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小説・Bye by Blue<完>
1.はじまり


Bye by Blue 1.はじまり 06

2010.05.22  *Edit 

 二人は妙に気が合う。そのせいなのか、すぐに親密度が増した。
 睦子はこの職場へ就職して一カ月経つ頃には、何故かみんなから
「アユちゃん」と呼ばれるようになった。そう呼ばないのは、
浜田だけである。勿論バイトの工藤も呼ばない。
 京子は4つも年下の上に、新入社員である。親しくなった睦子だが、
さすがに名字の頭にちゃん付けで呼ぶのに抵抗を感じたのだった。
でも、「鮎川さん」とか「先輩」では、あまりに他人行儀な
気がして嫌だった。
 できたら、「むっちゃん」と呼びたい。その方が、仲良し感がある。
 「むっちゃん、って呼んでもいい?」
 と、甘えるような上目づかいで遠慮勝ちに京子に言われた時、
睦子は何のためらいも無く頷いた。睦子の了解を得て、京子は
睦子の腕に絡みついてきて大喜びした。そんな京子を可愛いと
睦子は思ったのだった。
 睦子は一人っ子である。兄弟姉妹がいない事を寂しいと
思った事は一度も無いが、妹がいたら、こんな風なのかな、
と京子を見て思った。
 そう言った事情をざっと話すと、結城は成る程と納得
したようだった。
「それに、あたし、むっちゃんの事が大好きなんだもん」
 と言って、にんまりと笑う。
「お前、なんか変だぞ。外じゃ、いつもアユちゃんと手を繋いだり
してるだろ。もしかして、レズなんじゃないか?」
 河嶋が冷やかすように言った。
「いいじゃん、別に。女の子同士って、多かれ少なかれ、
そういう所あるんだから。男にはわからないだろうけど」
 と、京子は口を尖らせた。
「男も男で、そういうところ、ありますよねぇ」
 バイトの工藤がニヤケ顔でそう口を挟んで来て、河嶋は
少しうろたえた。
「お、おい、変な事言うなよ。俺は無いからな。絶対に」
「ええー?そうなんですかぁ?河嶋さん、細身で綺麗な顔立ち
してるから、結構、その手に声を掛けられるんじゃないですか?」
「気持ち悪い事、言うなよ。そんな事、あるわけ無いだろうがっ」
 河嶋の口調が俄かにきつくなってきた。これ以上言うと、
やばそうである。睦子は工藤に向かって、首を振った。
 河嶋の扱いには苦労する。神経が細くて、些細な事でキレる。
こういう男と付き合って、和子は疲れないのだろうか、と睦子は思う。
自分ならごめんだ。
 工藤は睦子の素振りにすぐに気付いて、話しを結城へ振った。
「結城さんはガッチリしてるから、ニューハーフとかに人気が
あるんじゃないすか?」
「ええーっ?」
 急に自分に振られて、結城は一瞬戸惑ったが、すぐに笑顔になって、
「声かけられた事は無いけど、そういう所へ行ったらモテるかな?」
 と、白い歯を見せて笑った。
「結城さんなら、どこへ行ってもモテるんじゃない?」
 浜田がそう言った。その言葉に、結城は照れ笑いをした。
否定も肯定もしない。
「結城さんって、よく日に焼けてるけど、普段、休日とかって
何してるの?」
 浜田がおしぼりで指先を何度も拭きながら、質問した。
「休日ですかぁ?スポーツが多いですね。テニスとか、
サーフィンとか・・・」
「ええー?サーフィンやってるの?カッコイイ!」
 和子が目を輝かせてそう言うと、隣の河嶋が軽く和子の
頭を叩いたのだった。
「サーフィンって、本格的にやってるの?」
 チビチビと冷酒を飲んでいた佐々木昭子が、のっぽりした
言い方で訊いた。
「いやぁ~。本格的ってほどじゃないです。遊びで乗ってる
だけですよ」
 くすぐったそうな笑顔を向ける。
「でも見た感じ、ピッタリだよねー」
 と京子が言った。みんなはその言葉に同意した。
 日焼けした肌に、逞しい体付き。茶系の髪に、薄い茶色の瞳。
これで髪が長かったら、如何にも軟派なサファーと言った感じだが、
短いからか爽やかな雰囲気だ。それに、いつも機嫌が良さそうな
顔つきをしている。だから話しかけやすい。
「石川さんは、休みの日は何してるの?」
 結城の問いかけに、京子は「あたしは彼氏とデート」と、
嬉しそうな顔をして答えた。
「エッチばっかり、してるんだよ」
 と、和子がニンマリした顔で言った。同じセリフを睦子も
言おうかと思ったが、さすがにやめておこうと思った事を、
和子が口にした。
「げぇ~~、こいつ、スケベー」
 河嶋が思いきり嫌そうな顔をして言った。さっきの仕返しの
つもりかもしれない。
だが京子は、「やだぁ~、恩田さ~ん」と言うものの、嬉しそうな
笑顔のままだった。
 デートの度に、彼氏とエッチしまくってると公言して憚(はばか)らない
性格だから、他人の交際の事を口にするのも平気なのかもしれない。
彼女にとって、恥ずかしい事って有るのだろうか。
「アユちゃんは何してるの?」
白くて大きな歯を見せて笑いながら、結城は睦子に振って来た。
「あたしは、大体、本読んだりゲームしたりって感じかなぁ」
「むっちゃんは、結構インドアなんだよね」
「まぁね」
 京子の言葉に睦子は笑った。外へ出るのが嫌いな訳じゃないが、
結局平日が休みだと、一緒に遊びに行く友達がいない。友人達は
みんな土日が休日だからだ。
「ゲームって、どんなゲームをやるんすか?」
 目の前に座っている工藤が訊いて来た。
「何でもやるよー。ボードゲームもアクションゲームも、RPGも
シュミレーションも、レースも」
「へぇ~。レースもやるんだ」
 結城が目を輝かせてそう言った。
「うん。車好きだからね。リッジレーサー、WRC、セガラリー、
グランツーリスモ・・・」
 と、睦子が思いつくままにゲーム名を上げていたら、
「じゃぁ、今度、一緒に対戦しない?」
 と結城が言った。
 その言葉に、睦子は驚いて結城の顔を見た。結城は笑っている。
「あっ、それ、いいすね。俺も対戦させて貰いたいです」
 工藤が便乗してきた。
「アユちゃん、対戦したらいいじゃん。あたしも見たいよ~」
 と和子が言い、京子や河嶋までそれに乗って来た。
「おしっ!それじゃぁ、今度、店が終わった後みんなで行こうぜ」
 河嶋がそう言って、睦子の返事も聞かないまま決めてしまった。
 仕方ないなぁ、と思ってふと結城の方を見たら、目が合ってしまった。
結城は睦子を見て、思いきり人懐こい笑顔を向けた。それを見て
睦子はドキリとし、鼓動が高まるのを感じるのだった。


(1.はじまり end  2.鼓動 へつづく。)


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