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小説・Bye by Blue<完>
1.はじまり


Bye by Blue 1.はじまり 03

2010.05.19  *Edit 

 私って、一緒に居ても楽しくないんだ。つまらない女なんだ。
異性としてでは無くても、友人としてでもつまらない人間だったのか。
そう思うと泣けて来る。自分自身を全否定されてしまったような
思いが湧いてくるのだった。
 付き合っている時、富樫は睦子をホテルに誘ってきた事があった。
「お前、もうヴァージンじゃないよな?」
 と、いきなりの言葉に睦子は驚いた。大学で知り合った時には、
互いに未体験だった。
「富樫君は?」
 と睦子が訊くと、「俺は美都子とやった」と言った。
美都子とは、例の女子高生である。
「これからホテルへいかないか」
 と言われ、睦子は躊躇した。睦子は富樫に対し好意は抱いている。
学生時代からの想いの延長と言っていい。だが、どう考えても二人の
間に熱い想いは無い。頻繁に逢って、その度にドライブと食事を共に
しているが、互いの心は熱くなって来ない。ここで体の関係を持てば、
二人の間は進展するのだろうか。
 そんな事を考えてなかなか返事をしない睦子に、
「嫌なら無理強いはしないぜ」と富樫が言った。その言葉に、
睦子の心は決まった。この男とは交われない。きっと、深い関係に
なった所で、心を通わす事は無いだろうと思った。
「ごめん。私、その気無いから」
 睦子の返事に、「そっか」と素っ気なく言った富樫は、
その後殆ど喋る事は無かった。
 一体、何で誘って来たんだろう?あれからずっと疑問に思った
ままだ。矢張り、だたセックスがしたかっただけなのか。大体、
再会した日の別れ際のキスだって、睦子には信じられない
行動だった。成り行きとしか思えない。
「彼とは、どのくらいエッチしたの?」
 京子がいきなり、そう訊いて来た。
「ええー?してないわよ、彼とは一回も」
 睦子は京子の顔を見ず、窓の外へ視線をやりながら答えた。
「嘘っ!なんで?」
「さっきから、なんでばっかりだね」
「だってぇ・・・。ねぇ。ホントになんで?」
 京子が睦子の顔を覗きこんで来た。
「なんでって言われてもねぇ。その気が無かったから、かな」
「好きじゃなかったの?付き合ってたのに」
 不思議そうな顔をしている。
「まぁ、そうね。好意は持ってたけど、何て言うか、好かれてる
雰囲気じゃ無かったし」
「それって、じゃぁ、機会が無かったとか?」
 京子は再び氷をガシガシしだした。
「機会は有ったわよ。誘われたから。でも断った」
「ラブな雰囲気じゃなかったから?」
「そういう事」
「ふぅ~ん。そっかぁ・・・」
 睦子は京子の方へ向き直った。
「京子ちゃんはどうなのよ。最近、彼と上手くいってるの?」
 睦子の問いに、京子は嬉しそうな顔をした。
「いってるよ~。相変わらずラブラブ・・・」
 そう言って、うふふ、と笑う。
 この娘は本当にはっきりしてるな、と睦子は思う。
 自分の感情に素直と言うかストレートだ。
 勤め出して親しくなったばかりの時、彼氏との惚気(のろけ)話し
を散々聞かされた。恥ずかしそうに頬を染めながらも、人に話すのが
嬉しくてしょうがないといった感じだった。
 京子の話しによると、彼氏とは高2の時から付き合っていて、
すぐに初体験を済ませたとか。以来、逢う度に彼の部屋でセックスして
いると言う。下に家族がいても、お構いなしである。勿論、一応、
聞こえないように大きな声は出さないよう気を付けているらしい。
だが家族は既に察していて、黙認しているとの事だった。
「すっごく、気持ちいいよぉ~。むっちゃんも、もっと彼氏と
やればいいのに」と何度も言われた。3月生まれなので、まだ18歳に
なったばかりである。それなのに、数えきれない程、彼氏とセックス
したと堂々と言う京子の明け透けさには驚くばかりである。
 彼氏は現在、地元の大学の理工学部一年である。学生だから、
平日休みの京子とデートをする時間はある。だが大抵は、彼氏の家に
引きこもってエッチばかりしているらしい。もうすぐ付き合いだして
2年になるそうだが、そう逢う度にセックスばかりしていて飽き無い
のだろうか?京子自身は飽き無いと言うが、男の方はどうなのだろう。
 そろそろ休み時間も終わる頃なので、二人は職場へ戻った。
 外は蒸し暑い。雨は降っていないが、纏わり付くようなベタベタ感
である。店の中へ一歩足を踏み入れてホッとする。涼しくて
気持ちいい。だが、これもお客で混みあってくると、
途端にムシムシしてくる。
 食事は3つの時間帯に分かれて行く。一便、二便、三便と
呼んでいる。睦子と京子はこの日は二便だったが、
どの便で行くかは毎日違う。
 二人が店へ入った時、ばったり同じ売り場の男子社員である
結城涼とかち合った。
「あれ?この時間だったの?」
 京子が驚いて結城に言った。二人が食事中、食堂に彼の姿を
見なかったからだ。
「うん。今日のメニュー、苦手なんで外へ食べに出たんだ」
 にこやかに言うその顔は爽やかだった。よく日に焼けた顔に、
真っ白い歯が美しく見える。背が高く、がっちりとした体は
逞しい。見るからにスポーツマンと言った感じだ。彼はこの
5月に、中途入社してきたばかりだった。その逞しさは
服地売り場では役立っていると言える。一人で女子の二倍の
量の反物をキビキビと運んでくれる。
「苦手なメニューって?」
 睦子が不思議に思って訊いてみた。見た目からすると、食べ物に
好き嫌いがあるようには見えないからだ。
「酢豚・・・」
 そう言って笑う笑顔が子供っぽい。
 睦子と京子は結城に勧められて先にエスカレーターに乗った。
結城はそのすぐ次の段に乗る。普段は結城の方が遥かに背が高いが、
この時ばかりは睦子達の方が彼を見下ろす形となった。
「えー?酢豚が嫌いなのぉ?」
「俺、玉ねぎも人参も苦手な上に、酸っぱい物も苦手なの。
だから酢豚は駄目なんだよ」
 それを聞いて京子が「なんだか子供みたーい」と言って笑った。
睦子も同感である。
「しょうがないじゃんか。嫌いなものは嫌いなんだから」
 と、京子にムキになって言ってる様がなんだか可愛い。
「そう言う石川さんは、好き嫌いは無いわけ?」
「あたしは嫌いな物なんて無いもん。何でも食べれるよ」
 京子は自慢げだ。
「へぇ~。アユちゃんは?」
 明るい笑顔が睦子に問いかける。その笑顔にドキリとしながら、
「あたしは生トマトが苦手」と答えた。
「むっちゃん、大体何でも食べれるけど、生トマトだけは
駄目なんだよねー」
「じゃぁ、今度、玉ねぎと人参が出た時には、アユちゃんに
食べて貰おうかな」
 結城の言葉に睦子は驚いた。
「なんであたしが結城さんの嫌いな物を食べてあげなきゃ
いけないのよ」
睦子は思わず強い口調でそう言った。
「いいじゃん。食べれるなら食べてくれたって。残すの、
勿体ないんだからさ」
「何もあたしじゃなくたって、いいじゃない。京子ちゃん
だっているんだし」
「ははは、そうだね。まぁ、どっちか昼に一緒の時には頼むよー」
「なんで、あたし達がー?」
 京子も自分に振られてふくれっ面になった。
とは言え、冗談だと分かっている。



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