ChaoS

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

小説・クロスステッチ第2部 <完>
4.愛の前では ~ 6.噂


クロスステッチ 第二部 5.それぞれの想い 05

2010.08.22  *Edit 

「ところで、先生って、理子の担任の先生だったんですよね。
この間のコンパの時に、先生方から在学中の事を色々と聞いて
驚きました。なんか、凄くクールだったとか。理子からも
学校では凄くモテて、女生徒達に冷たいって聞いたんですけど、
それなのにどうして、理子と結婚するようになったんですか?」
愛理が言った。相変わらず遠慮と言うものを知らない女だ。
「やっぱり、教師と生徒と言う関係だったのが気になるのかな」
 雅春は表情を変えずにそう言った。
「それは、そうです。だって、先生のような素敵な人は、女生徒から
したら遠い存在だもの。みんな、先生に想われたいって思いを
抱いてはいても、誰のものにもならない事は百も承知してるだろうし」
「君はそう言うけど、教師だって男だよ?相手が女生徒であっても、
好きにならないとは限らない。独身なんだし」
「でも先生は、女性にはあまり興味が無いようだと伺いました。
女生徒に対しても、そうだったんじゃないですか?」
 美香が言った。
「そうだよ」
「それなのに、どうして理子を?」
 その問いに対し雅春は、表現のしようのない不思議な顔をした。
そして「君達はどう思う?どうしてだと思う?」と、
逆に問い返してきた。
 雅春の問いかけに、愛理と美香は戸惑いながら互いの顔を
見合わせた。そんな二人の様子を雅春はソファの肘掛の上に頬杖を
つきながら、面白そうに眺めていた。理子は黙ったまま笑顔だ。
「増山さん。彼女達をからかって楽しむなんて、人が悪いなぁ~」
 思いあまって志水は言った。
 志水の言葉に、雅春は片眉を上げて、不思議そうに志水を見た。
「からかってなんかいないさ。君はどうしてそう思うのかな」
 志水はフッと笑った。
「あなたは彼女達が答えられないのを知ってると思ったんですよ。
知っていて、わざと質問した」
「僕は、どう思うかを訊ねているだけなんだけどね」
「じゃぁ、変わりに僕が答えてあげますよ。女性に興味の無い男が、
何故理子のような子を選んだのか理解できな~い。一体、
理子のどこがいいのかしら~?」
 志水はそう言って微笑んだ。志水の言葉に、愛理と美香が
真っ赤になっていた。
「君の方が、余程人が悪いと思うけどなぁ。彼女達、真っ赤に
なってるじゃないか」
 雅春も微笑んでいた。
「あなたが、わかっていて、ばっくれてるからですよ」
「ばっくれたつもりは無いよ。思った事を言ってくれるのを待って
いただけさ。君達、別にそう思ったからって恥ずかしく思う必要は
無いよ。理子を友達だと思ってくれてるから遠慮して言えなかったん
だろうけど、そう言われるのは毎度の事で、僕も理子も馴れてるから」
「そうよ。そう思うのも当然よ。大体、私自身、未だに何で?って
思ってるくらいなんだから」
「えっ?そうなの?それは知らなかった。君はわかってくれてると
思ってたのにな」
 理子の言葉に雅春がガッカリしたような顔をした。
「あの、すみません。志水君の言う事も当たってますけど、
私達普通に、馴れ染めを聞きたかっただけなんです」
 美香がか弱い声でそう言った。
「そんなに気にしなくていいよ。馴れ染めね。改めて言われるとね。
どうなのかな」
 雅春はそう言って理子を見た。雅春の視線を受けて理子は溜息を吐いた。
「先生が訊かれてるんだから、先生が答えて下さい」
「相変わらず、君は手厳しいね」
 雅春はそう言って笑った。
「馴れ染めって言ったら、僕が彼女の学校に赴任して担任になったのが
馴れ染めだよ。加藤さん、だっけ?理子は君のように目立つ女の子
じゃないから、最初は他の女子達と何ら変わらない存在だったね」
 雅春の言葉に、愛理は赤くなった。話しかけられて嬉しそうである。
「愛理のように、可愛くて目立つ子っていなかったんですか?」
 と、美香が言った。
「うちの高校は、結構、ルックスのいい女子が多くてね。理子より
可愛い子、美人は何人もいた。でも僕には興味無かったから、
どれも同じさ」
 その言葉に、愛理と美香は複雑な顔をした。『どれも同じ』と
言う言葉に納得がいかないようだ。
「それで、理子とは?」
「理子は異常なくらいの日本史通でね。授業でその事を知って
