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小説・クロスステッチ第1部 <完>
第1章 花が咲く~第8章 刻印


クロスステッチ 第1部第1章花が咲く 第4回

2010.02.17  *Edit 

 そして、耕作の周りに集まってきた、他の歴史好きな男子とも
親しくなった。理子は昔から女子よりも男子の友人の方が多かった。
興味の対象が男子の好きそうなものばかりと言うのもあるかもしれない。
歴史は勿論の事、社会科全般、科学、ロック、メカ、乗り物、プラモデル、
そんなものが好きなのである。性格が少し男っぽいと自分で思う時もある。
その癖、女性らしいものも好きで、ピアノを弾き、ハーブやアロマテラピー
が好きで、手芸、特に編み物と刺繍が得意で料理も得意だった。好奇心が
旺盛なので、自然多趣味となってしまった。
 苦手な話題は、美容やコスメ、アイドルや芸能人、ドラマの話、それに人の
噂話だった。だからなのか、年齢を経るに従って、女子の話題についていけなく
なっていった。話が合わない。感覚が合わないので、一緒にいても楽しくない。
好きな歌手と言っても、J-POPの一部と洋楽しか聴かない理子は女子とは
合わないのだった。矢張り合うのは男子だった。だから、男に生まれてくれば
良かったなぁ、と思う事度々である。

 「去年の永島の世界史、あれは面白く無かったよな」
 耕介の周りに集まってきた歴史好き男子の一人、茂木一彦が言った。
 「あー、あれは自分のペースでひたすら進めてくタイプだったよな。
あんなつまんない授業は無かったぜ」
 1年生の時の社会科は世界史だったのだが、その担当が永島と言う、
40歳前後のずんぐりむっくりした男性教諭だった。永島は生徒の反応に
関わりなく、その日、自分が決めた内容をきっちりこなす事しか頭にない、
といったタイプの教師だった。


 「世界史は範囲が広いから、どうしたって広く浅くなっちゃうのは
仕方ないけど、あれはなぁ」
 「理子はどう思った?」
 と、耕介が問いかけてきた。
 既に仲間内では「理子」と呼ばれている。苗字よりも呼びやすいし、
親しい者たちが「理子、理子」と言っているので、周囲もなんとなく
自然にうつってしまうようである。
 「そうねぇ。あの先生に面白い授業を期待するのが無理だと思ったかな。
結局のところ、性格もあるでしょ。そもそも歴史の授業なんて面白くない
方が多いし、あたしにとっては、自分で勉強した事の復習に過ぎないかなぁ。
あの先生は大事な所を総括してやってるって思ったから、そういう観点
からは参考になったけど」
 「おおぉ~、さすがだなー」
 と、男子一同感嘆した。
 「だけど、今年の日本史は違うよな」
 「そうだよな。深いよ、なかなか。イケメンの軽いヤツだと
思ってたけど、さすが東大、中身は違うな」
 増山の事である。
 「そもそも、ああいうタイプが歴史好きってのが、驚くよな」
 全くだ。どう見たって芸能人をやっている方が似合っている。
既に、朝霧高校のスターである。メジャーデビューしても一躍スターに
なること間違いなしと言った感じだ。
 「じゃぁ、どんなタイプなら驚かないわけ?」
 理子は興味を持ったので訊いてみた。
 「うーん。・・・わかんねーな。まぁ、少なくとも、増山タイプは
違うってとこか」
 「人を見た目で決めつけちゃいけないんじゃない?」
 ありきたりだが増山を見れば、人は見た目だけでは判断できないと
思うだろう。それに、ここにいる連中だって、見た目ではみんな同じような
タイプとは言えないではないか。
 茂木などは、まずまずのルックスだ。ちょっと磨けばイイ線いくのでは
ないか。耕介は見た目通りの変わり者なので、オタクタイプと言えるかも
しれないが。小柄で童顔の小泉徹もなかなかイケていて、歴史オタクと
言った感じではない。他のメンバーもみんなそうだ。
 「まぁなー。増山なんて、あんなにイケメンで女子にモテモテなのに、
結構、堅物みたいだしな」
 増山はモテる男だが、何故か硬派のようで、女生徒に愛想を振りまく
どころか笑顔も見せない。前年度まで人気のあった朝田や佐々木は、
特別に愛想を振りまきはしないが、笑顔で接しているし、態度も優しい。
笑顔で呼びかければ笑顔を返す。だが、増山にはそれが無かった。
呼びかけられると、「なんだ?」と言わんばかりの顔を向ける。
用事が無いなら呼びかけるな、と無言で訴えているような雰囲気を出している。
 「あいつさ。女子達からのプレゼント、全く受け付けないらしいぜ」
 「へぇ~。凄いなぁ。俺なら喜んでみんな貰っちゃうのに」
 その事は既に女子の間で大きな噂になっているので、理子の耳にも
入ってきていた。
 誕生日でも何でもないのに、女子達は手作りのお菓子などを持って
増山の所へ持って行ったが、「受け取る理由がない」と言って、断られた。
そこで女子達は、増山の机の上へ置いて帰るのだが、そうすると増山は、
周囲の先生達にあげてしまうらしい。
 「身長、体重、誕生日、星座、血液型とか、質問されても一切
答えないんだってな」
 そんなわけなので、増山のパーソナルデータを知る者は、一人も
いないのだった。
 「俺、そういう所、好きだなー。勿体無いとは思うけど、やっぱり
同じ男としては、モテるのを鼻にかけてるような奴は好かんしな」
 と、耕介が言った。その目は茂木を見ている。
 茂木は男子の中では比較的人気のある方だった。
 「俺、全然、鼻になんてかけてないぜー。そもそも、そんなにモテないし」
 と、耕介の視線を受けて茂木が言った。
 「ウソつけ、お前―、結構、モテてるじゃんか!」
 耕介が強く言った。結局のところ、やっかんでいるのかもしれない。

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