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小説・クロスステッチ第1部 <完>
第1章 花が咲く~第8章 刻印


クロスステッチ 第1部第5章 古都 第3回

2010.02.27  *Edit 

 4人での歴史談義は楽しく、尽きる事が無かった。
 そこへ、他班の男子がやってきた。彼も歴研の一人である。
 「理子―、良かったらうちの班にも来てよ」
 理子を誘いに来たのだった。
 「えー、なんだよ、お前。図々しいぞー」
 と耕介が言った。
 「何言ってんだよ。お前らだけ盛り上がって。少しくらい
理子姫を貸してくれてもいいだろう?」
 矢張り、理子姫と呼ぶ。なんだかなー、と理子は赤くなるばかりである。
 「わかった。じゃぁ、ちょっと行ってくるね」
 理子はそう言って席を立ち、男子の後に続いた。後方だ。ついて行って
胸がドキドキした。理子の席の列の一番後ろに増山と副担任の渡辺が
座っている。増山は通路側だ。その増山にどんどん近づいて行く。
こいつらの席はどこなんだ、と思っていたら増山の前だった。
 増山の視線が何となく自分達に向けられているのを感じた。理子は
視線を合わせないようにする。席に到着したら、「理子姫を連れて来たぞぉー」と
大きな声で言われたので、物凄く恥ずかしかった。絶対に増山に聞こえた筈だ。
 「おー!」と何故か拍手が沸いた。
 なんなんだ、この盛り上がり方は。
 「さぁ、姫、どうぞ」
 と、通路側、つまりは増山の真ん前の席を勧められた。仕方なく座る。
案内係は通路に立ったままだった。
 「ようこそ、姫。さぁ、さぁ」
 と、お菓子を差し出された。
 「あ、ありがとう」
 何故か緊張する。何故、こいつらに緊張しなきゃならいんだ、と理子は思う。


 「だけど、さっきも茂木君達に言われたんだけど、その『姫』は
やめてもらえないかな」
 「いいじゃない。歴研の一つの楽しみにさせてくれよ、なぁ?」
 と、みんなが同意する。
 「そうは言っても、言われる方は、ものすごーく、恥ずかしいんだけど」
 「大丈夫。そのうち慣れるから」
 と笑って取り合ってくれない。溜息が出た。
 「まさか、耕介に義理立てしてるわけじゃないよね?」
 と一人が訊いてきた。
 「耕介なんて、関係ありません」
 と理子が言うと、
 「じゃあ、やっぱり付き合ってないのかな」
 と別の一人が言う。
 「付き合ってたら、どうするの?『姫』とは呼ばない?」
 と理子はわざと言ってみた。
 みんなが顔を見合わせた。
 「関係ない。そう、耕介なんて関係ない。姫はみんなのものだからな」
 と、言いだした。そして、その言葉にみんなが盛り上がったのだった。
 理子にはこの盛り上がり方が全く理解できない。いきなりの展開を
不思議に思うばかりだ。やっぱり修学旅行も祭りの一種なのかもしれない。
 可愛い子はいっぱいいる。何も歴研だからって、部員の少ない女子に
こだわることは無いと思うのに。
 妙な盛り上がり方に戸惑っていたら、後ろから「うるさいぞ」と
声がかかった。増山だった。
 「お前ら、うるさすぎ。もう少し静かにしろ。それから吉住は自分の席に戻れ」
 ええー?とブーイングが起きる。
「そこのお前が、ずっと立ちっぱなしで、目ざわりなんだ。危険だしな」
 理子は笑顔でみんなに別れを告げて席を立ち、増山の方は見ずに自分の
席へと戻った。
 理子が戻ると枝本達が、お帰りーと迎えてくれたが、理子は小泉に言って、
自分の席についた。
 「ゆきちゃん、ごめんね」
 「ううん。あたしもちょっと長かったよね。美輝ちゃんも、ごめんね」
 理子はゆきに言って、座席を交換した。こうすれば、通路が間にはあるが、
小泉と話しをしやすいだろう。シートに深く腰を沈めて、外の景色を見る。
天気が良かったので綺麗だった。空が高い。
 理子は増山に注意された事で少々へこんでいた。自分から望んで
行ったわけじゃないのに。
 暫くしたら、携帯が鳴った。メールだ。ドキっとした。旅行中なのに、
一体誰から?
 携帯を開けたら、増山だった。一瞬凍りつく。何故増山からメールが?
同じ車両の一番後ろにいるのに。怖くて開く事ができない。一旦、携帯を閉じた。
周囲を見回す。左のゆきは、左を向いて小泉と話していた。右の美輝は外を見ている。
 理子は高鳴る胸の鼓動を感じながら、再び携帯を開き、メールを開けた。

