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小説・クロスステッチ第2部 <完>
1.それから ~ 3.結婚式


クロスステッチ 第二部 2.新しい風 09

2010.07.31  *Edit 

「あらやだ、先輩。そんなわけないじゃない。
ただのスタディリングでしょう?」
 そんなやり取りを聞いていた周囲が、関心を持って理子に注目した。
「あの・・・。実は私、結婚してるんです」
 理子は真っ赤になって、そう言った。その言葉に、周囲は驚きの
声を上げ、その一団の様子に部屋中の者達が寄って来た。
「ええ~?本当なのぉ?」
 愛理が一番驚いていた。傍へきた美香が、「どうしたの?」と言い、
事の次第を聞いて矢張りとても驚いた顔をしたのだった。
 他の者達も驚いた顔をして理子を見た。
 そんな生徒達の様子に教師陣が不審に思い、傍へやってきた。
「おいおい、君達。一体どうしたって言うんだ?」
 外国語の教師の一人が言った。
「いえ、それが・・・」
 2年の男子が遠慮勝ちに事情を話すと、教師達は顔色を変えた。
「君、もう結婚してるのかい」
「はい・・・」
 驚かれるのは覚悟していたが、予想以上に会場内は騒然として
いる事に理子は戸惑いを覚えた。女子の中には、嫌な表情を
浮かべている者までいる。
「君、まだ幼そうに見えるけど、幾つなの?現役で入ったの?」
 2年の男子がそう言った。理子はムッとした顔をして、
「18です。現役です」
 と、少しぶっきら棒な感じで答えた。すると2年の女子の一人が、
「もしかして、デキ婚?妊娠中なの?」
 と言った。その言葉に、場内がどよめいた。
「違います。妊娠なんてしてません」
 理子は強く言った。そんな事まで言われるとは心外だった。
「デキちゃったわけでもないのに、その年で結婚なんて驚き~。ねぇ?」
 と、周囲に同意を求め、意地悪そうな笑みを浮かべて周囲の
女子達も同意するのだった。
「君、増山さんって言ったよね?」
 文学部の准教授が声を掛けて来た。
「はい。そうです」
「まさかとは思うけど、君のご主人ってここのOB?」
 准教授の言葉に、理子は救われた気がした。
「はい。そうです。増山雅春と言います。日本史の」
 理子の言葉に、教師達は一斉にざわめいた。
「あの増山君かっ!」
 と、感嘆の声が上がる。その様子に、生徒達はみんな驚き戸惑った。
「君、あの増山君の奥さんなのかい。これは驚いた」
 教師達は驚きの目で理子を見た。
「だけど君、よく彼女の御主人が彼だとわかったね」
 教授が准教授に言った。
「ええ。実はこの間、日本史の教授から彼が結婚する事を聞きまして。
あの彼が結婚と聞いてあまりに驚きまして。なんだか信じられ
なかったので、結婚式の招待状を見せて貰ったんですよ。
そこにあった新婦の名前が彼女と同じだったんで、何となく
気になってたんですよ」
「理子君と言ったかな。確かにどこにでもある名前じゃないな」
「結婚式の話しは私も聞いている。確かゴールデンウィーク中と
聞いてるが、そうすると入籍を先にしたと言うことなのかね」
 教授に訊かれて理子は頷いた。
「はい。入学してからだと学生証の変更とか色々大変なので、
先月入籍したんです」
「成る程。しかし、あの増山君の奥さんが君とはね」
 教師達からまじまじと見られて理子は緊張した。
「ねぇ、理子、どういう事なの?旦那さんって、ここのOBの人なの?」
 美香に訊かれた。
「うん。日本史の先輩に当たるの。今の4年の先輩達が
1年の時に4年だったの」
「じゃぁ、結構、離れてるんだね」
「そうなるかな」
 と、理子が言うと、愛理が、
「これから、結婚式をするの?」
 と訊いてきた。
「そうなの。5月3日に」
「えー?じゃぁ、もうすぐじゃない」
 美香が驚いて叫んだ。いつも静かな美香だけに、珍しい。
 先輩の女子達は、理子を遠巻きにするような形で、其々、しきりに
色々な事を口にしていた。
「君、人妻だったんだ。どうりで、どことなく色気を感じると思った」
 と、2年の男子の一人が言うと、
「まだヴァージンだと思ってたのに、既に色々な事を知ってるんだね」
 と、厭らしい笑みを浮かべて言う者もいた。男子の多くは、
いやらしい顔をして理子を見た。2年の女子も、
「あんな顔してて、進んでる」と、言い合っていた。
「俺、がっかりだな~。いいなって思ってたのに~」
