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小説・Bye by Blue<完>
10.最終章:明るい未来へ


Bye by Blue 10.最終章 最終回

2010.07.13  *Edit 

 学校が春休みに入った、3月も終盤の吉日。
 2人の結婚式が挙行された。
 双方の友人、そして学校関係者が大勢参加して予想以上に盛大だった。
「2人とも、おめでとう。幸せになってね」
 みんなからそう祝福される度、睦子の目元に涙が滲む。
 会場には浜田と上村遥子、弓田主任に京子と和子も来ていた。
「浜田さんも、おめでとうございます。どうですか?新婚生活は」
 結城が爽やかな笑顔でそう言うと、
「思っていたよりも、楽しいわよ。いいわよね、一緒に暮らすって。
あなた達も、頑張りなさいよ」
 と、満面の笑みで言いかえされた。
 上村遥子は子供と一緒に来ていた。
「ごめんなさいね。家に置いてきたかったんだけど、どうしても
一緒じゃないとイヤだって」
 もうすぐ2歳になる、可愛い女の子だった。
 遥子はあの後、何度か見合いをし、3回目の見合いで知り合った
男性と結婚した。測量の仕事をしている、真面目で優しく男らしい
男性だった。睦子は何度か会った事があるが、家庭をとても大事に
していて、また大らかな人柄に安心した。
 会う度に、遥子は満ち足りた幸せそうな顔をしていて、儚げな
雰囲気が無くなったのが嬉しかった。本当に、春の陽射しのような、
暖かい笑顔になったと思う。
 和子は工藤とまだ付き合っているらしい。工藤も大学を卒業して、
電機会社に就職したと言う。
 京子は、彼氏と別れて一人になっていた。大学を卒業した彼は、
研究機関に就職し、そこの寮に入ってからと言うもの研究に没頭し、
逢う機会が激減した。何度連絡しても、「忙しい」の言葉しか
返って来ず、それから数カ月後に別れる事になったと言う。
 別れたばかりの頃、
「『大学を卒業して就職できたら結婚しよう』って言ってたのに」、
と泣いていた。
 それから誰とも付き合っていない。タフだと思っていた
京子だったが、実際には違ったようだ。
 初めての彼氏と結ばれて、ずっと熱い関係だった上に、結婚すると
信じていたのだから、その分ショックも大きかったのだろう。
早く立ち直って、ステキな人を見つけて欲しいと思うばかりだ。
「おめでとう。2人とも頑張ったな」
 弓田主任だ。
「まさか2人が、小学校の先生になるとは思って無かった。
しかも通信教育で」
「すみません。途中で退職しちゃって…」
「いや、しょうがないよ。だけど君達はいいコンビだな。互いに
互いを補いあってる。これからも協力しあって、いい先生、
いい夫婦になるんだぞ」
「ありがとうございます…」
 テーブルの下で、結城がそっと睦子の手を取った。
 隣を向いて、顔を見る。
 健康的に日に焼けた、小麦色の顔が白い歯を微かに見せていた。
胸がときめく。
初めてこの顔と遭遇した時、胸をときめかせながらも、
別世界の人だと思った。
青い水底にいた睦子を明るく照らし、水面へと引っ張り上げてくれた。
いつだって逃げる傾向にある睦子を捕まえて、離さずにここまで
連れて来てくれた。
この人と一緒にここまで来て、睦子はいつの間にか自分の中の
ブルーが無くなっている事に気付いた。明るいオレンジに照らされて、
ブルーは死んだ。
これからは、あたしの心はずっとオレンジなんだ。
「ここで、サブライズがあります!」
 いきなり司会者がそう言った。
 その言葉に、場内がざわめいた。
「皆さま、一端、お席にお戻り下さい。お二人が受け持っている
クラスの生徒さん方が、是非お祝いしたいと言うことで、
駈けつけて下さいました」
 場内から大きな歓声と拍手が湧いた。
 2人は驚いて互いの顔を見合わせた。
「5年1組、そして4年3組の皆さん、どうぞー!」
 司会の言葉と同時に、扉が開いて、子供たちが手に2輪ずつ
花を持って入場してきた。
 恥ずかしそうに周囲に視線を飛ばしながらやってくる子供達の
姿を見て、睦子は涙が込み上げて来た。
 2つのクラスの子供たちは、「先生、おめでとう」と言って、
2人に1輪ずつ花を渡してくれた。
「先生、凄く綺麗だよ」、「幸せになってね」と声を掛けられて、
睦子は返事をするのが精一杯だった。
 結城には、「先生、カッコイイ!」、「奥さん泣かせちゃ駄目だよ」
などと声をかけている。
 全員の花の贈呈が終わった後、それぞれのクラスの代表が
手紙を読み上げた。

