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小説・Bye by Blue<完>
5.BLUE × ORANGE


Bye by Blue 5.BLUE × ORANGE 01

2010.06.11  *Edit 

 睦子は夏休みに突入した。
 なんだかヘトヘトだ。長期の休みと言うことで、普段の
疲れがドッと出たのかもしれない。
 この休みの間は、水曜日のデート以外はのんびりと家で
過ごすつもりだ。
 本を読んで、ゲームをして、音楽を聴いて。
 そうだ。なんか作ろうかな。
 そう思って本棚の前へ立つと、目についた手作りの服の本を
取り出した。パラパラと捲(めく)っていると、可愛いワンピースが
飛び込んで来た。ストンとしたワンピースで、裾の部分に共布で
フレアーが付いていて、シンプルだけど可愛らしい。
 服地売り場で働くようになってから、次々と入荷してくる
可愛い布や綺麗な布に惹かれて、ついつい買ってしまう。気に
入った布を買うからには、それで何か作りたくなる。それで、
本や型紙まで、買ってしまうのだった。
 だが、洋裁が得意なわけではない。だから作るにしても、
あまり立体的でない服じゃないと無理だ。
 確か、いい布があった筈……。
 押し入れから、買った布を仕舞ってある行李タイプのケースを
引っ張りだして蓋を開けた。色・柄とりどりの布が、
睦子の心をくすぐる。
 その中から、睦子は色の薄い、少しグレーがかった
ピンクの布を手に取った。
 可愛くて、綺麗。
 そう思って、買った。
 睦子はその布と本を持って母の所へ行くと、自分に
似合うかどうか訊いてみた。
「この布でこのワンピを作ってみようと思うんだけど、
どう思う?あたしに似合うかな?」
 母は暫く本と布と睦子を見比べると、
「いいんじゃない?」と言った。
「ただ丈は、もう少し長めの方がいいんじゃないの?」
「どのくらい?」
「そうねぇ。膝下10センチくらいかしら」
 本に出ているのは、膝上だ。
 う~ん…、確かにそうかもしれない。
「ありがとう」
 睦子は自分の部屋へ戻ると、早速付属の型紙に合わせて、
丈だけを長くしてカットした。肩がキャミソールタイプなので、
袖が無くて作り易い。腋ぐりの部分は共布でパイピングするので、
その分もカットして、ざっと仮縫いをして試着してみた。
 下にラウンドネックの薄地のTシャツを着る。
 あ…、なんか可愛いかも…。
 色が薄いから丈が長くても暑苦しい感じがしない。
 これ、明後日着て行こうかな。
 睦子は急に思いついた。
 そうと決まったら、さっさと仕上げなきゃ。
 ミシンを出して、糸の準備をし、上糸と下糸の調節をした。
手縫いは得意だが、ミシン縫いは苦手だ。この、糸の調節が
下手くそなのだ。最初のこれが上手くいかなければ、どうにも
ならない。何度も繰り返してやっと丁度良い具合に出来たので
ホッとした。これでやっと縫い始める事ができる。
 睦子はゆっくりと丁寧に本縫いを始めた。
 いつになく集中する。
 一番神経を使うのは腋のカーブだ。せっかちな性格が
祟(たた)って、最後が合わなくなる。いつも腋の最後がズレて
ぴったりしない。だから袖があるものは袖を縫いつける時に
これまた合わなくなる。
 仮縫いではちゃんと合っていたのだから、それがズレない
ように縫えば良い筈だ。慎重にミシンを進める。今回は
キャミソールタイプだから、腋をパイピングする布が、
腋より上で肩ひもとなるので、合わせ部分は少々縫い難いが
半分で済むから楽だ。
 何とか片側が上手くいった。次は残った方だ。
 再び緊張が走る。
 こんなに丁寧に洋裁をするのは初めてかもしれない。
学校の家庭科の課題ですら、ここまで神経を使って丁寧に
やった覚えが無い。本来なら、そうしなきゃならなかった
のだが、どうしても性質が災いして雑になり、
だから評価も低かった。
 普段着として着るつもりだったら、半日で出来ただろう。
だが、流石にデートで着て行くとなると、そんな訳にもいかず、
結局、出来あがったのは夜だった。
 最後に軽くアイロンを当てて、試着した。
 大丈夫。ちゃんと出来てる。
 家庭科で作った服は、1つとして満足に着れなかった。
 服地売り場に勤め出してから、簡単な服を何着か作るように
なった。どれも着れる。ただ、着て行く場所を選ぶ。
でもこれなら大丈夫そうだ。
 睦子はそのまま階下まで駆け降りて、母に見せた。
「どう?」
 と言って、1回転する。
「第一印象は合格」
 母はそう言うと、今度は近づいてチェックした。所々手に
取って見ている。その様子を見て、睦子はハラハラした。
大丈夫だろうか?母は洋裁が得意なのである。なのに娘は
不得手とはおかしなものである。
 母は不安そうな顔をしている娘に向かって、にっこりと微笑んだ。
「合格!あんた、やれば出来るじゃない。驚いた。
凄く上手に縫えてるわよ」
「本当に本当?外へ着て行っても可笑しくない?変じゃ無い?」
「大丈夫よ。ちょっと、裏を見せてごらん?」
 母はそう言うと、裏を返してあちこち見た。
「端の始末も丁寧で綺麗に出来てるじゃない。ほんとに
感心しちゃうわね。一体、どうなってるのかしら」
「ありがとう、お母さん」
 睦子は礼を言って、自室へ戻った。
 良かった。大成功だ。これなら着ていける。
 睦子は何度も何度も鏡の中の自分を見た。ウキウキしてくる。
 視界にプーさんが入った。
 枕元に置いてある。
 そのプーさんを手に取り抱きしめると、机の引き出しを開けた。
 笑顔の結城涼がそこにいる…。
 水曜日が待ち遠しい。
 睦子は丁寧に出来たてのワンピースを脱ぐと、そっとハンガーに
掛けて仕舞った。そして再びプーさんを抱きしめる。
 早く逢いたい…。
 想いが強くなるのを感じる睦子だった。



