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小説・Bye by Blue<完>
5.BLUE × ORANGE


Bye by Blue 5.BLUE × ORANGE 04

2010.06.14  *Edit 

 馬鹿みたい……。
「むっちゃん、…むっちゃん、ごめん」
 結城を後にして足早に歩く睦子を結城が追いかけて来た。
 睦子はそれを無視してひたすら歩いた。
 駅に付き、改札へ入り、立ち止まった。2人が乗る電車は
逆方向だ。だからホームが違う。
「今日はありがとう。また会社で」
 睦子は結城にそう言うと、自分が乗るホームの方へと歩き
出そうとした。だが、腕を掴まれて阻まれた。
「むっちゃん…」
 人の流れに逆らって立ち止まっている2人に、人の波は
容赦なくぶつかってくる。それに流されるようにして、
2人は壁面まで移動した。
「むっちゃん、ごめん。俺…」
 睦子は首を振る。
 周囲は騒がしかった。試合の後でみんな興奮している。酔って
騒いでいる者もいる。とてもこんな場所で話しなんてできない。
「結城さん。今日は楽しかった。ありがとう。また会社で会おう?」
「むっちゃん…」
 睦子は軽く微笑むと、自分の腕を掴む結城の手を引き離して、
自分が乗るホームの方へと歩き出した。
 階段を上って、ホームの真ん中まで進んだ。敢えて向かいの
ホームの方は見ない。
 人が大勢いて良かった。これなら互いの姿を見つけずに済む。
 幸いすぐに電車がやってきた。押されるようにして乗り込む。
向かいにもちょうど電車が入って来た。それを見てホッとする。
 馬鹿みたいだ……。
 ただひたすらに、そう思う。
 いい気になって浮かれていた自分。
 そして、過剰に反応して拒否した自分。
 訳がわからない。
 心の中がグチャグチャだ。
 横浜駅に到着し、大勢の人間と共に降りた。そして乗り換える。
そこから30分程電車に乗って、最寄駅からは自転車に跨(また)ぐ。
 暗い夜道の中をひたすらペダルを踏んだ。ぬるい風が
睦子を通り過ぎて行く。
 早く帰りたい。早く帰って、早く寝たい。
そうしないと、心がどうにかなってしまいそうだ…。
 家へ帰り自室へ入ると、プーさんが目に飛び込んで来た。
 その途端、涙が出て来た。
 電気を点けずにいる室内は、外灯の明かりで僅かに視界が利く
程度だ。薄暗い闇の中で、みかん色のプーさんだけがよく見える。
 睦子はその場にうずくまった。
 どうして誘って来たんだろう。
 富樫の事を思い出した。
 ラブな雰囲気なんて全く無かったのに誘ってきたアイツ…。
 そして、雰囲気は良かったけれど、気持ちは未知数な彼…。
 深く考えずに、OKすれば良かったのだろうか。
 でも。
 でもあたしは、そんな事できない…。
『むっちゃん、ごめん』
 結城の言葉が頭の中でこだました。
 必死に謝っていた彼…。
 どうして謝るんだろう。
 もしかして、冗談だったの?
 あたしをからかっただけ?
 あたしが聞きたかったのは、そんな言葉じゃない。
 あたしが聞きたかったのは……。
 聞きたかったのは………。
 その晩睦子は、プーさんを抱きしめなかった。

