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小説・クロスステッチ第2部 <完>
14.母と娘 ~ 17.衝 撃


クロスステッチ 第二部 14.母と娘 05

2010.11.02  *Edit 

 理子は雅春を送り出した後、家事を義母に任せて自室へ入った。
まだ体が熱い。恥ずかしくて義母の顔をまともに見れなかった。
 ゆったりした姿勢で椅子に座ると、二人の秘事を反芻した。
思い出すだけで体が顔が火照って来る。なんてエッチな人なんだろう。
でも、その行為を歓び求めている自分を感じる理子だった。
 初めての時は怖かった。そして、とても恥ずかしかった。
あの先生に全てを許す事に大きな抵抗を感じていた。見つめられる
だけでも、消え入りたい程恥ずかしくなってくるのに、そんな人の
口づけを受け、その大きな手と長い指で触れられて、心臓が
壊れるんじゃないかと思う程の感情の高まりを感じた。
 それなのに、あの人はとても執拗だった。とても執拗で濃厚で、
自分がどうにかなってしまうのではないかとの畏れがあった。
 だがそれも、徐々に変わって来た。今でもとても恥ずかしい。
見つめられただけでドキドキしてくる。エッチな人だから、
いつも恥ずかしい格好を強い、じっと見つめる。執拗に理子の体を
様々な趣向で愛撫する。そして理子の体はそれらに敏感に反応する。
気持ちが良くて、もっとやって欲しい。そんな気持ちが
生じるようになって、その欲求が日増しに高まるのを感じた。
 そんな時に妊娠し、流産したのだった。
 快楽を求めるようになった自分を恥じた。その為にしっかり
避妊しない自分を責めた。そして、一緒にいたら絶対に拒めないと、
最愛の人から離れた。
 馬鹿だったと思う。愛し合える歓びを放棄して、幸せになれる
わけがない。愛する人を拒む事で、自分だけでなく愛する人まで
苦しめ、傷つけてしまった。
 三カ月ぶりの交わりだと言うのに、既に理子はこの三日の間に
快楽の中に完全に引き込まれてしまった。あの人の愛撫を受け、
あの人の熱いものをこの身に受け入れたい。あの人に愛されたい。
身も心も。強い願望になってしまっている。もう本当に、
あの人無しでは生きられない。そう思うのだった。
 何とか体の火照りが静まり、理子は志水にメールを打った。