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~ Comment ~

Re: というわけで…>OH林檎様 

OH林檎さん♪

> 10000hit踏んじゃいましたーーー!

わぁ~~~い♪おめでとうございまーす!!


> ワタクシごときがすいません。

いえいえ、とんでもございません。
いつも、ご訪問頂き、感謝感激でございます。

> おめでとうございますぅぅぅぅ!!!

ありがとうございますぅ。いつの間にか…って感じでございます。
OH林檎さんの所も、1000オーバー、おめでとうございます。
お互い、やりましたね^^v-91

ワタクシも、洋裁は苦手なんですよ。手芸は大好きなので、
そこそこ自信はあるのですが。

> アユちゃんは生地貧乏なのでは!

おっしゃる通りでございます。
ワンサカ持ってて、一体何を作るんじゃ?とツッコミ入れたく
なるほどです。従業員値引きで安く買えるのをいいことに、
つい、買っちゃうようですね^^

> かわいい生地ほど高いんですよねぇ(涙)

本当に。。。。それでも残ると安くなるんですよ。
可愛い柄なのに、色によっては残るのがあるんですよ。
その辺が、狙い目でしょうか。

さて。
可愛いピンクのワンピで、次回は2度目のデートでーす(=^^=)e-266

というわけで… 

10000hit踏んじゃいましたーーー!
ワタクシごときがすいません。
でも、でも…
おめでとうございますぅぅぅぅ!!!
嬉しくて、画面を保存しちゃいました(笑)
(どこで見せるんだ!?)

私も洋裁にハマった時期があったので、
今回のお話はかなり頷くとこが多かったっっ!
(袖が合わないところとか)
ワンピースがいきなり作れるぐらい生地をストックしてるとなると
アユちゃんは生地貧乏なのでは!
かわいい生地ほど高いんですよねぇ(涙)
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