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小説・クロスステッチ第2部 <完>
10.混 沌 ~ 13.愛 欲


クロスステッチ 第二部 12.回 顧 05

2010.10.19  *Edit 

 その後、夏休み中、部活で来ている理子を見かける事は何度も
あったが、二人で話す機会は皆無だった。その事に物足りなさを
覚えながらも、ホッとしている自分もいた。あまり関わらない方が
身の為のような気がした。
 だが、東大のオープンキャンパスの件だけは、どうしても
伝えたくてメールした。挑戦してみる価値はあると思ったからだ。
目標は高く掲げた方が良い。
 オープンキャンパスへ行った理子から、東大へ通ってみたい
気持ちが生じたが、やり切れる自信が無いと言った内容のメールが来た。
雅春はそれを見て、挑戦するよう勧めた。理数さえ克服すれば
夢では無い。是非とも理子にはあそこで歴史をもっと深く学んで欲しい。
歴史話しをすればする程、その思いが強くなった。
 新学期が始まり、6組に転入生がやってきた。枝本誠一と言う、
スラリとして眼鏡をかけた男子だった。秀才っぽい雰囲気だが、
女子に人気のありそうな顔立ちだ。
 生徒達に紹介すると、案の定、女子達から歓声が上がった。
これで少しは、俺から現実の男子の方へ気持ちが向いてくれるだろうか。
そうだったら有難い。
 何気なく教室内の様子を見ていたら、理子が驚いた顔をして枝本を
見ている事に気付いた。最初、理子も枝本に好意を抱いたのかと
思ったが、どうもそれとは様子が違う。やがて、そんな理子に
気付いて枝本も驚いてる事に気付き、雅春は訝しく思った。
 もしかしたら、この二人は以前から互いを知っている?
 そんな考えが浮かんできた。そして、その事が気に入らない。
名古屋からやってきた男を、理子は何故知っているのか?
 雅春は、枝本の自己紹介の内容をよく聞いていなかった。
枝本は自己紹介の中で、名古屋の前は南中にいて、その前は
東中にいたから、この中にも何人か知っている人がいますと
言っていた。それを聞き逃していたのだ。
 東中は理子の出身校だ。だから、その事をしっかり聞いていれば
納得できた筈だった。ただ、二人の驚きようは普通では無かった。
単に、過去の知り合いと言った感じでは無い。それを感じたから、
雅春は不機嫌になったのだった。
 それから間もなく、ロングホームルームで2学期のクラス委員の
選出があり、耕介と理子に決まった。1学期は多くの女子が立候補し、
ジャンケンで決まったのだが、勝負に勝って委員になった女子は
周囲から冷遇されているようだった。それを雅春は間の当たりに
していたので、理子が選ばれて最初は少し心配になった。
だが様子を窺っていると、どうやら雅春に普段から無関心な
理子だから選ばれたようだ。
 その事に雅春は複雑な思いに駆られた。理子が委員になったのは
嬉しい。今学期は文化祭と修学旅行もあるし、何かと用事を頼む
機会が多いだろう。委員と言う名目があれば、多少話しをしていても
問題も無さそうだ。だが、理子が雅春に感心が無いと言う事実は、
雅春の心を痛めた。
 自分に関心を寄せない女子だから興味を覚えたのに、
今やこの体(てい)たらくである。
 いいではないか。それで。
 自分が関心があるのは、女としての理子ではなく、歴史に精通し、
尚且つ愉快な人間としての理子なのだ。女としてではない。相手は
まだ子供だ。女じゃないんだ。必死で自分にそう言い聞かせていた。
 結局、クラス委員は理子に決まった。無関心を装っていた
雅春だったが、理子と決まってホッとしている。何となく理子の方へ
目を向けると偶然視線が合ってしまった。雅春は思わず微笑む。
それを受けて理子は視線を逸らせた。
 とにかく、気にするのはやめよう。自然に構えよう。
 だが、じきに雅春の心が乱れ出す。
 耕介と理子の噂だ。
 二人が仲が良いのは既に知っている。知ってはいるが、
どう見たって友達だろう。だが、そもそも理子が推薦されたのは、
男子が耕介だったと言う事もあるとの噂を耳にして、雅春は
不愉快になった。おまけに、二人の仲を周囲から囃(はや)したて
られた時、理子は否定しなかったから益々怪しいとの噂に
心がかき乱された。
