ChaoS

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

小説・クロスステッチ第2部 <完>
1.それから ~ 3.結婚式


クロスステッチ 第二部 2.新しい風 06

2010.07.28  *Edit 

「やっぱりさ。君が朝早く起きる為には、夜も早めに寝ないと
いけないよな。高校時代は10時だったけど、それは受験の為
だったからであって、流石に今は10時に寝るのは早いよな。
って、俺が言うのも可笑しいか。俺は6時間の睡眠で十分だけど、
君はどうなの?」
「今は多分、4,5時間の睡眠だと思います」
 雅春は少しバツの悪そうな顔をした。
「そっか。ごめんな。確かに少なすぎるよな、それじゃ。疲れも
たまる筈だ。やっぱり、最低でも6時間は寝ないと、昼間の生活に
影響を及ぼすよな。そうなると、11時には寝ないといけないって
わけか。そう考えると、夜って短いな」
 全くもって同感だ。雅春の帰宅は大体7時過ぎだから、4時間しか
一緒に過ごせない。それだって、その4時間を十分二人だけの時間と
して過ごせるわけではない。食事をし、勉強や仕事をし、風呂に入る
時間がある。そうして、ベッドに入った所で、十分過ぎる程の時間を
かけて、2回も愛されるので、眠りにつくのは12時を過ぎる事が
殆どだった。
「11時までに全てを終わらせるには、やっぱり、風呂は一緒に入る
べきだと思うけど、どうかな」
「遠慮したいです」
 理子は真っ赤になって、そう言った。
「どうして。その方が時間の節約になるぞ。中で一回はやれるし」
「先生のエッチ!」
「俺がエッチなのは、十分わかってるだろう」
 この人に、しない、と言う選択肢は無いのだろうか。
「お風呂くらい、一人でゆっくり入りたいです。それに今は先生の
帰宅前に入ってるし。だから一緒に入っても時間の節約には
ならないと思います」
「ずるいなぁ~。それって、俺と入るのを避けてるんじゃない?
俺は君とゆっくり入りたいのに。また、俺のを洗ってもらいたいし」
 雅春の言葉に、理子は真っ赤になって、そばにあったクッションを
投げつけた。雅春はそれを素早く避ける。
「こらこら。物を投げるなんて、止めなさい」
 雅春は教師然とした態度でそう言った。
「だって、先生が恥ずかしい事を言うから・・・」
 理子の言葉にフフンと笑うと、雅春は手を伸ばして理子を押し倒した。
「一緒にお風呂に入ろう」
 素敵な顔を間近にして、魅力的な声でそう囁かれると、
無下に嫌だと言えない。それを知っていてやっているのだろうか。
 真っ赤になっている理子の唇に、雅春の唇が重なった。
舌先で唇を舐められて、鼓動が高鳴る。雅春はゆっくりと舌を回して、
上下の唇を何度も舐めあげた。そうして、その舌が口の中へと侵入し、
理子の舌を捉えるのだった。濃厚なキスをされているうちに、
頭は真っ白になり、思考が停止する。知覚だけが異常なくらいに
敏感になり、快楽を追及しようとする。
「一緒に、お風呂に入ろう」
 耳元で優しく甘い声で囁かれて、理子は思わず頷いてしまった。
頷いてしまった後で、ハッとして、慌てて身を起こした。
「先生、ずるい!色仕掛けですか」
 理子は叫んだ。
「ちぇっ。駄目だったか」
「先生、酷い!卑怯だわ。私を上手い事丸めこもうとしましたね」
 理子は雅春を睨みつけた。
「なんだよ、いいじゃないか。なんで、そんなに嫌がるんだよ」
「一つは、とっても恥ずかしい事。二つ目は、気が張って疲れが
取れないって事。理由は以上です」
「わかったよ、君がそうまで言うなら諦めるよ。でも、たまの
休日なら、いいだろう?」
「嫌です」
 理子はきっぱりと言い放った。
「そんなに、はっきりと断るのか」
 雅春は少しむくれた顔をした。
「先生こそ、どうしてそんなにこだわるんですか?」
「決まってるだろう。エッチだからだ」
 雅春は何のためらいも無くそう言った。
「彼女と一緒にお風呂に入るのは、男の憧れの一つでもあるんだ。
お風呂の中と言うのは、裸の場所だ。何の遠慮もなく、全てを互いに
曝け出せる場所だろう。それこそ、裸と裸の付き合いなんだ。
互いをより深く知る為にも必要な事だ。そうして、
洗いっこをしてだな・・・」
「もう、結構です」
 理子は真っ赤になって、雅春の言葉を遮った。
「俺の話し、聞いてくれないの?」
「ごめんなさい。恥ずかしくて、それ以上は聞けそうにありません」
 雅春は軽く溜息を吐いた。
「君がそこまで嫌だって言うなら、しょうがない。
ガッカリだけど、諦める」
 本当に、残念そうな顔をして言う雅春を見て、理子の心が揺れた。
雅春はこういう時、寂しそうな少年のような顔をするので、それを
見ると理子の母性本能がくすぐられて、要望を叶えてやりたくなって
