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小説・Bye by Blue<完>
7.Squall


Bye by Blue 7.Squall 02

2010.06.24  *Edit 

 午後5時に近くなった時、浜田の携帯が鳴った。ビクリとする。
「もしもし…」
 浜田が急いで出た。すぐに難しい顔になる。
「うん…、うん…、わかった。うん。気を付けて。
とにかく待ってるから」
「どうしたんですか?」
「かなり道路が厳しい状況で、まだ暫くこちらには到着し
そうもないみたいで」
 浜田が暗い顔で言った。
「そうですか。無事にこちらへ辿り着ければ良いのですが…」
「とにかく、待つしか無いので。鮎川さん、ごめんね」
「そんな。来てくれるだけでも、申し訳無いのに」
 本当にそう思う。こんな嵐の中をわざわざ迎えに来てくれるのだ。
しかも、睦子の家は浜田の家よりも更に遠いのに送ってくれると言う。
その為に、事故に巻き込まれたり怪我をしたりしないとは限らない。
 再び携帯が鳴った。今度は店長だった。
「もしもし…」
 きっと、送り届けて帰宅した男性陣からの報告だろう。
そう思って様子を窺っていると、何だか様子がおかしい。
「まだ、2人ともここにいます。……道路状況が悪くて、
まだ時間がかかるそうです。……でもそれじゃぁ、君が危険だ。
帰りなさいっ!……結城君!」
 えっ?
 結城君?
 店長と話しているのはどうやら結城のようだ。
 一体、どういう事……?
 店長は暫く携帯を耳に当てたまま動かなかった。
 何かあったのかな。
 どうしたんだろう?結城さんの身に何が?
 固まったままでいる店長を見て不安が募る。
「あの、どうかしたんですか?」
 浜田が、いつまでも携帯を持ったままの店長に声を掛けた。
それにハッとした店長は携帯を閉じると、厳しい顔をして2人を見た。
「結城君が、全員を送り終えたそうです。それで、あなた達の事を
訊いてきたので話したら、これからここへ来ると言うのです」
「ええっ?結城さんが?」
 2人は顔を見合わせた。
「でも兄がこっちに向かってるのに…」
「そうなんですが、いつ到着できるか分からないから、万一の事も
考えて来ると言うのです。浜田さんのお兄さんが到着すれば、
それはそれでいいからと」
「そんな…。でもそれじゃぁ、結城さんも危険じゃないの」
「そう言ったんですが、切られてしまいました」
 睦子は震えた。
 大丈夫なんだろうか。
 きっと、あたしを心配して来てくれるんだ。
 でも、危険を冒して欲しく無い。
 それから間もなく、他の男子社員から続々と送り終えた連絡が
入って来た。それを安心したような笑顔で受け答えている店長を
見ながら、益々不安になってくる。
 みんな、無事に帰宅できたんだ…。
 でも私達はまだ、ここにいる。
 そして結城さんは暴風雨の中、車を走らせている…。
 食堂の中が暗くなってきた。電気がまだ復旧しない。店長が
大きな懐中電灯を持ってきて、天井から吊るした。テーブルの上に
ライトが当たり、そこだけが明るくなる。まるで誰もいなくなった
舞台にスポットライトが当たっているようだ。
 階下から物音が聞こえた。誰かが駆けあがって来る。その音に
他の2人も気付いて顔を見合わせた。
 食堂の出入り口から飛び込んで来たのは結城だった。
「結城君!大丈夫か」
 店長が急いで駆け寄った。結城は膝に手をついて息を切らしている。
はぁはぁと肩で息をしながら、「大丈夫です…」と答えた。
 結城は顔を上げると、真っすぐに睦子の方を見た。
その瞳を見た途端、涙が滲んで来た。
「結城さん。大丈夫なの?」
 隣にいる浜田の言葉に、結城の厳しい表情が緩んだ。微笑んで頷く。
「そんな無理しなくても。危険じゃない」
「でも、もしお兄さんが途中で来れなくなったら困るじゃないですか。
俺は比較的会社に近いから…」
 結城の言葉に浜田は溜息を洩らすと、
「兄貴に電話してみる」と言って携帯を出した。話す声が明るい。
どうやら、浜田の兄も無事なようだ。
「もう、すぐ近くまで来ているそうです。多分、あと
10分程度で着くだろうって」
 店長の顔に笑みが浮かんだ。やっとこれで一息つけるに違いない。
「良かった。結城君も折角来てくれたが、このまま家へ帰りなさい。
2人はもう大丈夫だから」
 店長の言葉に結城は首を振った。
「俺に…、鮎川さんを送らせて貰えませんか?」
「なんだって?」
 店長は目を剥いた。浜田も驚いている。
「何を言ってるんだ、君は。浜田さんのお兄さんも、もう、じきに
到着する。だから君がわざわざ遠くの彼女を送る事はないんだ」
「送りたいんです…」
「駄目だ。危険だ。君が帰ってこれなくなったら、どうするんだ」
「そうなったら、どこかで泊まりますよ」
「結城さん。あたしは浜田さんに送って貰う。家、近いんだし…」
 結城の気持ちは嬉しいが、矢張り危険だ。
 睦子を送った後、無事に帰れる保証は無いし、第一心配だ。
「いや、俺が送る。送らせてくれ」
 結城の目は、断固として譲らない強い意志が感じられた。
「君、どうしてそんなに、こだわるんだ。送る人間が他に
いないならともかく、いるのに」
「……恋人だからです」
 呟くような言い方だった。だがはっきりと睦子には聞こえた。
「えっ?何だって?」
「恋人だからです。だから、自分で送りたいんです。
他人に任せたくないんです!」
「結城君…」
 誰もが結城の言葉に茫然とした。
 店長と浜田は、思いも寄らない2人の関係に、睦子は2人の前で
はっきりと恋人だと言われた事に。
「彼女が無事に家に帰れるまで、心配でたまらないんです。だから、
自分の手で守りたい。俺が送ってやりたいんですよ」
 結城の言葉に胸が打たれる。
 心が震える。
 何も言えずに、唇を震わせて見つめている睦子に、結城は言った。
「むっちゃん。一緒に行こう。俺が守る。だから。さぁ…」
 手を差し出された。
 睦子はふらふらと立ちあがると、よろける足で結城の許へ
歩き出した。それを見た結城の顔に優しい笑みが浮かんだ。
 その顔に、睦子は駆け寄らずにはいられなくなった。
 そして駆け寄って来た睦子の手を掴むと、結城は抱きしめたのだった。



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 ※結城クン、カッケー。痺れるぅ…(作者呟き)

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~ Comment ~

Re: あああああ>OH林檎様 

OH林檎さん♪

それは私も同じでございます。

守られたいですねぇ。
こんな風に力強く、そして優しく……。

もう、ウットリです。。。e-440

あああああ 

守られてぇぇぇ!
家でも仕事場でも
守られた覚えがねぇぇぇ!!!
結城くん、さいこー!
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