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小説・Bye by Blue<完>
10.最終章:明るい未来へ


Bye by Blue 10.最終章 03

2010.07.11  *Edit 

「長い道のりだったけど、過ぎてしまえばあっと言う間だったよな」
 2人は逗子のコテージで、海を眺めていた。
 2人で初めて一緒に過ごしたクリスマスイブから丸5年が
経っていた。あれから毎年、クリスマスはここで過ごしている。

 結城が職場を去ってから2カ月後に、睦子も転職した。
 派遣社員として、自宅に近い大きな企業のOA要員として
働く事になった。休みはその企業に準じている為、土日休日、
夏季・冬季・GWには大型連休があった。収入に関しては、
前の職場よりも年収が下がったが、それは仕方ない。
 仕事が終わると、睦子は結城の職場近くまで行き、ファミレスで
待ち合わせ、一緒に食事をしてからそこで一緒に勉強した。
 休日は結城が勤めるスポーツクラブで、睦子は結城から水泳を教わった。
 結城は根気よく丁寧に、まずは水に馴れる事から始めた。
睦子の恐怖心を取り払うべく、焦らずゆっくりと取り組んでくれた。
自信に満ち溢れ、優しい笑顔の結城の態度は、睦子の不安を
少しずつ解消してくれた。
 体育の他の運動に関しても、懇切丁寧に、事細かく教えてくれた。
 ボールを投げる時の構えや、腕や手首の使い方など、普通なら
自然に体得できる事が出来て無かった睦子の為に、手取り足とり
教えてくれた事で、随分上達したのだった。
 ただ頑張る事しか言われて来なかった睦子にとって、
結城の指導は全てが目から鱗の思いだった。
「涼って、本当に教えるのが上手だね」
「ありがとう。でも、むっちゃんだって、分かればちゃんと
出来るじゃない。今まで出来なかったのは、運動能力のせいじゃ
なくて、分かって無かったからだよ。苦手な人の多くは、
分かって無い場合が多いんだよね」
 母国語と同じで、誰でも基本的な能力は、見てやって自然と
身につくものだと誤解されている、と結城は言った。
「自然と身につく人も多いけど、そうじゃない人も少なからず
いるんだって事が気付かれて無いみたいだね。例えば逆上がり。
出来ない人は大体が腕が伸びてる」
「あっ、あたし、それだ。だって、思いきり蹴りあげる事ばかりを
強調されるんだもん」
 何度、思いきり蹴れ!と言われた事か。言われて思いきり蹴っても、
ちっとも出来なかった。跳び箱の踏み台を使って蹴りあげる練習を
何度もさせられた。友達が背中の下に入って持ち上げてもくれた。
それでも出来なかった。
「あれはね。腕で引き寄せる力と腹筋が大事なんだ。蹴るのは
それの補助に過ぎない」
「そんな事、誰も教えてくれなかった……」
 睦子は腕の力が弱かった。だから逆立ちは他人に足を持って
貰っても腕がクシャとなってしまう。
 結城は、まずは睦子の体力作りと、脚力と腕力をつける為に
基礎トレーニングを重視した。腰を痛めた睦子にとって、
プールでの運動は負担を軽減する為、水に少しでも馴れる事も
合わせてプールで過ごす時間が一番長かった。
 そして、睦子の方は、結城の音楽指導をした。聞きしに勝る
音痴だったので、大変だった。
 夏休みはスクーリングに費やし、予定通りに単位を修得でき、
充実した時間を2人で送った。
 4年の初夏。
 2人はそれぞれの母校で教育実習をした。
 睦子は3年生を、結城は4年生を担当した。
 教育実習の頃には、睦子はすっかり泳げるようになっていたし、
逆上がりも逆立ちもできるようになった。結城の方も、人並みの
歌唱力と、小学校唱歌の伴奏程度のピアノは出来るようになっていた。
 子供達は可愛かった。
 毎朝一緒にマラソンをした。
 休み時間は一緒にドッチボールをした。子供の時には苦手だったのに、
上手くなっている自分に驚いた。
「先生―、上手だねー」と、子供たちに言われて、とても嬉しくなった。
 雨の日は教室で一緒に遊ぶ。
 女の子達は、睦子の髪の毛で三つ編みを作っては喜び、男の子達は
睦子のペンケースの中に入っていたインク浸透印を睦子の腕や顔に
押しては喜び、すっかりオモチャにされてる自分が楽しかった。
 4週間の実習の最後の日にお別れ会を開いてくれた。
 子供たちからは色紙と文集を貰った。それから、それぞれに
思い思いのプレゼントを貰い、担当以外の子供たちの多くからも、
お別れの品を貰って睦子は感激した。
 そして最後に、
「来年の春、この学校に絶対に戻ってきてね。待ってるから約束だよ」
 と言われて、涙が溢れて来たのだった。
「俺もさ。みんなから同じような事を言われてさ。泣いちゃったよ。
絶対に採用試験に合格して、子供たちとの約束を果たそう」
 結城にそう言われて、目の前に控えた採用試験への覚悟も定まった。

 そして2人は、合格し、この春からそれぞれの母校に赴任したのだった。
 本当に、結城が言う通り、長かったけどあっと言う間だった。
 2人とも赴任先で子供たちに再会し、実習で担当した子供たちの
学年の担任になった。睦子は4年生で結城は5年生である。
 学校の仕事は初任者研修を始め、とても忙しかった。
 日々の忙しさに追われ、これまでのようには逢えなくなった。
それでも休日には極力逢って、2人は互いの事を沢山話し、励まし合った。
 夢中になって走ってきて、2学期が終了した。残すは3学期のみ。
「やっぱり大変だよなぁ。学校の先生っていうのも」
 結城はチューハイを1口飲んで、そう言った。
「本当にね。余計な仕事が多過ぎるわよね。もっと授業に
力を入れたいって言うのに」
「むっちゃんはさ。事務仕事に長けてるからいいけど、
俺は苦手だからさ。よく他の先生から注意を受けるんだよ。
抜けてるって…」
 睦子は笑った。
「仕方ないよ。人には得手不得手があるんだし。でも涼の事だから、
笑って誤魔化してるんでしょ」
「あっ、バレた?」
 そう言って笑う顔は、相変わらず人懐っこい。
 この人のこの笑顔に、どれだけ励まされてきただろう。
「この間、浜田さんと会ってきたんだよね。どうだった?元気だった?」
「うん。凄くね」
 浜田とは店を辞めてからも時々会っている。
「だけどね。驚いたの」
 いつ話そうかと思っていた所だったから、ちょうど良かった。
「何?驚いたって」
「来月、入籍するんですって!」
「ええーっ?」
 結城はこれでもかと言うくらい目を見開いて驚いた。
「にゅ、入籍って、…もしかして、あの人と?」
「そう。あの人と」



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~ Comment ~

Re: おおっと!!!>OH林檎様 

OH林檎さん♪

ありがとうございます(^^)

お褒めにあずかり、光栄です(勝手に褒められたと思っている)。

一応、テーマを決めて書くようにしてます。
今回の小説は、主人公の成長物語、かな。

他の小説でも、基本的にそうなるような気がします。
恋愛することで、疑心暗鬼に駆られたり、不安になったり、
自信を失ったりしながらも、最後はひと皮もふた皮も向けて
成長してくれたらいいな、と言う願望が込められていたりして(^_^;)

残り、あと2回です。
最後まで、お付き合い下さいませ<m(__)m>

おおっと!!! 

先生になってるーーー!!!
しかも、2人とも♪
ただ、恋愛成就するだけじゃないところが
narinariさんの小説なんですよねぇ。
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