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小説・Bye by Blue<完>
5.BLUE × ORANGE


Bye by Blue 5.BLUE × ORANGE 05

2010.06.15  *Edit 

「うん。実はね。男女3人ずつで行ったんだ」
「それって?」
 京子が目を輝かせて聞いた。だが睦子は言い知れない
不安な気持ちが湧いて来た。
「あたし達の他に、女子は松本さんと島谷さん。
男子は結城さんと田中さん」
 睦子はずーんと体が重くなるのを感じた。
「えー?どうしてぇ?」
 京子の問いに、和子が詳しく話しだした。
 言い出したのは河嶋だそうだ。
 何度か飲みに誘ってもOKしない結城に業を煮やした
あかりが、河嶋へ話しを持ち込んだのである。話しを
聞いた河嶋が、「それなら俺達とWで行けばいいよ。それなら
結城さんもOKするんじゃね?」と言って、結城を誘った。
 だが結城は、河嶋が思ったように簡単にはOKしなかった。
渋る結城が不思議でしょうがない。そんな結城に、
「じゃぁ、あと2人誘おうぜ。それならいいだろう?」と言って、
島谷と田中も誘ったのだった。
「別に二人きりで飲むわけじゃないんだし、たまには
いいじゃん。付きあっても」
 河嶋にそう言われて、結城は承知したそうだ。
「結城さんってさ。前から松本さんにアプローチされてたよね。
すぐにOKしなかったって事は、やっぱり松本さんには
気が無いってことなのかな」
 京子の言葉に和子は「うーん、どうなんだろうね」と答えた。
「それで、どうだったの?雰囲気は?」
 興味津々と言った顔で京子は先を促した。
「うん。最初は6人でね。色々とお喋りしてさ…」
 最初はビールで乾杯した。
「やっぱり、最初はビールだよな」
 と、河嶋が嬉しそうに言うと、あかりと島谷は大袈裟な程、
同意した。その様子に、河嶋はご機嫌になる。
「うちの売り場には、そこで腰を折る奴がいるからさぁ」
「あら、なにそれ?」
 島谷の問いに、「鮎川だよ~」と河嶋が答えた。
「苦手なのは知ってるよ。だけど、最初なんだからさ。皆に
合わせてもいいじゃん。2杯目から好きなのを頼めばいいんだし」
 不貞腐れたように言う。
「しょうがないよ。アユちゃんは1杯だって飲むの
大変なんだもん。2杯目なんて頼まないじゃん」
 和子の言葉を聞いて、河嶋は彼女を睨んだ。
「だからぁ~。飲めなきゃ残したっていいんだよ。それで好きなのを
頼めばいいって言ってるんだよ。わかんねぇヤツだなぁ」
 そんな河嶋に、隣に座っている田中が「まぁまぁ…」と間に入った。
「河嶋さんの言う事、わかるわぁ~。やっぱりお酒の席だもの。
一人だけ勝手な事してたら、みんなが白けちゃうわよねぇ?」
 島谷があかりに同意を求めるように言った。
それを受けてあかりも頷く。
「あたしも同感。大体あの子、変わってるわよね。トイレで
時々会うけど、妙に澄ましている癖に、人の話はしっかり
聞いてるでしょ」
 あかりが胡散臭そうな顔をしてそう言った。
「あ~、それ、あたしも分かる~。聞いて無いようで、聞いて
るんだよね。話しを振ると、ちゃんと答えが返って来るもん。
聞いてなきゃ返せないもの」
 そうして、暫く、睦子の話題が続いたのだった。
「えー、なにそれぇ?酷くない?」
 京子が憤慨した。
「ごめんね、アユちゃん。河嶋さんが変な事を言うからさ。
でもあたしが、しっかりフォローしておいたから」
 和子はそう言ったが、睦子からしたらそんなことまで私に
報告してくれなくても、と思う。だけどその間、結城は
どうだったのだろう?訊きたいが訊けない。
 睦子の話題から職場の話しになり、ひとしきり盛り上がった
ところで、席を移動した。そして、その後は2対2で
話し始めたと言う。
「結局のところ、河嶋さんは松本さんと結城さんの
キューピッド役になりたかったの?」
「って言うか、松本さんと島谷さんとは昔から親しく
してるじゃない?だから、一肌脱いだって感じ?」
「島谷さんは結城さん狙いじゃ無かったの?」
 睦子がそう言うと、和子は首を振った。
「あの人は昔から田中さん狙いだったの」
「ええー?そうだったのぉ?あたしも結城さん狙いだと思ってた」
 京子がビックリしたような顔をした。
「実はさ。最初は松本さんも田中さん狙いだったんだよ。
でも、結城さんが来て、そっちに乗り換えたの。だから
島谷さんはホッとしたみたい」
 そうだったのか。
 それを聞いて、何となくあの2人の関係に納得した。
「じゃぁ、2人とも上手くいきそうな感じ?」
 京子がそう訊ねた。睦子の耳はダンボのようになっている。
透明だから誰にも気づかれない。
「さぁ?それは…。だけど、河嶋さんが言うには、田中さんと
島谷さんは確実だろうって」
「どうしてぇ?」
「昨日、それとなく田中さんに訊いたら、好感触だったって」
「へぇ~。まぁ、島谷さんは美人だしね。それで、結城さんの方は?」
「それが、笑って誤魔化されたって」
「ええー?なんでぇ?」
「さぁ…?ただ、松本さんと2ショットの時は楽しそうに
話してたよ。だから河嶋さんが言うには、結城さんは照れ屋
だからはっきり言わないだけだろうって。内心では満更でも
ないんじゃないかって」
「ふぅ~ん。そうなんだぁ」
「松本さんって、背が高いし、本当にモデルさんみたいじゃない?
結城さんも大きいし、お似合いだよね」
「確かに」
 そう言って頷き合う2人を、睦子は黙って見ているだけだった。
 何も言えない。
 何を言ったら良いのかわからない。
 『照れ屋』か。
 本当に照れ屋なのかどうかは分からないが、
優柔不断なんじゃないか。
 誘われて、その気が無くてもハッキリと断れない男。
 だから、誰にも優しいんだ。
 八方美人なんだ。
 はっきりとした態度を取れない。
 だから、あんな風に誘って来たのかもしれない。
 はっきりと気持ちは言わずに、取り敢えずエッチしてみて、
良く無かったらバイバイだったのかもしれない。
 あたしは、そんな風に軽く見られたんだ。軽く扱われたんだ…。
 何だか腹が立ってきた。
「どうしたの?アユちゃん」
「えっ?」
「なんか、怖い顔してない?」
「あ、本当だぁ」
 2人にそう言われて、慌てて顔を緩めた。
「ちょっと、ムカつくお客さんの事をいきなり思い出したものだから」
 そう言って笑うと、目の前のカクテルに口を付けた。
 カシスだから甘酸っぱい。
 口当たりの良いカクテルは、ついつい飲み過ぎて、結果、
目が回ってきてしまうので、睦子はいつも、舐めるように自分の
酔い加減を計りながら飲んでいる。だがつい、思いあまって
グイと飲んでしまった。
 途端に頭がポーっとしてきた。
 ポーっとした頭で考える。
 だが、目が回るだけだった。
 そしてとうとう、睦子は京子の膝の上に倒れたのだった。

