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小説・クロスステッチ第2部 <完>
1.それから ~ 3.結婚式


クロスステッチ 第二部 2.新しい風 01

2010.07.23  *Edit 

 大学生活が始まった。雅春のお陰で、効率よく履修科目が取れて、
無駄な穴が空くような時間割にならずに済んだ。
 毎朝、雅春を7時過ぎに送り出し、一通りの家事を終えてから
1時限から授業がある日は8時に、2時限の時には9時半頃に家を
出るのだった。雅春のお陰で遅くても4時限で終わる為、
5時頃に帰宅できる。
 雅春が帰宅するのは大体、7時頃だった。それまでの間に、
理子は夕飯の支度と風呂を済ませてしまう。風呂が遅くなると、
また一緒に入ろうと言われそうな気がしたので、それを避ける目的もあった。
 雅春は今年度も3年生の担任になった。去年始めた補習クラスも
続行されたので、忙しさに追われていた。毎日の授業の準備の他に、
受け持ちの生徒達と、補習クラスの生徒達の学力の把握や今後の
カリキュラムや指導の作成、月に数度ある教員の研修会の下調べや
報告書の作成など、仕事はいつも山積みといった感じだ。
「学校の方は、どう?慣れた?」
 夕食のスープを口にしながら、雅春が言った。
「慣れてきました。授業の時間が長いのが、ちょっと疲れますけど」
「長いと言っても、90分きっちり授業をする先生はいないだろう?」
「そうですけど、退屈な授業もあるし・・・」
 とても、眠くなる授業をする先生が数人いる。理子は雅春と結婚
してから、毎日寝不足気味なので、そういう授業の時が一番辛かった。
「勉強熱心な君でも、眠くなることがあるんだ」
「ありますよ~。中学や高校の時とは、授業の形態も時間も違うん
ですから。先生は、どうだったんですか?在学中は」
「俺も、あるにはあった。まぁ、そういう授業をする教師って
必ずいるよな」
 そう言って笑った。矢張り、そういうものなんだ。
「友達は、どう?」
「友達ですか。ぼちぼちですね。日本史好きの女の子の友達が
出来たのが、嬉しいです。いつも、男ばっかりだったから」
 理子はそう言って笑った。
 大学で同じクラスになった中で、歴史好きの人間同士で自然と
親しくなったのだった。東大は1,2年のうちは教養学部に所属し、
3年になる時の成績で志望の学部学科へと進む。学内では「進学」
と呼ばれているのだが、定員があるので成績が悪いと希望学部へ
進学できない事も有るのだった。
 理子が希望している歴史関係は文学部内にある。文学部は文3類に
属する。大体の生徒は入学当初から進学先の学部は決まっていて、
そのまま進学するが、中には変更する者もいる。どの学部へ進学
するにしても、規定の単位数と成績を修めていないといけない。
 だから、最初の履修登録はみんな悩む。その点で、理子は雅春に随
分と助けて貰ったので楽だった。
 学内で特に親しくなったのは、新潟から上京してきた色白で
おしとやかな印象の上村美香と、スタイル抜群で、目鼻立ちが
はっきりしたキュートな感じの加藤愛理の二人だった。
「男子の方はどうなの?また、モテてるんじゃないのかな」
 雅春が不審そうに理子を見る。
「モテてるなんて、そんなの、先生の偏見ですよ」
 と理子は言った。相変わらず自覚が無い。
 だが、一人だけ、気になる男子がいる。志水彰人(あきひと)と言う。
 いつも時間より早い理子の隣の席へ、毎朝やって来る。それ以降の
授業でも、同じ教室へと移動する。
 えっ?また一緒なの?
 最初の授業の日、一日一緒だった事に驚いた。二日目も同じだった。
三日目には、一体どうなってるの?と思った。そこで本人に履修科目
について聞いてみたら、全て同じだった。これには驚愕した。
「なんか、凄い偶然じゃない?」
 理子は驚いてそう言った。志水は、
「一番効率良く履修しただけなんだけどね。同じ履修をしてる人が
いるとは僕も思わなかった」
 と言って笑った。
 全く同じ履修をしている者は、他にはいなかった。理子と志水だけだ。 
必修科目を押さえた上で、選択科目をどう効率良く取るかは至難の
業である。しかも、なるべく早くそれを見極めて申し込まないと
取れない場合がある。理子は既に経験済みで、尚且つ頭の切れる
雅春がいたから出来た事なので、それを自力でやった志水は凄いと思う。
 そんなわけだったから、毎日、朝から帰りまでずっと同じ教室で
授業を受けている。同じクラスだけに、同じ授業を履修していれば
自然と一緒に座る事が多い。だから志水とは全科目で、隣もしくは
極々近い席で授業を受けている。当然、話す機会も多く、自然と
親しくなった。
 志水も日本史へ進学する事を既に決めていた。鎌倉時代を得意と
している。背は170を少し超えている感じか。細身で、優しげな
面持ちをしており、色白だ。いつも笑みを浮かべているような顔を
している。謎の微笑を湛えているといった感じだ。物腰も柔らかく、
上品である。喋り方も落ち着いていた。いい男なので、既に
キャンパス内では静かな評判を呼んでいる。まだ入学間も無いが、
やがて人気者になるだろう。
 毎日、一日中一緒にいる。同じ教室へ移動する為、移動する時も
一緒となる。昼休みも一緒に学食へ行く。学食では、
他のクラスメイト達と合流する。
「志水君って、いっつも理子と一緒に行動してるわよね」
 と、昼休みに愛理に言われた。
 そう言われるのも、無理は無い。
 その志水の事は、まだ雅春には話してはいない。
「結婚してる事は、みんなはもう知ってるんだよね」
 雅春は念を押すような言い方をした。
「さぁ。わかりません」
