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小説・クロスステッチ第2部 <完>
10.混 沌 ~ 13.愛 欲


クロスステッチ 第二部 12.回 顧 04

2010.10.18  *Edit 

 雅春は3年の選択日本史も受け持っているが、理子の彼氏で
あると言う須田は日本史を選択していないので、須田と
言う人物を知らなかった。
「石坂先生は、よくご存じですね」
「校内じゃ、結構有名なんですよ。須田君が生徒会長
だからなのかなぁ」
 そうか。彼氏がいたのか。だから、練習後に残らないのか。
彼氏と一緒に帰る待ち合わせをしているのかもしれない。
理子には理子の世界がある。高校生なのだ。自分とは別世界の
人間だ。たまたま、同じ場所にいるだけに過ぎない。
 そう考えている自分を愚かしく思い、頭を振って否定する。
 馬鹿馬鹿しい。俺は何を考えているんだ。相手は高校生だぞ。
教え子だ。子供なんだ。俺が興味があるのは、女としての
アイツじゃなく、歴史好きの面白可笑しい人間としてなんだ。
 雅春は、望を呼び出した。
 季節は夏になろうとしている。Tシャツ姿の望に、上は
ノーブラにTシャツ一枚で下はショーツだけの格好をさせ、
その上からシャワーをかけさせた。濡れたTシャツとショーツが
肌に張り付いて、中が透けて見える。細いのにGカップもある
豊かな乳房が雅春を挑発した。
 雅春は濡れたTシャツの上から乳首をキュッと摘まみ、
もう片方の手で尻を撫でまわした。望が喘ぎ声を上げ、雅春は
興奮してきた。大きな乳房を揉みしだきながら、尻を撫でていた
手をショーツの中へ入れ指を差しこんだ。その刹那、
望が大きく声を上げる。
 雅春はひたすら激しく掻きまわした。そうしながら、左の乳房を
揉み、右の乳房にしゃぶりつき、乳首を噛んだ。室内には、
望の喘ぎ声と厭らしい愛撫の音だけが響いている。夢中になって
望の体にむしゃぶりついている時、ふと理子の真摯な眼差しが
頭に浮かんできた。日本史の授業の時に真っすぐに
雅春を見つめている、あの眼である。
 雅春は慌てて頭を振って理子を追い出すと、望の足を大きく
開かせて、ショーツの隙間から自分の硬くなったモノを差し入れた。
激しく何度も打ち付ける。雅春は望にも腰を振るように命じた。
 必死に腰を振り、何度も打ち付けているうちに、脳の一部が
痺れてきた。快感が伝わって来る。そこだけは気持ちいい。だが、
心は冷え切っているのを感じる。そして、夢中になり切れない
自分がいた。なかなかイケない。
 結局、望が先にイッた。
 こんな燃焼しきれないセックスばかりだった。

