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小説・Bye by Blue<完>
7.Squall


Bye by Blue 7.Squall 04

2010.06.26  *Edit 

 唇は重なったままだった。
 舌が絡み合う。
 結城は両手で睦子のウエストをそっと掴むと、その大きな手で、
そっと素肌を撫でる。その手と指の動きに、睦子は震えた。
 やがてその手は、下からブラジャーを持ち上げて、
睦子の乳房を両手で掴んだ。
 息が苦しくなって、唇を外した。
 喘ぎ声を洩らす睦子の耳を、結城はそっと噛み、舐めた。
 親指の先が乳房の先端を擦り、体が震えて声が出る。
 片手がスカートの中に伸びきて、睦子の太腿を撫で始めた。
 2人の熱い吐息でガラスが白くなっている。
 雨と風の音を伴奏にして、切なく甘い息遣いが、メロディを
奏でるように狭い室内の中を漂っていた。
 結城はシートを倒すと、自分の上に睦子を乗せた。
 逞しい結城のそれが、熱く滾って睦子を貫いた。
 激しい感覚が、体の中心から真っすぐに脳へと駆け上って
くるのを感じる。
 眩暈を覚えた。
 仰け反る睦子の体を、結城がギュッと抱きしめた。
 その結城の切ない声が睦子の耳に飛び込んできて、体が震えだした。
 何も考えられない。
 ただ、目の前にいる人と愛し合うことしか意識に無い。
 この人が好き。
 私を守ってくれるこの人が。
 とっても…、
 好き……。

 車のシートの上で、2人は手を繋いで横たわっていた。
 太い指が睦子の指に絡んでいる。
 こうして静かに横たわっているだけでも、温かいものが指を
伝って流れ込んで来るように感じる。
 車の中がこんなに温かい場所だとは。
 富樫の車の中は冷たかった。
 だから睦子は必死で色んなお喋りをした。
 少しでも空気を軽くしたくて。
 少しでも明るい気持ちになりたくて。
 そして、少しでも楽しんでもらいたくて。
 富樫はいつも話しには乗って来なくて、言葉が途絶えると車内は
途端に冷たい水の中のようになった。
 青くて冷たくて、そして窒息しそうだった。
 でもここは違う。
 こんな嵐の中にあっても、温かい。
「むっちゃんは子供の頃に、何かなりたいものってあった?」
 結城の問いかけに顔を向けると、潤んだ優しい瞳が睦子を見つめていた。
「子供の頃はね。小学校の先生になりたいな、って思ってた」
「どうして?」
「うん。憧れてただけ。小学2年の時の担任の先生が、
すっごくいい先生で大好きだったの」
「へぇ~。そう言えば俺も、明るくて元気な先生に憧れてた。
…それで、その後は?」
「その後?その後の小学校は楽しく無かった。担任に恵まれ無くて…」
「それで、小学校の先生になるのが嫌になっちゃったの?」
「そういう訳じゃないけど…」
 小学2年の時の宮本先生は、とてもステキな女の先生だった。
 明るくてバイタリティに溢れていて、子供たち一人一人の長所を
必ず見つけて褒めてくれた。だからクラスのみんなが、宮本先生が
大好きで、夢中になって勉強し、夢中になって一緒に遊んだ。
友達と喧嘩する暇も無い程に。
 しかし、翌年の担任は違った。
 活発で勉強の出来る子供と、そうでない子供への態度がはっきりと
違った。出来る子は褒め称え、出来ない子には欠点をあげつらった。
睦子は一気に自信を失った。成績も下がった。
 その翌年から3年間は同じ男の担任で、この教師は子供との距離を
常に一定に保って接していた。前の年の教師のような贔屓は無かったが、
どこか冷たかった。それでも贔屓をされるよりは余程ましだった。
「高校生になって、改めて『赤毛のアン』を読んだ時にね。
宮本先生って、アンが通っていた小学校のステイシー先生と
よく似てるって思った。ああ言う先生にまた出会いたい。
もし自分が先生になるなら、ああ言う先生になりたいなって思った」
 懐かしさが胸に込み上げてくる。10年以上も前の事なのに、
あの時の思い出は鮮明だ。
「なれば良かったのに。どうして、そうしなかったの?」
「だって、あたし……」
 睦子は顔を背けた。
 小学校の先生になる事は、もうとっくの昔に諦めていた。
高校生になる頃には微塵も考えてはいなかった。
 結城が体を起こして、睦子の上にまたがった。
「ごめん。変な事を言っちゃったかな」
「ううん…」
 見つめる目は優しい。
「涼って、日本人だよね?」
 睦子の言葉に結城の顔が思いきり笑った。
「何で、そんな事を言うの。俺、正真正銘、日本人だよ。生粋の」
 『生粋の』と言う言葉に、思わず噴き出す。
「何がそんなに可笑しいのかな?むっちゃん…」
 結城の手が、睦子の頬に触れた。
 途端に笑いが止まり、心臓が倍速になる。
「だって……、」
 唇が塞がれた。
 風と雨のBGMは消えていた。



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