽きる時がくるんでしょうか?」
 「そう簡単に考える所が子供なんだよ。まぁ、大人であっても、
そう考える人間が多いけどな。だけどな。人間って複雑だ。本当に
全てを知る事が出来ると思うか?俺からすると、知った気でいるだけ
だと思うが。要は思いこみだ。歴史を勉強して人間像を語るのに
共通したものがある」
 「そっか・・・。きっと、こういう人物に違いないと勝手に
決め付けてるって事ですね。意外性を考慮せずに」
 増山は笑った。
 「そうだ。お前にならすぐに通じると思ったよ。最上にしたって、
小泉に完全に依存している彼女だけが、彼女の全てじゃないだろう?
俺なら、もっと色んな姿を見たいと思う。その為にあれこれ試す
だろう。でもまぁ、まだ高校生の小泉には、それは無理なんだろうな。
重たいと感じるのも、まだ子供だからだし、受験の事もあって余裕が
無いからだ。大学生同士だったら、また違ったかもしれないが、
これも二人にとっては、いい経験になったんじゃないのかな。
それぞれが、これからもっといい恋愛をしていけばいいって、俺は思うが」
 矢張り、二人はこのまま別れて行く運命なのか。でも、これを
機に、ゆきにはもっといい相手といい恋愛をして欲しいと思う。
だが、暫くは辛いに違いない。初めての相手でもあるわけだし、
簡単には忘れられないだろう。
 「何を考えている?」
 急に黙り込んだ理子に、増山はそう尋ねた。
 「いえ・・・、ゆきちゃんにとっては、小泉君は初めての相手だから、
きっと辛いだろうな、と思って」
 「それは、人それぞれなんじゃないか?」
 「えっ?」
 理子は増山の言葉に驚いた。
 「初めての相手だからって、特別な思い入れをしない女だって
いると思うぞ」
 「それは、そうかもしれませんけど、ゆきちゃんは、違うと思います」
 「ふぅーん。まぁ、理子がそう思うって事は、理子がそういう
女だからなんだろうな」
 「なんで、そんな事を・・・」
 「そうだそうだ。自分の言葉に激しく同意だ。その証拠に、枝本は
理子にとって特別な存在じゃないか」
 「あのぉ・・・、一人で言って一人で納得しないで欲しいん
ですけど・・・」
 増山は理子を見て笑った。
 「お前、枝本に、俺に気をつけろって言われたんだろ?
他に何を言われた?」
 「えっ?」
 理子は、何故増山が笑っているのかがわからない。ある種、不気味だ。
 「教えてくれ。凄く知りたい」
 矢張り笑っている。知りたいと言われたら、隠してはおけない。
だが・・・。
 「言いたくない事は、無理して言わなくてもいいって、さっき
おっしゃったような・・・」
 ついまた、天の邪鬼が頭を擡(もた)げてしまった。理子のその言葉に、
 「言いたくない事なのか?」
 と、増山が睨んで言った。何故、睨む。結局、こうなんだ、
この人は。仕方なく理子は折れた。
 「あの・・・、大の大人が女子高生相手に恋愛ってのも、信じられ
ないとか、まさか、騙されてるわけじゃないよな?、とか・・・」
 その言葉に、増山は大笑いした。
 「でもって、簡単に許す女は簡単に捨てられるとか、知ったら
興味が半減するとか、そのせいでセックスが楽しくないとか飽きる
とか、枝本に色々言われて、お前、動揺したんだろ」
 笑顔でそう言う。理子は赤くなったまま、黙っていた。
 「枝本は、当然、女を知ってて、そんな事を言ったんだよな?」
 「そのようです。でも、それは小泉君の気持ちもわかる、と言う
ことで言っただけで、本人自身も同じなのかどうかは、ちょっと
わかりかねます」
 「そりゃぁまぁ、そうだろうな。どれくらい知ってるのかは
知らないが、相手にもよるしな」
 「3人みたいですよ」
 理子が俯いて言った。
 「3人?本人から聞いたのか?」
 「はい。事のついでに、って話してくれました」
 「それはそれで、お前はまたショックを受けたんじゃないのか」
 理子が顔を上げて増山を見ると、
 「心配しなくていい。俺は何とも思わないから」
