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小説・Bye by Blue<完>
4.接近


Bye by Blue 4.接近 06

2010.06.10  *Edit 

「どうだった?」
 翌日、睦子は遥子に誘われて外で一緒に昼食を食べた。
「うん…」
 胸が一杯で、すぐに言葉が出て来ない。
「その顔を見る限り、良かったわけね」
「その顔って?」
「ニヤけてる」
 遥子はそう言ってにっこり笑った。
 睦子は思わず頬に手を当てる。なんだか熱い…。
「彼はどんなファッションだった?」
 遥子の問いに、睦子が答えると、「へぇ~。お洒落なんだね」
と感心したように目を見開いた。
「あたしも、そう思った。カジュアルと言えばカジュアルだけど、
凄く、カッコ良かった」
「そうなんだ~。着こなし上手なのかしらね?」
「そうなのかも…」
「それで、アユちゃんの服装については、何か言ってた?」
 睦子は熱い顔を伏せ気味に、
「…凄い新鮮って。あと、可愛いって…」
 恥ずかしくて声が小さくなる。
「良かったじゃないの。私も選んだ手前、どうだったんだ
ろうって凄く心配してたんだけど、気に入ってくれたみたいね。
私も嬉しいわぁ~」
 思い出すとドキドキしてくる。
「それで、どうだったの?詳しく聞かせて?」
 遥子に請われて、睦子は昨日の事を詳しく話した。話しながら
胸の鼓動が高まってきて、息苦しさを感じる。こんなに
ドキドキするなんて、まるで10代の、最初の彼との時みたいだ。
「ねぇ、遥子さん。どう思う?これってどう思う?」
「どう思うって、どういう事?」
 睦子はコップを手に取ると、ひと口水を飲んだ。喉がとても渇く。
 あたし、どうしてこんなに興奮してるんだろう?
「来週、また2人でデートするんでしょ?」
「デート、なのかな…」
「デートじゃない。彼だって、昨日はっきりと
『最初のデート』って言ったんでしょ?」
「そうだけど…」
 再び水を飲む。
「アユちゃんの話しを聞く限り、彼はアユちゃんの事
が好きなんだと思うよ」
 その言葉に手が震えて、睦子は危うくコップを落とし
そうになり、慌ててテーブルの上に置いた。
「そ、そんなの、まだわからないと思う」
「どうして?」
「だって…、一度デートしたくらいじゃ、わからないよ。
好意は持ってるのかもしれないけど、デートしてみたら
思ってたのと違った、とかあるじゃない」
 そうだ。
 嫌われてはいないだろう。
 どうしてなのかは分からないが、好意なり興味なりは
持ってるんだ。
 でも、だからと言って、即好きとは限らないと思う。
 遥子の口から溜息らしきものが洩れるのを聞いた。
「最初のデートで、いくらいい格好したいと言ったって、
デート代全額を負担するなんて事は、ただの好意だったら
無いと思うよ?そこまでしないでしょう、普通は」
 やっぱり、そうなのだろうか……。
「それに、次も誘って来たって事は、やっぱりそういう事
なんじゃないの?」
 遥子の口調は優しかった。
「でもあたし、何だか信じられないの。結城さんみたいな人が、
どうしてあたしを?それにあたし、怖い…」
「怖い?どうして?」
 睦子は恐る恐る遥子を見上げた。
 優しい瞳が不思議そうに睦子を見ていた。
「昨日はとても楽しかった。映画見て、ボウリングやダーツを
して。でも次は野球のナイターだし…。あたし、野球には興味が
無いし、今度はつまらないって思われるかもしれないじゃない?
やっぱり面白みの無い女なんだなって…。嫌われそうで怖いの」
 そう。怖いのだ。
 再びあの言葉を言われるのが。
 睦子は自分で思っているよりも深く傷ついている事を知った。
 特別好きだったわけでは無い男から言われた言葉。
 特別好きだったわけでも無いのに、こんなに深く傷ついている。
 それを、彼から言われたとしたら…。
 好きと言う気持ちが増すのに比例して、恐怖心が強く
なっていくように感じる。
 どうしよう?
 どんどん好きになって、最後の最後であの言葉で突き放されたら。
「アユちゃん…。この間も言ったけど、もっと自信を持つの。
アユちゃんの元彼は、この間の彼だけじゃないでしょ?
それまでの彼達に、言われた事は無いでしょ?たまたま相性が
悪かっただけなのよ。そんな後ろ向きじゃぁ、逆効果だと思うよ?」
「遥子さん。ありがとう。でもあたし…、頭では解ってるの。
頭では凄くよく解ってるんだけど、それでも心が軋(きし)んで来るの」
 震える睦子に遥子が言った。
「じゃぁ、やめる?」
「ええっ?」
「そんなに怖いのなら、今のうちにやめといた方がいいのかもよ」
 遥子の顔からいつもの優しい微笑みが消えていた。