  “怒ったわけじゃないから、安心しろ。理子姫”

 理子はすぐに携帯を閉じた。
 なんなんだー、理子姫とは。完全に、茶化されている。
 でも・・・。
 増山は、理子が怒られたと思っているのではないかと、察してくれたわけだ。
心配してくれたから、こうしてメールをくれたんだと思うと、嬉しかった。
 返事、どうしようか?した方が良いのか、しなくても良いのか、
しない方が良いのか・・・・。理子は考えた末、しない方が良いと判断した。
取りあえず、今はしない方がいい。するなら、後で誰にも見られない場所でだ。
もしくは、増山が周囲にいない場所で。
 だが、そう判断したものの、気持ちが落ち着かない。こんなメールを貰うと、
すぐに返事をしたくなるし、更に進んで、また二人でお喋りをしたくなってしまう。
気にかけてくれたのは凄く嬉しかったが、その反面、自分の気持ちが深まって
ゆきそうで、迷惑行為でもあった。こんな事をして、その気にさせないで欲しい。
放っておいて欲しかった。
 車内で早めの昼食を摂り、12時半頃に岡山駅に到着した。点呼を取り、
山陽本線へと移動し、列車に乗り込む。倉敷にはすぐに到着した。大きな荷物だけが
先にホテルへ運ばれ、生徒達は手荷物だけで自由行動に入った。
 倉敷は美しい街だった。江戸時代、天領だった場所で、白壁が美しい。美術館、
博物館、考古学館、その他色んな文化施設がたくさんあった。美観地区の中心に
倉敷川が流れていて、情緒豊かな風情である。
 「素敵な街~」
 と、ゆきは感動の声を上げた。グループ行動とは言え、ゆきの隣には自然に
小泉の姿があった。理子は美輝と一緒に並んで歩く。理子までが他の男子と
一緒になったら、彼女が孤立してしまう。大事な友達をそんな目に遭わせたく無かった。
 最近のゆきは小泉との恋に夢中な感じだ。それはそれで良いのだが、
少々周囲が見えなくなっているような気がした。
 あちこち見た後、茶屋で一服した。風が心地良い。周囲を見渡してから、
理子は携帯を開いた。

  “理子姫はやめて下さい”

 それだけ打って、返信した。
 あー、馬鹿だ、私。返信してしまった。これじゃぁ、自分で自分を
追い込んでいるようなものだ。頭では、そう考えている。だが、どうにも
心が言うことを聞いてくれないみたいだ。
 「理子!写真撮ろう、写真」
 と枝本が言った。
 理子は誘われて、みんなと色んな組み合わせで写真を撮った。
勿論最後は全員だ。
 楽しい時間はあっと言う間に過ぎる。やがて集合時間になり、その後、
宿泊場所のアイビースクエアーへと移動した。建物自体が文化財でもある。
レンガ作りに蔦が絡まる、美しい建物だった。女性受けするロマンティックさが
ある。各人にホテルの見取り図が配られ、其々の部屋へと移動する。夕食は
6時半なので、まだ1時間半ほど時間がある。理子はゆきと同じ部屋だった。
 「さすがに、疲れたねー」
 荷物を置いて、ベッドに腰を下ろした。ふかふかだ。理子は思わず転がった。
自宅以外の場所に泊まるのは4回目になる。勿論、全て学校行事だ。理子の家は
厳しくて、友人の家ですら泊まれないし、自宅へも友人を泊める事はできない。
だから、学校行事でも解放された気分になってくる。
 突然、理子の携帯が鳴った。メールだ。
 理子はビクっとした。きっと増山に違いない。修学旅行中に、こんなにメールの
やり取りをしていて良いのだろうか?メルアドを教え合ってから、こんな風に
やり取りするのは初めてだ。
 「理子ちゃんの携帯じゃない?」とゆきに言われ、「うん」と答えて
携帯を手に取った。ゆきの様子を窺うと、荷物の整理をしている。その様子を
気にしながら携帯を開けた。