 そして、尚も雅春の心を乱したのは、枝本との噂だった。
 あの二人は怪しい。耕介は単なるダミーなのではないか。
 そんな噂が密やかに立っているのを耳にした。
 普段、噂話には関心が無い。殆どが右から左へスルーである。
それなのに、理子に関する噂に限ってスルーできずに
胸に突き刺さって来る。
 何故なんだ。
 文化祭が近くなったある日、茶道部の顧問である柳沢教諭が、
茶道部のお茶券を職員室の先生達に売り込み始めた。
「増山先生も如何ですか」
 と、勧められた。
 雅春は最初躊躇したが、理子が茶道部員だった事を思い出した。
「こんな子達が、お手前をします」
 と、お手前表を見せられた。覗いてみると、当然の事ながら理子の
名前があった。午前と午後の2回ある。午前はブラバンの演奏が
ある為、行けそうにないが、午後の時間は空いている。雅春は
時間を確認し、柳沢からお茶券を買った。
 母親はお茶の先生だし、自分も心得がある。理子が一体どんな
お手前をするのか、非常に興味が湧いた。理子と言う人間の一端を
垣間見るのに打ってつけだ。
 そうだ。合唱部の発表もある筈だ。一体、何時だろうと、
刷り上がって来たプログラムを確認すると、理子のお手前の前の
時間だった。理子にとっては立て続けである。これは本人にとっては
慌ただしいだろうな。
 プログラムには、合唱の後にソロがあり、そこに理子の名前が
有るのを見て驚いた。
 ソロで歌うのか。あの綺麗な歌声がまた聴ける。
 胸が躍った。
 そして、気付いた。理子のことばかりを気にしている自分に。
 受け持ちの生徒は43人いる。それなのに、その中のたった一人の
女生徒の動向ばかりを気にしているのは何故だ。
 自分の中のもやもやした気分を晴らしたくて、誘われるまま古文の
小松教諭とテニスをした。体を動かしたかったからちょうど良かった。
小松が普段から自分に好意を寄せている事は知っている。何かと
用事を作っては話しかけて来る。
 小松は少し前にテレビドラマで人気のあった女優に似ていて、
美人だ。細身で背も高い。自分のルックスを鼻にかけていて、
プライドが高い。そんな女が、雅春にはいつも遠慮勝ちな態度である。
 今回のテニスも、遠慮勝ちに誘われた。
「もし良かったら・・・」
 と、恐る恐ると言った感じで誘ってきた。雅春はぶっきら棒に
「いいですよ」と言って席を立った。初めての事に、小松の顔は輝いた。
 中庭にあるテニスコートへ二人で移動している間、しきりに
小松は話しかけてきたが、雅春は上の空で全く聞いていなかった。
お喋りには興味が無い。
 初めての女の彰子も国文科で専門が古文だった。彼女とはとても
話しが合って、それなりに楽しくて会話が弾んだが、小松の話しは
全く面白味が無い。くだらない内容に辟易とする。どうしてこうも、
つまらない話しばかりする女が多いのだろう。それなりの女子大を
出て教師となっているにも関わらず、頭が良いようには思えない。
 大体、自分がいた大学に来ていた女達ですら、最高学府と
呼ばれている大学へ入学してきたにも関わらず、揃いも揃って
頭が悪いとしか言いようが無かった。結局の所、勉強上手、
受験上手なだけで、それと頭が良いか悪いかは別問題なんだと
思うばかりだ。
 コートに立って打ち始めると、周囲に女生徒達が集まりだした。
そして嬌声を上げる。本当に鬱陶しい連中だ。芸能人に熱を
上げるならともかく、高校教師に熱狂的になって何の意味が
あると言うのだろう。
 好きになるのは構わない。心は自由だ。誰にも止められないし
強制もできない。だが、熱狂的になるのは理解できない。身近な
スターとでも思っているのだろうか。考えてみると、運動部の
エースなども、スターのように熱狂的なファンがいたりする。
 コートの中で、真剣な眼差しでボールを追う姿は確かにカッコイイ。
恋心を抱く気持ちもわかる。だが、何で騒ぐのだろう。騒いで何か
良い事があるのだろうか。少なくとも雅春にとっては、騒がれるのは
非常に迷惑だった。そんな風に騒ぐ女を、間違っても好きになる事は
無い。だから、騒ぐほどに、無駄であり損なのだ。
 騒げば騒ぐほど嫌われる。それを悟りだした一部の女子は、
あまり騒がなくなった。懸命な事だと思う。だが、いつまで経っても
熱狂し続ける女生徒も少なく無かった。それを見て、彼女らは
