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小説・クロスステッチ第2部 <完>
1.それから ~ 3.結婚式


クロスステッチ 第二部 3.結婚式 06

2010.08.07  *Edit 

 司会が、二人を演じた、枝本とゆきを紹介した。二人はそれぞれに、
結婚への祝辞と、今回の再現ドラマの内容について語った。
「理子ちゃんは、とても優しい人です。高校に入学した最初の時に、
すぐに親しくなりました。それから理子ちゃんとは、色んな所へ
遊びに行き、色んな事を話し合いましたが、先生との事だけは、
話してくれませんでした。何でも話せる親友にすら語れない恋が、
どれだけ辛かったのかと、今回のドラマを演じて改めて知りました」
 女の子には色んな想いがある。相手が大人の担任の先生なら、
尚更色んな複雑な思いがあった筈だ。些細な事で一喜一憂する。
ましてや、二人で一緒に過ごす時間が少ないなら尚更だ。そんな中で、
自分を保ちながら、受験勉強に励み、愛を育んできた二人には
感動すると、ゆきは言った。
「特に、理子ちゃんは、全面的に先生の事を信じていました。
先生はあの通りのルックスの人なので、学校では女の子達から
物凄くモテます。あたしだったら、絶対に心配になっちゃいますけど、
今回のドラマで、先生がどれだけ理子ちゃんを思い、大切に
していたかを知って、理子ちゃんが先生の事を信じていたのも
納得できました。ここまで愛し合える人と出会って結婚できた二人が
とても羨ましいです。これからもずっと、素敵な二人でいてください」
 ゆきの言葉に理子は感動した。親友からの言葉はとても嬉しい。
 引き続いて、枝本が挨拶をした。
「僕は、理子さんの事が好きでした」
 第一声のその言葉に、場内からどよめきの声が上がった。
「実は僕と理子さんは、中学1年生の時に同じクラスでして、
少しだけですが付き合った事があるんです」
 と、理子との関係を簡単に説明し、再会後の自分の思いを話すのだった。
「また、昔のように、いえ、今度はもっと普通の恋人のように
付き合う事ができるようになるんじゃないかって僕は期待していました。
今回の再現ドラマで、僕と付き合って先生の事はきっぱり諦めようと
思った時もあった事を知って、正直驚きました。そうと知っていれば、
あの時にもっと積極的にアプローチすれば良かったと、ちょっと
後悔しました」
 枝本のその言葉に、場内から「おおぉ~」と、どよめきが起こった。
「でも結局、彼女は先生を選びました。担任教師を本気で好きに
なるなんて馬鹿げていると思いながらも、その想いを否定する事が
できなくなってしまってた。そして先生も、初めて本気で好きに
なった女性が、自分の受け持ちの女子高生である事に戸惑い、迷い、
否定し、それでも想いが一杯になって、やがて溢れる程になって
告白してしまった経緯を知って、僕は感動しました。この二人は、
こういう運命だったんだな、と思わずにいられません。そしてこの後、
東大に合格したら結婚すると言う目標に向かって、共に手を携えて
諸難に立ち向かい、乗り越えて来た事は尊敬に値します。東大に
合格する為の理子さんの努力は並大抵では無かったと思います。
苦手な科目を克服する為に毎日職員室へ通い、必死で勉強してました。
僕達から見たら、とても恋愛しているようには見えませんでした。
先生の苦労と心痛も察して余りあるものが有ります。恋人ができれば、
ふれあいたくなるのが自然の道理です。毎日学校で顔を合わせながら、
一言も言葉を交わせない二人の関係が、どんなに辛いものであったか。
それでも、互いを信じていたからこそ、ここまで来れたのだと思います。
これからも、これまでの気持ちを大切にして、二人で幸せになって
欲しいと思っています。特に先生。理子姫を泣かせたら、
僕達が許しませんからね」
 枝本の言葉に、雅春は指をOKの形にして振った。場内がドッと沸いた。
 枝本の挨拶の後、学友代表でドラマにも出演した古川がスピーチをした。
「僕が主催者として関わった平安展に、増山君が理子さんを
連れて来た時には、本当に驚きました。自分の学校の歴研の生徒だと
紹介されて、何だか不安になって『大丈夫なのか?』と訊ねたら、
『大丈夫だが大丈夫じゃない』と言う酷く意味深な答えが返ってきて、
不思議に思ったものでした。増山君は学生の時から正直者で、曖昧な
表現はあまりしないのです。ストレート過ぎて、逆に人から
誤解を受ける程です」
 そして、話は翌年の同窓会の時の事へと移った。
「とにかく彼はモテるんですよ。あの顔ですから、誰でもそうだろうと
思われるでしょう。ところが、あんな顔をしてモテる癖に、本人は
その事にウンザリしてるんです。騒がれたり追いかけられたりするのを
酷く嫌うんです。とことん、女性に冷たい男だったんです。
多分今でも、理子さん以外の女性には冷たい筈です」
 古川の言葉に、雅春は大きく何度も頷いた後、「そうです」と、
マイクに向かって言った。笑いが巻き起こる。
「そんな彼から、同窓会で好きな女性がいると聞かされた時には
驚きました。これまで一度も、本気で女性を好きになった事の無い
彼なのです。そして、その相手が、平安展に連れて来た、あの
女子高生だと聞いた時には、心臓が止まる程、驚きました。女には
困らないコイツが、何故女子高生に、と思いました」
 ここで再び笑いが起こる。
「彼がニュースでも報道された、あの駅での事故に巻き込まれて
見舞いに行った時、病室で理子さんと再会しました。たまたま
昼時だった事もあり、増山君は食事中でした。利き手を骨折していて
箸が使えないので、理子さんに食べさせてもらっている所でした。
その時の彼の顔と言ったら、もう天にも昇るような幸せそうな
顔をしてるんです。僕はそんな彼を、未だかつて一度も見た事が
ありません。同窓会の時に、自分の方から彼女に告白した話しを
聞いて、本気で好きなんだなと言うことをわかっていたつもりでしたが、
その食事の風景を見て、本当に彼の真剣な想いを実感させられたのです。
彼は、二人の時間を『至福の時』と言っていました。本当に、
まさにそんな感じでした。今回の再現ドラマで、二人がどれかけの
思いを抱えていたのか、改めて知り感動しました。増山君は
理子さんの為に、そして二人の愛の為に、敢えて大変な道を
選んだのです。自分が暴走しないように、結婚は東大に合格したら、
と言う条件を付けました。どんなに彼が頑張ってサポートしても、
実際に受験するのは理子さんなのです。理子さんがどこまで
やり切れるのかは未知数です。しかし彼は、理子さんならやり切れると
信じて頑張りました。彼女を、勉強面とメンタル面の両方でサポート
し続けました。理子さんの方も、そんな彼の信頼に答えるべく、
様々な思いを抱えながら頑張って乗り越え、そして無事に合格を
勝ち取りました。本当に良かったです。今こうして、二人の幸せな
姿を見る事ができて、僕は天に感謝しています。本当におめでとう」
 盛大な拍手が巻き起こる。学友達の席からは、ひと際大きな歓声が
上がった。自分も雅春も、共に良い友人に恵まれて幸せだと思った。
どちらの友人達も、二人の幸せを願い、喜んでくれている。
辛かった恋も、これで報われたと思うのだった。


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