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小説・クロスステッチ第2部 <完>
4.愛の前では ~ 6.噂


クロスステッチ 第二部 6.噂 08

2010.09.04  *Edit 

「君、結婚披露宴の事、何で知ってるの?僕は招待されてないから
行っていないけど・・・」
「あたし、元茶道部員なんだよ。増山先生の結婚式の二次会に、
元茶道部と合唱部と歴研のメンバーが招待されたの」
 それは牧田には初耳だった。
「えっ?そうだったの?じゃぁ、君は二次会へ行ったんだ」
「行ける訳ないじゃない。祭日だよ?あたし仕事だもん」
 そう言われれば確かにそうだった。
「だけどあたし、相手が理子だと聞いてびっくりした。
全くの予想外じゃん」
 綾子は憤然とした様子で言った。
「ああ、それは僕も驚いたよ」
「やっぱり、先生も知ってたんだ」
 綾子が睨むように言う。
「まぁ、同じ職場だから」
「いつから知ってたの?」
「増山先生が入籍した時だから、先月の終わりころかな」
 牧田の言葉に綾子は目の色を変えた。
「じゃぁ、あたしが訊いた時には知ってたんじゃない」
「まぁね。だけど、誰ばりに話せる事じゃないし、学校側からも
結婚式が終わるまでは口外しないように、って言われてたし」
「学校もグルで隠してたって事?」
 驚いたように言った。
「いやいや、グルとかじゃなくてさ。やっぱり、相手が彼女だって
知ったら生徒達もそれなりにショックを受けるでしょう。いずれは
知れる事だけど、時間はなるべく置いた方が受け止める側のショックも
少なくなるんじゃないの?だから、結婚式が終わったからって、
わざわざこちら側から公に口にする事はしないようだよ」
「敢えて言わないって事?」
「そう言う事だね。だって、騒ぎになるのは目に見えてるでしょ。
吉住さんは既に卒業してるし、二人は結婚しちゃった訳だし、
社会的には別に問題は無いけどさ。生徒達が受けるショックは
また別だもんねぇ」
「あたし、昔から理子の事は虫が好かなかったんだ。幼稚園の時から
ずっと一緒でさ。いっつもいい子ちゃんぶってて。優しそうなふりを
して、実は結構自己中の我儘で。あの子のマイペース振りには随分
振り回された。あの子、立ちまわりが上手いのよ。先生とかに気に
入られるように振る舞ってるの。だから、いつも先生達のお気に入りで
贔屓されてたし。東大合格なんて、信じられない」
 牧田は唖然とした。この間も彼女の事を悪く言ってはいたが。
「信じられないって言っても、実際合格したのは事実だよ」
「きっと、増山先生が付きっきりで勉強を教えたのよ。いいの?
公立の先生が家庭教師みたいな事をしても」
「いや、良くないけど、そんな事はしてないと思うよ」
「どうしてそんな事が言いきれるのよ。あの二人は付き合ってたのよ?
みんなに隠れてコソコソと。二人で逢ってる時に、家庭教師を
してたに決まってる」
「そんな、決め付けちゃいけない」
「あの子はね。先生におべっかを使うのが上手いのよ。増山先生も、
そんな理子の本性を知らずに騙されたのよ。二次会の時に、二人の
馴れ染めや交際の内容を再現したドラマが流されたんですって。
参加した他の友達から聞いたんだけど。在学中から肉体関係に
なってたのよ。あんな大人しそうな顔をしてて、驚いた」
「なんか、君ってちょっと悪意的じゃない?」
 牧田の言葉に、綾子は牧田を睨んだ。
「だってあたし、理子が嫌いなんだもん。本当に、今度の事で
つくづく嫌いになったわ。あんなムカつく女って他にいない!」
 凄い剣幕だ。今度の事でつくづく嫌いになったと言うことは、
矢張り増山先生が好きだったのだろうか。
「やっぱり君は増山先生が好きだったの?だからそんなに彼女が
気に入らないの?」
 綾子はキツイ顔で言った。
「そうじゃないわよ。あたしは昔から理子が嫌いなだけ。大体
わかるでしょ?大人しそうな顔をして、実際のやる事ときたら
見た目と全然違うじゃない」
 綾子の言葉に牧田は笑った。
「人が見た目通りだったら、コミュニケーションもどんなに楽だろうね」
「先生、馬鹿じゃないの?あたしが言ってるのは、理子の二面性よ。
裏表があるって事。なのに、みんなが騙されてるからムカつくの」
 牧田は理解した。これはやっかみだ。彼女に嫉妬しているのだ。
幼馴染の腐れ縁と言っていた。いつも身近にいて、周囲の自分への
態度と彼女への態度の違いをずっと感じてきたのだろう。その不平不満が
長い間蓄積されてきて、ここへきて爆発したに違いない。
「先生も、女生徒の中に好きな子が出来たら、手を出しちゃう?」
 綾子がいきなりそう言った。予想外の言葉に牧田はたじろいだ。
「僕は多分、駄目」
「相手の方でも、その気があっても?好きになった子から告白されても?」
「告白されたら、オーケーしちゃうかもな・・・。断れないよ」
 牧田がそう言ったら、綾子がトロンとした目をした。それを見て
牧田はやばいかも、と思った。
「先生、あたし、襲われてもいいよ・・・」
 牧田は仰天した。この娘は完全に勘違いをしている。
「ば、馬鹿な事は言わないでくれ。僕にはそんな気は全くないから」
 牧田はたどたどしくそう言った。
「遠慮しなくていいのに。あたしはもう卒業したんだし」
 綾子が身を乗り出して顔を近づけて来た。牧田は慌てて立ち上がると、
玄関へと歩いた。
「悪いけど、帰ってくれないかな」
 牧田の言葉に、綾子は寂しそうな顔をした。
「どうして?あたしじゃ、駄目なの?」
「駄目って言うか、僕にはその気は無いから」
「じゃぁ、誰だったらいいの?宮古か富美子だったらオーケーした?」
綾子の言葉に、牧田は肩を落とした。げんなりしてくる。
「悪いけど、君も彼女達も僕の好みじゃない」
 牧田ははっきりと言った。いつまでも誤魔化していたら、
この先もつきまとわれる気がしたからだった。
 牧田の言葉に、綾子が「酷い」と言った。
「酷いって、何だよ。訊かれたから本当の事を言っただけだ。
僕としては、君が毎週ここへやって来る事に迷惑してるんだ。
言ったら傷つけるかもと思って言えないでいた。そしたら君は
誤解した。だから、このまま有耶無耶にしてたら良く無いだろう?
だって僕にはそんな気は全くないんだから」
 綾子は目に涙を溜めて、牧田を睨んでいた。
「理子だったら、そんな事を言わないんでしょ」
 その言葉に仰天した。
「なんでここで吉住さんの事が出て来るんだよ。僕はあの子とは
話した事もないのに」
「理子だったら、こういう時に男を誑(たら)し込むのが上手いんで
しょうね。一体、理子のどこがいいって言うのよ」
 この女は自分を何さまだと思っているのだろう。容姿だけが
全てでは無いが、理子と綾子では、誰が見たって理子の方が美人で
魅力的だ。綾子はお世辞にも顔立ちが整っているとは言えない。
 容姿が全てではない。理子だって、彼女より遥かに美人の女性が
沢山いる。だが、性格を見たって、目の前にいる女が理子より
優れているようには思えない。全体から受ける雰囲気とか印象から
しても、はっきり言って劣っている。
 電気部のメンバーといる時の綾子は、もっと明るくて愛嬌の
ある娘だった。世話好きで姐御とか肝っ玉かあさんとか、そういう
雰囲気だ。そういう所は好感が持てた。とは言っても、友人とか
仲間として抱く好感で、異性としての好感ではない。異性としては、
彼女はがさつで不潔な印象を受けるのだった。
「君、人の事を言うよりも、もっと自分を見つめて
自分磨きをした方がいいよ」
「なんですって?」
「人の悪口を言ってるのって、醜くてみっともない」
「悪口じゃないわよ。本当の事を言ってるのよ」
 綾子は叫ぶように言った。
「僕には悪口に聞こえるし、実際、今の君の姿は美しいとは思えない。
吉住さんの事をどうしてそんなに嫌ってるのかは知らないけど、
人の事を気にするより、自分自身が魅力的な人間になればいい事じゃ
ないか。男にモテたいとか思ってるなら、まずは身だしなみに気を
付けた方がいい。毎日髪を洗ってる?顔の手入れとか全然して
ないでしょ。まぁ、僕も人の事は言えないけど、女の子なんだし、
他人の人気を気にするくらいなら、自分の身だしなみの方こそ
気にしないとね」
 牧田の言葉に、綾子は顔を真っ赤にさせた。そしてつかつかと
玄関までやってきて靴を履いた後、
「あんたなんか、大っ嫌い!」
 と、唾を飛ばしながら言って、部屋を出て行ったのだった。


