ChaoS

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

小説・散 華
1.夢の通い路 壱 1~30


散 華  1.夢の通い路 13

2011.03.08  *Edit 

「文緒。これは僕の所感だし、あくまでも印象だ。それに、
今の段階では、はっきりした事は言えないんだ。これから、
どう筋肉や関節が成長し、それがどう働くのか、それによって
病名も変わって来る。成長が遅いだけという事も無いわけじゃない。
ただ全体的に大人しいのも少し気にはなるんだ。首座りは
脳の発達にも影響する。それが遅かったと言うことは、
脳の発達にも遅れが見られる可能性も捨てきれない。
一歳半になっても、あまり顕著な発達が見られなかったら、
専門医の診察を仰いだ方がいい」
 兄の言葉の全てが文緒の胸に突き刺さった。
 血の繋がった自分の子供ではない。
 だが、乳をやり、毎日世話をしているうちに情はすっかり
移ってしまっている。ただひたすらに、文緒の乳を吸い、
文緒を求めるその姿を愛しく思わない訳が無い。
 心配していた首座りも完成し、愛らしい笑顔を向けて
くるようになってからは、愛しさもひとしおだ。
「お兄様……。その運動失調って言うのは、病気なの?
それとも障碍?」
 心配そうに問う文緒に、綱紀は微かに笑った。だがその笑みは
苦渋に満ちたものだった。
「どちらだと、はっきりとは言い難いが、進行性の病気で
無い事は確かだ。機能に問題があるケェスが多いから、
障碍の区分に入ると思う。ただ軽い場合は、日々の訓練で
通常と変わらない程度まで回復する可能性は大いにある」
「回復……、するの?」
「百パーセントとは言えないが、軽い場合は常人と区別が
つかない程まで良くなっている場合が少なくない。
だがあくまで軽い場合だ」
 文緒は樹を見た。いつの間にか眠ってしまったようだ。
その寝顔を見て思う。果たしてこの子はどうなのか?
軽いのだろうか。それとも重いのだろうか。
「文緒……。落胆するにはまだ早い。まだそうと決まった
訳じゃないんだ」
「お兄様……」
 文緒は顔を上げた。自分の頬に涙が伝うのを感じた。
「お兄様……。私、どうしたらいいんでしょう」
 この子を育てる役目を負った以上、立派に育ててやらなければ
ならない。だが、そんな義務的な使命めいたものより何より、
ただ純粋にこの子の健やかな成長を願うのだった。
 文緒の心を汲みとったように綱紀は優しく微笑んだ。
「まずは、たっぷり愛情を注いでやる事だ。もう既に
そうしているようだけどな。あとは、筋肉や関節の発達を促す
運動を毎日してやるといい。詳細は後日手紙にしたためるが、
簡単にできるものを今教えてやろう」
 綱紀はそう言うと、幸也を呼んだ。だが幸也は、遊びに
夢中で来ようとしない。そんな息子に文緒が声をかけると、
不満げながらやってきた。
 綱紀は幸也を寝そべらせると、その足を持って、そっと
上げ下げしたり、膝を軽く屈伸させたり、色々な方向へ
曲げたり腰を軽く捻ったりなどした。最初は訳が分からず
怪訝そうな顔をしていた幸也だったが、次第に楽しくなって
きたのか、キャッキャッと笑いだした。
「ゆっくりした動作で、無理はしない事だ。手も同じように、
軽く色んな動きをさせるといい。あとは栄養面だが、離乳も
遅れてるみたいだな。母乳だけではこれからは栄養が足りなく
なるから、離乳を急いだ方がいいかもしれない」
 そう言われて、文緒は少しだけ気持ちが重たくなるのを
感じた。吸いついてなかなか離れようとしない樹の離乳が
スムーズにいくかどうか不安だった。
「まぁ、離乳に関しては慌てなくてもいいさ。ゆっくり
取り組むと言い。」
 考えてみると、幸也は全てが順調に進んで手が掛らなかったと
言ってもいいくらいだった。高熱を出した事すらなく、
極めて健康だ。だからこそ、樹に対しては多少神経質に
なってしまっているのかもしれない。
「大丈夫。もし、何かあったとしてもお前は前向きな人間だ。
嘆き悲しむもよりも、どうしたら良くなるかを考えて行動する。
そういう所は、我が妹ながら尊敬しているんだ。それはきっと
裕也君も同じだろう」
 兄の言葉に頬が熱くなった。
 その敬愛する夫は、仕事で留守だった。
「これから、何か心配事があったら僕に相談しなさい。
できるだけ力になる。専門医も紹介するから、心配するな」
 頼もしい兄の言葉に、文緒は力を得た気がした。
 兄が言う通り、今自分がすべき事、出来る事をするしかない。
 樹の為に。
 文緒は気持ち良さそうな寝顔の樹に、顔を寄せて頬ずりをした。

スポンサーサイト



*Edit TB(0) | CO(2)

~ Comment ~

Re: NoTitle>秋沙様 

秋沙さん♪

えっ?お兄様に惚れちゃうの?
確かに素敵なお兄様ではありますが。
仕事に熱心なので、多分このまま独身でいくような
気がしてならない作者です(^_^;)

子供の成長って、何かあると不安になりますよね。
まだ、今ほど医療は発達してませんし、乳幼児の
死亡率、高い頃ですから。

壮大そうに見えて、実はたいした事ないんですけどね(^_^;)
頑張ります(^・^)v

NoTitle 

お、お兄様~~~~惚れてまうがな~~~~~(*^o^*)

あ、ごめんなさい、ふざけるような内容じゃないですね(^^;

まだこの段階ではなんとも言えない、歯がゆさがありますね。
健康優良児の幸也がいるだけに、余計にその差が気になってしまうというところでしょうか・・・。
でも、そのおかげで気付けることもありますものね・・・。

それにしても、壮大なドラマになっていく予感がどんどん膨らみます。
読んでいるこちらはわくわくしますが、narinariさんもお忙しいのにきっと大変ですね。
無理はせずに続けてくださいませ~。楽しみにしてます~。
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。