 と、クラスメイトの男子の一人が言い、何人かがそれに同調した。
「いいじゃん、別に結婚してたって。そんなの、関係ないよ」と
言う者もいた。
「あの、先生方、その増山先輩って、どういう人なんですか?
先生方のご様子を窺ってると、有名人のような感じがするんですが」
 今まで静か過ぎて、その存在を忘れていた志水が突然言った。
「彼はとても優秀な生徒だったよ」
 と、一人がそう言った。
「受験の時は、文3類ではトップ合格だった」
 その言葉を受けて、生徒達は驚きざわめいた。
「入学後も、全科目トップだ。文学部の日本史に進学し、日本史に
おいては特に優秀でね。研究者として大学へ残ってくれるものと、
誰もが期待していたんだが」
「凄い人なんですね。今は何をされてるのかな」
「確か、高校教師になったと聞いてるが、君、そうだろう?」
 と、理子に同意を求めて来たので、理子は頷いた。
「彼は非常に頭のキレる人間だったね。おまけに、かなりのイケメン
でねぇ。いつも女生徒に追いかけられてたね」
 その言葉に、みんなは理子を見た。そんなイケメンの相手には
不釣り合いのように思っている事が、みんなの顔から窺われた。
「奥さんの前で言うのも何だけど、とにかくモテる男でねぇ。
だが本人はあまり女性には関心が無いようで、冷たいんだよな、
これが。見た目も超クールだし。ただ、いくら撥ねつけても寄って
来るもんだから、結局、早い者勝ちのような感じで、最初に申し
込んできた女子が嫌いなタイプでなかったらオーケーしてたようだ。
一度不思議に思って本人に訊いた事があるんだが、誰かと付き
合ってると、取り敢えず争奪戦から解放されるからそうしてるって
言ってたよ。だが、付き合ってるとは言っても、普通の交際とは
違ったようでね。二股とかはかけないから、決まってしまったら
他の女子の出番は無いんだが、キャンパス内では、大抵は男友達と
一緒で、女を寄せ付けない冷たい雰囲気だったし、声をかけられても、
ちゃんとした用事でなければ、まともに相手にせずに無視してる」
「徹底してるんですね」
 理子は、雅春の話しを訊いている志水を見て、考えてみると、
志水も雅春と同様、女子に冷たい態度をいつもとっている事に
気付いた。微笑み王子はとてもモテる。だが、アプローチしてくる
女子には冷たいのだった。愛理などは、志水にとても関心を持っていて、
何かと話しかけるのだが、答えるべき用件の時以外は無視していると
言っても過言ではないような態度を取っていた。
 普通に、クラスメイトとして話している美香などには、自然に
接しているし、理子に対しては、何故かとても親切なのだが、
親しくなりたくて寄って来る女子に対してはそれこそ、徹底して
冷たいのだった。何故なのだろうと不思議に思う。
「彼は女嫌いなんだって、もっぱらの評判だったよ」
「女嫌いって、じゃぁ、ゲイとか?」
 と、2年の男子が言った。
「彼は女性を相手にするよりも、勉強の方が好きだったんだよ。
とても勉強熱心だった。だが、ゲイなわけじゃない。実際、
こうして奥さんもいる」
 と、教師が言うと、
「隠れ蓑って事もあるんじゃないですか?」
 と、厭らしそうに言うのだった。
「君、捻くれてるね。まぁ、女性に関心が無いと聞けば、そう疑うのも
おかしくは無いかもしれないけどね。実際、彼女と言ったって、
自分からデートに誘う事は全くないと言われてたね。女の子の方から
誘われて、用事が無ければ付き合ってやるってスタンスだったようだ。
体の関係も同じで。非常に淡泊で事後の態度も冷たいから、結局
女子の方が耐えられなくなって去ってくんだ。そしてフリーになると
再び争奪戦が始まり、早い者勝ち。在学中はそれの繰り返しだったねぇ、
女性関係に関しては」
「おいおい、奥さんの前でいいのかい、そんな事まで話して」
 と、教授が心配そうに言った。
「あっ、いや・・・。これは失礼だったね」
 ついうっかり、言い過ぎてしまったと、理子に詫びるような顔をした。
「いえ。大丈夫ですよ。学生時代の事は本人からも聞いてるので、
全部知ってますから」
「えっ?本人から聞いてるの?」
 驚いた顔をされた。
「へぇ~。そういう事を彼女に話してるんだ、彼は。
やっぱり変わった奴なんだな」
 教師の言葉を受けて、2年生達はあれこれと噂し合った。
聞こえてくるのは好意的とは思えない言葉ばかりだ。



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