     6.噂  了  7.終息 へつづく。


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~ Comment ~

Re: は、はげしい…>OH林檎様 

OH林檎さん♪

> ここまで読んで、
> もしかして…と思ったことがあるけど
> 当たってるといけないので言わないでおきます(笑)
当たってると思います。
ここまで来れば、もうバレバレでしょう^^
しかし、ちょっと長かったですね。

> この、綾子ってこは
> 女の醜い部分の集合体って感じですね。
まぁ、そうですね。
彼女にも、いい所はあるんですけどね。
一方では物凄く評判がいいのに、もう一方では
物凄く評判が悪い人っていますよね。
彼女はそういう部類の人間なのです。

ところで、この綾子って、第一部でも一度だけ
登場してるのですが、覚えてる方、いらっしゃるのかな。
最初の方なので、殆どの方が忘れているかもしれませんが。
そのシーンでも、綾子のキャラが少し書かれていて、
こちらの伏線になってるとも言えるのですが、あまりに
昔過ぎて伏線と言えるのか?って感じです(^_^;)


> またしても、明日が待ち遠しいです(爆)
ありがとうございます。非常に嬉しいです(^^)
私もあなたが待ち遠しい♡(爆)

は、はげしい… 

ここまで読んで、
もしかして…と思ったことがあるけど
当たってるといけないので言わないでおきます(笑)

この、綾子ってこは
女の醜い部分の集合体って感じですね。
人の悪いところばかり見て、嫉んで…
その思いすらも人のせいにする。

またしても、明日が待ち遠しいです(爆)
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