また2人が一緒にお昼に売り場を出て行ったのを見た。
 結城とあかりだ。
「あの2人、付き合ってるんじゃない?」
 と、女子社員が噂しているのを聞いた。
 見る度、聞く度、胸が痛くなる。
 結城とはあれから一言も言葉を交わしていない。
睦子の方で避けているからだ。
 結城の方も睦子に断られて、もう構うのは止めようと
思ったのかもしれない。
 何も、こんなブルーで変わり者なんかより、女らしい魅力
満載のあかりの方がいいに決まっている。KYの睦子より、
あかりの方が気が利いて会話も楽しいに違いない。
 夕方の休憩時間、睦子は一人で炭火焼コーヒーの店に行った。
 最近、休憩時間はよくここへ来る。狭っくるしくて噂に満ちた
職場の休憩室に居たく無かった。
 あいている席に睦子が座ると、すぐ隣に人が腰掛けて来た。
すいているのに、何故わざわざ隣に座って来るんだろうと
訝しげに視線を向けると、結城だった。
「どうして、ここに……」
 驚いている睦子に、「後を付けて来たんだ」と結城が答えた。
顔にはいつもの笑みが無い。
 2人の目の前にコーヒーが置かれた。
「なんで、そんなこと…」
「君が俺を避けてるから」
 睦子は動揺している心を隠すように、そっと静かにカップを
手に取ると、コーヒーに口を付けた。味は苦いのに、香りは甘い。
その甘い香りに、心が少し落ち着いて来たが、それでも睦子の
心臓は早鐘のように鳴り響いていた。
「君とちゃんと話したい。だから、今日、仕事の後で会わないか?」
 結城の言葉に、睦子は震えた。そして、気持ちとは裏腹に、
睦子の首が左右に動いた。
「どうしてなんだよっ」
 結城の強い口調に、睦子は驚いた。結城は顔を少し赤くして、
怒り顔と泣き顔が混ざったような顔をして睦子の方を見ていた。
 どうして、そんな顔をするの?
 泣きたいのはあたしなのに。
 怒りたいのはあたしなのに。
「話しくらい、させてくれてもいいだろう?」
 結城の顔を見ていると無性に切なくなってきた。
「わかった…」
 睦子の返事を聞いて、結城はホッとしたように息を洩らしたのだった。



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