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小説・クロスステッチ第2部 <完>
10.混 沌 ~ 13.愛 欲


クロスステッチ 第二部 10.混 沌 04

2010.10.03  *Edit 

 雅春は美鈴の部屋にいた。
 美鈴は小さなマンションに一人で暮らしていた。
実家は千葉にあるそうだ。
 今日はいつもの研修会で、その後みんなで軽く飲みに行った
帰りだった。送って行ったら、お茶でも飲んで酔いを醒まさないかと
誘われた。
 雅春は最初は躊躇したが、美鈴はいつになく執拗だった。
しつこい女は苦手だが、何故か断りきれなかった。やっぱり自分
は流されているのか。
 美鈴の部屋はこじんまりとしたワンルームで、きちんと整理
されていた。インテリアは青を基調とした爽やかな印象だった。
「すみません、狭くて。適当に空いている所に座ってて下さい。
今お茶を入れますから」
 美鈴はそう言うと、玄関の横にある小さなキッチンでお湯を
沸かし始めた。
 雅春は床に座ると、部屋の中を見渡した。女の一人暮らしの部屋へ
入るのは久しぶりだった。初めての相手の村上彰子も一人住まいを
していて、セックスをする時はいつも彼女の部屋だった。
 美鈴の部屋はごくごく平凡な女性の部屋といった感じだ。職業柄、
本が多いかと思ったが、そうでも無かった。理子の部屋は本で
ギッシリだったが・・・。
 美鈴にお茶を渡された。飲んでみたら渋かった。これなら確かに
酔いも醒めそうだ。その為に、わざわざ渋く淹れたのだろうか。
理子の淹れるお茶はいつも旨い。
 雅春は、そんな風に理子を思い出した自分に、ふっと笑った。
こんな時に呆れる。
「君は・・・・」
 目の前に座った美鈴に言った。
「はい」
 美鈴は神妙な顔をしている。
「女の一人暮らしなのに、男を部屋へ上げる事に抵抗を感じないの?」
 彼女の真意が知りたくて、雅春は真っすぐに
美鈴を見ながらそう言った。
「感じますけど」
 美鈴は笑ってそう答えた。
「じゃぁ、何故僕を?」
「それは、増山先生だからです」
 美鈴はやはり笑って答えた。
「僕が妻帯者だから安心だとか思ってる?」
「そんな事は・・・」
 美鈴は俯いた。
「僕が妻帯者であることは、知ってるよね?」
「はい。・・・指輪もしてらっしゃるし」
 美鈴の声は小さくなった。
「じゃぁ、何故?」
「増山先生が、好きだからです」
 美鈴は顔を上げて言った。いつもの笑顔は消えていた。
雅春の顔が歪んだ。
「いつから?」
「4月の研修で、初めてお会いした時からです」
 そうだったのか。その頃は幸せの絶頂にいて、存在すら
気付かないでいた。
「でも、先生が結婚されたばかりだと伺ったので、諦めていました。
遠くから見てるだけでも嬉しかったし。それからずっと増山先生を
見てました。だから私、7月の研修会で先生の様子がいつもと
違う事にすぐに気づいたんです」
「それで、声をかけてきてくれたのか」
「とても、お寂しそうだったから、つい・・・」
「寂しそうだったか」
「はい・・・」
 雅春は笑った。
「君の笑顔には慰められた」
 美鈴の顔が明るくなった。
「増山先生、私もっと先生の力になりたいです。先生に笑顔を
取り戻してあげたい」
 美鈴はそう言うと、雅春の胸の中に飛び込んできた。
髪の匂いがした。理子とは違う匂いだ。
「僕は、結婚している」
「構いません」
「不倫するつもりか?」
「愛していれば、形にはこだわりません」
 雅春は美鈴を見つめた。
 美鈴の瞳は潤んでいた。
 雅春は、美鈴の髪に手をやった。栗色の、見るからに細そうな
髪質だが、触ってみると想像以上に細く、絹糸のようだ。コシが
無くて柔らかい。理子の髪はコシがあって滑らかだった。
色白の彼女の顔に顔を寄せる。ふっくりとしている唇が近づいて
きた時、雅春は何故かそれを避けて美鈴の首筋に唇を寄せた。
触れた瞬間に、美鈴は小さく声を上げた。
 雅春は肩に乗せた手を滑らすようにして背中に伸ばすと、美鈴の
ワンピースのファスナーを下ろし、ブラジャーのホックも外した。
そして、一緒に脱がす。上半身が露わになった。青白い肌をしている。
 首筋に唇を這わせながら、雅春は美鈴の肌をなぞる。その度に
美鈴の口から甘い吐息が漏れる。
 雅春は、美鈴に触れながらも、何故か違和感を感じていた。
