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小説・Bye by Blue<完>
3.血圧上昇


Bye by Blue 3.血圧上昇 01

2010.05.29  *Edit 

 夕方の僅か15分の休憩だが、睦子は浜田に誘われて、
店のすぐそばにある美味しい炭火焼コーヒーを出してくれる
カフェに居た。
 浜田と休憩が一緒の時には、よくここへ来る。浜田のお気に
入りの場所だ。初めてここへ誘われた時、たった15分しかない
休憩時間なのにわざわざ外へ出るのを不思議に思ったが、
ここへ来てみると、その気持ちも分かる気がした。
 殆どの人間が、夕方の休憩時間は食堂で自販機のカップ
コーヒーを飲むだけで済ましている。重労働の服地売り場の
人間にとっては、この夕方の休憩はとても有難い。だが、
食堂では体は休めても神経が休まらない感じだ。ここへ来るように
なってからは、特にそう感じる。だから睦子は、浜田と一緒の
時だけではなく、自分一人の時にもよくここへ来るのだった。
 カウンター席しか無い、細長い店だが、何故か落ち着く。
広くないのが却って良いのかもしれない。一歩足を踏み入れると、
甘くて香ばしく、少しだけ苦みが混じった炭火焼コーヒーの香りが、
疲れた神経に直接働きかけてきてホッとするのだった。
 炭火焼のホットしか置いて無いから、価格は安い。
好きな人間にとっては嬉しい店だ。
 2人が入口から少し中ほどの席に着くと、1分もしないうちに
目の前にコーヒーが出された。このスピードも、短い休憩時間の
人間にとっては嬉しかった。しかも美味しい。
「昨日はお疲れ様」
 コーヒーをひと口飲んでから、浜田がそう言った。
「いいえ、浜田さんこそお疲れ様です」
 納涼大会の翌日である。
 昨日の事を思い出す。
 浜田にしきりに自分の兄を勧めていた山口だったが、あの後、
酔いが深まる程しつこくなって、そばにいた睦子ですらウンザリ
気味だったので、当の浜田は辟易としていた筈だ。
「まったく、あの人には困っちゃうわ」
 今朝ロッカーで会ったが、本人はケロっとしていた。
あまり記憶にないようだった。
「酒癖があまり良くない人なんですか?」
 今朝の、何事も無かったかのような顔を思い出し、睦子は訊いた。
「そうね。酷いってわけじゃないけど、しつこくなるわね」
「だけど、どうしてあんなにしつこく勧めるのかな。
何度も断ってるんですよね?」
 睦子の言葉に浜田は皮肉っぽい笑みを浮かべた。
「あの人には、幾ら言っても駄目。なんかすっかり目を
付けられちゃったって感じよ」
「目を付けられた?」
 その言葉に尋常でないものを感じた。
「そうなの。ここの会社へ来たばかりの時には、山口さんと
同じ寝具売り場にいたのよ。それで親しくなったんだけどね」
 浜田は山口との経緯を話しだした。それを聞いて睦子は驚愕した。
「お母さんの介護?」
「そうなの。最初に生物の先生と聞いた時には、私もちょっと
引いた。なんか、あまり良いイメージ持って無いし、しかも
40歳の独身でしょ?でも、そう思うのも偏見かもしれないとも
思ったのよ。まぁ、山口さんや佐々木さんが言うように、
えり好みできるような若さでもないしさ」
 浜田はそう言うが、睦子はそれは違うと思った。出会いの機会を
持つ事は良い事だとは思うが、結婚は一生の問題なんだから、
選ぶのに自分の年齢なんて関係ない筈だ。ただ、女性の場合、
年齢が上がる程選択の幅が狭まるのも事実ではある。
「だけどある時、寝具の先輩から言われたのよ。山口さんの
お母さんは大病を患って以来、寝たり起きたりの生活で
大変なんだって」
 人に結婚を勧めている山口芳子だが、彼女自身は独身なんだ
そうだ。バツイチの彼氏がいるらしいが、母親の介護がネックで
結婚できないでいるらしい。だから、いつまでも独身でいる兄に
早く結婚して貰って母親を任せないと、自分が結婚できないと
いう事情を抱えていると言う。
「そのお母さんって、お幾つなんですか?」
「75歳ですって。山口さんが言うには、老い先短いから
心配いらないって」
「そんなぁ…」
 姑と言ったって、高齢なんだから、暫く我慢すればいいだけだ
と言ったと言う。
「あの人、私より年上って事もあって、やたら姉さん風を
吹かすのよね。だから、私が兄嫁になれば、御しやすいとも
思ってるみたい」
 なんだか、あんまりな気がする。本当に自分が早く結婚したいが
為なのだとしたら、酷い話しだと思う。
「だけど浜田さん。それならどうして山口さんと親しく
してるんですか?」
「同じ職場にいるのに、喧嘩してもしょうがないじゃない。
喧嘩でもしない限り、あの人は離れないでしょうからね。
ウンザリだけど、適当にあしらってるのよ。根本的には
悪い人ってわけじゃないし」
 そうだったのか。見た目からは分からない2人の関係だった。
睦子はずっと、仲が良いのだと思っていたから余計だ。
「他の人には言わないでね」
「勿論です。でも、どうしてあたしに?」
 浜田は睦子の方を向いて、涼やかな笑顔で言った。
「鮎川さんなら、わかってくれると思って」
 普段、女性らしい柔らかさや優しさを感じさせない浜田だったが、
この時睦子は、浜田の中に女性らしい優しさと、
強い矜持を感じたのだった。


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~ Comment ~

Re: こんにちは。。>さらら様 

さららさん♪

仕事する上で何が一番大変で嫌かって言ったら、
人間関係ですよねー。
折角、好きな仕事でも、人間関係のせいで…って事、
少なくないんじゃないかな。多くの人が、何かしら経験してると思いますが。

私も何度もさららさんと似たような事を経験してます。
私もあまり気にしない人なので、それが却って相手の神経を
知らずに刺激してることもあるようで(^_^;)。

勝手に傷つかれて、他人にそれを話して、巡り巡って私の
耳まで入ってくる……。
嫌ですねぇ~。

こんにちは。。 

職場の人間関係は本当に難しいですね。
この人に逆らったらみんなにシカトされるとか…
以前、私はそんなこと気にしない人だから、全く気づかないでいたら「○○さんがあなたのこと可哀相だから許してあげるって言ってたよ」と、比較的親しくしていた子に言われてビックリ!
はあ~!!って感じぃ!!
なにを許されなくっちゃいけないのか??
「いいよ、気にしなくて」とその子には言いましたが、そんなこと教えていらんわい!!とも思いましたよΣ(゚Д゚ノ)ノ おおぉぉぉぉ~
介護も大変だから、う~ん!!って考えちゃいますね。

お庭のバラ、きれい♪o(*^・^*)  さらら
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