  “わかった。嫌ならやめる。
   理子姫って可愛いのにな(笑)”

 胸がキューンとして、顔が火照ってくるのを感じた。
 馬鹿みたいだが、自分が可愛いと言われたみたいでドキドキしてくる。
 「どうかした?」ゆきに声をかけられたので、「ううん」と首を振って
慌てて携帯を閉じた。
 本当に馬鹿みたいだ。からかわれているだけなのに。
 二人は連れ立って部屋を出て館内を巡った。アイビースクエアーの館内は
色んなショップや施設が有って充実している。食事までにはまだ時間が有ったので、
あれこれ見て回る。
 いつの間にか、ゆきとはぐれた。いずれ食事の時には会えるだろうと、
気にせずふらりと見ていたら、数学の石坂と出くわした。
 「吉住さん、この間の文化祭、歌もお茶も良かったよ」
 と話しかけられた。歌もお茶も赤面ものである。
 「君は、とてもいい声をしてるんだねぇ」
 と感心げに言う。
 「先生、お茶は当日券を買われたんですか?」
 「いや、柳沢先生から前売りで買ったんだ」
 柳沢とは、新卒で小松と同じ東京女子大出身のリーダーの教師だった。
茶道部の顧問でもある。
 「もしかして、先生方はみんな柳沢先生から?」
 「そうだね。他の先生方も買っていたようだ。増山先生も」
 増山の名前が出て、ドキッとした。
 「先生は、どうしてあの回に?もう、終わりの方でしたけど」
 特に理由は無いんだろうが、理子は聞いてみた。
 「いや、本人に言うのも恥ずかしいが、君の番だったからだよ」
 「えっ?」
 理子が驚いて石坂を見ると、石坂は照れた顔をしていた。
 「実は、君が茶道部員だったことを知らなかったんだ。チケットを
買った時に、お手前の順番表を柳沢先生が見せてくれてね。こういうメンバーが
お手前しますって。それで、君の名前を見つけたんで、興味が湧いてね」
 そうだったのか。柳沢は、他の先生方にお手前の順番表を見せていたのか。
じゃぁ、増山は、やっぱり自分と知った上で来てくれたと言う事か。そう思った時、
胸が高鳴った。これは一体、何を意味しているのだろう。
 「そうだったんですか。わざわざ、ありがとうございます。とっても
緊張しちゃいましたけど、どうでしたか?」
 「なかなか落ち着いてやっていたように見えたよ。いいねぇ。今時の
女子高生の、ああいう姿を見るのも。普段と違って趣がある」
 「石坂先生の奥さんって、元教え子だって聞いてるんですけど、本当ですか?」
 「そうだよ。みんなよく知ってるねぇ」
 石坂は何でも無いように答えた。
 石坂も増山と同じくらい背が高くてスマートだ。眼鏡はかけていないが、
知的で優しげでなかなか魅力的である。
 「その、どうして結婚する事になったんでしょう?在学中から
好きだったんですか?」
 理子は思い切って聞いてみた。
 「うーん、在学中は特別な感情って無かったかな。真面目で可愛い子だとは
思ってた。向こうは私に憧れの気持ちを抱いていたそうだ。卒業後も何度も
遊びにきて、就職先の仕事の相談とか色々乗っているうちに、外でも
会うようになって、それでかな」
 矢張り、在学中から恋愛していたわけではないのか。
 「やっぱり女子高生っていうのは、そういうのが気になるものかい?」
 「あ、いえ、そうですね。なんとなく。先生と教え子で結婚って驚いたので」
 「普通の感覚で言ったらあり得ないのかな。どうなんだろうねぇ。あっ、