 と、理子の心を察したかのように言うのだった。
 「ショックは、初めての相手を知った時にだけ、受けました。
予想はしてたんですけどね。私が片思いだった時に枝本君が付き
合っていた彼女です。二人が際どい所までいってるって話しを、
当時友人から聞いていたので、多分、最後まで行ってるんじゃ
ないかって思ってたんです。枝本君が、小泉君の気持ちに余りに
同調するので、鎌を掛けたら、見事に引っかかってくれちゃいました」
 「ふっ、なるほど。お前も案外、人が悪いなぁ・・・。
でもって、ショック受けてるんじゃ、しょうがないだろうに」
 「そうですね。思った通りだっただけなのに。やっぱり、
私にとっては、いつまでも特別な人なのかもしれません。でも、
特別なのは今の枝本君ではなくて、当時の彼です。不完全燃焼
だったのが、最大の原因かもしれません」
 「じゃぁさ。俺、ふと今思ったんだが、俺と付き合う前に枝本
と付き合って、完全に燃焼しきって終わっていたとしたら、特別な
相手ではなくなってたかな」
 「それは、わかりません。実際に経験してみないと。ただ、もし、
先生と出会う前に枝本君と再会していたら、彼と付き合っていたと
思います。実際、再会した時に、胸がときめきましたから。でも既に、
私の気持ちは先生の方に大きく傾いていて、それを何度も修正しようと
したけれど、無理でした。正直なところ、枝本君と付き合えば、先生
への気持ちは吹っ切れるんじゃないか、とまで思ったんです。でも、
できませんでした。だから、きっと、枝本君と付き合っている状態で
先生と出会っても、多分、結果は同じだったと思います。不思議です
けど、先生と出会ってしまったら、その時に誰と付き合っていようと、
心は先生に奪われてしまうと思います。枝本君は私にとっては、多分
これから先も、特別な人であり続けると思いますけど、先生は彼以上に
特別な人なんです」
 理子の言葉を聞いて、増山の胸は熱くなった。
 「それを聞いて、とても安心したし、凄く嬉しいよ。俺にとっても、
お前は特別だ。前にも話したが、俺はこれから先も、お前しか愛せない」
 「先生・・・。でも・・・」
 「馬鹿だな。俺がお前に飽きるわけがないだろう。お前ほど、
意外性の宝庫な女はいないぞ。どう転がしたって、最上とは全く
違うタイプだ。泣いたり笑ったり怒ったりポーカーフェイスだったり、
変化が激しくて捉えどころが無い」
 「そんなんで、疲れませんか?」
 「たまには、疲れる時もあるな。あまりに天の邪鬼なんで。でも、
それが楽しくもある。聞きわけの良過ぎる女はつまらない。
多少手ごたえがないと」
 「じゃぁ、エッチの方は・・・」
 「心配性のお姫様。小泉達は、兎に角出したい方が強いのさ。
相手が経験豊富な女だったら、手ほどきを受けてセックスももっと
楽しくなるだろうが、相手も同じように経験が無いわけだし、
楽しく無くなるのも仕方ない。何も知らないんだからな。
女を楽しむ方法を」
 増山にそう言われて、理子は赤くなる。
 「相変わらず、ウブだな、お前は。あいつらはまだ、愛よりも
出したい気持ちの方が強いんだ。俺とは違うぞ、根本的に。俺は
お前を抱いて、はっきり悟った。まず、初めに愛有りきだ。愛の
無いセックスの時は、ただの肉の交わりに過ぎなかった。それこそ、
やったら終わりだ。気持ち良くなる、その一瞬の為に全てがあると
言っても過言じゃない。だが、お前とは違う。愛しているから、
抱きたい、交わりたいと強く思う。出す事が目的じゃない。愛を
確かめ合う事が目的だ。愛する女を抱いている、そう思うだけで、
体が熱くなるし、心が高まる。あいつらには、そういう思いが
欠けてるのさ。女は基本的には受け身だろう。ましてや、経験の
無い女なら当たり前だ。任せっきり、されるがままで当然だ。
そういう女を快楽へと導いてやるのが男の使命だ。好きなら尚更だ」
 そう言う増山の眼差しが熱かった。増山の話しを聞いているだけで、
