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小説・Bye by Blue<完>
6.サティスファクション


Bye by Blue 6.サティスファクション 04

2010.06.20  *Edit 

 結城は黙って暫く車を走らせた後、ホテルの駐車場へと車を入れた。
土曜日だから混んでいるが、幸い1台分の空きスペースがあった。
 車から降りると、睦子の足は震えていた。どうしてこんなにも
震えて来るのか自分でもわからない。ただ、こんな風に
ラブホテルへ入るのは、睦子にとっては2度目の事だった。
だから余計に緊張するのかもしれない。
 結城は足踏みしている睦子の肩を抱いて歩き出した。
 中へ入りパネルを見るが、混んでいるのだろう。選択の余地は
無さそうだった。結城は1つだけ点いているランプを押した。
部屋の鍵を貰ってエレベーターの前に立つ。部屋は4階だった。
 エレベーターはすぐに開き、乗り込んで4階のボタンを押した途端、
睦子は抱き寄せられた。体が密着してドキドキしてくる。
 すぐに4階に付き、外へ出る。部屋はドアの上にランプが点滅
していて、すぐに分かった。扉を開けて中へ入る。もうそれだけで、
睦子は緊張した。
 靴紐を解いて、結城に従い中へ足を踏み入れた。
 そう言えば、始めてラブホに来た時も、物凄く緊張した。
あの時は、覚悟が無いまま状況に流されるようにして入った事も
あって、カチンコチンになっていた。
 ふと、この人はこういう経験が何度もあるのだろうか、
との疑問が湧いて来た。
 こんな時に、馬鹿な事をと首を振る。
 部屋は思っていたよりは広めだった。
 結城はソファの上に荷物を置くと、
「俺、先にシャワーを浴びてもいいかな?」と言った。
睦子は黙って頷く。そんな睦子を抱き寄せて頬に軽くキスをすると、
「音楽でも聴いて待ってて」と、優しく囁いた後、
浴室へ入って行った。
 部屋に一人になって、取り敢えずホッとする。物凄い緊張を
強いられていたような気がした。
自分が勝手に緊張していただけなのに。
 睦子はソファの上に荷物を置いて、ベッドの方へと移動した。
枕元の色んなボタンを押してみる。部屋が明るくなったり
暗くなったり色が変わったりした。浴室から聞こえてくる水の音を
生々しく感じて、睦子は有線のスイッチを押した。渋いジャズが
流れて来たので、チャンネルを変えてみる。
 ボタンを短い間隔で押し、音楽のジャンルが変わり、そうやって
目まぐるしい音の変化を聴いているうちに少し気持ちが落ち着いて来た。
民謡が流れて来た時には、思わず笑みがこぼれる。
 チャンネルをそこでストップさせたまま、睦子はくつ下を脱いだ。
靴を脱いだ時以上の解放感を味わう。脱いだくつ下をバッグの下に
置いて、ソファに座った。自分の膝の上に両肘を付いて顎を乗せた。
 目を瞑る。
 民謡の歌声の間から、水音が聞こえて来た。シャワーの音だ。
その音が止まった。少しの間(ま)の後、浴室のドアが開く音がした。
再び緊張してきた。やがて洗面所のドアが開き、バスローブ姿の
結城が出て来た。
 ソファは手前の壁面に置いてあるので、出て来た結城から
睦子の姿が見えない。部屋の入口に立って、「あれぇ?」と、
驚いている結城を見て、睦子はクスリと笑った。それに気付いて
驚いた顔のまま睦子の方へ首を動かした。
「むっちゃーん。おどかさないでよー」
「ごめん、ごめん。そんな気は全然無かったのよ?たまたま、
ここに座ってただけなの」
「ここって、死角だよなぁ」
 結城の言葉に微笑む。
「じゃぁ、あたしも行って来るね」
 睦子は俯いてそう言うと、浴室へ向かった。
「あれぇ?何、この音楽。民謡?」
 結城の言葉に振り返った。結城は不思議そうな顔をしていた。
「むっちゃん、もしかして民謡を聴いてたの?」
「うん。あれこれ変えてるうちに、捕まっちゃったの、民謡に」
「へぇ。むっちゃんって、やっぱり面白いな」
 そう言って笑った顔が白い歯を見せて爽やかだった。