そうそう。3年の現国の諸星先生、あの先生も教え子と一緒になったんだよ」
 「えっ、そうなんですか?」
 それには理子も驚いた。まだ、そういう教師がいたことにも驚いたのだが、
諸星はあと数年で定年を迎える年齢で、野球の野村監督のような風貌に、
豪放磊落で凄味のあるキャラクターだったからだ。
 「あの先生は、在学中に恋愛関係にあったって、本人が豪語して
らっしゃるんだが、本当かな」
 石坂は笑った。そうだ。直接教わったことはないが、あの先生は
普段から何でも針小棒大に話す傾向がある。色々なことを面白おかしく
話すのだが、どこまで本当なのかわからない。
 在学中に恋愛かぁ。そんなのは矢張り無理だろう。増山が自分を
気にかけてくれているらしい事はわかったが、それだけに違いない。
どこか放っておけないのかもしれないし、東大を受験すると言う事で
気にかけているのかもしれない。恋愛感情とは別物に違いない。
大体、あの先生、変わってるし・・・。
 「最近、数学の方はどうだい?授業、わかるかね」
 「先生の授業はわかりやすいです。でもまた教えて下さい」
 そう言って、石坂と別れた。
 その後、茂木と耕介に会い、行動を共にした。どこかで増山と
出くわすのではないかと思ったが、結局一度も遭わなかった。
 食事の時間になり、会場へ赴いた。席はクラスごとになっていて、
席順は出席番号順になっていた。理子は一番後ろの席なので、一番前に
座っている増山はあまり見えなかった。近くだと落ち着かないが、
見えないのも残念に思う。
 食事が終わって部屋へ帰る。7時半だった。この時期、美観地区は
ライトアップされていて夜の景観も美しい。アイビースクエアーは
美観地区の中にあるので、ホテル自体もライトアップされている。8時半までは
美観地区内なら出ても構わない事になっていた。9時に点呼があり、
先生方が部屋までチェックしにやってくる。
 理子はゆきと共に部屋を出て、枝本達とロビーで合流した。一歩外へ
出ただけで、まるで昼間とは違う世界が広がっており、セピア色の写真の中の
風景に混じりこんだような錯覚を覚える。
 「きれーい」
 と、ゆきが夢見るような表情で言った。
 「明日はあの船に乗ろうぜ」
 と耕介が倉敷川を指差した。船頭さんが漕いでいる小さい船だ。
10人乗りなので、皆で乗れる。みんな嬉しそうに同意したが、理子は
遠慮したかった。苦手なのだ。船が。大きい船なら平気なのだが、小さい船や
ボート類は恐怖を感じる。泳げないので、どうしても転覆の心配が付きまとって
怖い。乗り降りが不安定な小舟やボートは特にそうだ。
 そでもやっぱり、みんなと一緒に乗らないといけないんだろうなぁ。怖いのに。
そう思いながら、欄干に凭れかかる。風に乗って水の匂いがした。本当に
綺麗でロマンティックな雰囲気だ。
 先生に会いたい・・・。でも会ったら、きっと胸が張り裂けそうな程、
ドキドキするんだろうな。
 すっかり恋に落ちている。
 どうして、こんな事になってしまったんだろう。確かにいい男だけど、
タイプだけど、でも教師なのに。
 理子達の横を、カップルが何組も歩いて過ぎた。みんな朝霧の生徒であり、
手を繋いでいた。ゆきと小泉も、いつの間にか手を繋いでいる。羨ましい。
 やがて時間になり、ホテルへの道を戻った。その途中で、隣を歩いていた枝本が、
理子の手を繋いできた。理子はビクっとして、手を引いたが、枝本はしっかり
