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小説・クロスステッチ第2部 <完>
10.混 沌 ~ 13.愛 欲


クロスステッチ 第二部 13.愛 欲 02

2010.10.24  *Edit 

「俺は、女の裸は見慣れてるから。元々な、学生時代から、女の裸を
見たくらいじゃ、欲情しないんだ。なんせ、数多くの女を抱いた。
俺は自ら女の服を脱がさない。面倒くさいから、自分で脱いで貰う。
服を脱がしたのは、君が初めてだよ」
 雅春は真っすぐに理子を見つめた。理子は真っ赤になって、
恥ずかしそうな顔になった。
「そして、彼女の服も俺が脱がした」
 その言葉に、赤かった頬は白くなった。
「どんな服を着ていたのか覚えて無いんだが、多分、ワンピース
だったかな。…脱がせたのは上半身だけだ」
「それで・・・」
 理子の声が心なしか震えているように感じた。
「青白い肌をしていたな。華奢な肩に薄い胸。乳房は小さい方だ。
形は別にこれと言った特徴も無いと言うか、まぁ、ありふれた
痩せた女の身体って感じだったよ」
 雅春は無表情にそう言った。
「先生は、豊満なタイプの方が好きなんですか?」
 理子の表情がまた真面目な顔つきに戻っていた。
「君は一体、何が訊きたいのかな。君の真意がどこにあるのか
わからないが、俺には好みなんて無いんだ。沢山の女を抱いて、
それだけ多くの体つきを見て抱いてきた訳だけど、豊満であろうが、
華奢であろうが、あまり関係ない。ただ、朝霧へ赴任してからの俺は、
望が豊満で助かったけどな」
「それは、どうしてですか?」
「獣になりたかったからさ。ただひたすらに、女の身体を貪り
たかったんだ。それに没頭し、全てを忘れたかった。君の事もね」
 理子は、目を見開いて雅春を見つめた。
「何て言っても、君は生徒なわけだし。そもそも俺は、恋らしい
ものをした事も無かったし。だから、君の事を気にしている自分が
理解できなかった。理子は子供なんだ。女じゃないんだ、と何度
自分に言い聞かせたか分からない。女生徒どもは煩く纏わり
ついてくるし、クラスやブラバンでの生徒達との深い関わりも
煩わしかったし。とにかくストレスが溜まってた。君と思うように
話せない事も、そのストレスに拍車をかけていたんだ。だから、
望には挑発的な格好を随分とさせた。俺がどんな事を望に強いたか。
君が聞いたら軽蔑するんじゃないかな。嫌悪感を抱くかもしれない」
 雅春は自嘲的になってきた。
「美鈴さんが豊満な体つきだったら、もしかして先生は・・・?」
 雅春は理子の言葉を受けて、彼女を睨みつけた。理子は、
雅春の眼に冷たい感情を見た。
「馬鹿な事を言うな。君は俺を信じていないのか?」
 冷たい目で見据えられ、理子は怯む。こんな視線を浴びたのは
初めてだ。
「確かに俺は、彼女を脱がせた。彼女の身体に触れ、彼女を
抱こうとした。だけど結局駄目だった。俺は、文化祭の振り休の時、
望の中にいる時に君の顔が突然頭に浮かんできて、その瞬間、
萎えてしまったんだ。女の中にいる時にだぞ。やってる途中で
萎えるなんて、自分でも信じられなかった。だが、それからはもう、
誰も抱けない。抱く気がしないし、全く欲情してもこない。
神山先生に対しても同じだ。どんなに魅惑的な体つきをしていたと
しても、俺は欲情しない。愛が無いからだ。俺にとっては君が
全てなんだ。だから君にしか反応しないんだ」
 雅春はそう言うと、理子から顔を背けた。
「先生、ごめんなさい・・・」
 理子は呟くように言った。雅春を傷つけてしまったのだろうか。
「こんな俺を、君が不思議に思うのはおかしくないよ。俺だって、
自分を不思議に思うんだからな。愛なんて無くたって平気で
