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小説・Bye by Blue<完>
6.サティスファクション


Bye by Blue 6.サティスファクション 03

2010.06.19  *Edit 

 目を覚ました時、車は一般道を走っていた。
 あれぇ?まだ中央道に乗って無いのかな?辺りは暗いのに……。
「眼が覚めたの?」
「あっ、うん…」
「今、八王子の市街を走ってる所だよ。ちょうどいいから、
その辺でご飯食べない?」
 もう、中央道を降りたのか。
 じゃぁ、随分と眠っていた事になる。
「今、何時なの?」
 睦子が訊くと、7時半だよ、と答えが帰って来た。
「ええぇー?まだ7時半なの?」
 もっと時間がかかると思っていたのに、意外と速かった事に驚いた。
 膝の上にタオルが掛っているのに気付いた。冷房も
弱めに設定してあるようだ。
 優しい人……。
 胸が熱くなってくるのを感じる。
 睦子は膝の上のタオルをたたむと、「ありがとう」と
結城に声を掛けた。
「どういたしまして。よく眠ってたね」
 結城はそう言ってニッコリと微笑むと、ファミレスの
駐車場へと車を入れた。
「なんか、思っていたよりも早いんで、ビックリしちゃった」
「あそこの山道を通ったからだよ。中央道も思っていた程
混んで無かったしね」
「何かごめんね?ずっと寝ちゃってて。つまらなかったでしょ?」
 睦子は温かいコーヒーを飲みながら言った。
「そんな事無いよ。むっちゃんの気持ち良さそうな寝息が
いいBGMになったよ」
「あら。寝息なんて聞いてたら、自分も眠くなってきたりしない?」
 睦子の言葉に、結城は愉快そうにニンマリと笑った。
「大丈夫。寝息だけじゃなかったから」
「え?何、それ」
 ふっふっふっと笑った後で、
「時々、ゴゴゴッとかって音も立ててたよ」と言った。
「ええー?やだぁ、嘘でしょう?」
 睦子は思わず赤面した。
「それだけじゃなくて、何か色々と寝言も言ってたっけなぁ」
 と、更に笑いながら言う。
「『えっ?そんなに?』とか『20メートルぅ?』とか
『重たい…』とか。相当仕事、きてるんだね。可笑しくて、
もう爆笑もんで、眠気なんてすっ飛んだ」
「やだ、あたし、夢なんて見て無かったよ?」
「よだれ垂らしてたから、拭いといてあげた」
「もうっ!」
 睦子は真っ赤になって、むくれ顔で横を向いた。
「さて。じゃぁ、そろそろ出ようか。晩御飯は俺に奢らせてね」
 結城はそう言って伝票を取って立ちあがった。
 睦子は彼の広い背中を見て、改めて嬉しいな、と思った。
 店の外へ出て、車の近くまで来た時に、結城に手を引っ張られて
抱きしめられた。突然の出来ごとに一瞬息が止まった。
 結城の熱い体温を顔に感じて、熱くなってくる。
 暫く抱きしめられた後、結城は腕を緩めた。
「むっちゃん…」
 そっと見上げると、優しい笑顔を浮かべている。
「好きだよ…」
 結城はそう言うと、顔を近づけてきた。
 ドキドキしながら目を閉じる。
 唇が重なった。
 吸われた。
 唇が軽く開き、躊躇いながら舌が入って来た。
 舌先が軽く触れる。
 息苦しくなってきた。
 結城の唇が離れた時、睦子はホッと軽く呼吸をした。
「いびきはかいてないから、安心していいよ。よだれもね」
 その言葉に見上げると、楽しそうな顔をして睦子を見ている。
「やっぱり、からかったんだ…」
「でも、寝言はホントだよ。すっごい面白かった」
「やぁねぇ」
 恥ずかしくて顔を逸らす。
「女の子には、キツイ仕事だよね」
 優しい言葉に、心が安らいだ。
「俺、マッサージしてあげようか?全身凝ってるんじゃないの?」
 八重歯を見せて笑ってる。
「もう!結城涼のバカ!」
 睦子は真っ赤になって自分を抱いている腕を振り払うと、
助手席のドアの方へと移動した。結城は声を出して笑いながら、
ドアロックを外した。