「わからないって、どういう意味だい?指輪してるんだし、
言われないのか?」
「それが、言われないんですよ。全然、訊かれません。訊かれ
ないのに、自分から、私結婚してるの~、とは言えないじゃないですか」
 理子の言葉を聞いて、雅春は首を捻った。女子は目聡いから、
気付かないと言う事は無いだろう。男子だって、理子に興味を
持てばすぐに気付く筈だ。
「彼氏がいる、とは思ってるんじゃないのかな。学部内を見渡すと、
左手の薬指に指輪をしてる女子って、いるにはいるんですよね。
最近は、結婚に関係なく、ラブな相手から貰った指輪をここに
する女の子、多いみたいだし」
 理子の言葉に、雅春は憮然とする。
「君は確か、クラス委員になったって言ってたよな」
 雅春が言う通り、理子はクラス委員に選ばれてしまった。
主事の先生からの指名だった。
 自分と、もう一人、林宏史(ひろふみ)と言う、色白で中肉中背の
眼鏡をかけた岡山出身の男子が選ばれた。睫毛が長くて濃く、
整った目鼻立ちをしている。将棋の羽生善治を少しだけ甘くした
感じだ。笑顔がとても爽やかで、瞳が輝いているように綺麗だった。
性格は大人しく無口な方で、話しかけても話しが発展せずに終わって
しまう。ただ、理子と同じ古代史好きで、古代史の話しとなると俄然、
話しが弾むのだった。
「4年に俺の知ってる後輩がいるんだ。安藤和明と言うんだが、
まだ知らないよな」
「はい。キャンパス自体、違いますし」
 2年までは駒場キャンパスで、3年から本郷キャンパスへ移る。
だから、1年生にとっては、3,4年生との関わりは少ない。
サークルとゼミくらいだ。
「新歓コンパはいつあるの?」
「28日です」
「ゴールデンウィークの前日じゃないか」
「そうなんです」
 二人は2週間後に結婚式を控えていた。義姉の紫が全ての段取りを
引き受けてくれているので、当事者の二人は既に当日を迎えるのみと
なっているが、精神的には落ち着かない。
「君にとっては、慌ただしい感じだな」
 雅春は同情するような顔つきでそう言った。理子は微笑み返したが、
そう思うなら、毎晩抱かないで欲しいと内心では思うのだった。
 雅春と入籍してから、抱かれない夜は一度も無い。在学中、ずっと
我慢してきた反動なのだろうか。元々、制限のある付き合いの中で、
抱く時には一度では済まず、執拗な人だったが、それは抑圧された
交際の反動だと思っていた。
 だが、入籍して以来、雅春は毎晩理子を抱く。しかも、一度では
済まない。平日は2度、休日は3度か4度も貫かれる。理子は
毎朝5時に起きるので、遅くにまで及ぶ性行為に段々と疲れて
来ていた。それでも春休みのうちはまだ良かった。教習所へ通う
くらいだったから、昼間家でウトウトできた。
 だが、大学が始まってからは、目まぐるしいような日々の連続だ。
帰宅して、洗濯物をとりこみ、食事の下準備をしてから風呂に入る。
雅春が帰宅する直前に下準備しておいた食事の仕上げをし、二人の
食事が始まる。7時半過ぎに食事が終わった後は、8時くらいまで
二人でハーブティを飲みながら一緒に過ごし、理子は朝食やお弁当の
下準備をしてからアイロン掛けをし、それから自室で勉強する。
寝る頃にはかなり疲れているのだった。
 その状態で、執拗に2度も抱かれるのだった。眠りにつくのは
12時を過ぎる。そして、翌朝は5時に起き、雅春が起きて来る
6時までに、朝食とお弁当の支度をし、洗濯機を回して掃除をする。
 雅春はとても綺麗好きなので、掃除には気を使う。自分の部屋は
自分でするから、と言われているので、その分は助かってはいるが、
矢張り広い分、拭き掃除が大変だった。特に、大きな窓が多いので、
窓ふきに手がかかる。
 理子は何でも合理的に行動する傾向にあるので、掃除も如何に
効率良く出来るかを事前によく吟味して計算し、工夫して行う為、
人よりも作業に要する時間は短い。だから料理も早いのだが、
それでも大変だった。
 休日は、雅春も家事を手伝ってくれる。ランチも作ってくれたりする。
だが、平日の忙しさの緩和には、なってはくれない。正直なところ、
もっと自分の時間が欲しい。読みたい本も沢山あるし、勉強にも
もっと力を入れたい。趣味の手芸やピアノをゆったり弾く時間が
欲しい。毎日練習したいのに、学校が始まってからは全く練習
できていなかった。
「寝不足なんじゃない?いつも眠そうな感じがするけど」
 と、美香に言われた事もあるし、授業の間の僅かな休み時間も、
友達と会話もせずに、机に突っ伏して寝てしまう時もある。
 一緒に暮らせるようになって、とても嬉しい。毎晩、雅春に抱か
れるのも、本当は嬉しい。一つになれる歓びがある。雅春だって、
毎晩帰る時間が早いわけでは無いから、共に過ごせる時間は僅かだ。
その僅かな時間の中で愛し合う。
 存在そのものが悩ましいくらいの相手だから、その少し色の薄い
瞳でジッと見つめられたら、うっとりして全身の力が抜けてくるし、
すべすべした長い指を持つ大きな手で触れられたら、痺れてくる。
そして、その腕に抱き寄せられたら、そのまま身を任せずにはいられない。
 だから、抱かれる事に不満を持っているわけではない。だが、
今の理子にとっては、セックスよりもゆっくりと眠りたい欲求の
方が強かった。とにかく、時間に余裕が無いのだった。
「理子、もしかして疲れてる?」
 雅春が言った。少しは感じてくれたようだ。
 理子は黙って頷いた。
「高校の時とは違うからな。通学にも時間がかかるし。慣れれば、
少し楽になるとは思うんだが」
 そう言う雅春に、理子は力なく笑った。理子の疲れを感じては
くれたものの、自分がその一端を担っているとは、
まだ思っていないようだ。
 その晩も、理子は2回、貫かれたのだった。