「昨日は、それはもう大変だったんだよ?」
 と、京子が夕方の休憩の時に言った。
「大変って?」
「結城さんが休みの上に、むっちゃんと主任まで休みでさ。
友田さんが応援に来てくれたけど凄い混みようで、
もう凄く疲れちゃった」
 なるほど。昨日は主任も休みだった。3人重なるとかなりきつい。
 あたしが胸をときめかせている時に、ここは修羅場だったんだ…。
「それは大変だったわね。でも先週の京子ちゃんの夏休みの
時にも、3人休みで大変だった日があったわよ。これから
全員の夏休みが終わるまで、大変よね」
「そっかぁ。あたしは早々に終わっちゃったから、
あとは大変な日々が続くだけなんだ」
 ガッカリしたように言う京子を見て、睦子は笑った。
 京子ちゃんはいいな。自分にいつも正直で。
 彼に対する思いもストレートだ。
「ねぇ、京子ちゃん…」
「なぁに?」
「京子ちゃんはさ。彼とラブラブだけど、嫌われたら
どうしようとかって、不安になる事は無いの?」
 睦子の質問に、京子は驚いたように薄いグレーのような目を剥いた。
「最初のうちは、少しだけ思ったけど、でもそんなに不安に
なる事は無かったし、今は全く無いよ。何でそんな事を聞くの?」
 睦子は京子から目を逸らすと、手持ちの残り少ないア
イスコーヒーのカップを軽く揺すった。氷がシャカシャカと
小さい音をたてた。
「うん。何ていうか、いつも自信満々って感じだからさ。
不安になったりしないのかなぁって、ちょっと思っただけ…」
「むっちゃんさぁ。あの男が言った事は、いい加減忘れた方がいいよ?」
「えっ?」
「まだ気にしてるんでしょ?だから、そんな事を言うんじゃないの?」
「よく、わかるね?」
 睦子は力無く微笑んだ。
「早くいい人、見つけなよ。いつまでも独りでいるのは、
やっぱり良く無いよ。何かって言うと思い出しては
落ち込んでるんじゃないの?」
 ははは…、鋭い。
「でもさ。いい人を見つけたとしても、また同じような事を
言われたらどうしよう?そしたらもう立ち直れないような気がして…」
「そんな事を言う人は、いい人じゃないよ。即却下。
ゴミ箱行き。ろくでなしの言う事にイチイチ傷ついて落ち込むなんて
バカバカしいじゃん。むっちゃんの良さがわからない男の事なんか、
さっさと忘れる事!」
 強い口調ではっきり言う京子が頼もしく見えた。
「あたし、もし彼に嫌われたとしたら、その時にはきっぱり諦める。
素のままのあたしを丸ごと好きになってくれてるから、あたしも
彼の事が好きなんだもん。だからあたしは、彼の前ではいつも
正直でいられるんだ。彼も同じ。お互いに我がまま言い合ってる。
その関係を続けられなくなったら、終わるしかないしね」
「京子ちゃんって、逞しいんだね」
 睦子の言葉に、京子は嬉しそうな笑顔になった。
「むっちゃん。何か今のむっちゃんって、すっごく可愛い!
襲いたくなっちゃうよ。あたし、いつでも慰めてあげるよ?」
「な、慰めるって…?」
「今度さ。2人でラブホに行ってみない?女の子同士なら
入れてくれるらしいよ。あたし、エッチする時はいつも
彼の部屋だから、ラブホに行った事が無いの。凄く興味あるんだ。
ねぇ、行かない?」
「興味あるなら、彼に連れてって貰いなさい。あたしは
遠慮しておきます。さぁ、仕事に戻ろうか」
 睦子は立ち上がってカップを捨てると、足早に売り場へと向かった。
 京子の言葉に笑いながら。


         (4.接近 end 5.BLUE × ORANGE へつづく。。。)


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