「涼先生へ。涼先生は、いつも明るくて元気で楽しい先生です。
教育実習で来てくれた時から、凄く一生懸命に僕達を教えてくれました。
再び先生が僕達の所へ来てくれた時には、僕達は凄く嬉しかったです。
いつでも一生懸命で、真剣に僕達に向かってきてくれる先生が、
僕達は大好きです。涼先生、結婚おめでとうございます。
大好きな先生には幸せになって欲しいです。そして、あと1年、
僕達の事をよろしくお願いします。5年1組一同より」

「睦子先生、ご結婚おめでとうございます。先生と初めて会った時から、
ずっと先生が大好きでした。優しくて、面白くて、先生はいつも私達と
一緒に遊んでくれます。わからない所があると、わかるまで教えて
くれます。みんなの良い所を見つけては褒めてくれます。いっぱい
励ましてくれます。先生が来てくれてから、私達はみんな自分に
自信を持てるようになりました。勉強が楽しくなりました。
みんなが仲良しになりました。先生、ありがとう。ステキな
旦那さまと一緒に、幸せになって下さいね。本当におめでとう。
4年3組一同より」

 大きな拍手が湧いた。みんな涙ぐんでいた。
 結城もボロボロと涙をこぼし、睦子はそんな結城の肩に
顔を寄せて号泣していた。
 本当に、良かった。
 この人と一緒に頑張ってきて、これほど嬉しいことは無い。
 戦う前に、すぐに逃げていた自分を変えてくれたのはこの人だ。
 諦めて捨てていた夢を再び取り戻してくれた。
 Bye by Blue.
 もう二度と、ブルーな心にはならない。
 辛い事や落ち込む事があっても、前を見つめ続けよう。
「睦子…、愛してる。今日の日があるのは、君のお陰だよ」
 自分の肩で泣いている睦子に向かって、涼はそう言った。
 睦子は首を振る。
「そんな事、ない…。あたしの方こそ、あなたのお陰よ。
あなたはいつだって、あたしを明るく照らしてくれた。
だからあたしは頑張れたの」
 睦子は涙を拭いならがそう言った。
「睦子、君の方こそ、俺を照らし続けていたんだよ。優しい君の
笑顔が眩しくて、君をずっと見ていたくて、だから俺は君を
追いかけた。君がいたから夢を見つけて、頑張って掴めたんだ。
だから、これからもずっと、俺を照らし続けてくれ」
 思いも寄らない涼の言葉に、睦子は胸がキュッとした。
 照らされていたのは自分だと思っていたのに、
自分も彼を照らしていたのか。
 涼の言葉が心に深く沁みてゆく。

「むっちゃん、大好きだよ。これからも、ずっと一緒だよ」
 結城の顔が近づいて、睦子は目を閉じた。
大勢の拍手と歓声をBGMにして。


                     The End.



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~ Comment ~

Re: NoTitle>鍵コメ様 

コメント、ありがとうございます。<m(__)m>

二人とも幸せになれて、本当に良かったです。
ずっとブルーだった睦子の心が、涼クンと一緒にいることで、
いつの間にかなくなり、サヨナラして明るいオレンジになる。

これから前向きに、二人で生きていってくれると思います。
スッキリして頂けて良かったでーす(^^)

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