 その笑顔に微笑み返して、睦子は洗面所のドアを開けた。
 服を脱ぎ、浴室へ入り、シャワーを浴びる。
 暑い一日だったから、随分と汗もかいたし埃っぽい。
だから熱いシャワーがとても気持ちいい。ただ緊張する。
 睦子は体も髪も丁寧に洗い、十分にすすいでから出た。
タオルでよく拭いてからバスローブを着て、ドライヤーをかける。
完全に乾かすには時間がかかるので、8割がた乾いた所で
ドライヤーのスイッチを切った。ブラシで軽く髪を梳き、
鏡の中の自分を見つめる。
 赤い顔をしていた。
 もしかして、ちょっと焼けたかな……?
 普段から化粧は薄い方だ。日避け止めはしっかり塗ってはいるが、
ファンデーションは濃く塗らない。随分と汗をかいたし、
やばかったかもしれない。
 再び鼓動が速くなってくるのを感じた。
 いつまでも、座ったままでいるわけにはいかないので、
睦子は意を決して立ちあがり、洗面所のドアを開けた。部屋の方へ
向きを変えると、結城がベッドの上に横たわっているのが目に入った。
目を瞑っている。
 もしかして、待ち疲れて寝ちゃった?
 朝は早かったし、行きも帰りも、渋滞の中をずっと運転して
いたのだから、疲れていて当然だ。昨日も仕事で忙しかったし。
 睦子はベッドの端に、そっと座った。寝息が聞こえる。
 栗色の髪。小麦色の肌。キリリとした眉毛も髪と同じように
色素が薄めだ。しっかりと男らしい高い鼻に、少し大きめの口。
顎の線がはっきりしていて、全体的に骨太な感じがする。首も太い。
黒子があちこちにあって、男らしい中に愛嬌を添えている。
 柔らかそうな髪に手をやったら、いきなり手首を掴まれてギョッとした。
 薄い茶色の目を開けて、微笑んだ顔で睦子を見ている。
「やだ、起きてたの?」
「ほんの少し前にね。むっちゃんが、出て来た時かな」
「じゃぁ、寝たふりをしてたのね?」
「驚かそうと思って」
「ひどい!凄くビックリした」
「だって、俺も驚かされたし」
「それは、違うって言ったじゃない」
 むくれる睦子を抱き寄せて、結城は1回転して睦子を自分の下に
組み敷いた。睦子の緊張が一挙に高まり、心臓が激しく鳴り響く。
 上からジッと睦子を見つめる瞳は優しくて温かい。
 すごくドキドキするけど…。
 でも……。
 顔が近づいて来たので目を閉じた。
 重なった唇が熱かった。そして吐息も熱い。
 何度も何度も熱い口づけを繰り返された。
 やがて、バスローブの紐が外されるのを感じ、手が衿元に
そっと掛った。少しだけ開かれた胸元に唇が触れた。
 結城は睦子の胸元や鎖骨の周辺に唇を這わせながら、自分の
バスローブを脱いだ。そして、睦子のバスローブを開き、
優しく肩から下げて脱がせたのだった。
 結城は、睦子のバスローブを外す前に、照明をかなり落とした。
その気遣いが嬉しい。
 大きな掌に包まれて、吐息が洩れた。
 少し太めの指が体を這う。
 優しく撫でられ、優しく愛されて、睦子は自分が
満たされてゆくのを感じた。
 結城の熱い体温と熱い吐息が、熱い想いを運んで来る。
 逞しい腕に抱かれて、優しい瞳で見つめられて、冷たく
ブルーに染まったささくれ立った心が、癒されて綺麗な
明るい色に変わって行く。
 そして、自分の中に結城を感じた時、頭も心も、睦子の中の全てが
オレンジ色に変わったような気がした。
 爽やかな、柑橘系を連想させる温かい男。
 オレンジには、過敏な神経を休ませてリフレッシュさせる効果がある。
心に安らぎと元気を与えてくれるのだ。
 結城はまさに、そんな男だと、睦子は強く思った。
 この人のそばにいるだけで、心が温かくなってくる。元気が
湧いてくる。そんな人にこうして愛されている。
ひとつに繋がる事で、幸福感に満たされてくる。
「睦子…」
 名前を呼ばれて、目を開ける。
「すごく、…いい」
 そう言って自分の上で恍惚としている結城を見て、
睦子は一挙に高まった。
 この人に全てを預けたい。
「睦子…、一緒に…」
 その言葉に、睦子は心を解放したのだった。



