ChaoS

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

小説・クロスステッチ第1部 <完>
第1章 花が咲く~第8章 刻印


クロスステッチ 第1部第8章 刻印 第4回

2010.03.10  *Edit 

 「枝本君に」
 増山はビクっとした。
 「諦めきれないって言われました」
 理子の言葉に、増山の心が揺れた。
 「彼は私の元彼だし、嫌いになって別れたわけじゃありません。
彼の事、とても好きでした。当時の事を思い出すと、なんだか
その時の気持ちが蘇ってくるんです。もし強引に押し倒されたら」
 「やめてくれっ!」
 増山は叫んだ。理子はひどく驚いた。
 「やめてくれ。本当に俺が悪かった。だから、やめてくれ」
 増山は懇願した。
 「お前は妬かなくても、俺は妬く。お前が俺を裏切って他の男と
浮気するなんて有り得ないと信じてる。  信じてるが、仮定で
あってもそんな話は聞きたくない。もし強引に押し倒して、
抵抗するお前を無理やり犯すような男がいたら、俺はそいつを殺す」
 増山は憤っていた。
 「先生。仮定話がいかに馬鹿げてるか、わかったでしょ?
人の心を仮定で推し量るなんて愚かな事です」
 理子は優しく言った。 
 「理子・・・」
 「これで、おあいこです。許してあげます」
 増山は理子を抱き寄せた。理子はそれに素直に従った。
 「お前こそ、ずるいぞ」
 「ずるいのは、先生です。私は仕返しをしただけ。
いっつもやられてばかりだから」
 こういう時、増山は、理子は本当は妖艶な悪女なんじゃ
ないかと思う。理子の方こそ、最後に跪(ひざまず)くのは
増山の方だと知っているような気がしてならなかった。


 「理子。結婚しよう」
 増山が理子を腕の中に抱きしめて、そう言った。
 驚いている理子に、増山は優しくキスをした。
 「お前を愛してるんだ。狂おしいほどに。一生、俺のそばにいてくれ」
 理子は何故か寂しそうに微笑んだ。
 「何故、そうやって寂しそうに微笑むんだ?」
 理子は俯いて答えた。
 「ごめんなさい。私、結婚には全く夢を抱いていないから・・・・」
 理子の言葉に増山は衝撃を受けた。
 「それは、俺と結婚しないと言う事なのか」
 理子は頭を振った。
 「先生は情熱家でストレート過ぎます。どうしてそんなに熱いの?」
 「愛しているからだ」
 増山は真っすぐ理子を見つめた。理子はそんな増山を真っすぐ
見つめられない。
 「先生。腕を解いて、私を解放してもらえませんか」
 「なぜだ」
 「この状態だと、ちゃんと話ができません。それでも、いいんですか?」
 理子にそう言われて、増山は仕方なく理子を離した。
 「先生は、私がまだ高校生なんだって、よくわかってないですよね」
 「そんな事はない。毎日学校で会ってるじゃないか。俺の教え子だ」
 「それなら、どうして結婚なんて言いだすの?私はまだ高校生なのに」
 「俺は、お前にずっとそばにいて欲しいと思ってるんだ。一生そばに
いると言う事は、結婚を意味するのは自然だろう。何も今すぐ結婚しようと
言うわけじゃない。直情径行な俺だって、そこまで馬鹿じゃないさ。
結婚するのは卒業してからだ。俺はただ、お前の気持ちを
聞きたかっただけだ」
 考えてみれば、この人の家庭は愛情に満ちている。愛し合っている
二人が家庭を持ち、子供を持ち、愛を育みあっている家庭なのだ。
好き=結婚が自然な発想となるのも当然なのだ。
 「理子。お前にとっては、結婚よりも目の前の受験の方が、
現実感がある事なんだろう。俺だって、高校生の時には東大受験の
事しか頭に無かったからな」
 「先生・・・。私、昔から結婚願望って無いんです。両親の姿を
小さい時から見てきました。今の家へ引っ越してくる前、私が
5歳くらいまででしたけど、それまでは、とても仲のいい夫婦でした。
私も両親に、特に母には凄く守られている安心感がありました。
でも、今の家へ引っ越して以来、母は怒ってばかりで、私にとって、
家庭は暖かい場所じゃなくなりました。両親はあれで恋愛結婚なんですよ。
愛し合って一緒になったのに、どうしてなんでしょう。人の気持ちなんて、
結局、当てにならない。信じて心を預ける事が怖くてできない。
自分自身も、信じられないんです」
 増山は大きく息を吐いた。理子の、臆病な部分の主な原因を知った気がした。
 「私、まだ高校生なんです。恋愛らしい恋愛もしたことがありません。
体は大人なのかもしれないけれど、心はまだ子供なんです。先生と
対等な恋愛ができる自信がありません。なのに、結婚なんて・・・」
 「理子、悪かった。俺が性急過ぎた。確かにお前が言う通り、
先の事なんてわからない。だが、俺の気持ちはこの先も変わらないと思う。
だから、お前の今の気持ちを聞かせてくれないか。先の事なんて考えずに、
今の気持ちだけを聞かせてくれ」
 理子は増山を見た。真剣な表情をしている。そして、その瞳には
愛が溢れていた。
 「俺を、愛しているか?」
 頷いた。
 「はっきり、言葉で聞かせてくれないか」
 理子は赤くなりながら言った。
 「先生を、愛してます」
 「ずっと、俺のそばにいたいか?」
 「ずっと、・・・そばにいたいです」
 「俺がいなくても、生きていけると思うか?」
 理子の目から涙が溢れて来た。理子はたまらなくなって、
増山に抱きついた。
 「思いません。先生がいなかったら、私、駄目・・・」
 増山は理子を抱きしめた。腕の中で理子がうち震えている。
 「理子。俺はこの先、お前をずっと守りたい。守り続けたいんだ。
お前が安心できる場所でありたいと思っている。だから、俺を信じて、
少しずつでいいから、心を解放してくれ。俺に甘えてくれていいんだ」
 理子は力いっぱい、増山を抱きしめた。先生が好き。気が
狂いそうな程・・・。醒めない夢であって欲しい。理子は切にそう願う。