 夏休みに入ると、理子の顔を見る事ができない。そんな風に
思ってはいなかったが、実際に夏休みが始まってみると、
一抹の寂しさを感じた。そんな時、ブラバンの練習後に準備室へ
入ったら、そこに理子がいたのである。
 ずっとそこにいる事を期待していたのに、いない状態が長く
続いたせいで、既にそこにはいないものと思っていたから、
理子を見て驚愕した。そして久しぶりにその顔を見て、
自然と笑顔が浮かんでいた。
 借りていた本を返す為に先生を待っていたとの理子の言葉が
嬉しかった。だがそれに対して出て来た雅春の言葉は裏腹だった。
理子の返答を聞くと、どうやら本と一緒に感想レボートも入って
いるようだ。それを聞いて、早く読んでみたい思いに駆られた。
 勉強の調子を問うと、礼を言われた。「先生のお陰です」と
言われて、とても気を良くしている自分がいる。
 そうだ。この夏休みはしっかり基礎を固めさせないと。
 そう思って、理子から紙を貰ってそこに勉強しておいた方が良い
問題集や参考書を書いた。そして最後に、自分の携帯のメルアドを
書いたのだった。何か困った事があったら、遠慮なく訊いてくれ。
そういう気持ちで書いた。好意は持っていたが、それ以上の気持ちは
無かったと思う。
 それを見て、理子は驚いていた。秘密主義なのにいいのか、と
訊かれた。そう指摘されると、自分でも不思議だった。相手が
理子で無ければ、女生徒にメルアドを教える事は絶対に無かった
だろう。他人に洩らす事は無いと信用していたし、頻繁にメールを
寄越すような事もしないと思っていた。
 後で空メールを送ってくれと言ったら、理子が意に反した反応を
示した事に驚いた。自分は気軽に教えてしまったが、相手は
どうやらそれを望んでいないらしいと感じ、ついつい軽薄な事を
してしまったと反省した。
 深く考えてみれば、互いの立場を思えば気軽にメルアドの
交換なんてできないだろう。雅春からすると、単に親切心から出た
行為だったが、理子からしたら、どう受け取ったら良いのか
戸惑うのが普通だ。
 雅春は、理子といるといつの間にか軽率になってしまうと、
この時思った。彼女といると警戒心が薄れて気が緩むのだった。
女子高生相手に、何を馬鹿なことばかりしているのか。そう反省して
職員室へ戻ると、間もなくして携帯メールの着信音が鳴った。
 珍しいな、と思って見てみると、理子からだった。
 ドキリとした。本当に、心臓がドキリと音を立てたように感じた。
 “理子です。先生、怒ったの?”
 これだけの事なのに、何故か心臓を掴まれたような気がした。
 雅春が取った行動を、怒ったと思ったようだ。
 失望し、ガッカリし、気落ちしただけで、憤慨など全くして
いないのに、怒ったと受け取って心配げにメールをしてきた
理子を可愛いと感じた。そして、こうしてメールをくれた事が
とても嬉しかった。
 メルアドを交換したからと言って、学生みたいに頻繁にメールの
やり取りをするつもりは無い。ただ、何かあった時に力になって
やりたかった。一生懸命頑張っている理子を応援したかった。
 渡された本の感想文を読んで、その気持ちは更に強くなった。
初読の感想は、感動した感情中心の、感性に溢れた感想文だった。
夢中になって読んだ事が伝わって来た。次読の感想は、もう少し
深い内容になっていた。どんな所でどう感じたのか。心の
奥深くまで沁み渡った様子が窺えた。そして、3度目の感想は、
更に深くまで突っ込まれ、歴史観、人生観にまで及んでいた。
 貸して良かったと思った。流石に読書家だ。奥深くまで読み
こまれている。そして何より、よく考えている。本を読みながら、
何度も中断しては思いに耽(ふけ)っていたに違いない。その様子が
手に取るようにわかる。
 理子は感性が豊かであり、尚且つ論理派だ。もっと深く濃く
学ばせてみたい。その思いが強くなる。
 8月に入った或る日、ちょっと図書室で調べ物をしようと思って
図書室の扉をくぐったら、理子がいた。立ちあがって、
雅春を見て驚いた顔をしている。
 驚くのはこっちの方だ。何故彼女がここにいる。
 思わず「理子」と呼びそうになるのを堪(こら)えた。隣の整理室に
司書の松嶋が居たからだ。
 一体、何故ここにいるのだろう。
 雅春は理子の方へと歩を進め、彼女の前の席に腰を下ろした。
 問いかけるが、黙ったまま俯いているだけだ。どうしたものかと
溜息を吐いていると、松嶋がやってきて事情を話して聞かせてくれて
再び驚く。
 夏休み中、最上と待ち合わせて一緒に勉強をしていると言う
話しには感心した。普段から二人が仲良しなのは知っている。
だが、3時間も来ない相手を待っていると言う事には仰天した。
 呆れたヤツだ。やっぱりコイツも女なのか。だが相手も女だ。
不思議な生き物を見ているような気になって来た。
 時刻は既に昼になろうとしている。弁当を持参していると聞き、
職員室に誘った。来ない人間を待ちながら一人で食事するのも
寂しいだろう。先に職員室へ戻り、果たして来るだろうかと
待っていると、間もなく理子がやって来た。雅春の心が浮足立つ。
自分の隣の席を勧めた。今日はいない。
 よく、3時間も待ったな。呆れるぞ。と言った。相手が誰でも
そんなに待つのかと問うたら、多分待つとの答えが返って来たので
益々呆れる雅春だった。何の連絡も無く、3時間も来ないのだ。
忘れているに決まっているだろう。それなのに待つなんて
