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小説・Bye by Blue<完>
3.血圧上昇


Bye by Blue 3.血圧上昇 03

2010.05.31  *Edit 

 京子達を後にして店から一歩外へ出ると、物凄い暑さだった。
 北側に面した店だから、店内に陽は差し込まず、また冷房も
効いていて、とても涼しかった。それだけに、中と外の気温の
ギャップを激しく感じる。それに、暗い店内から出て来た事も
あって、アスファルトの照り返しが異常に眩しい。
 目を瞬(しばたた)かせながら腕時計に目をやると、まだ
15分程の余裕が有った。少し歩調がゆっくりになる。背後の
様子を窺ったが、京子が追いかけて来る気配は無さそうだ。
 全く、どうなってるんだろう。
 失礼な彼氏だと思うばかりだ。
 先輩を紹介する事が目的だったんだろうか?
 それにしては、その前の態度が腑に落ちない。
 それに、紹介相手が寄りにも寄って鱗粉マニアとは。
 睦子は生き物の中で、虫の類が死ぬほど嫌いなのである。
 昆虫好きの女性は少ないとは思うが、その中でも蝶は
綺麗だから好きと言う女性も少なくない。だが睦子は、蝶も
大嫌いである。確かに羽は美しいとは思う。だが、その胴体には
耐えられない。幼虫の時と大差ないじゃないか。
 高校の時の鱗粉マニアの生物教師は、蝶のコレクターだった。
数多くの珍しい蝶を捉まえては標本にしていた。大地震が来た
時に持って逃げる蝶を既に決めてあると言っていた。かなり
貴重な種だそうだ。
 イケメンだったので女生徒達から人気はあったし、睦子の
タイプではあったが、それを知って一挙に冷めた。どんなに
タイプでも、どんなにいい人でも、絶対に無理だ。好きになって
しまえば、相手の条件なんて関係ないとは思うものの、
これだけは生理的に受け付けられない。どんな相手で
あっても冷めるのは確実だ。
 だから、そんな男性を紹介されても困る。甚だ迷惑だ。
間違っても好きになんてならない。京子から色々と聞いて
いるなら、睦子が虫嫌いだと言う事も知ってていい筈じゃ
ないか。まさか知っていて、そんな男を紹介しようとしたのか?
だとしたら嫌がらせとしか思えない。
 暑さが怒りを膨張させてきた。さっさと涼しい店内へ戻って
クールダウンしないと駄目だな、と思って歩調を速めたら、
背後から「アユちゃん」と呼ぶ低い男の声が聞こえた。
驚いて振り向くと結城だった。心臓の鼓動がいきなり
速くなってくるのを感じた。
「どこへ行ってたの?」
 結城は睦子の傍へ走り寄って来て、笑顔で訊ねた。
白い八重歯の尖った先が、太陽の陽射しを反射して眩しい。
「うん。喫茶店でアイスティを飲んでた」
「一人で?」
「ううん。京子ちゃんと京子ちゃんの彼と。誘われて一緒
したんだけど、あんまり熱いんで、先に出て来たの」
「へぇ~。いつも惚気(のろけ)てるもんなぁ。かなり
当てられたんじゃないの?」
「まぁね。ところで、結城さんは?」
 2人は肩を並べて歩き出した。
「また苦手なメニューだったから、外へ出てた」
 梅雨が明けてからと言うもの、外の暑さの為に、昼休みに
外へ出る人間は少なくなった。睦子も京子に誘われたから
出たようなもので、本当なら出たくは無い。
「今日って、カレーじゃなかった?」
 睦子が不思議そうに結城を見ると、結城は照れたような
笑顔になった。その笑顔が何とも言えない程、睦子の
心に迫って来た。とてもキュートだった。
「俺、カレーは好きなんだけど、ここのカレーって、玉ねぎと
人参が凄くデカイでしょ。あれ、苦手なんだよね」
 確かに、社食のカレーは具が大きい。睦子もここの大きな
玉ねぎはあまり好きじゃない。だから気持ちが分かる気がした。
「ねぇ、アユちゃん…」
 結城が急に立ち止まった。あと2メートル程で店の入り口である。
「今日の帰り、何か用事ある?」
 えっ?
 ドクドクドク・・・。
 辺りの喧騒が消えて、自分の心臓の音だけが世界を支配して
いるような、そんな錯覚に見舞われた。
「あ、あの…、何で?」
 戸惑いながら出た言葉。
「良かったらさ。この間のゲーセン、行かない?」
 ゲーセン?
 睦子は思わず瞬きを数回した。
「この間は負けたから、リベンジさせて欲しいなと思って」
 リベンジ?
「そ、そんなのしたら、今度はあたしが負けるわよ、きっと…」
 自分の顔が赤くなっているのを感じる。暑い夏日で良かった。
でないと、不審に思われるに決まってる…。
「勝負する前から投げ出すなんて、アユちゃんらしくないな」
 結城は優しい笑みを浮かべていた。
 “アユちゃんらしくない”
 そんな風に言われるとは思ってもみなかった。
 そんなの、買い被りだ。
 あたしはいつだって、勝負をせずに逃げて来た。
 大学をやめたのだって……。
「用事、あるの?」
 再び問われて、思わず首を振った。
「じゃぁ、やろうよ。ゲーセンで待ってるからさ。
あと、誰にも内緒ね。一人で来てよ」
 結城はそう言うと、手を振って先に走って店内へと入って行った。
 取り残された睦子の胸は、まだドクドクと音を立てていた。


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~ Comment ~

Re: むほっっ!>OH林檎様 

OH林檎さん♪

段々、近づいて行きますね。
これから、お楽しみですよぉ~(^ム^)
私もドキドキしています。

京子ちゃんねー。本当にベタベタですね。私もあまりベタベタなのは苦手です。
甘えん坊さんって、可愛いけど、限度があるって言うか…。
まぁ、まだ18歳だから。www

むほっっ! 

急展開っっ!!!
続きが楽しみっっ!!!

それにしても京子ちゃん…苦手なタイプです。
(その彼氏もしかり)
人にベタベタされるのが嫌いなので、
甘えられた時点でドン引きです。
私はクールな一匹狼…。(←あほ)
でも、何かと騒ぎを起こしてくれる彼女は
小説には大事な存在ですね(笑)
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