抱けたのに、愛を知ってからは、愛無くしては抱けなくなって
しまったんだから。欲情すらしないんだから、おかしなもんだよな。
君には限度が無いくらいなのに」
「先生。本当にごめんなさい。先生を傷つけてしまったみたいですね」
 そういう理子に、雅春は少し寂しげな表情で笑った。
「この先、万一君の愛を失ったとしても、俺はもう愛の無い
セックスはできそうにないな。君を愛する心を無くしたとしても、だ」
 雅春の言葉に、理子は驚いた顔をした。そんな理子に雅春は言った。
「心配しなくていいよ。君を愛する心を無くす事は無いと思うから」
 雅春の言葉を受けて、理子は躊躇いがちに言った。
「・・・でも、私の愛を失う事はあるかもしれないって
思ってるんですか?」
 雅春は暫くの間を置いた後、「思っている」と言った。
 理子は、ショックを受けた。そんな風に思われていたなんて。
 結婚してから、何となく二人の間に微妙なズレが生じているのでは
無いかと、感じていた。どこかでボタンを掛け違えているような
気がしていた。
 どうしてなのか。理子にはさっぱりわからない。
 いずれにせよ、「俺を信じていないのか?」と冷たい目で
言いながら、先生だって私を信じていないんじゃないか、との
思いが湧いてきた。そして、その思いの一方で、自分の心に
自信を持てない自分もいた。
 今度の件での、志水との関係だ。志水とずっと一緒にいても
構わないと思い始めている自分がいた。彼との時間は心地良かった。
その心地良さの中に、ずっと浸っていたい思いもあった。
 志水は理子の身体を求めて来なかったから、その関係が非常に
楽だったと言う事もある。だが、もし、あのまま、雅春と別れて
志水と付き合うようになっていたとしたら、志水との関係はどう
なっていたのだろう。いずれ、肉体的に結ばれる事に
なったのだろうか。
 志水は最終的に、理子の身体を求めてくるのだろうか。そして
そうなった時、理子は許すのか。快楽から逃げて雅春から離れたのに、
結局は別の男と交わるようになるのか。少なくとも、キスはして
しまっている。濃厚では無かったが、温もりを感じるキスだった。
理子は彼の唇を拒まなかった。
「何を考えている?」
 雅春が暗い瞳で理子を見つめた。その瞳を理子は凝視した。
「怒ったかい?君を信じていない俺を」
 理子の瞳が涙に滲んで来た。
「君がお茶を淹れている間に、俺は君と出会った時からの事を
思い出していた。そして、改めて思ったんだ。全ては俺の独り
よがりだったんじゃないかって。勿論、君も俺に惹かれ、その
想いは増していた。目の前の身近な恋愛よりも、俺を想う事を
選択した。だけど結局のところ、俺が君に告白していなければ、
きっと君は他の男を最終的には選んだんじゃないのかな。俺が
卒業まで待っていたとしたら、俺のものにはなっていなかった
だろう。高校生の君にあった恋愛をして、高校生活を満喫して
いたと思う。愛欲の波に襲われて、その中で必死に溺れない
ように頑張る必要なんて無かった筈だ。俺は君にとっては
重荷だったんだ。確かに俺は君を支え、導きもしたが、
それだって、俺と恋愛関係にならなければ味わう事も無かった
苦労だと思う」
 理子は滲んで来た涙を拭った。そんな理子を見て、
「泣くのを我慢しなくてもいいのに」と雅春が言った。
「君を泣かせるつもりは何時だって無いのに、何故か泣かせて
しまうような事ばかり、言ったりやったりするんだよな、俺は。
…だから、いつか君の愛を失ってしまうような気がしてならないんだ」
 理子は首を振った。
「そんな、悲しい事を言わないで・・・」
 理子は雅春を見つめた。雅春はまさに悲しそうな瞳でその視線を
受け止めた。
「先生。昨夜の約束を覚えてる?」
 理子は雅春に問いかけた。