 「初恋の彼とは、どうなったんだ?」
 ベッドの上で、理子に腕枕をした状態で増山が唐突に訊いてきた。
 「どうって・・・」
 突然言われて、質問の意図が図りかねた。
 「両思いになって、それからどうなった?小1だろう?その後の
事に興味が湧く」
 「えーと・・・、実は私の家の方面に新しい小学校が建つ事に
なったんです。2年の春に開校予定だったんですけど諸事情で遅れて、
2学期に開校になりました。だから、それまで通っていた学校の校庭に、
新しくできる小学校へ移る生徒だけのプレハブ教室が建てられたんです」
 「へぇ~。そういう事があるんだ」
 「そうなんです。当事者からしたら、何で?って思いましたね。
何も2学期に開校しなくても、翌年に繰り越せばいいのに。だから、
友親君とは校舎が別々になってしまいましたけど、同じ校内みたいな
ものなので、休み時間は一緒に校庭で遊んだり、新しい教室へ遊びに
行ったりして、会ってたんですよ」
 「会ってたのか」
 「そうなんです。しかも驚くのは、1学期いっぱいでお別れ
だったわけなんですけど、学校が完全に別々になってからも、
暫くは会ってたんです」
 「小2で?」
 増山は驚いていた。
 「私の方から、友親君の家まで会いに行ってたんですけどね。
彼の家、神社だったんです。お父さんが神主さんで」
 「神社!神主!」
 一層驚いたようだ。
 「うち、仏教徒なんですよ。だから、将来結婚するとなると、
反対されるんだろうなぁ、まるでロミオとジュリエットみたい、
とか、その年で思ってたんですよ、私。笑っちゃいますよね」
 「ぶっ!可笑しい、お前、変!超ませてないか?」
 増山は爆笑した。
 「やっぱり、可笑しいですよね。私自身も、思い出すと変って
思いますもん。でも、考えてみると、枝本君の時と似たような
パターンですよね。1年の時に同じクラスで、2年で学校新設の為に
離れ離れになるっていうのが。そう言えば、枝本君は確か小学校の
4,5年生の時に、その小学校へ転校してきてるので、友親君と
一緒だった筈です。中学入学の時に、北半分は北中に、南半分は東中に
別れて、一年後に南中が出来たので、別れて進学したみんなが再び
一つの中学で一緒になったようなので、友親君も南中なんですよね・・・」
 なんだか、初めてその事に気づいた気がする。友親君と同じ高校に
なる可能性もあったわけだ。
 「そっかぁ。なんか、面白いな、人の縁って言うのは。それで、
その神主の息子とはその後は?」
 「やっぱり、学校が別れると、段々疎遠になりますよね。会いに
行くのはいつも私でしたから。遠いんですよ。自転車で行って
たんですけど、片道30分くらいかかってたから。だから、段々、
行く頻度が少なくなって、それである日行ったら、神社には誰も
いなくなってたんです」
 「誰もいない?神社に?」
 「はい。だーれもいないんです。閑散としていて、人の気配も無くて、
母屋の方の玄関へ行ったけど、鍵は閉まっているし、叩いたり声を
かけても、誰も出てこなくて。その日は仕方なく帰りました。それから
何度か訪ねたんですけど、矢張り同じでした。それで、ある時に
気づいたんです。張り紙に。神社、廃業したみたいでした。
それで引っ越したようで」
 「神社を廃業?引っ越した?」
 「そうみたいですね。管轄系統がどうなっていたのか、子供だったから
わかりませんけど、とにかく、そこの神社は、それ以降、建物は
そのままの状態なのに、営業されないままでした。彼は隣町に引っ越した
ようでした。神社へ行けば、いつか連絡に来てくれるんじゃないかと、
時々行ってたんですけど、結局ずっと会えないままです」
 「まさか、今でも時々様子を見に行ったりしてるんじゃないだろうな?」
 「ギクッ!」
 「おーい、嘘だろう?」
 「実は、その神社、駅からだと自転車で10分くらいの場所に
