ChaoS

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

小説・クロスステッチ第2部 <完>
10.混 沌 ~ 13.愛 欲


クロスステッチ 第二部 11.もう一度 07

2010.10.13  *Edit 

「用事と言うのは彼女の事なんだ。さっきまで彼女と会っていた」
「そうだったんですか」
 理子には何となく予感はあった。
「学校を出たら校門の前で待っていた。君に会った後なんだな」
「そうですね。そういう事になりますね」
 あの人は、あれから先生に会いに行ったんだ。やっぱり、納得
できなかったんだろうな。まぁ当たり前だと思うが。自分が
彼女だったら、やっぱり納得できないだろう。
「彼女から、俺と会う前にここへ来て君と話した事を聞いた」
「そうですか。彼女は何て?」
「君に別れてくれるよう頼みに行ったと言っていた。それから、
君が不倫してもいいって言ったってな」
「それで先生は?」
「驚いた。彼女の行動に。そこまで思い詰めていたのかと愕然とした」
 雅春は美鈴とのやり取りを包み隠さず理子に話した。
「君には嬉しくない話だと思うが・・・」
「嬉しい話ではないですけど、全てを話してくれる事は嬉しいです。
神山さんが来た時も、冷静に話せたのは先生が全てを話してくれて
いたからだし。でなかったら、かなり動揺してたと思います」
「一人で心細くはなかったか?」
 雅春が優しく問いかけた。
「少しだけ不安でした」
「そうか・・・。本当にごめん。理子をこんな目に遭わせて。
俺の中途半端な態度が悪かったんだ」
「先生・・・。でも先生はいつも正直に何でも話してくれる。先生の
そういう所、とっても好きです」
「理子。君も話してくれないか?彼女とのやり取りを。君の思った事を」
 雅春に促されて、理子も話した。
「あの人、綺麗な人ですね。おしとやかそうで、一緒にいてホッと
するタイプ・・・」
「そうだな。だが、君との事がある前は、全く存在感が無かった。
紅一点だから目立つ筈だし、他の先生達の間では、美人だから
評判だったようだ」
「あの人を目の前にした時、この人の首筋に先生の唇が這ったんだ、
体にこの指が触れたんだ、と思ったら悲しくなってきて、
そして妬けたの」
 理子が雅春の手を取った。大きな掌と細くて長い指を握りしめる。
「ごめんな。俺はどうかしていたんだ。だが、この唇も、この指先も、
理子をしっかり覚えていた。触れた瞬間に、理子ではない、と思った。
そして彼女に『先生』と呼ばれた時、完全に目が醒めた。俺を
いつもそう呼ぶ理子の声では無い、これは理子じゃない、って
強く思って彼女を拒絶した。彼女にしてみれば寝耳に水状態だったろう。
本当に俺は悪い男だな」
 理子は雅春の指に自分の指を絡めながら言った。
「今回の事は、私にも非があります。そもそも私が先生を拒絶したから
こんな事になったんだもの」
「いや、俺に分別(ふんべつ)がなかったんだ。君を愛しているのに、
軽率だった」
「そう思うなら、もう、次は無しでお願いします。私、初めて先生の
事で嫉妬しました。こんな思いをするのは、もうたくさんです。
私が悪かったんだからしょうがないんだけど・・・」
 雅春は思わず理子の頭を自分の元へ引き寄せると、その唇に口づけた。
長い接吻が続く。雅春の舌と理子の舌が絡んだ。いつもは受け身の
理子なのに、今日は積極的だった。
 理子は雅春の首に両手をまわして抱きついた。雅春の匂いがした。
初めての時からずっと理子のそばにあった匂い。
 雅春は理子を抱きしめた。細くなった体が雅春の腕の中で折れそうだ。
 長いキスの後で、理子が言った。
「もう、私を離さないでいて。私も先生を離さないから・・・」
 その言葉に、雅春の心は熱くなった。