「覚えてるよ。夜が明けたら、もしかしたら、あれは夢だったんじゃ
ないかって思いに駆られたけど」
「それなら、もう私を離さないって信じていいのよね?」
 理子は切なげな顔をして、雅春に言った。
「ああ。俺はもう、君を離すつもりはないよ」
「なら、どうして、そんな悲しい事を言うの?」
「俺の心と君の心は違うと思うから・・・」
「違わないわよ。私だって、先生を離さない。離したくない。
先生のそばから離れたくないの。先生のそばにしか、
私の居場所は無いの」
 必死に訴える理子に、雅春は微笑みかけた。そう言ってくれる
理子の気持ちが嬉しい。だが、心は何故かすっきりと晴れては来ない。
 そんな雅春の手を取って、理子は立ちあがった。
「理子?」
「先生。一緒に来て」
 そう言って手を引っ張る。不思議に思いながら腰を上げると、
理子は雅春の手を引いて歩き出した。それに従って着いて行くと、
理子は寝室のドアを開けて中へ入った。そして、雅春に抱きついて、
「愛してる」と言った。
「私を抱いて。思いきり・・・」
 理子の言葉に驚いた。
「何言ってるんだ。君はまだ退院したばかりじゃないか」
「でも、昨夜は抱いてくれたでしょ?」
「それは、・・・久しぶりだったからつい。俺は後悔してるんだ」
「昨日抱かれたから、自分ではわかってる。もう大丈夫だから。
傷を圧迫さえしなければ、平気。だから、お願い」
「いや、控えた方がいいよ」
「私を、抱きたくないの?もう嫌になった?」
「そんな訳が無いじゃないか」
 雅春の声は切なかった。
「なら、私を抱いて。あなたの好きにして。そうされたいの」
「理子・・・」
 雅春は戸惑った。こんな風に理子から求められるとは
思っていなかった。
「君は、俺に抱かれるのが嫌だったんじゃなかったのか?
昨夜だって・・・」
 理子は首を振った。
「昨夜は単に、術後一週間で退院したばかりだったから怖かっただけ。
入院中に色々と考えたって言ったでしょ。自分で気付いたのよ。
馬鹿だった事に。先生を拒んでいた事が、どれだけ愚かな事
だったかって事に。反省すべきは避妊をしなかった事だけなのに、
快楽までをも否定した自分が愚かだった。だって、この快楽は、
愛しているから得られたものなんだもの。先生が、私としか
交われないのと同じように、私も相手が先生だからなのよ。
愛しているからなのよ。だから、快楽を否定するって事は、
先生への愛も否定しているのと同じ事だったの。馬鹿でしょ?
こんなに愛してるのに。先生無しでは生きられない程、好きで好きで
たまらないのに」
 自分の腕の中で訴える理子がとても愛おしい。どうして
この女じゃないと駄目なのか。自分でもわからない。ひたすらに
惹かれるのだった。目の前にすると、愛しくて仕方が無い。
胸が締め付けられる。
「でも君は、何もせずに抱きしめられている時が一番
落ち着くんだろう?」
「そうよ。先生の腕の中が好き。先生の懐の中に包まれている時が
一番安心する。ドキドキしながら、先生のぬくもりを感じて、
先生の力強い心臓の音を聞くと、とても落ち着くの。私の居場所は
ここしか無いって実感する時よ」
 その言葉に、雅春は理子を抱きしめた。嬉しい言葉だった。
俺の腕の中が理子の居場所なのか。そう思ってくれているのか。
「先生・・・」
 理子がいきなり顔を上げた。深刻そうな表情をしている。
その顔に戸惑った。
「先生に抱かれる前に、ひとつだけ言っておきたい事があるの」
 雅春はその表情と言葉に少し不安な気持ちが湧いてきたが、
黙って頷いた。
「前もって言っておきます。傷つかないで欲しいの」
「そんな事を言われると、恐ろしくなってくるな」
「先生が美鈴さんとの事を詳しく話してくれたから・・・」
 そう聞いて、志水との事かと察した。あいつと何かあったのか。
俺と同じように。