あるんですよね」
 「それ以上、言うな・・・」
 理子は笑った。
 「先生」
 「なんだ」
 「もう、とっくに見に行ってませんから」
 増山はおもむろに理子の方へ体を起して、理子の上に覆いかぶさってきた。
理子はドキリとする。目の前に増山の甘い顔があった。増山はずっと
眼鏡を外したままだ。多くの女性を引きつける魅力的な顔がそこにはあった。
 「今度、二人でその神社に行ってみようか」
 思いも寄らない言葉がその口から出て来た。
 「どうしてですか?」
 理子は増山の体の下から訊いた。
 「調べてみないか?祭神とか」
 理子はにんまりと笑った。
 「もう、調査済みです」
 「なんだって?」
 増山は驚く。
 「祭神は、豊受(とようけの)大神(おおみかみ)
・天(あめの)御柱(みはしらの)命(みこと)
・国(くにの)御柱(みはしらの)命(みこと)
・道(ちが)反大神(へしのおおみかみ)
・稚(わか)日留女(ひるめの)命(みこと)の五神です」
 理子は淀みなく答えた。
 「起源は16世紀に地元の豪農に勧請されたようです。実は、
それから暫くして、再営業されたんです。新しい宮司さんが決まったようで」
 増山は呆れ顔になると、ゴロンと転がった。
 「先生?」
 理子は増山の二の腕の上で増山の顔の方を向いた。増山は目を
つむって溜息をついていた。
 そして目を開いて、理子の方を向いた。ドキッとした。
 「お前って、ほんとーに、わからない」
 『とー』がとても長かった。
 「俺、なんだかお前に弄ばれたような気がする」
 理子はプッと吹きだした。
 「笑いごとじゃないぞ」
 増山はふくれる。なんだかそれが、とても可愛い。
 「ごめんなさい。そんなつもりは無かったんですけど。だって、
突然いなくなっちゃったんですよ。住所はわからないし。私に知らせる
手立てって無かったのかな。結局、諦めるしかなくて、行かなくなり
ましたけど、今でもちょっとは気になります」
 「枝本はその事を知ってるのか?」
 「いいえ。話してませんから。正直なところ、忘れてました。
聞かれて思い出したんです」
 「そうか。どんな男の子だったのかな」
 「もう、顔はあまり覚えて無いんです。もし再会しても、わからないと
思います。小1だから身体的特徴も特に無かったと思うし。その当時は
色白な方だったかな。その程度です。遠足の時のクラス写真があって、
どれが彼だかはわかるんですけど、小さいので、顔の特徴が全然わかりません」
 「そうか。随分よく覚えてるから、ちょっとだけ気になったと言うか、妬けた」
 理子は驚いた。
 「先生が?そんな事で妬くんですか?」
 「俺はお前と違って、嫉妬深いんだ」
 と、憮然とした様子で言うのだった。
 「枝本にも、茂木にも、耕介にも妬いた」
 「あら、耕介にまで?」
 「ああ。あいつと噂になっただろう」
 「えっ?先生の耳にまで入ってたんですか?」
 「俺は耳ざといんだ。『理子は否定しなかった』とも聞いて、胸がざわついたよ」
 理子は驚いて増山を見る。
 「そうしたら、今度は枝本と噂になり、そこへ茂木が入ってきた。
最悪だな。でもって、石坂先生とは親しげだし、他に好きな男がいると
お前の口から聞かされた時には、もう、再起不能だ」
 理子は赤くなった。
 「先生。私だって、先生が小松先生とテニスをしているのを見て、
アプローチには冷たいって言ってたのに、嘘つき、って思ったんですよ」
 「見てたのか」
 増山は驚いた。
 「はい。図書室から」
 「図書室・・・・」
 図書室か。確かにあそこからは丸見えだ。気づかなかった。
 「そうか。それで妬いてくれたんだな。ちょっと嬉しいかな。
妬かない女が妬いたんだ」
 と言って、にんまり笑う。
 「妬いたんじゃありません。嘘つきって思ったんです」
 理子がむきになって言った。
 「むきにならなくていい。俺は本当に嬉しいんだから」
