ChaoS

スポンサー広告


スポンサーサイト

--.--.--  *Edit 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



*Edit TB(-) | CO(-) 

小説・クロスステッチ第2部 <完>
1.それから ~ 3.結婚式


クロスステッチ 第二部 1.それから 06

2010.07.19  *Edit 

 夜の7時に近い頃、雅春に連れられて教師達がやって来た。
諸星、石坂、熊田、斎藤、柳沢、小松、横川の総勢7人だ。
みんな、新居へ来て同じように驚く。そして、賃貸でない事に更に
驚くのだった。同じ職業の者達である。同期は収入は同じだし、
先輩達は十分過ぎるほどわかっている。
「よぉ、理子!やってきたぞー」
 既に飲む前からテンションが高い諸星だった。
「いらっしゃいませー」
 と、理子が高らかに声をかけると、
「ここは居酒屋か?」
と、熊田が笑った。
「凄い広―い」
 と、女性陣が声を上げた。ここのリンビングの広さは、
初めての者には驚きだろう。
「吉住さん、凄くいいピアノが置いてあるのね」
 横川が感嘆の声を上げた。
「それ、先生が買ってくれたんです」
 ええー?と全員が驚いた。
「君、マンションだけじゃなく、グランドピアノまで買ったの?」
 と、熊田が小さい目を大きくして言った。
「私達、他のお部屋も見てみたいわ。将来の参考にしたいし。駄目かしら?」
 と、小松と柳沢が言った。
「どうぞ、ご遠慮なく」
 理子の言葉に、横川を加えた女性陣3人は、あちこちを見て回っては
感嘆の声を上げていた。その声に興味をそそられたのか、諸星と斎藤も
腰をあげて3人の後を着いて回った。熊田と石坂は、苦笑いを浮かべて、
勧められたソファーに座った。
「熊田先生の新居と比べて、如何です?」
 理子が熊田に声をかけると、熊田は笑った。
「吉住は、本当に減らず口だな。教師をからかって、何が面白いんだ?」
「面白いに決まってるじゃないですか。先生だって、生徒だった
時の事を思い出してみて下さいよ」
「増山先生は、物好きだな。奇特と言うべきか」
「両方ですね」
 と、理子が平然と言う。熊田はそんな理子に呆れ顔をした。
 理子は学校から帰ると、早速、もてなしの準備に取り掛かり、
何品もの料理を作り上げていた。それを次々に出す。
「お料理、上手ねぇ」
 と、喜ばれた。ここにいる女教師達は、揃って料理は得意では無かった。
「まだ子供の癖に、料理上手じゃないか。良かったな、増山先生」
「諸星先生、まだ子供って酷いじゃないですか。未成年ですけど、
結婚した場合は成人とみなされるんですよ」
「みなされても、子供は子供だろうがぁ」
「いやぁ、理子君はもう子供じゃないよ。僕は本当に、残念だった・・・」
 石坂は少し酔いが回って来たようである。
「石坂先生。君はそれ以上は飲まない方がいい。こんなに弱いとは知らなかった」
 どうも、石坂と斎藤は弱いようだ。諸星と熊田、そして雅春は強い。
3人とも、それなりに飲んでいるのに、全く平気な顔をしている。
話しも冷静だ。女性陣も酒豪だった。
「理子は、どうなんだ?少しは飲めるのか?」
「諸星先生、未成年に何を言ってるんです」
 石坂が言う。
「いや、別に勧めているわけじゃないよ。飲めるか否かを聞いている
だけだ。未成年と言ったって、家庭でちょっとは飲んだりするだろう。
お屠蘇とかワインとかシャンパンとかを」
「私、全然駄目です。弱いみたいですよ。クリスマスの時に父に勧め
られてワインを二口くらい飲んだ事がありますけど、すぐにバタン
キューでした。アルコールの匂いも苦手だし」
「そうか。じゃぁ、もし二人きりになるような事があったら、
飲ませれば好い訳だな」
 そう言って、イヒヒといやらしげに笑うのだった。
「普段、生意気な口をきいてても、飲んだら色っぽくなるんだろうなぁ」
 と、熊田が言った。
「お二方とも、いやらしいわぁ~」
 と柳沢が言った。眉間に皺を寄せている。
「柳沢先生は、潔癖症なんですかねぇ。そういう話しになると、
途端に嫌悪感を露わにしますね」
 との熊田の言葉に、
「そうなんですよ。柳沢先生は堅くって。だから男っ気がまるで
無いんです」
 と、小松が言う。それに対して柳沢が「失礼ね」とむくれた。
「あなたの方こそ、増山先生にフラれたからって、人に八つ当たり
しないで下さいな」
 柳沢のその言葉に、小松は真っ赤になって怒った。
 まぁまぁ、と斎藤が間に入ってなだめる。
「だけど理子、お前結婚したってのに、全然変わらないなぁ。
ちっとも色っぽくないじゃないか」
 諸星の言葉に、理子はちょっと驚いた顔をして瞬きを数回して、
雅春の方を見た。その理子の視線を受けて、雅春は苦笑する。
「そんな事をおっしゃられても、困ります。私のせいじゃ無いですから」
「それはそうだろうが、生娘然としてるよなぁ。もう、知ってる
筈なのに・・・。って、まさか、増山先生、まだ後生大切にしてる
わけじゃないだろうな?」
 その言葉に、益々苦笑する雅春だった。
「僕が思うに・・・」
 熊田が言葉を挟んだ。
「当然、生娘じゃないでしょう」
 ニヒルな笑みを浮かべてそう言った。
「何の根拠があって」