 理子は予定通りに無事退院した。
 退院前にホチキスの針を取ったが、ペンチを出されたのを見て怯えた。
「一瞬で済むから、大丈夫ですよ~」と言われた通り、
本当に一瞬で済んだので痛くは無かった。
 入院した時にはかなり減っていた体重も少し増えていた。
それでも以前よりもまだ大分痩せているのに、
「食っちゃ寝生活だったから、大分太ったな」
 と雅春に言われて、理子は憤慨した。
「ひどいじゃないですか。私毎日、午前中に散歩したり洗濯したり
してましたから、食っちゃ寝じゃありませんでしたよ」
 口をとがらせて訴える理子が、雅春には可愛かった。
「じゃあ、動いた分、食べてたんじゃないか?」
 すぐにむきになるので、ついからかいたくなる。
「先生、相変わらず意地悪ですね。意地悪には意地悪で返すのが
私流だって、忘れてませんか?後で泣いてもしりませんよ」
 雅春は笑った。いつもの理子だ。
「悪かった、悪かった。だけど、そうやって切り返してくる所がまた、
俺の好きな所なんだよな」
 その言葉に理子は顔を赤くした。
「もう、先生ったら・・・」
 マンションに着き、部屋へ入るといい匂いが漂ってきた。
「あっ、ブルームーン?」
 リビングのテーブルの上には、薄紫のバラの花が沢山花瓶に
挿してあった。
 ブルームーンとは、このバラの名前である。レモンティーの
ような甘い香りが微かに漂う。直接花に鼻をつけるよりも、
離れている方が香る花だ。理子の好きな花だった。
「君の好きな花で迎えてやりたかったんだ」
 と、雅春が言った。その思いやりに感謝する。
 バラの香りの中で、部屋の中を見まわす。一週間ぶりだった。
とても久し振りのような気がする。一週間前まで確かにここに
住んでいたのに、何か月も留守にしていたように感じる。
留守にしていたのは雅春だけなのに。
 二人は荷物を置くと、立ったまま抱き合った。熱い口づけを交わす。
2人のキスはいつも長い。大体が雅春の方でいつまでも離さない。
 唇を外した雅春は、理子の顔を見つめた。
「先生、あんまり見ないで。恥ずかしい・・・」
 理子は赤くなった。見られるのも恥ずかしいが、至近距離で
見るのも恥ずかしい。いつもそうだ。一体、いつになったら
間近で正視し続けられるようになるのか。
 理子の顔に再び雅春の顔が近づいた。
 何度も何度も唇を重ねる。まるでこの三か月の時間を埋めるように。
 その晩、理子は雅春に求められた。
 ベッドに横たわる理子を雅春は抱き寄せて、理子の耳たぶを噛んだ。
「理子・・・。君が欲しい。君を抱きたい」
 耳元でそう囁かれて、理子は体の奥からキューンとした。
 あんなに快楽を嫌悪していたのに、こうして体は反応する。
言葉だけなのに。
 雅春の顔が切なげだ。その顔を見ただけで全てを投げ出したく
なってくる。
 そう。理子は雅春には逆らえない。こうしてそばにいるだけで、
熱い瞳で見つめられ、求められたらイヤとは言えない。だから、
離れようと思ったのだった。この人のそばに居る限り、自分は
快楽から抜け出せない。逝ってしまった、まだ形にも
なってなかった二人の赤ちゃん・・・。
 思い出すと、胸が痛む。
「手術してまだ1週間だから、なるべく負担がかからないように
するよ。だから、心配しなくていい」
 鼻にかかった低めの声で囁かれた。
 雅春のすべすべした細い指先が、理子の首筋から背中をなぞった。
 理子は思わずのけぞり、声が出る。
「理子、いいか?」
 いやだなんて言えない。
 二人が元に戻る為にも必要な儀式なのかもしれない。
理子は小さく頷いた。
 唇を重ねる。悩ましげな熱くて甘い吐息が理子の中に入ってくる。
それだけで体が疼く。舌が絡み唾液が混じりあい、口の中で戯れる。
 雅春の唇がやがて理子の喉を這い、吸った。嗚咽が漏れる。
 雅春は、そっと唇を離すと、指で理子の浮き出た鎖骨をなぞった。
理子の肌の感触。絹のように滑らかで気持ちが良かった。寝着を
そっと脱がす。白い肌が露わになった。雅春の視線に晒されて、
理子は顔も体も赤くした。ほのかにピンク色になった肌が、
とても綺麗だ。
 理子の体はまだ骨ばっていた。肩も薄い。二の腕も細かった。
だが、乳房は豊なままだった。雅春の大きな掌が、理子の両乳房を
包みこむ。
「あっ!」
 雅春は掌に、硬く蕾んできた乳首を感じた。そっと、揉む。
理子は悶えた。
 久し振りの理子の体。雅春が唯一欲しくなる体。滑らかで
しなやかで弾力のある美しい体。その体をじかに感じて、
雅春の心は満たされてゆく。
「理子。傷が痛むようだったら、言ってくれ。な?」
 理子は頷いた。
 理子は少し不安だった。手術をした後だけに、大丈夫なんだろうか?
だが雅春はとても優しかった。理子の体を気遣いながら、優しく
ゆっくりと理子の体を揉みほぐす。
 雅春の薄い唇と、滑らかな指が体中を這いまわり、理子の体は
熱くなるばかりだった。
 理子の口から熱い吐息が漏れる。
 理子の女の顔を見て、雅春は心の底から喜びを覚えた。
「せんせ・・い・・」
 と掠れた声で雅春を呼ぶ。恍惚とした理子が悩ましい。
 雅春の長い指が、理子の中心を撫でまわす。理子はひと際
大きな声を上げた。
 そこは溢れんばかりに潤っていた。
「理子・・・、君の中に入ってもいいか?」
 雅春に悩ましげに囁かれ、体の芯から震えるのを感じた。
 理子は黙って頷いた。
 雅春は理子にそっと口づけし、ゆっくりと入っていた。
久し振りのせいか、固かった。
 理子の中は生暖かく、とても気持ちが良かった。女の中はみんな
生暖かく気持ちの良いものだが、理子のここは何だろう?
表現しがたいものがある。雅春を捉えて離さない。吸いついてきて
包み込み、雅春のものと一緒に呼吸をするように連動する。
ぴったりと密着し、一分の隙もない。理子の中にいると、
いつまでもここにいたいと感じる。離れたくない。とても強い
一体感がある。
 やがて波が押し寄せてきた。嵐が来る。激情の嵐が。理子が
大きな声を上げた。雅春は波打つ理子の体を強く抱きとめた。
雅春は危ういところで外へ出した。それはどくどくと溢れ出した。
 理子は雅春の腕の中で満ち足りた顔をしていた。
「理子、大丈夫か?痛いところはないか?」
 雅春が優しく声をかけた。
「大丈夫・・・」
 と理子は小さい声で返事をした。


スポンサーサイト



*Edit TB(0) | CO(2)

~ Comment ~

Re: 雨降って>misia2009様 

misia2009さん♪

> 地、固まる。

取りあえずは……、ですね。
少々ネタばれになりますが、この件は後々まで
後を引きます。。。。

雨降って 

地、固まる。
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。