「先生・・・」
 美鈴がそう言った時、雅春はつと、美鈴の体から離れた。
 美鈴の顔を見、そして露わになった身体を見つめた。
「先生?」
 美鈴がそう問いかけた時、雅春の顔が歪んだ。
「ごめん!駄目だ。僕は君を愛せない」
「えっ?」
 雅春の急な言葉に美鈴は愕然とした。
「僕はやっぱり、彼女しか愛せない」
 雅春は苦悶の表情で頭を抱えた。
「あの・・・、どういうことですか?」
 美鈴には突然の事で理解できなかった。さっきまで甘い
雰囲気だった筈だ。先生はこのまま自分を抱いてくれるものだと
思い込んでいた。
「すまない。僕は、妻を愛してるんだ。誰よりも」
「そんな・・・」
 美鈴は雅春の言葉が信じられなかった。この期に及んで、
何故そんな事を言いだすのか。
「私、・・・それでもいいです」
 そうだ。それでも良い。それでも良いから自分も愛して欲しい。
「君が良くても、僕が駄目だ。まず、唇にキスできなかった。
君はとても魅力的な女性だと思うが、駄目だった。君を抱けない。
体が反応しないんだ」
 全く反応しなかった、と言えば嘘になる。ムラムラした気持ちが
最初にあったのは確かだった。だが、いざキスをしようとして
彼女を見つめた時、彼女に口づけたいという気持ちの盛り上がりが
無かった。彼女の唇が近づいてきた時、抵抗を感じた。
これが理子だったら、何の躊躇いもなく勝手に唇が彼女の唇を
ふさいでしまう。
 だから、仕方なく首筋にした。首筋に唇を這わせていたら、
何となく流れでいけそうな気がしてきた。彼女を脱がせ、指を這わす。
肌の感触に戸惑いを覚えた。指は理子を覚えている。
 決定的だったのは、美鈴が『先生』と雅春の事を呼んだ時だった。
その瞬間に雅春は眼が醒めた。我に帰って、彼女を離し、見つめた。
 理子とは違う、青白い肌。乳房の大きさも形も、その先にある蕾も、
雅春がこよなく愛している体では無かった。
 違う。これは理子じゃない。俺は何をやっているんだ。
 後悔の念が押し寄せた。
「本当にごめん。僕はどうかしていた。君の気持ちを利用してたんだ」
 雅春は膝に手をついて、謝った。
「先生、私を利用してもいいんです。私はそれでもいいの。
利用して欲しいくらいだわ」
 美鈴は泣いていた。
「笑顔の君を泣かせてしまったな。本当に申し訳ない。
君の気持ちは嬉しいが、どうしても受け入れることはできない。
君の事は、一時の気の迷いだ。こんな事を言って君を傷つけて
いるのはわかってる。だけど、はっきりさせない事の方が、
かえって君に悪い」
「先生、じゃぁ、一度だけでいいから、私を抱いて下さい。
私に悪いと思うなら」
 美鈴は泣きながら、雅春にすがってきた。
「だから、できないんだ。君は綺麗だ。だが、その綺麗な体を見ても、
僕の体は何も反応しない。勃たないんだ」
「えっ?」
 雅春の訴えに、美鈴は思わずそこを見てしまった。
確かにそこは静かな様子だった。
「それなら、私が起こしてあげますから」
 美鈴は顔を赤らめながらそう言った。
「無駄な努力だ。舐められようが咥えられようが小さいままだ」
「そんなこと、やってみなければわかりません」
 美鈴はそう言うと、雅春の股間に手を当てた。
 その手を雅春ははねのけた。
「やめてくれ。ダメなものはダメなんだ」
 美鈴は執拗に食い下がる。
「それなら、最後までいかなくてもいいです。愛撫だけでも。
それなら、最後までいかなければ、奥様への言い訳もたつでしょ?」
 美鈴の言葉に雅春は驚いた。
「君は何を言ってるんだ」
 雅春がそう言った時、雅春の携帯電話が鳴った。
 数か月ぶりに聞く着信音。
 理子からだった。
 ずっと待っていた理子からの連絡だった。
 だが。
 雅春は怯えた。何故、よりにもよってこんな時に。
 美鈴も神妙な顔をしていた。
 恐る恐る携帯を取ると、ボタンを押した。
「理子か?」
 雅春の問いかけに、思いもよらぬ声が返って来た。
「増山さんですね?理子が大変です!」
 雅春は驚いた。理子の携帯の筈なのに、電話の相手は志水だった。
「何故君が。一体理子がどうしたって言うんだ」
「詳しい事情は後でお話します。それよりも理子が倒れて病院へ
運ばれたんです。保険証を持ってすぐに来て下さい。
手術の可能性が高いので至急です」
「なんだって?」
 雅春は、暗闇の底へ突き落されるような衝撃を覚えた。