馬鹿としか言いようが無い。
 理子にそう言うと、いきなり、本当にいきなり理子の目から
涙が溢れて来たので驚いた。泣き出す予兆も見せなかったので、
雅春は困惑した。
 何でいきなり泣くんだよ。
 雅春は泣く女は嫌いだった。泣けば思う通りになるとでも
思っているのだろうか。これまで多くの女と関わって来たが、
涙を武器にする女に何度となく遭遇している。その度に辟易とした。
元々冷めているが、一層冷たい目を向ける。そんな雅春を見て、
大抵の女は一瞬にして涙を止めるのだった。
 だが今は状況が違う。そもそも理子が雅春の前で泣く理由なんて
無い。そういう間柄では無いからだ。理子は普段から雅春に関心を
示しているようには思えない。特別な感情がこもった視線を
受けた事も無い。理子からは、ただの生徒と教師以上の
感情は感じられない。
 雅春は困惑した。最上が来ない事が、そんなに悲しいのか。
泣く程に。
「お前らもしかして、レズだちかぁ?」
 思わず、口を吐いた言葉だった。
 理子は首を振り、泣くつもりなんて全然無いのに、涙が勝手に・・・
と言いながら、尚も涙を零している。
 不思議なヤツだ。声を出す事もしゃくり上げる事も無く、
ただ涙が零れている。泣いていると言う感じがしない。本人自身も、
そんな自分に戸惑っている様子だ。それを見た雅春は、
何故か無性に胸が高鳴り、そんな理子を抱きしめてやりたい
衝動を感じた。
「泣くんじゃない。俺を困らせないでくれないか」
 本当に困っていた。泣いている彼女を前にした自分の感情に。
「私が泣いたら、先生困るんですか?」
 困るに決まってるだろうが。実際、非常に困っている。
「誰もいませんよ」
 いる、いないの問題じゃない。目の前で女子高生が泣いていて、
いい気分でいられるか。
「そういう人もいるんじゃないですか?」
 雅春は溜息を吐いた。どうやら、生意気モードに突入したようだ。
困っている俺を茶化し始めている。これならもう、心配いらないな。 
全く、人が心配してやってると言うのに。
 雅春は話題を変えた。
 彼氏とのデートでもいつも待たされてるのか?
 素直に思った疑問である。最上に待ちぼうけを喰らって泣いた
くらいだから、普段も彼氏に待ちぼうけを喰らって泣いて
いるんじゃないのか。
 だが理子は、「彼氏、いませんよ」と言った。その言葉に
雅春は驚いて理子を見た。
「生徒会長の彼女だって聞いてるが」
 雅春の言葉に理子は大きく溜息を吐くと、そういうことに
しておいて下さいと答えた。それって、どういう意味なんだ?
 話しを聞いてみると、どうも生徒会長の彼女として有名な事が
気に入らないようだ。その気持ちはわからないでもない。理子は
理子であって、生徒会長の彼女、では無い訳だ。生徒会長は
校内ではそれなりに有名人ではあるが、その彼女だからと言って、
何故自分まで有名になるのか理解できないと言う
理子の気持ちも分かった。
 今は付き合っていないと言う彼女に、いつ別れたのか訊ねたら
終業式の日だった。つい最近だ。本人が言うには、4月から
全く逢っていないらしい。
 彼氏と別れた事を聞いて、雅春は心なしか気持ちが軽くなったのを
感じた。だが、4月から全く逢って無くても平気だったと聞いた時、
随分と淡泊な女なんだな、と思った。まぁ、平気だったから
別れたのかもしれないが。
 最上を3時間も待って泣くような女なのに、その一方では彼氏と
ずっと逢わないでいても平気だったと言う。それを指摘すると、
「人間って複雑ですよね」との答えが返ってきて、雅春は
呆れたのだった。捉え難いヤツだ。
「複雑って言えば、歴史の研究本を見てよく思う事があるんです」
 と言って語りだした内容に、雅春は感心した。
 歴史小説や研究本を読んで、簡単にその内容に感化される人間が
多い。研究者はともかく、愛好家などはすぐに影響される。そして、
歴史上の人物のイメージを作り上げ、真実からは程遠い所で自分の
イメージを固辞する。
 単なる愛好家なら、それでも構わない。ただ、これからもっと
勉強しようと思っている人間にとっては、小説はともかく、
研究書の類の決め付けるような書き方には問題があると雅春は
常々思っていた。
 そういう決め付けた表記を決め付けていると捉えて批判している
理子の見識に、感銘を受けた。きっと理子はかなりの数の本を
読んでいるのだろう。だから矛盾に気が付いた。
 その時、最上がやってきた。理子はとても喜んでいたが、
雅春はなんだかガッカリした。まさか、こんな時間になって
やって来るとは思っていなかった。
 二人が去った後、雅春は急に寂しい思いに駆られた。理子と
一緒に会話をしながらの昼食は、とても楽しい時間だった。
あいつとの会話は、どうしてこうも楽しいのだろう。雅春を
男として意識せず、また教師としても意識していない、自然体な
姿を前にして、雅春も自然体になるのだった。
 気が張らない。肩が凝らない。ストレスが溜まらない。
理子の前なら平気で屁もできそうな気がした。あいつならきっと、
最初は凄く嫌そうな顔をして雅春をからかい、散々屁理屈を
言った後、笑って済ますのではないか。
 そんな事を考えている自分に気付き、馬鹿だと思った。
またくだらない事を考えている。一体俺はどうしたって言うんだ。


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