  “無事に退院しましたが、
   大事をとって、もう2,3日
   休みます。良かったらノート
   を持ってきて貰えませんか?“

 雅春がいいと言ったのだから良いだろう、と思った。それとも
愛理か美香に頼んだ方が良かっただろうか。ただ、入院中に持って
きてくれた志水のノートは、非常にわかりやすく勉強しやすかった。
できれば、彼のノートが欲しい。だが彼は来るだろうか?志水の事を
思うと胸が痛む。それなのに、どうして自分は彼を呼ぶのだろう。
 時計を見ると8時だった。彼はまだ家にいるだろうか。
 携帯のベルが鳴った。手に取って見ると、志水だ。理子は胸が
少し高鳴っているのを感じた。
「もしもし・・・」
「理子かい?今メール見たんだけど・・・」
 どこか、遠慮勝ちな感じのする声だった。
「うん。もう大分いいんだけど、もう少し大事を取った方が
いいって先生が」
「先生って、どっちの先生?医者?それとも・・・」
 志水の問いに、理子は微笑んだ。
「医者じゃない方よ。ところで、今大丈夫なの?」
「うん。ちょうど家を出て駅へ向かって歩いてるところなんだ」
 月曜は1限目から授業があるので、彼が教室へ来る時間から
考えて、ちょうど今頃家を出るか否かの時間だろうと思ったが、
当たっていたようだ。
「ところで、持って来てくれってあるけど、家まで行くって
事なのかい?」
「ごめんなさい。わざわざ呼びつけるようで悪いとは思ってる」
「それは構わないんだけど、いいのかい?行っても」
 不信そうな様子が窺われる。
「実は、お姑さんが来てるの。私の為に家事の手伝いに。だから、
先生も上げても構わないって・・・」
「そっか・・・」
 志水はそう言った後、沈黙した。矢張り、図々し過ぎただろうか。
「わかった。明日、4時限目が休講なんだよ。だから、明日行くよ。
それでいいかな」
「うん。明日でいい。ごめんね、わざわざ」
「いや、いいよ。気にしないで。じゃぁ、お大事に」
 電話を切った後、理子は溜息を吐いた。やっぱり、止めて
おいた方が良かったか。ただ単にノート目的だけではない。
会って話しをしたかった。何をどう話したら良いのか分からないのに。
 志水の事に関しては、自分の心が分からない。愛しているのは
雅春だけなのに、何故志水の事を放っておけないのだろう。
自分の心の中に、志水を求めている自分がいる事を感じている。
この気持ちは何なのだろう。どこから来ているのだろう。
 ただ言える事は、志水がいなくても生きていけるが、雅春が
いなかったら生きていけない。それだけははっきりしていた。
 ドアをノックする音が聞こえた。時計に素早く目をやると
10時だった。理子が返事をすると、博子がドアを開けて顔を出した。
「理子ちゃん。お茶にしない?」
 優しい笑顔にホッとする。
 義母に従ってリビングに入ると、紅茶の支度がしてあった。
ホットケーキがそばにあったので驚いた。
「お菓子、無かったから作ってみたわ」
 そうだ。まだ退院したばかりだから、市販の物は無かった。
「すみません。わざわざ」
 恐縮する理子に博子は笑った。
「いいのよ。気にしないで。久しぶりに焼いてみたから、
美味しいかどうか自信がないけど、どうぞ召し上がれ」
 手作りのホットケーキなんて久しぶりだ。小さい時は、
時々母が作ってくれた。貧乏だったからだ。その頃は逆に市販の
お菓子に憧れたものだった。
「美味しい・・・」
 理子はひと口食べてそう言った。ふわふわしていて、とても
美味しかった。紅茶も香りが良くてホットケーキとよく合った。
朝から交わったからか、お腹が空いていた。自分以外の人に
作って貰った美味しいホットケーキに、理子の心は温まる。
作ってくれたのは最愛の人のお母さんだ。
 視線を感じて目をやると、博子が優しい目をして理子を見ていた。
途端に理子は恥ずかしくなり、食べるペースを緩めた。お腹が
空いて夢中になって食べていたのだ。
「マーと、仲直りしたの?」
 博子の問いかけに、理子は真っ赤になった。矢張り、
お義母さんにもわかってしまったのか。弁当を持って雅春の
自室に入ったきり、30分も出て来なかったのだから、そこで
何をしていたのか察したに違いない。
「仲直りって言うか、その・・・」
 何と答えたら良いのか分からない。
「あの子は、凄くあなたの体を心配してたわ」
 博子の言葉に、理子は顔を上げた。
「ねぇ、理子ちゃん。本当にもっと甘えてくれていいのよ。
あなたはちょっと頑張り過ぎじゃないの?」
「お義母さん・・・」
 博子は真剣な顔をしていた。
「昨日、お父さんが言った事。全部本当の事なのよ。
『出て行け』とは言われなかったけど・・・」
「昨日の?」
 理子はすぐには思い出せなかった。
「あなたが入院したのに、京都から帰って来なかった事よ。
本当に責められたの」
「そんな・・・。それはもう、済んだ事ですし、本当に
大した事じゃなかったんだし」
 理子は驚いた。まさか、またそんな話しを言いだされるとは
思っていなかった。
「向こうで、ゆっくり話さない?」
 食べ終わった理子に、博子はソファの方へ誘った。
だが理子は首を振った。
「お義母さん。その件に関しては、終わった事です。だから・・・」
 博子は理子の肩の上にそっと手を置いて、「私は話したいの。
あなたともっと」と言った。真剣に言う博子の顔を見て、
理子は立ち上がり、共にソファへ移動した。
「本当に、理子ちゃんには済まない事をしたって、思ってるの」
 博子は理子の手を取って、そう言った。
「だから、それは・・・」
 と言う理子の言葉を遮るように博子が言う。
「申し訳無いと思っているのは、入院中に帰って来れなかった
事だけじゃないのよ。この三カ月間、あなたを放っておいた事も
含めてなの」
博子の言葉に、理子は口を噤んだ。何と言葉を返したら
良いのかわからない。
「二人が別居した事情は、マーから聞いたわ。本当に驚いた。
マーには、二人の問題だから何も言わないでくれって言われたのも
あって、暫く様子を見る事にしたのよ」
 博子は、二人が別居していた間の事を語りだした。

 梅雨が明けて間もない蒸し暑い日、雅春は大きなボストンバッグを
持って増山家へ一人でやってきた。眉間に縦皺を寄せ、目の下に
クマを作り、憔悴していた。
「一体どうしたの?」
 驚いている母に、「暫く理子と別居する」との答えが返ってきて、
博子は仰天した。
「何言ってるの?一体どうしたって言うの。喧嘩でもしたの?」
 博子は慌てて、家の中へ入る息子を追いかけた。そんな博子を
無視するように、雅春は階段を駆け上がって、元の自分の部屋へと
入ると、ドアを思いきり閉めたのだった。物凄い音がして、
リビングにいた紫が驚いて出て来た。
「どうしたの?」
 不思議そうな顔をしている。博子にも一体何が何だか分からない。
「それが、物凄い形相をしたマーが『理子と別居する』って
言って・・・」と階上を見上げた。博子の言葉に紫も
「なんですって?」と驚いている。
 紫は階段を駆け上ると、弟の部屋のドアをノックした。
だが返事が返って来ない。
「ちょっとマー!一体どうしたのよ?どういう事なの?」
 大声で呼びかけるが、中から何の返事もなかった。
 二人が別居するなんて、信じられない事だ。互いに互いを強く
必要としていた。全身全霊で愛し合っていた筈だ。それが何故・・・。
 博子はすぐに、流産の事に思いが及んだ。あれが原因か。
だがあれは仕方の無かった事だ。誰の責任でもない。それなのに
理子は、まだ自分の責任と言う思いから抜けれずにいるのか?
その為に雅春と別居する事を選んだのか。
 その晩、雅春は夕食が済んだ後に家族の前で事情を話した。
「あたしには、よく分からないわ」と紫が言った。それには
博子も同感だった。
「俺だって、よくわからない。俺とセックスしたくないから
別れたいだなんて」
 息子は憮然としていた。


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