もしかしたら熱狂する事自体に意味を見出しているのかもしれないと
雅春は思い始めた。
 誰かに熱狂したい。その相手がたまたま雅春だっただけなのかも
しれない。そう思うと、少し気が楽になった。
 小松は意外にテニスが上手く、手応えがあった。お陰でいい汗を
かく事ができた。ブラバンとクラスの出し物で緊張の連続だったから、
少しはストレス発散になったのだった。だが、まだ発散しきれない。
 その日、雅春は望を呼び出した。望とは、文化祭の振り替え休日
である月曜日の午前中にも会う約束をしてある。平日だが、望は
外資系の会社で働いていてフレックスなので午前中時間を
作る事ができた。
 本当なら、その日にたっぷり吐き出すつもりだったのだが、
月曜まで我慢できなくなってしまった。
 どうにもムシャクシャする。
 自分の心がままならない。
 わからない。
 それに加え、部活と受け持ちクラスのストレス。
 クラスの出し物の準備の為に何度も委員の二人と打合せをした。
仲の良い二人。自分に対しては飄々としている理子。何故自分だけが、
こんな思いに捉われるのか。答えが見つからない。
 望とのセックスは激しさを増していた。回を追う毎に、過激に
なってゆく。ちょっとした刺激では、最早(もはや)興奮できなく
なっていた。サディスティックになってきている。
 望が普段オナニーで使っていると言う、ローターやバイブを持参させ、
雅春の前で実演させた。それを見て、ふーん、女ってこんな風に
オナニーをするんだ、と思った。見ていて物足りなく感じた。
この程度でイケるのかと思うと、逆に羨ましくなってくる。
 雅春は望が使っている道具を取り上げると、それを使って
思いきり攻めた。望自身がやっているのを見て生ぬるいと
思ったからだ。そんなものを見ても、全く興奮してこない。
雅春の過激な攻めに、望は何度も「止めて、お願い」と懇願した。
だが雅春は止めなかった。止めてと言いながら、実際にはもっと
やって欲しいと思っている事がわかっていたからだ。望は泣きながら、
何度もイッた。
 一通り道具で攻めた後、今度は指を入れて中をかき回し、
Gスポットを攻めた。そして何度も潮を吹かせてやった。
 貪欲な女である。
 在学中の二人のセックスは非常に淡泊だった。雅春がさっさと
終わらせるからだ。そして望は、毎回必ず、「もっと」とせがんだ。
だが雅春は自分本位だから、それには応えなかった。だから、
ストレスが溜まって執拗に攻めるようになった雅春とのセックスに
今の望は満足していた。
 雅春自身は、少しも満足できないでいる。満たされる事は
決してない。ただ気を紛らわせているだけに過ぎないのだった。
豊満な体を目の前にしても、その体を触り、撫で、揉み、舐めて
しゃぶっても、興奮できなくなってきていた。
 その日、雅春は望がグッタリするまで、その体を弄んだ。一体、
何度イカせた事だろう。数時間に渡るその行為に、流石の雅春も
疲れ切っていた。
 ベッドの上で起き上がれずにいる望を置いたまま、身支度を
済ませて帰宅の途に着いた。神経が研ぎ澄まされている。目が
ギラギラしているのを感じた。体は疲れているが、頭は冴えきっていた。
 女を抱いて癒された事など一度も無いが、このまま続けていたら
頭がどうにかなってしまうのではないかとの思いが湧いてきた。
 愛の無いセックス。
 初めての時には、愛は無かったが心のふれあいは幾ばくかは
在ったと思う。何も考えずに、ただ快楽だけを貪っていた。
いつまで経っても愛せない事を不思議に思っていたが、
心地良い関係だった。
 その彼女と破綻して以来、多くの女達と交わって来たが、
どれも心がふれあった事が無い。ただ欲情を吐き出すだけのセックス。
快楽を貪る気にもならない。貪る時は、ストレスが溜まり過ぎて
いる時だけだった。
 それでも雅春は、少しは女達に期待していた。これだけ女が
いるのだから、一人くらい雅春の心の琴線に触れて来る女がいても
いいのではないか。だが結局、一人もいなかった。雅春は相手が
変わる度に失望する。どの女も求めるばかりで何も与えてはくれない。
満たされるどころか、乾くばかりだった。
 今はそれに拍車をかけている上に、神経がすり減っている。
止められない自分に自己嫌悪していた。
 結局、その晩は遅くまで寝付けなかった。