心も体も震えてくる。
 「だから、安心しろ。お前は、何も心配する事は無いんだ。感情の
行き違いは、これからもあるだろうが、お前への愛は、多分一生、
止められないだろうから」
 「先生・・・」
 理子は切なげに、増山を見た。その表情に増山はドキリとした。
 「どうした?」
 「先生の所に、行ってもいいですか?」
 か細い声で、理子はそう言った。そんな理子に増山は笑顔で答えた。
 「何を遠慮している。いちいち断らなくても、来たかったら来ればいい」
 増山の言葉に理子は立ちあがると、増山の膝の上へ座り、首に
両手を回して、抱きついてきた。増山は驚きながらも、そんな理子の
体を抱きしめた。
 「先生・・・、重くないですか?」
 「大丈夫。心地良い重さだ」
 二人とも、火照っていて熱かった。このまま押し倒したら、理子は
どうするだろう・・・。多分、受け入れてくれるだろう。だが、
連休中はもうしないと約束している。体は既に反応している。欲しく
てたまらない。だが、時には我慢も肝要だと思う。
 「理子・・・、キスしても、いいか?」
 増山の吐息が首筋にかかり、理子は感じた。抱きしめていていた
腕を緩め、増山の顔を見る。瞳の中に熱い火が揺れているのを感じた。
理子は躊躇いがちに、自分から唇を近付けた。磁石に引き寄せられでも
するように、増山の唇が吸いついてきた。とても官能的なキスだった。
始めは静かに啄ばむように、やがて、貪るような激しいものへと変わっていった。
 二人とも、心も体も高まっているのを感じた。抱きたい、抱かれたい。
互いに、その思いに駆られていた。そして、互いに、踏みとどまろうと
しているのだった。
 増山は、キスをしながら、理子を背後のベッドへと押し倒した。理子は、
このまま抱かれるのだろうと思ったが、増山は押し倒しはしたものの、
キスをするだけで、一向に理子の体には触れて来なかった。増山は唇を
離し、理子の前髪を右手で上げると、むき出しになった額に自分の額を
くっ付けた。鼻と鼻がぶつかる。吐息が唇にかかる。それだけでも、
ドキドキした。
 増山が自分を欲しがっている事が、全身から伝わってくる気がした。
なのに、求めてはこない。約束を守るために我慢しているのだろうか。
 「先生・・・、遠慮しなくてもいいんですよ?」
 理子が震える声でそう言った。その言葉に、増山は頭を振った。
 「約束したからな。守らないと・・・」
 とても、切なそうだ。
 「ごめんなさい。私が先生を煽ってしまったのかな」
 そう言う理子に、増山は優しく口づけた。
 「それは、あるかもな。あんな風に、お前が俺に抱きついてくるなんて、
滅多にないし。・・・それに、その前に俺を見た時のお前の表情が
凄く色っぽかった・・・」
 「だって・・・、先生の話しを聞いてたら、凄く悩ましい気持ちに
なってきちゃって・・・。先生に抱きつきたくなっちゃったんだもの」
 再び、唇が重なった。甘い吐息と共に唾液も流れて来た。理子は
それを受け入れた。
 「平気なのか?」
 増山が問う。
 「何がですか?」
 理子は問い返した。
 「お前、呑み込んだだろ。もう、何度もだが、俺が流し入れると
お前は素直に呑み込む。最初からそうだった。嫌じゃないのか?」
 何を今さら訊いてくるのだろう、と理子は不思議に思った。最初の
時っていつだったか。舌が入って来たのは、初めてのセックスの
時だったような気がするが、唾液が流れ込んで来たのは何時だったか
思い出せなかった。最初は驚いたが、嫌だと思った事は無かった。
 「入ってきたら、呑み込むしかないじゃないですか。吐き出して
欲しいんですか?」
 「どうして、そういう事を言うのかなぁ・・・」
 「天の邪鬼だからです」
 理子は笑った。この会話のお陰で少しクールダウンできたような
気がする。

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