興味を持った。それが理子を意識した一番最初かな。最近は
歴史好きの女子も増えつつあって、そういう子を『歴女』とか
呼んで持て囃しているそうだが、理子はそんなレベルじゃない。
だから驚いたんだ。女子高生とは思えなかったから、興味を持った」
「じゃぁ、理子がそこまで歴史通で無かったとしたら、今の状況は
無かったかもしれないですか?」
「可能性としては、下がるかもしれないけど、実際の所はどうかな。
僕が興味を持ったのは、飽くまでも生徒としてであって、異性として
興味を持ったわけじゃないから。今から思うと、結局僕達は出会う
べくして出会ったんだって思うしね。色々と関わって行くうちに、
互いに自然と惹かれ合っていったんだよ。他に言い様は無いな」
 愛理と美香は、雅春の言葉を聞いて、矢張りどうにも理解
できないと言った顔をしていた。それは志水も同じだ。志水は
女子達とは違って理子の魅力を知っているから、雅春が自然と
理子に惹かれていったであろう事は理解できる。だが、その過程が
わからない。担任とは言っても、個人的に女生徒と関わる事は
意識していなければ無いだろう。雅春の言葉を聞いていると、
意図的に接近したようには思えない。
「その、生徒としての興味が、一体いつどうやって変わって
いったんですか?場所は学校だし、生徒と教師が個人的に関わる
事なんて、そうそう無いじゃないですか」
 志水は思い切って言ってみた。
「理子、あれを見せたらどうだ?」
 と、雅春が理子に言った。
「えっ?あれをですか?」
 理子は戸惑っている。
「俺、いちいち面倒臭いよ。言葉で説明するの、難しいし」
 そう言う雅春を見て、志水は少し子供っぽいと感じた。
理子と二人の時にはこんな風なのだろうか。
「あれって、何ですか?」
 と美香が訊いた。理子は珍しく困惑した顔をしている。
「やっぱり、恥ずかしいかい?」
 美香の問いには答えずに、雅春は理子に言った。
「当たり前じゃないですか。私は先生とは違います」
「ああいうの、案外平気なんです、って言って無かった?既に
2回も見せてるのに、何をそんなに躊躇(ためら)うのかな」
 3人には、2人の会話が見えない。一体『あれ』とは何なのだろうか。
「ねぇ、理子。一体、何の事なの?『あれ』って何?見せて
貰える物なら、あたし見たいな」
 愛理の言葉に、理子は頬を染めた。恥ずかしい物なのだろうか。
「『あれ』って言うのはね、僕達二人の馴れ染めから、愛を育んで
行った過程を再現ドラマにしたものなんだ」
「ええー?再現ドラマ?」
 愛理と美香は驚いた。
「再現ドラマって、もしかして自分を自分で演じたとか?」
 美香の問いに、理子は恥ずかしげに思いきり首を振った。
「まさか。高校の友人達が私達を演じたの。私達もまさかそんな物を
撮ってるとは知らなくて、披露宴の時に上映されて凄く驚いたのよ」
 理子は少し嫌そうな表情を浮かべていた。
「僕の姉がサプライズでプロデュースしたんだよ。これが結構、
よく出来てて当人達も驚きなんだけど、結婚となると、やっぱり
あれこれ馴れ染めとか色々聞かれるからね。その度に答えるのも
面倒臭いし。だから二次会の時にもそれを上映したんだよ」
「それなら、あたし達も見たいわ。ねぇ?」
 美香も志水も頷いた。
「既に、色んな人が見てるんでしょ?今さら恥ずかしがる事も
無いんじゃない?」
 愛理が理子にそう言った。
「わかりました。もう、愛理ってば見たがり知りたがりなんだから」
「あら、だって、友達じゃない。理子の結婚がもっと先なら、
あたし達は招待されてていい筈でしょう?知り合ったのが遅かった
為に参加出来なかったんだもの。だから見せて貰って当然じゃない」
 凄い論法である。志水からすると身勝手極まりない。友人だからと
言って、結婚式に招待しなければならない義務は無い。そこまで
親しい間柄になるとも限らないではないか。
雅春は、そんな愛理の言葉に、下を向いてクククッと笑っていた。
「はいはい、わかりましたって。じゃぁ先生、再生して」
 理子はやや投げやりな調子でそう言った。理子の言葉に雅春は
立ちあがると、棚から1枚のDVDを持ってきて、
デッキの中へ入れた。
 間もなく、目の前にある50インチのテレビに映像が流れだした。



スポンサーサイト



*Edit TB(0) | CO(0)

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。