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~ Comment ~

Re: はい先生!>misia2009様 

misia2009さん♪

元々、男だろうと女だろうと、他人には興味の無い人だったんですよね。
女には熱を上げられ、男には妬まれ……って人生だったわけで。
だからこそ、尚更自分の心の変化に戸惑い理解できずに悩んでいたわけなのですが。

第一部では、二人が結ばれるまでは、ずっと理子視点から話を進めていました。
敢えて、先生の心の変遷を書かずに、理子の疑心暗鬼を中心としていたんです。
理子から見た先生の行動は、どう受け止めたら良いのか分からない行動
だったんですが、先生自身は、こんな風に内面では思いつめてたんですね。

初めての感情が抑えきれなくなって溢れてしまって、まだ子供の理子は
受け止め切れず、二人の間には摩擦が生じて、事あるごとに諍いが生じてました。
その延長線上に、今の結婚生活があって、燃え盛る火は、鎮まるどころか
更に増してきてしまっています。

理子は、母との生活で、人に自分の心の内を相談すると言うことが
出来ない性格になってしまっているようです。
論理的な彼女だから、本来なら、misia2009さんが指摘されたような
行為があってもおかしくないのですが、相手に意見を問う事を最初から
諦めてしまっている節があります。
勉学に関しては、違うんですけどね。
そのいい例が、第一部の、本の感想文では堂々と自身の思いを
語っているのに、人前で歌を歌ったり演奏したりするのが苦手だと、
雅春の部屋で話している部分です。

互いに想いが深く強い分、摩擦や歪みは避けられないようです。
後ろ向きになったら、失楽園のようになっちゃうかも、ですね~^^



複雑で捉えにく彼女の一面でもあるわけなのですが…。

はい先生! 

男子に全然興味ないんですね! 分かりやすくてイイです!www

先生…悩んでたんですね…これでは教務も手に付かなくて余計イライラしたでしょう。研究家肌だから、集中できないのは非常に辛かったでしょうね。
これを受け止めるには理子は子供でしたね…
こないだふと思ったのですが、理子って「先生、お話があります。私はこういう風に結論したけど、先生はどう思いますか? そうですか、じゃあこうしましょう」っていう話し方をしたことがないですよね、意外に。
いつも独りで悩んで、最後はキレて怒鳴ってしまう。母親に話を聞いてもらえないで育ったトラウマのまんまですね…
どうなるのかな~と神妙に見守る今日このごろです。
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