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小説・Bye by Blue<完>
6.サティスファクション


Bye by Blue 6.サティスファクション 01

2010.06.17  *Edit 

 9月の第1週の土曜日、2人は朝早くに富士スピードウェイに
向かって出発した。
 結城は車で睦子の家の近くまで迎えに来てくれた。乗っている
車はトヨタのカローラ・ルミオンだった。色は「ブラッキッシュ
レッドマイカ」だと言う。何だか舌を噛みそうだ。ダークな赤
とでも言おうか、茶と紫が混ざったような赤と言おうか、
普通の明るい赤とは違う、渋いが綺麗な色だ。
 ごついのにスマートな印象で、アウトドアな結城によく似合っている。
 内装もスッキリしていて、インパネのスッキリさには目を見張った。
メーター類が4つ、一部が重なるようにして並んでいて個性的だ。
一番右端のスピードメーターの隣にドライブモニターと言うのが
付いていて、時計や外気温、平均燃費、瞬間燃費、航続可能距離、
平均車速などの情報を表示する。
 家の古いタイプのカローラしか運転した事の無い睦子には、
ひどく新鮮に映った。
「この、天井はどうなってるの?」
 天井にカバーみたいなものが付いている。
「ああ。これはね。ルーフシェードなんだ。上はサンルーフに
なってるんだけど、夏場は熱いからシェードを被せてるの」
「へぇ~。そうなんだ。今はシェードなんて付いてるんだ」
 サンルーフのある車には憧れるが、夏場はかなり
暑いだろうと思っていた。
「ルーフ自体、かなり遮光性があるんだけど、それでも真夏はね」
 車は横浜町田I.Cから東名高速道路へと入った。
 海老名SAで休憩する。
 車を降りたら手を繋がれた。ポッと胸に火が灯る。
 今日の睦子はデニムのショートパンツを履いて来た。
少し長めの裾をロールアップしてある。ボトムは広いUネックの
白のTシャツで、フレンチ袖にラインストーンが沢山デコレーション
してあって、綺麗だ。気温差が激しいと言うことで、薄手のデニムの
ジャケットを持参した。足許はハイカットのオフホワイトの
バスケットシューズにした。
 結城は薄いブルーのストレートジーンズと白のプリントが入った
Tシャツを着て来て、矢張りデニムのジャケットを持参していた。
図らずも、2人似たようなファッションだった。
睦子はそれが嬉しかった。
 海老名SAは、いつも混んでいる。横浜町田から乗ると
すぐなので、睦子は普段はあまりここを利用しないのだが、
結城が御殿場付近からは物凄い渋滞になるから、ここで
休んで行った方がいいと言うことで寄った。
 結城の心が分からず、嬉しいながらも疑心暗鬼だった前の
2回のデートの時とは違って、今の睦子の心の中は嬉しい気持で
100%占められていた。
 もう、ためらう事もない。ただ自分の素直な気持ちに
従うだけでいい。
 この人が好きなんだ、と認めていいんだ。
 9月の陽射しは、矢張り8月よりは弱かった。だが、
白い雲は光を反射して眩しかった。
笑顔の結城の白い八重歯も、同じように光を反射して眩しい。
 休憩を済ませて、再び車に乗り込む。
 御殿場までは距離的にはそう遠くない。
 厚木付近で少し渋滞したが、そこを過ぎると車はスムーズに
流れ出した。だが足柄付近で混みだした。
「あ~、もう混んでる」
 結城が残念そうに言った。
 普段の土日でも、アウトレットがある為に御殿場I.C付近は
混む。その上に、レース場でイベントやレースがあると、
物凄く混むと言う。それを見越して早く出発したので、時間的には
余裕があるものの、動かなくなると辛い。
「むっちゃん…」
「なぁに?」
「嫌な事だったら、ごめん。答えなくていいから」
「えっ?」
 嫌な事って、何?
 結城の言葉に胸が騒ぎだした。
「前彼の事なんだけど…」
 アイツの事か。
「いいかな?訊いても…」
 躊躇いがちな口調だ。
 一体、何を訊かれるんだろう?と思いながら、「いいよ」と答えた。
「いつもドライブばかりだったって言ってたよね」
「うん」
「彼って、何の車に乗ってたの?」
 あら。そんな事?なんだか、拍子抜けする…。
「中古の白いプレオ、だったかなぁ」
「だったかなぁ、って?」
「うん。自分の趣味じゃ無かったのもあって、関心無いから
車種なんて全然気にして無かったから。古かったしね。
ああ、スバルの車だな、くらいな感じ?」