しまう。この人はもしかしたら、ねだり上手なのかもしれない。
義母ももしかしたら、こういうこの人を、ついつい甘やかして
しまっていたのではないかと、想像する。
「先生・・・」
「何だい?」
 甘く切ない表情で理子を見る。その顔を見て、駄目だと理子は思った。
「たまの休日なら、・・・いいですよ・・・」
 消え入りそうな声で、理子がそう言うと、雅春の表情が明るくなった。
「本当に、たまにですよ。因みに今日は嫌ですから」
 真っ赤になっている理子に、雅春は口づけた。
「ありがとう。嬉しいよ」
 そう言って、何度も何度もキスをする。
 駄目だ。この人にはかなわない。結局、この人のペースで
運ばれてしまうんだ。
「先生。その代わりと言っては何ですけど、平日の方なんですけど、
無い時があっても可って言うのは駄目でしょうか」
 理子の言葉に、雅春は目を剥いた。
「それは駄目。そんなの駄目。絶対に駄目」
 雅春はすかさず、理子の提案を却下した。
「でも、付き合いで遅くなる晩とかも、これからは有るわけだし」
「遅くって言ったって、深夜までじゃないだろう?」
「それはそうですけど・・・」
「思うに君は、やっぱり俺に抱かれるのが嫌なんだろう」
 雅春の言葉に、理子はカチンときた。
「どうして、そういう事を言うの?酷いじゃない。一緒にお風呂に
入ることを譲歩してあげたって言うのに」
 理子が突然、切れた。
「そもそも、話しの最初に、正直に言えって言ったのはあなたでしょ。
私だって、できればあなたに抱かれてあげたいわよ。でも時間が
足りないんだからしょがないじゃない。何も毎日って言ってる
訳でもないのに、抱かれるのが嫌って、何よ。嫌だって言わせたい訳?」
 理子は捲(まく)し立てるように一気に言った。その勢いに
雅春は驚いた。理子が怒ると言葉づかいが変わるのは既に知っている。
だが、こんな風に切れたのは初めてかもしれない。
「二人にとって、より良くなる為に見直すんだ。どちらかの為じゃ
なくて、二人の為に、って言ったのは、どこの誰だったかしら。
私に拒否する権利はないの?」
 雅春は一息吐くと、
「言いたい事は、それだけ?」
 と言った。雅春のその言葉に、理子は怒りを含んだ顔のまま、
リビングを出て自室へ入ったのだった。
 雅春はその後を追った。理子の部屋をノックするが、返事はない。
「理子、入るよ」
 そう言って、雅春は理子の部屋へ入った。
「お義姉さんが言った通り、其々の部屋ってやっぱり必要だったわね」
 理子が硬い表情と声でそう言った。
「理子、ごめん。俺が悪かった。だけど、俺も傷ついた」
「傷ついてるのは私の方よ。抱かれるのが嫌って、何なの?どうして、
そういう事を言うの?何も知らなかった私が、畏れながらもあなたを
受け入れてここまで来たというのに、どうしてそんな酷い事を言うのよ」
「すまない。本気で言ったんじゃないんだ。
君がつれない事を言うから、つい」
「あなたは、いつもそうやって、私を責めて傷つけるのね」
「傷つけるつもりなんて、無いよ。結果的にそうなってしまっただけで」
 理子は軽く溜息を吐いた。駄目だ。このままでは、自分が何を
言うかわからない。もっと酷い事を言って、先生を傷つけかねない。
頭を冷やさねば。
「先生。私ちょっと外へ出て来てもいいですか?」
 雅春は理子の言葉に驚いた。
「どうして」
「ちょっと、買い物してきます」
「それなら、俺も一緒に行く」
 雅春の言葉に理子は首を振った。
「いや、駄目だ。俺も行く。一緒に行かせてくれ」
 理子は雅春を見上げて行った。
「どうして、私のお願いを聞いてくれないんですか」
 雅春は言葉に詰まった。そんな風に言われたら、
どう返したら良いのか戸惑う。
「少し一人になって、頭を冷やしてきたいんです」
「理子。悪いのは俺だ。君が頭を冷やす必要なんて、無いよ。
君にだって拒否する権利はあるんだ。俺が我儘だったんだ」
「そうおっしゃるなら、私を一人で行かせて下さい」
「わかったよ。だけど、なるべく早く戻ってきてくれないか?
心配なんだ」
 雅春の言葉に理子は軽く微笑むと、バッグを持って部屋を出た。
雅春も一緒に出て、玄関まで見送った。
「行って来ます」
 理子は家を出た。一歩外に出て思う。ここへ来て、
自分が「行って来ます」と言って家を出たのは、これが初めてだと。
そうして、ここへ来てから初めて解放感が湧いてきた事に気付いた。
 雅春と出会った頃、音楽準備室で雅春と偶然コミュして、
部屋から出た時に、物凄く解放された時の事を思い出し、
なんだかその時と似ていると思った。どうして、こんなに
解放された気になるのだろうか。
スポンサーサイト



*Edit TB(0) | CO(0)

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。