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小説・Bye by Blue<完>
5.BLUE × ORANGE


Bye by Blue 5.BLUE × ORANGE 03

2010.06.13  *Edit 

 2人は人混みの中を北上し、関帝廟へ足を運んだ。
ここも人で一杯だ。
「やっぱり、好きでしょ」
 そう言って笑う結城に睦子は微笑み返す。
「当然でしょう?」
 言わずと知れた、ゲームである。
「でもあたし、好きなのはゲームだけじゃないから」
「読書家のむっちゃんなんだから、当然読んでるだろうって
お見通しだよ」
 2人は笑い合った。
 並んでいた列が少しずつ進み、やがて2人の番になって、
長いお線香で拝礼する。廟の中は線香の煙が充満していた。
関帝様は大きかった。
 外へ出て、息を吐く。
「凄い煙だったね」
 結城は深呼吸をした。
 それから幾つもの通りを歩き回り、色んな店に入って
色んな物を見た。
 中華のお菓子のミニサイズを売っている店がある。
その店は全品試食できるので、2人はあれこれと試食した。
 ゴマ餡や揚げ菓子が多く、サイズも大きいものが多いので、
気軽に買えない中華菓子だが、ミニサイズだと、色んな種類を
食べれるので有難い。
 2人は試食しながら、結局何も買わずに店を出た。
 店を出た後、思わず互いに顔を見合わせて爆笑する。
「むっちゃん、せこい」
「酷いなぁ。そっちこそでしょう?」
「俺はむっちゃんには負けるよ。結局、全種類、
食べてたんじゃない?」
「やだぁ~、そんな事ないわよぉ?」
 だが、全種類食べていた。気付かれていたと知って
恥ずかしくなった。
 5時を回ったので、2人は横浜スタジアムの方へと
足を向けた。
 人混みの中から抜け出しても、結城は睦子の手を繋いだ
ままだった。
 半歩前を行く結城の、半分しか見えない横顔を見て
胸が高鳴る。意識は繋いだ手に集中する。温もりを直に感じて、
腕の血管が脈打っているように感じる。
 ゲートの前に並ぶと、結城はバッグからチケットを取り出した。
「あの…」
「貰ったチケットだから。心配しないで」
 睦子は頷いた。
 こんなに気遣いのある人だとは思っていなかった。
 睦子は胸が温まるのを感じた。一緒にいるのが心地良い。
 中へ入って席へ着く。
 スタジアムのスタンドで野球を見るのは初めてでは無い。
 高校生の時、甲子園の予選で自分が通う高校がベスト8にまで
駒を進めたのだった。その時に、みんなと一緒に応援に
来たのだった。3年生の時だったから4年前だ。
「へぇ~。凄いじゃん。俺の学校なんて全然だったからなぁ」
 と、睦子の話しを聴いて結城は感心していた。
「それで、勝ったの?」
「ううん。負けた。次の年は準決勝までいったんだけど、
やっぱり負けました」
「でも、凄いよ、そこまで行くなんて」
 大きな目を更に見開いて驚いている。
「むっちゃんは、高校野球は観るの?」
「神奈川とか東京とかの学校の時にね。あとは準決勝とか
決勝とか」
「じゃぁ、野球が嫌いな訳じゃないんだ」
「嫌いじゃないわよ。プロ野球を面白く感じないだけで…。
ごめんね」
「そんな、謝る事じゃないよ。俺は、こうして一緒に観戦
できるだけでも嬉しいし」
 そう言う結城の笑顔が眩しい。沈み始めている太陽の
斜光を反射している。
 俄かに場内が騒がしくなった。
 アナウンスが流れ、試合が始まるようだ。
 周囲の喧騒に、睦子もなんとなく興奮してくる。
 そして、見続けているうちに、睦子は面白いと感じ始めた。
野球って、テレビで見るより断然生の方が面白い。
 昔は、あんな遠いスタンドで見ても、選手の顔は見えないし、
投手とバッターの駆け引きの様子なんて全然わかりそうにないし、
やっぱりテレビでしょ、と思っていた。
 だが、そんな事よりも、このライブの緊迫感がたまらない。
それに、グラウンド全体を見渡せるのもいい。
 テレビじゃ観ていても面白くない内野ゴロでさえ、
興奮するのだった。
 思わず周囲につられて立ちあがって応援してしまう。
「むっちゃん、凄い興奮してるねぇ」
 攻守交代で席に座った時に、結城に言われた。