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~ Comment ~

Re: NoTitle>水聖様 

水聖さん♪

コメント、ありがとうございます。

先生、夢中になり過ぎちゃってるんでしょうね。

先生のこの果てない欲望と強い嫉妬心には、理子も悩まされます。
可哀想に。まだ、10代なのに……ww

NoTitle 

先生、ヤリ過ぎですwww
理子ちゃんの体のことも考えて少しは我慢しないと。
大学の友達のキャラが増えましたね。
気になる男子も・・・。
理子ちゃんはモテるから先生も気が気じゃないでしょうね。

Re: まぁねぇ>OH林檎様 

OH林檎さん♪

ご指摘、ありがとうございます。早速、直しておきました。
助かりました。^^

先生は凄いっすねぇ。
本当に絶倫です。
これで、理子と付き合う前は淡泊だったって言うんだから、
不思議な人です。
相手が理子だと、どうしても欲情しっぱなしのようで(^_^;)

羨ましいけど、やっぱり毎日じゃぁ、もたないですよね……。

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まぁねぇ 

家庭+学校+性欲処理じゃ疲れるわなぁ。
おばちゃんからしてみりゃぁ、贅沢な悩みですけど(笑)
それにしても先生はすごい!
毎晩、スッポンを丸飲みしてるのか!?ってくらい(爆)
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