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~ Comment ~

Re: ある意味、絶妙のタイミングだけど!>misia2009様 

misia2009さん♪

いきなり、先生が美鈴の部屋へいるシーンから始まって、
おいおい、って感じですよね。
流されまくりの先生です。
余程、お寂しかったんでしょうねぇ…。

それでも、普通の男だったら、ここでヤッちゃってたんでしょうが、
理子への愛に凝り固まっている先生ですから、どうしても
できないんですよね。愛の無いエッチはできなくなってしまってるので。

こんなイイ男と、ここまで来て、諦めろって言う方が、
やっぱり酷なのでしょう。
闘争心の強い女性なら、略奪愛の道へ進むのでしょうか。
でも、相手が先生じゃ、無理な話なのですが……。

見込みの無い相手なんだから、キッパリと諦めて別の男を
探して欲しいと願うばかりですね。

ある意味、絶妙のタイミングだけど! 

こ、今度はなんだ!?
そして「なぜ君が一緒にいるんだ?」ってか?

えーと、まずは若いのに何度も手術を受ける理子にお悔やみお見舞いを申し上げます……

出だしを読んで「部屋にいるのかよ!!」と、のけぞりましたがw
「流されてるよ!」とか、ツッコミましたが。

そういうものですよね~できないものは、できない。
違うものは、違う。
そして「それでもいいから一度だけ」という女心も、また哀れにも首肯できます。
ひとつ舞いたい感じですw

大人な展開だったと思います。

BLは、それでホダされてヤッちゃうという展開が多いですが。

「ここまでやっといて、それはヒドい」と思われる読者さんも多い……でしょうか。
でも違うものは違う。それも、やってみたから分かることで。
美鈴先生も元が賢い女性だから、変に開き直って噂を流すとか、しないかな。
前向きに立ち直って頂きたいです。

Re: NoTitle>OH林檎様 

OH林檎さん♪

驚きのご様子。
お話は急展開の様相を呈してきてる感じですね。^^

NoTitle 

なにーーーーーー!!!!????
なにーーーーーー!!!!????
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