 と、諸星が突っ込む。
「諸星先生、どうしてそんなにこだわるんですか?私が生娘か否か、
そんなにお知りになりたいんですか?」
「おお。知りたい。石坂先生もだろう?俺達は理子に惚れてるんだ。
だから知りたいんだ」
 と力強く言った。同意を求められた石坂は迷惑そうな顔をしている。
理子は軽く溜息を吐いてから言った。
「愛し合って結婚したんですから、生娘じゃなくて当然じゃないですか」
理子の言葉に、何故か一同、赤面した。
「ちょ、ちょっと理子、そんなに堂々と言わなくても・・・」
 柳沢は顔が真っ赤だった。
「最近の若い子は、そういう事を平気で言えるのねぇ」
 と、小松が少し厭味っぽく言った。小松は雅春に思いを寄せて
いたので、理子に嫉妬していた。
「理子君は、随分と大胆なんだねぇ。今日の職員室でもそう思ったけれども・・・」
 石坂は冷や冷やしているような顔でそう言った。
「石坂先生の方こそ、大胆じゃないですか。職員室で、私何度も
ヒヤヒヤさせられましたよ」
「ああ、それは済まなかったね。もう、忘れてくれたまえ」
「そうだ。石坂先生も、もう懲りただろう。俺が言ったように、
覚悟が無いと駄目だ。だけど理子、お前の言う事はわかったけど、
それにしても見た目は変わらないなぁ。増山先生、どうなんだ、理子は。
どんな味がした」
「また、その話しですか・・・」
 しつこい。どうしてこんなに諸星はこの件に関して、
こうもしつこいのか。
「諸星先生。味って、どういう意味ですか?なんか味とかする
ものなんですか?」
 理子が諸星に、大真面目な顔で訊ねた。雅春は、理子のこの態度に
驚いた。昼間、川上から個人授業について訊ねた時にも、雅春は
驚いていた。そういう事を臆面も無く、相手を真っすぐ見据えて
訊ねる理子を理解しがたく思う。揶揄して訊ねているのか、それとも
本当に言葉の真意を知りたくて訊ねているのか。
 突っ込んで訊かれた諸星は、少し躊躇する。
「そ、それはだな。味と言っても食べ物じゃないから、舌で感じる
味覚とは違うんだ」
「じゃぁ、どんな味なんですか?どうやって感じるんですか?
諸星先生は、どうなの?」
 理子の立て続けの質問に、女性陣達は顔を赤らめながらも笑っていた。
男性陣もにやけている。
「どんな味と言われてもな・・・」
 人に『どんな味がした』と訊いておきながら、自分で答えられない
諸星だった。理子は落胆したように大きく溜息をつくと、雅春の方を
振り返って言った。
「先生、教えて。私って、どんな味がするの?」
 雅春は理子の言葉に絶句した。二の句が継げない。皆も驚愕の目を
理子に向けていた。まさか、自分の味を訊くとは誰も想像して
いなかった。雅春は暫く考えてから、言った。
「そんな事を言われても、わからない」
「それって、まずかったって事?」
「馬鹿、そんなわけないだろう。君は極上だ」
 雅春の言葉に、理子はにっこり笑った。そして諸星の方を向いて言う。
「極上なんだそうですよ」
 諸星は暫く唖然とした後、声を上げて笑った。理子の大胆不敵さ
には参る、と思った。
「増山先生。恥ずかしい事を彼女に言わされてしまいましたね」
 と、熊田が笑いながら言った。
「そうですね。諸星先生が、あまりに執拗だからですよ」
 と、雅春は諸星のせいにした。
「おい、君、人のせいにするなよ」
「でも、諸星先生、本当にしつこいですよ。本人を前にして訊く
事じゃないでしょうに」
 斎藤が言った。女性陣もそうだ、そうだと同意した。
「そうは言うがな。理子には、どこか手籠めにしたくなるような
魅力があるんだよ。だから、そんな女を目の前にして、いつまでも
我慢してるのは体に毒だろうが。幾ら理子が若いからってな。
遠慮するにも程がある」
 諸星の言葉に、雅春はフッと笑ってから言った。
「遠慮なんて、してませんよ。諸星先生が以前おっしゃったように、
自分のものにしておかないと気が治まらない、そんな気にさせる
ヤツです。互いに好きだと知ったら、我慢なんてできる筈ないじゃ
ありませんか」
 雅春の言葉に、諸星は目を見開いて驚いた。他の教師達も驚いた
顔をしている。理子だけが平然としていた。


blogram投票ボタン ←ヨロシクお願いします。

スポンサーサイト



*Edit TB(0) | CO(2)

~ Comment ~

Re: NoTitle>OH林檎様 

OH林檎さん♪

コメント、ありがとうございます。

本当に、二人で住むには広い部屋です。
そのうち、こぼれ話系で部屋の見取り図を載せますね。

先生、お金持ちだから、いいよなぁ~。
羨ましいです。
少しは苛めてやらないとね( ̄∀ ̄)

NoTitle 

こんな広くて素敵な部屋で(しかもグランドピアノ付き!)幸せそうな2人を見たら
ちょっと困らせてやりたいなぁと思いますねぇ。
諸星先生、もっとがんばって!!!
管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。
 ◆Home  ◆Novel List  ◆All  ◆通常ブログ画面  ▲PageTop 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。