 結城がププッと笑った。
「彼は車好きとか、そう言うんじゃなかったの?」
「そうね。乗れればいい、みたいな人だったかな。大体まだ学生だし。
だから中古の安いのを買ったみたい」
「そっかぁ。まだ学生なんだ」
 そう。まだ学生だ。2浪しているから年は2つ上だが、
同級生だから今は4年の筈だ。
 今頃は就職活動で忙しくしているのだろうか。それとも既に内定を
貰っているか…。だが昨今の就職難を考えると、まず無理だろう。
「どこに、住んでるの?」
「横浜の上永谷から車で10分くらいの所」
「上永谷って、ブルーラインの?」
「そう。あそこは確か港南区だったかな」
「じゃぁ、うちの店からは、そう遠くは無いんだね」
「そうだね。バイクで来てたしね」
「へぇ。バイクにも乗ってるんだ」
「そう。後ろに乗せて貰った事は一度も無いけど。確かヤマハの
125ccだったかな。こっちの車種は全く記憶に無し」
「なんで?むっちゃん、バイクだって結構好きなんじゃないの?」
 睦子は驚いて結城を見た。
「どうして、わかるの?」
「なんとなく、ね…。それに、『後ろに乗せて貰った事は一度も無い』
ってわざわざ言う所がさ。それっぽいじゃん?」
 結城は笑っている。
「後ろに乗って無いくらいだから、彼のバイクを見る機会自体が
少ないでしょ?それに、ぱっと見て自分のタイプのバイクじゃ
無かったから、いちいち車種を確かめる気も起きなくて」
「でもヤマハの125ccって言うのは、ちゃんと把握してるんだ」
「それくらいは、ひと目見てわかるじゃない」
 結城はいきなりハッハッハと、声を出して、ハンドルを軽く
叩きながら笑った。
「どうして笑うのぉ?」
「あははは、いや、ごめん。特に理由ない。ただ、急に
面白くなってきちゃって」
 と言って、まだクククと笑っている。
 何がそんなに可笑しいのだろう?納得できない。
「そ、それでさ。ドライブって話しだけど、スタート地点は
何処なの?」
 『スタート地点』と言う表現に、睦子は笑った。
「大体いつも、上永谷の駅」
「ええー?わざわざ、そこまで行ってたの?彼の最寄り駅まで?」
 車なら、もう少し近い所まで来てもいいんじゃないか、
と結城は言った。
「その方が早いからよ。ウチは内陸だから、こっちまで来るのは
時間がかかるし、うちの方じゃ、ドライブなんてもんじゃないし」
「確か、横浜市内って言ってたよね」
「うん。金沢区とか、海の方。そのまま横須賀まで行く事も
あったし、三浦まで行ったこともある」
「それだけなの?その辺はレジャースポットでもあるのに、
遊ばなかったの?」
 結城の言葉に睦子は笑った。だが、明るい笑いじゃない。
「あたしと遊ぶ気にならなかったんじゃない?ただ車を走らせてる
だけ。時々、ご飯を食べる為にファミレスとかに寄るだけで」
 口に出して言ってるだけでも、つまらないデートだったんだな、
と思う。
「ただ、一緒にいるだけで満足だったんじゃないの?」
 車がやっと御殿場ICの出口を出た。だがその先も渋滞が続いている。



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~ Comment ~

Re: NoTitle>OH林檎様 

OH林檎さん♪

> 結城くんは、
> デートのはじめに元彼のことを聞いて、
> 気まずくなったらどうしようなんて思わないのねぇ(笑)

そうなんですよねぇ。嫌なら答えなくていい、と前置きして
わざわざ訊く事なのかなぁ?と思っちゃいます。


> 「ただ、一緒にいるだけで満足だったんじゃないの?」
> は、鋭いっっ!
> 実は私もそう思ってました。

ほぉ~、成程。
確かにそうかもしれませんね。
好きであるならば、それが当然だとは思うのですが、
富樫と言う男は、どこか得体が知れないと言うか、
掴めないヤツですね……。

> 元彼にはまだ何かあるねv-391

OH林檎さんは、やっぱり鋭い!
ちょっとネタバレになっちゃいますけど、
まだ何かあります(爆)

NoTitle 

結城くんは、
デートのはじめに元彼のことを聞いて、
気まずくなったらどうしようなんて思わないのねぇ(笑)
でも、
「ただ、一緒にいるだけで満足だったんじゃないの?」
は、鋭いっっ!
実は私もそう思ってました。
元彼にはまだ何かあるねv-391
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