 その顔は満面の笑みだった。エクボができている。可愛い。
 「先生って、エクボがあるんですね・・・」
 「あっ、今さら気づいたの?君、俺のどこを見てたの?」
 駄目だ。キャラが変わってる。今度は私が弄ばれる番なのか。
 「もう、いいです」
 そう言って、理子はそっぽを向いた。
 増山はそんな理子を自分の胸へ抱き寄せた。理子の体が増山の右胸に
密着し、頭は肩の上に乗っかった。
 「怒りんぼだなぁ。あの時は、ストレスが溜まっていて、無性に体を
動かしたかったんだ。テニスをしたくらいで、疑われたらたまらないな。
俺がしたかったのはテニスであって、相手は誰でも良かったのさ」
 「だから本当に妬いてませんって。先生が小松先生に気が有るとは
思えませんでしたから」
 だが正直な所、お似合いだと思って胸を痛めたのは確かだった。
でもそれは言えない。
 「ふーん。がっかりだなぁ」
 「先生は、私に妬いて欲しいんですか?」
 「過ぎるのは困るけど、ちょっとくらいはね。無関心でいられるよりいい」
 「適度に妬いて欲しいなんて、調子良すぎます」
 「男って、みんなそんなもんよ」
 「ずるいんですねぇ」
 「女の子はどうなの」
 「さぁ。他の女の子はどうなのか知りませんけど、私は妬いて欲しい
なんて思いませんけど」
 「君って、不思議」
 「先生、どうしていきなり、『君』なんです?」
 「さぁ。どうしてかなぁ。気分かな。『お前』の方が好きか?確か、
初めて二人で話した時、『お前』って言われて怒って無かったか?」
 「そうですけど、相変わらず『お前』なんで、もう馴れました」
 「そうか。まぁ、色々な呼び方でチャンポンになるかもな、これからは」
 そう言って笑うと、増山は理子の額にキスをした。
 「さて。起きるぞ」
 増山は理子を抱きかかえるようにして上体を起こした。
 「どうだ。まだ、痛くて歩け無さそうか?」
 理子は赤くなる。まだ局部はヒリヒリしていたし、相変わらず増山の
ものが入っているような感覚がある。理子はそっと、ベッドから降りて
立ってみた。
 「大丈夫そうです。なんとか普通に歩けそう」
 「そうか。できることなら、明日まで帰したくないんだけどな。仕方がない」
 そう言って増山はベッドから降りた。理子を抱き寄せて口づける。
その手がブラウスの上から胸を揉んできた。理子が喘ぎ声をあげる。
 「理子。ちょっと頼みがあるんだ」
 理子の胸を揉んだまま、悩ましげに増山が言う。
 「またやりたい、なんて、駄目ですよ」
 理子が喘ぎながら答えた。
 「そうじゃないんだ。ブラウスのボタンを外して、確かめたい事がある」
 「えっ?」
 「お前も知っておいた方がいい。でないと、帰宅後にヤバイ事に
なるかもしれない」
増山はそう言うと、理子の口を塞いだ。濃厚なキスをしながら、理子の
ブラウスのボタンを外し、肩から下げた。唇を外して、理子から
2,3歩離れて、理子の体を見た。
 「ああ、やっぱり・・・」
 と言って、微笑んだ。
 理子は恥ずかしくて、手で胸を塞いだ。
 「先生?」
 理子は首を傾げる。そんな理子を見て増山は笑うと、クローゼットを開けた。
 「こっちにきてごらん」
 呼ばれて増山のそばへ行くと、クローゼットのドアに鏡が付いていて、
そこに映った自分の姿を見て理子は驚いた。
 理子の体中、赤やピンクの痣だらけだった。所謂、キスマークだ。
理子は恥ずかしくなって、全身を赤く染めた。
 「可愛いやつだな。これは、俺の刻印だ。この印をお前の体に
付ける事ができるのは、後にも先にも俺だけだ。お前は、一生俺の女だ」
 その言葉に、理子はさらに熱くなるのだった。

スポンサーサイト


*Edit TB(0) | CO(0)

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。