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小説・Bye by Blue<完>
7.Squall


Bye by Blue 7.Squall 05

2010.06.27  *Edit 

 台風も過ぎ、季節もめっきり秋らしくなって空が美しくなった。
 それなのに、社内は不穏な雰囲気に包まれていた。
 河嶋が、レディース売り場の木村洵子と怪しいと言う噂が
若い女子社員達の間で流れていた。それを受けて、年配の
社員達も眉を顰めている。
 当事者の河嶋は眉間に皺を寄せて、他人からの口出しには
一切応じないぞと無言で訴えているような、ピリピリした
雰囲気だし、和子も洵子も暗い顔をしている。2人は店内で
顔を合わせても互いに無言だ。
「ねぇ、むっちゃん。あたし、どうしたらいいんだろう。凄く辛い…」
 睦子は京子に誘われて、終業後に2人で食事に行った。
「洵ちゃんさ。入社した時から、河嶋さんに憧れてたんだよね。
恩田さんと付き合うようになっても、諦めきれなかったみたいで…」
 前から引っかかってはいた。
 松本あかりのように、目立ったアプローチをしているようには
見えなかったし、京子の話しを聞いても、積極的に近づいた
訳では無いようだった。
 だが、気付くと傍にいる。そんな風に睦子には見えた。
納涼大会の時にも、ちゃっかり隣に座っていたし、昼休みや
休憩で一緒になる時にも、近くに座っていた。しかも、
良く気のつく娘だった。
 男性に奉仕してるんじゃないかと思える程の気の利きようだ。
まるでホステスみたい、と感じた事もある。
 だが河嶋には和子がいるし、河嶋は何だかんだと文句を
言いながらも和子の世話を焼いている。だから、よもや木村洵子と
噂されるようになるとは思ってもみなかった。
「あたし、洵ちゃんには、ずっと諦めるように言ってたの。だって、
そうするしかないじゃない?洵ちゃんも、諦めなきゃって言ってたのよ。
それなのにね…」
 納涼大会が終わった暫く後、店の外で和子を待っていた河嶋と
遭遇し、暫く一緒に話していた。洵子は和子が来るまでと
思っていたのに、河嶋が業を煮やして、『あいつほっといて、
2人で飲みにでも行こうか』と誘ってきたと言う。
 躊躇う洵子に、いつも待たされてばかりでいい加減嫌になる、
たまにはお灸でもすえた方がいいんだよ、と言って、すたすたと
歩き出したらしい。
「洵ちゃんからしたら、恩田さんに申し訳無く思いながらも、
やっぱり嬉しくて断れなかったって」
「それで、一緒に飲みに行ったって訳なのね…」
 あの日だ。
 睦子が結城と2人でゲーセンで遊んだ日。
 和子がいくら電話しても出なくて、夜遅くに電話が
かかってきたと言っていた。
 和子が不安な顔をして電話をしながら待っていた時に、
河嶋は洵子とどこかの店で飲んでいた事になる。
 その後、河嶋と洵子は休みが合うとデートをするようになり、
親密度が増していった。
 和子とは売り場が同じだから、同じ日に休みをなかなか
取れないが、売り場の違う洵子とは、申し合わせて休みを取れる。
 ポヨーンとして気が利かず、世話は焼けるし、ノンビリして
いつも待たせる和子より、自分に夢中で尽くしてくれる、
小柄で可愛らしい洵子の方が良くなったのか。
 夏休みが終わる頃、京子は洵子から打ち明けられた。
 河嶋と洵子は同じ週に夏休みを取り、2人で旅行へ行ったんだと。
「じゃぁ、京子ちゃんは噂が広がる前に知ってたって事なの?」
 目を剥いて驚く睦子に京子は頷いた。
「だから、凄く辛かったの。洵ちゃんとは仲良しだし、恩田さんと
だって、仲良くしてるでしょ?あたし、洵ちゃんから聞いた時、
すっごくビックリしたし、責めたんだよ?だって、あまりに
恩田さんが可哀想じゃん」
 酷い。
 最低だ。
 食欲が無くなった。見ると京子の皿も大方料理が残っている。
「それで、恩田さんは?恩田さんは知ってるの?その事を」
 京子は首を振った。
「多分、知らないと思う。2人とも恩田さんには話して無いって」
「じゃぁ、どうしてこんなに噂になってるの?洵子ちゃんと
恩田さんの間も、気まずそうな雰囲気じゃない」
「それは、あたしにもよくわからないんだけど、この間の台風の時、
あたしと、恩田さんと、元川さんと洵ちゃんが河嶋さんに
送って貰ったんだけど…」
 一番最後が洵子だった。
 4人の家の距離から考えて、一番効率良く送るとしたら、
最後は和子の家が妥当だと言う。多少、諸事情を考慮しても、
洵子が最後になるのは無理があるらしい。それなのに、
洵子が最後だった。
 それを元川が他の職場の親しい友人に話し、そこから話しが
広がって、あの2人、なんか怪しくない?と言われるように
なったらしい。
「じゃぁ、もしかして、恩田さんは何も知らないまま、
ただ噂の中に晒(さら)されているって事?」
 京子は頷いた。
 何だか、気が滅入って来る。
 河嶋も洵子も酷過ぎる。
 2人、付き合うなら付き合うで、なぜちゃんとケリを
付けないのだろう。こんな風に噂になってしまったのなら、
尚更だ。何も言わずに知らんぷりしてるなんて、あんまりだ。
「まさか、知らぬ存ぜぬで、このまま続けて行くつもりじゃ
ないんでしょうね?」
 睦子の厳しい目つきに、「むっちゃん、あたしを睨まないで」と
京子が言った。
「洵ちゃんは、洵ちゃんなりに苦しんでる。河嶋さんが、動こうと
しないんだよ。お前は暫く黙ってろって言われたって言ってた」
 ムカつく男だ。
 ここまで酷いヤツだとは思わなかった。
「だからあたし、恩田さんに言ったのに。もう少し気を
使った方がいいよ、って」
 京子がポロリと涙をこぼした。
 そんな京子を見て睦子は言う。
「でも京子ちゃんは、素のままの自分を好きでいてくれる彼が
好きだって言ってたじゃない。そうでなかったら、別れるって。
恩田さんも同じ事なんじゃないの?京子ちゃんの論法で言ったら、
あの天然のままで十分いいって事になるでしょう」
「そうだけど、でも…。女の子なんだよ?最低限の身だしなみとか、
時間とかは気を使うべきじゃない?たまにならともかく、
いっつもあれじゃぁ…」
「まぁね…」
 京子の言葉も尤もだ。素のままの自分とは言っても、
恋人のうちから古女房みたいにだらしないのでは、
確かにちょっとは問題だろう。
 でもあの子は、それでも可愛いと思う。
 可愛い子は、どんなにだらしなくても、ヨダレ垂らしてても、
口の周りを汚してても、それでもやっぱり可愛いんだな、
と思わせるような子だ。だから、好きになったんじゃないのか?
「そう言えば、田中さんの車では島谷さんが最後で、
結城さんの車では松本さんが最後だったんだってね」
「えっ?」
 京子の言葉に思わず聞き返す。
「この間の台風の時だよ。3ペアで飲みに行った時の組み合わせじゃん。
そっちも、なんか噂になりだしてるみたいよ」
 ええーっ?
 何で?


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