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小説・クロスステッチ第2部 <完>
1.それから ~ 3.結婚式


クロスステッチ 第二部 1.それから 03

2010.07.16  *Edit 

「まぁ、そういうわけで、金曜日、学校へ挨拶に来てくれないか?」
 雅春に言われて、理子は複雑な思いに駆られた。確かに、
東大合格の報告や挨拶をしたいにはしたい。だが、雅春と入籍した今、
どんな顔をして会ったら良いのだろう。
「恥ずかしいんだろう?」
 にやけ顔で雅春がそう言った。
「当然ですよ。私は先生と違って、ちゃんと恥じらいを持ってますから」
「酷いなぁ、それは。俺だって、恥じらいくらいちゃんと持ってるぞ」
「へぇ~」
 と理子が微かに笑みを浮かべて言ったら、雅春はむくれ顔になった。
「そっちこそ、今日はどうだったんだ?色々と手続きを
してきたんだろう?」
「大忙しでしたよ。最後に教習所へ行って来たんですけど、
担当教官に最初は結婚したって信じて貰えなくて。名字が
変わってるのに気付いて何て言ったと思います?
『親御さん、離婚したの?』って言ったんですよ。そうじゃなくて、
私が結婚したんだって言っても、冗談はやめなさいって。
指輪を見せてやっと、信じて貰えたと言うか。そうしたら今度は
根掘り葉掘りと色々訊かれて、参っちゃいました」
 はっはっはっはっはっと、雅春は大笑いした。
「それは面白い。まぁ、君の若さじゃ、結婚したって言っても、
最初はジョークだと思うんだろうなぁ。俺は、ブラバンの部活で
すぐに女子が指輪に気づいて、もう大騒ぎだったよ。
根掘り葉掘り訊かれる前に、さっさとシャットアウトしたけど」
「先生の場合はシャットアウトできる立場だからいいですよ。
でも私の場合は、そうもいきません」
「この先も、前途多難だな。俺はともかく、君は行く先々で、
同じ目に遭うわけだ」
「でしょうね。少なくとも大学卒業するまでは、初対面の人に
言われ続けるんでしょうね」
 理子が少しウンザリした顔でそう言うと、雅春は理子を抱き寄せた。
「いいじゃないか。その度に自慢すれば。それに、既婚者と知れば
余計な虫も寄って来なくて済む」
 理子を抱き寄せた雅春は、理子の髪に口づけた。
 それだけで、理子の胸はキュッとなる。赤い顔をしながら、
「なんだかそれも、ちょっとつまんない気もするかな」
 と言った。
「どういう意味だ?」
 雅春は眉間を寄せて、怪訝そうな顔をした。
「ごめんなさい。深い意味は無いです」
「深い意味じゃなくてもいいから、意味を教えてくれないか」
 雅春はしつこく食い下がった。
「ちょっとした、冗談ですよ」
「わかった。結局のところ、チヤホヤされたいんだろう、君は」
「あははは・・・・」
 理子は笑って誤魔化した。本当に、ほんの冗談のつもりだった。
「何故、笑って誤魔化す?君はもしかして、結婚している事を
公にしたくないのか?」
 雅春の声のトーンが少し変わった事に理子は気付いた。
機嫌を損ねつつあるように感じた。
「そんな事ありません。ただ、いちいち説明するのが面倒くさいのと、
恥ずかしいだけです」
 理子は控えめにそう言った。
「面倒くさいのは、わかる。俺も同じだ。だが、恥ずかしいってのは
気に入らないな。恥ずかしい事なんて、何もないじゃないか」
 雅春は憮然と答えた。
「恥ずかしいものは、恥ずかしいんです。何故とか訊かれても、
答えに困るから訊かないで下さい」
 羞恥心に少々欠ける雅春にとって、理子の言う恥ずかしさは
理解できない。だが、若い女の子なのだから、当たり前の
事なのかもしれないと思い直した。
「わかったよ。君がそう言うなら、もう訊かない」
 雅春はそう言うと、理子を抱きあげて寝室へと運んだ。理子は
いきなり抱きあげられて驚いた。そのままベッドへと下ろされ、
そして、雅治が理子の上に覆いかぶさって来た。