握って離さない。思いのほか大きい手だった。枝本を見上げると、理子を見て
微笑んだ。その笑顔を見て、理子は仕方なく諦めた。虫唾が走る程嫌いな
相手なら強引に離しただろう。
 「あっ、枝本、ずるいぞ、お前」
 と、二人に気付いた茂木が言いだした。
 「ずるくなんて、無いさ。ある意味、早いもの勝ちだろう」
 「抜け駆けするのかぁ?」
 「抜け駆けって、なんか約束でもしてたか?」
 と、枝本が笑った。茂木は悔しそうな顔だ。
 「理子、いいのか?こんなヤツが相手で」
 と、理子に訴えてくる。
 「お前の方こそ、何言ってんだよ。いいに決まってるだろう。なぁ、理子」
 と、枝本は同意を求めて来た。
 うーん、ちっとも良くないんだけどなぁ・・・・。
 理子は困った。枝本の事は好きだ。かなり好意を寄せている。だが、
今の理子の思いの多くは増山の方に向かってしまっている。望みの無い、
救いようのない恋だ。非現実的でもある。もっと現実的な恋愛をするなら、
相手は枝本しかいないだろう。いきなり手を繋がれて、昔だったら、
舞い上がるほど嬉しかったに違いない。でも今は複雑な思いだ。
 理子が困った顔をしていると、茂木がいきなり、もう一方の手を繋いできた。
これには驚いた。
 「何やってんだ、お前!」
 と、枝本が茂木を責めた。
 「お前ばかりずるいからな。俺だっていいだろう?」
 これには理子も大困惑だ。思い切り両手を振って二人の手を離した。
 「もう、いい加減にして!」
 そう言うと、一人でホテルまで走って帰った。
 ロビーに入ったら、そこに増山が一人でいた。誰も取り巻きが
いないなんて珍しい。二人は目が合った。理子はこのまま増山の胸の中に
飛び込んでしまいたい衝動に駆られた。
 「どうした?」
 理子の慌てた様子に、増山が心配げな顔で尋ねた。声が優しい。
 その直後、
 「理子!」
 と、枝本と茂木が入ってきた。追って走ってきたようだ。
 理子は思い切って、増山に駆け寄ると、その背後に隠れた。まるで、
襲われて逃げて来たみたいだ。いきなりの展開に、増山は驚いたが、
どうやら理子は増山に助けを求めているらしいと理解した。
 「理子」
 そう言って二人は近寄ってきたが、増山が両手を広げてそれを阻止した。
 「お前ら、何やってるんだ」
 怒ったような声だった。
 「何って・・・」
 二人は顔を見合わせる。先生に、どう説明したら良いのかわからない。
 「男二人で女の子を追いかけて、怪しいぞ」
 「怪しいって、先生ひどいですよ。ちょっとした行き違いなんです」
 枝本が言った。
 「だが、こうして逃げてきている」
 「だから、誤解なんですよ。それを説明したくて追いかけて来たんです」
 「吉住、二人はこう言ってるが、どうする?」
 増山が理子の方を振り向いて聞いてきた。その目は厳しさを帯びていた。
 「ごめんなさい。今日はこのまま一人にしてくれないかな」
 理子は二人に向かってそう言った。
 「本人がこう言ってるんだから、解放してやったらどうだ?」
 「理子、ごめん。俺達が悪かったんだ」
 枝本と茂木が口々に言った。理子は頭を振ると、決意を込めて言った。
 「私の方こそ、ごめん。私、他に好きな人がいるの」
 理子はそう言うと、走って部屋へ戻った。
 この言葉に、その場にいた3人全員がショックを受けたのだった。

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