「えっ?そうだった?」
「うん。凄い声を張り上げてた。ノド、大丈夫?」
 思わず赤くなる。
 やだ、あたしったら…。呆れられてるんじゃないのかな。
「むっちゃんって、面白いね」
 えっ?
 結城の思わぬ言葉に、睦子は驚き見上げた。
 結城は八重歯をニョッキリ出して笑っている。
「落ち着いてて大人っぽいかと思うと、面白い事を言ったり
やったりして皆を笑わせたり、澄ましてるかと思えば、
興奮して大声出したり…。何ていうか、喜怒哀楽が激しい?」
「ええーっ?」
 思わず声が大きくなった。
「どうしてそんなに驚くの?」
「えっ?だって、そんな事を言われたの、初めてだから…」
 なんだか凄く恥ずかしい。
「そっかぁ。そうだよね。普通、そんな事言わないよな。
俺、悪かったかな」
 睦子は、ブンブンと音が鳴りそうなくらい、強く首を振った。
 ベイスターズの攻撃になって、ホームランが出た。
 二人して興奮した。
 睦子は思わず飛び跳ねる。こんなに興奮するのはロック
バンドのコンサート以来だ。
 ベイスターズが勝って、大興奮の中で試合は終了した。
 スタジアムを後にして、駅までの道を手を繋いで歩く。
風が興奮して熱気を帯びた体に心地良く当たる。先週よりも
涼しく感じるのだった。立秋を過ぎて、少しずつだが確実に
秋へと向かっているのを感じる。
「夏休みが明けてさ。会社へ行って、先週の事を色々聞いたよ」
 結城が楽しそうな笑みを浮かべながら話しだした。
「お休み中の事でしょ?凄く混んでて大変だった」
「そうだってね。俺も月曜から出勤して、あ~、また忙しい
日々が始まったって実感した」
「今は私が羨ましいんじゃない?」
 睦子の言葉に、結城がいきなり立ち止まった。
信号を渡った所だった。
 驚く睦子の手を引いて、脇道の方へと少し入る。
「石川さんに、ラブホに誘われたんだって?」
 脈絡のない、いきなりの言葉に、睦子は酷く驚いた。
「ええっ?なんで?聞いたの?」
 京子は、どうしてそんな話しを結城にしたんだろう。
「落ち込んでるむっちゃんが妙に可愛くなってきて、
慰めてあげたくなったんだって言ってた」
 睦子は溜息をつく。
 京子の気持ちは、ちゃんと分かってる。
 だが、いくら仲良しの京子が相手とは言え、女の子同士で
ラブホテルへ行く気は微塵も無い。睦子を元気づける為に
言ったんだろうに、それを男子に話すなんてと、感謝の
気持ちが怒りに変わって来るのだった。しかも、よりに
よってこの人に話すなんて。
「俺とじゃ、駄目かな…」
「えっ?」
「行かない?これから…」
 睦子は震えて来るのを感じた。
 なんで?
 どうして?
 もしかして京子ちゃんと同じように、落ち込んでるあたしを
慰めてあげようとかって、思ってるの?
 2回目のデートで、手を繋いで歩いたくらいで、好きだとも
言われて無いし、キスもしてないのに、いきなりラブホなの?
 よく気が付く、優しい人だと思ってた。
 それなのに、気持ちも確かめ合わないまま、
誘って来るような人だったなんて…。
「むっちゃん?」
 睦子は、繋がれている結城の手を離した。
「ごめんなさい。あたし、そんな気無いから…」
 睦子はそう言うと、駅へと歩き出したのだった。


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~ Comment ~

Re: えええーーー!?>OH林檎様 

OH林檎さん♪

突然の大胆な行動…。驚いちゃいますよね。

案外、デリカシーに欠けてたりするんですよ、このお人は。

まぁ、結城君としては、ある意味これが愛の告白の
つもりだったりするんですが、少々繊細な睦子にとっては、
大ショックだったわけで……。

さて。
お二人さんは、これからどうなるのでしょう???

因みに、私なら、やっぱり行きますね。しかも喜んで(^_^;)

えええーーー!? 

ここまで慎重にすすめてきたのに
いきなりラブホですかぁ?
結城くんの心の中で何が!?
でも…私なら、行くかも(てへっっ)
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