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~ Comment ~

Re: うひょ>OH林檎様 

OH林檎さん♪

とうとう、来ましたよ……(^m^)

睦子は奥手とまではいかないでしょう。
桃ちゃんと違って、ヴァージンじゃないしぃ~(*^^*)
睦子も結城君も、それなりに幾つかの恋愛を体験している
二人ですから、まぁ、ねぇ、そこらへんは、ねぇ・・・。

> 私がホテルの描写を書くのは
> もっともっともーーーーーーーっと先になりそうです。

えええぇーーーーっ????
かな~り先と言うのも、待ちきれるかどうか心配ですが、
それより何より、桃ちゃんと、あのニノ先生がホテルに
行くんすか????そっちの方が驚きです。
あの、あのツンデレの、俺様の、あの先生が、どんな
顔をして桃ちゃんをホテルへ連れ込む…、じゃなくて
連れて行くのでしょう?
もう、それを伺っただけで、早く進めろぉ!と言いたくなって
しまいます(^_^;)

> narinariさんの書いている別の話も気になりますねぇ。

ありがとうございます。
今の作品と同時に書き進めていた作品が中断してるんですが、
こちらは少々暗いので、自分的にも乗って来なくって…。
あと、1つ、歴史物も書いているのですが、こちらは
1話読み切り完結の、短編連作で行くつもりでいます。
1話だけ書き終わっているものの、歴史物だけに、その後が
続かなくって…(^_^;)
因みに、主人公は厩戸皇子、つまり聖徳太子でございます。
これだけは、恋愛小説ではありません。勿論、話の中で恋愛は
絡んできますけどね。

> が、この話もこれでは終わらない!
> ですよね?
> 続き、楽しみにしています!

ありがとうございます。まだ暫くは終わりません。
この後、また波乱が待っていますので、お楽しみに(^^)

Re: 結城くんがスキ!>さらら様 

さららさん♪

> いまさらですが『Bye by Blue』って、ブルーな気持ちとの決別だったのね。。

まぁ、そういう事ですね(^_^;)
前彼の別れ際の言葉で深く傷つき、また大学を中退して人生に
挫折感を覚えて明るい気持ちになれないでいる睦子の、
再生物語、みたいな感じでしょうか。

> 私、結城くんタイプ好きだわ!

私も結城君は大好きです。
って言うか、書いているうちに、凄く好きになっちゃいましたe-446

> もしかして福山さんタイプ?いや~ん、いや~ん!(バカだな)

福山さんでは無いですが、今の逞しい体つきは少し近い?
福山さんのような、クールさは全く無くて、ひたすら陽気で、
ちょっと能天気?でも、凄く優しいのでグッときちゃいます。

> 大人の恋が書けるってスゴイね。

ありがとうございます。大人の恋と言える程のものではないですけども。。。

> 私は大人になってから恋したことないから

だって、ダンナ様がステキ過ぎるんですもの。もう、それ以上、
恋する必要は無いじゃないですか。
人生で最大の恋を10代のうちにするって言うのも、凄いことですよ。

> ところでnarinariさんは、これ携帯で書いてるの?

私はPC派でして。
日常でも、携帯メールを打つのは、まどろっこしくて苦手です。
オフィスのワードに、書式設定をして、ひたすら書いてます。
ワード、小説書くには使いにくいのが難ですが、とにかく、早打ち
なので、パソコンじゃないと、どうも…(^_^;)

うひょ 

とうとうですか。
おめでとうございます。(←なぜ?)
睦子も奥手だと思ってたんですが、
ウチの桃よりずっとずっと大人でした(笑)
私がホテルの描写を書くのは
もっともっともーーーーーーーっと先になりそうです。
narinariさんの書いている別の話も気になりますねぇ。
が、この話もこれでは終わらない!
ですよね?
続き、楽しみにしています!

結城くんがスキ! 

いまさらですが『Bye by Blue』って、ブルーな気持ちとの決別だったのね。。
私、結城くんタイプ好きだわ!
もしかして福山さんタイプ?いや~ん、いや~ん!(バカだな)
大人の恋が書けるってスゴイね。
私は大人になってから恋したことないから想像もつかないけど、なんとか想像力を駆使してみようかな…って思えるほど結城くんに惚れたぜBaby♪o(*^・^*)
ところでnarinariさんは、これ携帯で書いてるの?
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