 車は国道16号線を東に走っていた。
 片側3車線、制限速度50キロだが、土曜の晩のせいか混んでいる。
「むっちゃんはF1とかテレビで観るの?」
 昼間のレース話しで盛り上がった後、結城が言った。
「うん。録画してだけどね。夜中だから、さすがにライブでは
見れないじゃない?それがちょっと残念だけど」
「そうだよな。特に好きなチームとか選手とか、いる?」
「うん。フェラーリが好き。キミ・ライコネンが好きだったけど、
キミはWRCに行っちゃったじゃない?WRCも好きだけど、
あれはテレビ放映が少ないんで悲しい」
「ハミルトンとかは好きじゃないの?」
「ハミルトンはねぇ。傲慢と言うか生意気と言うか。
あたしアロンソが結構好きなんで、アロンソを追いだした
ハミルトンはちょっと…」
「そんな、追い出すなんて」
「あ、ごめんなさい。ハミルトンが好きだった?」
「そんな事は無いよ。俺もアロンソは結構好きだけどさ。
まぁ、あれはしょうが無かったんじゃない?だけど、ホンダも
トヨタも撤退しちゃって、物足りないよね」
「確かにね~。私も今年は、あまり熱が入らないんだ」
「ところで、むっちゃん…」
 結城の声のトーンが少し下がったように感じた。
「なぁに?」
「…今日、…駄目かな…?」
「えっ?」
 突然の言葉に二の句が継げない。
 暫く沈黙が続いた。
 その沈黙の間、睦子の頭の中は目まぐるしく回転していた。
心臓の鼓動と比例しているのだろうか。そうだとしたら、
どちらが動力なのだろう?
「この間は、本当にごめん。いきなり何の前触れも無くて。
慰めようとか、ただエッチしたいだけとか、そんなんじゃないから…」
 結城はそう言うと、車を側道へ入れて止めた。
サイドブレーキを引き、睦子を抱き寄せた。
「睦子…」
 強く抱きしめられた。息も止まる程に。
「その気無いって言われて、怒って帰った君の後姿を俺、茫然と見てた。
失敗したって思ったよ。だけど、何でそんなに君が怒ったのか、
俺分からなかった。メールしても返事は来ないし、会社で会っても
避けられてるし。嫌われたかと思った。だけど俺、石川さんから
聞いちゃったんだ。君と前彼の事を。それで君が怒った訳が
何となくだけど分かった気がした。だから、ちゃんと話しがしたいと
思って、あの日君の後を付けてコーヒーショップまで行ったんだ」
 睦子は結城の広い胸の中で震えながら聞いていた。頬が熱い…。
「俺は、前彼とは違うから。俺は君といて楽しい。
何も話さなくても、ただ一緒にいるだけでも十分楽しいんだ。
だから、もっとそばにいたいし、もっと君を知りたい。
そしてもっと君を感じたい」
 結城はそう言うと、震える睦子に唇を寄せた。
 抱きしめる大きな手を背中に感じた。シャツを通して
温もりが伝わって来る。
 重なる唇から熱い吐息が洩れて来て、睦子の心と身体を刺激する。
 結城が唇を外して睦子の耳元に囁いた。
「君を…、抱きたい…」
 心臓が、狂わんばかりに激しく鳴っていた。まるで全力疾走した後
みたいで、何も言えない。おまけに、そんな心臓をギュッと
掴まれたみたいで苦しくなってくる。
「いや?」
 その問いに、睦子はやっとの思いで首を振った。
「ありがとう…」
 結城はそう言うと睦子の頬にキスをして睦子を離すと、
シートベルトをして車を出した。睦子も慌ててシートベルトを締めるが、
手が震えてすぐにはまらなかった。



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