      はぁ~~~。重たい二人ですね。
       何でこんなに、互いに詳細を語るんでしょう。
       書いてる私にもわかりません。(←無責任な作者)
       二人揃って隠し事ができないタチなのでしょうか。
       聞きたがりなのか、喋りたがりなのか。
       両方なんでしょうねぇ、やっぱり。


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~ Comment ~

Re: でも女性の理想だと思います。>misia2009様 

misia2009さん♪

なるほど。確かにご指摘の通りに、「抱いて良かった?」と聞く男性は
まず、いないでしょうねぇ。
だって、朝起きて逢った理子は、笑顔だったわけだし。
理子自身も、二人が元に戻る為に必要な儀式かも、と思って抱かれていたわけなので、
訊かれてビックリって感じじゃないのでしょうか。

まぁ、大体夫婦の場合、話し合う事を最初から考えないか、途中で投げ出すか、
ですね。男性には悪いけど、結構、単純ですもんね。だから、女の方が内心で
どんな気持ちでいるのかなんて、微塵も考えなくて、離婚を言い渡されて
青天の霹靂とばかりに大慌て。
だからまぁ、この二人は確かに理想ですね。

理子は、先生があまりにあまりなので、安心させてあげたくて
身を投げ出したって感じでしょうか。
だけどねぇ。
相手はえっち大魔王の先生ですからねぇ。
自分が思うよりも大変な事になるとは、思ってないみたいww

でも女性の理想だと思います。 

こんにちわ。じっくり読みました。「好きだから好き」と言っていた頃より心理が複雑になっていて、書くのも気を遣われることと思います。読むほうは「うん、ここまで言ってもまだスッキリしないか、でもそうだよな」と二人の暗い目など脳裏に見て、変に納得しています。

前に(作中ではついさっきw)先生が「昨日は抱いちゃったけど、よかった?」って聞いたとき、これを聞いてくれる男はいないだろうな~と思いました。
現実では、抱かせてくれたんだから、もう何もかも許してくれたんだろうと思い込んで、でも女のほうは心底で解決していなくて、男がなにも気づかないうちに「離婚したいの」って言われるってパターンだと思うのです。

こういうふうに聞いてくれて、ここまで話し合ってくれる男性がいたらいいな(しかもそれがイケメンだといいなw)という理想の姿だと思います。

でもやっぱり控えたほうがいいよ理子……私ならここぞとばかり寝てるよ……

Re: NoTitle>OH林檎様 

OH林檎さん♪

そうそう、おっしゃる通り、言いたくないと言うよりは
聞きたくないものですよ。
モデルとなってる福山さんだって、ラジオで、
俺そういうの、聞きたくないって言ってましたし(笑)

まぁ、フィクションって事もあるから、この二人の
普通でない部分は仕方ないのか……(ー’`ー;)

でもまぁ、ここまでは言えるけど、これ以上は言えないって
事があっても良いと思います。と言うか、それが普通ですね。
この、隠さない二人でも、それなりに言える・言えないのラインは
あるようです。後ろめたくないから言えてる部分もありますし。

にしても、やっぱ重い……。
こんな事を作者が言うのもなんですが、
最近、この二人は書いてて疲れます…(^_^;)

NoTitle 

すべてをさらけ出して理解し合うのは至難の業ですよね。
私には無理だなぁ。
言いたくないというか、聞きたくない。
許せる自信が全く無い。
まぁだから、夫婦仲が希薄なんでしょうけど。
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