 熱いキスが始まった。官能的で痺れて来る。
大きな手が理子の体に伸びて来た。
「先生・・・、今日も、なの?」
 理子が掠れた声で訊く。一昨日の晩も昨夜もかなり
遅い時間まで愛された。二日続けての濃厚なセックスに、
理子は睡眠不足気味だ。おまけに今日は、役所、大学、銀行、教習所と、
あちこちへ移動したせいか、いつもよりも疲れていた。
「嫌かい?」
 甘い声で、そう訊かれた。
「嫌なわけじゃないけど・・・・」
 理子は雅春を断れない。実際、嫌なわけではない。だが、とても
疲れていた。そんな理子の気持ちを敏感に感じ取ったのか、
雅春は手を止めると、理子を見つめた。眼鏡を外したその目は、
とても切なくて色っぽい表情をしており、理子の胸はキュンと
締めつけられた。頬が赤くなる。
 そんな理子の髪を、雅春はそっと撫でた。
「ごめん。もしかして、疲れてる?」
 優しく訊かれたので、理子は頷いた。
 雅春は、理子の唇にそっと自分の唇を重ね合わすと、
優しく何度もキスをした。
「今夜は一度だけにするよ。だから・・・・」
 と、低く囁くと、理子の耳たぶをそっと噛み、それから舌を首筋に
そって這わすのだった。理子自身も雅春の執拗なキスに体が高まって
きていた。微かな喘ぎ声が漏れる。
 裸にされ、熱い口づけを全身に受ける。雅春の薄くて弾力のある唇は、
とても官能的だ。その唇に食(は)まれると、感じて震えて来る。
滑らかな指先は、電磁波でも発しているのではないかと思える程、
なぞるそばからピリピリとしてくるのだった。その指先で、
最も敏感な部分を弄ばれる。
 理子は体を震わせ、何度も声をあげた。

 とても感じている理子を見て、雅春は喜びに打ちひしがれた。
仰(の)け反る理子の白い喉が悩ましい。声をあげる、半開きになった
ピンクの唇が色っぽい。乱れた髪が顔にかかり、そそられる。
豊かな乳房の上にある桜色の小さな蕾は、硬く蕾んでいて
しゃぶりつきたくなる。
 ずっと愛していたい。ずっと堪能したい。理子を抱いていると、
いつもそう思う。どこをどう攻めても、理子は必ず悩ましげに反応する。
髪に口づけるだけでも、畏れ戦(おのの)いている。
こんなに敏感な女は初めてだ。

 理子は雅春の愛撫に身悶える。その大きな掌で乳房を包まれただけで、
乳首が硬くなるのを感じる。指の動きに合わせて呼吸が早くなる。
そして、その悩ましげな目を見ると、それだけで昂って来る。
雅春は理子の体を散々愛撫した後、理子の中に入って来た。
受け入れる瞬間はいつも緊張する。そして、体全体に波が押し寄せて
来るのだった。
 最初はゆったりとした静かな波。そして、雅春が腰を使うと、
それが急に激しさを増す。
 うっすらと目を開けると、雅春の悶える姿が見えた。目を閉じ、
眉根を寄せ、睫毛を震わせていた。とても、切なそうな表情をしている。
長い首から顎にかけてのラインがとても美しい。そのシルエットを見ると、
胸がキュゥッとするのだった。

 今、二人は繋がっている。二人で至福の時間を味わっている。
二人だけの濃密な時間と空間の中にいた。その瞬間が永遠とも思える。
やがて、終焉の時がくる。雅春にとっては最高の瞬間であり、永遠に
続かない事への寂しい瞬間でもあった。だからすぐに再び繋がりたく
なるのかもしれない。
「理子・・・、君と一緒になれて、俺は幸せだ」
 息の荒い理子に、雅春はそう囁いた。理子はその言葉に、微かに
唇の端を上げて微笑んだ。自分の方こそ幸せだと理子は思っている。
みんなの憧れの男性。そして、この世で最も愛する男性。
その人が唯一人、自分だけを愛してくれている。これ程の幸せがあろうか。

 理子は目を閉じ、恍惚とした表情をしている。雅春は、そんな理子が
愛しくてたまらない。染まらない女ではあるが、大人の女に
なりつつあるのを感じる。雅春がそっと理子の頬に触れると、
理子はいきなりパッチリと目を開いた。目が合い、ドキリとした。
潤んで妖しい色を浮かべていたからだ。僅かに瞳が揺れて、
雅春を見つめている。雅春はたまらなくなって、唇を寄せた。
理子は再び目を閉じる。そうして、雅春の口づけを受けながら、
静かにすぅーっと眠りに落ちていったのだった。


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