 翌週の月曜日、夏休みの終わった睦子はいつも通りに出勤した。
「おはよう!休み中はどうだった?」
 レジの準備をしている浜田雪子がそう言った。
「おはようございます。家でノンビリ過ごしてました」
「あらぁ~。鮎川さんは本当にインドアよね。折角の夏休み
なんだから、もう少し外へ遊びに出ればいいのに」
「だって、一緒に遊ぶ人もいないし…」
「まぁ、そうよね。休みが合わないものね。
こういう仕事の宿命よね」
 そう言って忙(せわ)しくお金をレジスターへ入れている。
 そんな、いつもの浜田らしいセカセカした様子を見ていると
心が落ち着いてくる。
「おはようございます」
 低く掠れ気味の声が聞こえてきた。結城だ。
「あら、おはよう」
 浜田の言い方はいつも素っ気ない感じが特徴だ。素っ気ない
からと言って冷たい訳ではないのだが、言われた方は冷たく
感じるから損していると言える。
「おはようございます」
 睦子はいつも通りに挨拶をした。
 そのままレジの中へ入って、袋や伝票などの整理を始める。
 結城が傍を離れたのでほっとした。
「今週の夏休みは誰だったかしらね?」
 浜田の言葉に、シフト表へ目をやると河嶋だった。
 それから続々と出勤してきて、売り場は一挙に賑やかになった。
 睦子は意識して結城を避けた。
 同じ台では切らないようにし、反物を片づけている時にも、
近くを通らないようにした。人の少ない場所には、居続けない
ように気を付けた。
 昼休みの時間が始まった時、1便の結城の許にレディースの
松本あかりがやってきて、一緒に売り場を出て行くのを見た。
あかりは手に透明の私物バックを持っていたから、昼休み
なのだろう。同じ1便だから誘いに来たと言う訳か。
 睦子は胸に痛みを感じた。そんな自分が愚かしい。
「ねぇ。今日はさ。久しぶりに3人揃ったから、
飲みに行かない?」
 客足が減って来た時に、京子が睦子と和子を誘ってきた。
 3人だけで飲みに行くのは久しぶりだ。
 たまには皆で色々お喋りしたい。お喋りして、
鬱憤を晴らしたい。
 あれから心はブルーのままだ。
 休み中も馬鹿みたいに悶々と過ごしていた。何の為の
休みだったのか、わかりやしない。
 終業後、3人はよく行く居酒屋へと出かけて行った。
 運良く個室が空いているとの事なので、
3人はそこへ落ち着いた。
「まずはカンパーイ!」
 京子がノンアルコールカクテルのグラスを高らかに掲げた。
 睦子と和子が、それにグラスを合わせた。
 和子は相変わらず生ビールの中ジョッキで、睦子はカクテルだ。
 乾杯後、和子はゴクゴクと喉を鳴らせて一挙に半分まで飲んだ。
「すっごーい」
 全くだ。見た目と反して、凄い飲みっぷりである。
 和子は口の回りに泡を付けたまま、嬉しそうに頬を染めている。
「あ~あ~、口の周り、泡だらけじゃない」
 呆れたように京子が紙ナプキンを取って手渡した。
「この間の売り場の飲み会でも、そんな感じで河嶋さんに
拭いて貰ってわね」
「手が焼けるわよね、恩田さんには」
「でも、そういう所が好きだって…」
 真っ赤な顔して嬉しそうに言う和子に、睦子と京子は
呆れて顔を見合わせた。
「河嶋さんも、物好きよね。だけど、幾らそういう所が
好きだって言われてもさ。限度ってものがあると思うよ。
女の子なんだし、もう少し気にしたら?」
 京子の言葉に、睦子も頷く。ちょっと、あまりに無頓着
過ぎるような気がする。
「今週から、河嶋さんは夏休みだよね。寂しいんじゃない?」
 睦子が言うと、和子は「ちょっとだけね」と言ったが、
顔は少しも寂しそうじゃない。
「ホントにぃ?」
 京子が疑い深そうに言った。
「あたし、河嶋さんに聞いたんだけど、この夏休み中、
ずっと旅行に行くって言ってたよ?」
「あら、そうなの?じゃぁ、休み中でも逢えないの?」
 京子の言葉に睦子は驚いた。
「友達と旅行に行くんだって。ちょうど休みが合ったから
いい機会だからって。だから、仕方ないよ。時々メールを
くれる事になってるし、一昨日も一緒に飲みに行ったしね」
 何だか自信に満ちた顔をしているように見える。それ程、
2人の絆が深くなったのだろうか。そうだとしたら、
羨ましいと睦子は思った。
「ねぇねぇ。一昨日飲みに行ったのってさ。2人だけじゃ
無かったんでしょ?ちょこっと聞いたんだけど、3カップルで
行ったとか…」
「3カップル?」
 3カップルってどういう事?他に2つのカップルも
一緒だったと言う事だろうが、そのカップルって一体……?



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~ Comment ~

どうなるのでしょう? 

コメント、ありがとうございます。(^^)

ブキな二人で焦れったいですよねぇ。

何て言うか、価値観の相違、感覚の相違、性の相違……?
う~ん…、感覚の相違かな。ズレてるんですよね、この二人。

ちょっと派手な感じの結城君と地味で臆病な睦子の
取り合わせで、どうしたら上手くいくんでしょう。

これからも応援よろしくお願いします(^^)

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Re: おはよ。。>さらら様 

さららさん♪

おはようございます。

『龍馬伝』、勿論欠かさず見てますよ。録画もしてあります。永久保存版ですね。
福山さんは、2月で41歳になりました。
見えないけど、でもやっぱりもう、中年男らしい貫禄と言うか、
そういうのを感じます。お肌の肌理と張りは、他の年下の俳優さんと
明らかに違いますし^^
でも若々しいですよね。

むっちゃんは根が真面目で優しい子です。面白い所もあるんですけど、
前彼の件で思いの外、かなり傷ついてるようで臆病になってるのかな。
守り態勢に入っちゃってる感が……。

人間模様は人の数だけあるから、大変ですよね。
この先、どうなっていくかはお楽しみ、と言う事で。(^^)

おはよ。。 

昨夜『龍馬伝』見た?
見たよねぇ。。
あれで40だなんて、いいね~♪o(*^・^*)
息子の友達で彼と1字違いで大違いって子がいるの。(ごめんよ~!!でもイイ子よ。(あまりフォローになってないな)

むっちゃん、マジメな女の子だね。それともそんな風に装っているのかな?
私、京子タイプ好きじゃないな~m( ̄ー ̄)m ゴメン
大きな職場だからいろんな人間模様があるでしょうが。
むっちゃん、なんとかしてあげてほしいな~♪o(*^・^*)
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