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小説・目覚めのセレナーデ
第四章・春は燦めき(最終章)


目覚めのセレナーデ 4-03

2015.11.09  *Edit 

 真田は芹歌の服を一枚ずつ脱がした。
 白い肌がほんのりと桜色に染まっている。その肩先にそっと口づけると、小さな溜息が
芹歌の唇からこぼれた。そっと胸を触るとさざ波が立つように体が震えた。先端にある
小さな蕾はバラの蕾のようだ。胃潰瘍で入院した時に芹歌が持ってきた淡いピンクのバ
ラの色に似ていると思った。可愛らしくて、愛しい。そこに唇を当てると、体が大きく揺れた。
「芹歌……、愛してるよ」
 耳元で囁くと、「わたしも……」と言葉が返って来た。
 最初の時、戸惑いながらも真田を受け入れてくれた。その事自体が芹歌なりの
愛情表現だったのだと思ったが、その後の二人のすれ違いを思うと、こうして言葉で
返ってくるのが嬉しいのだった。
 固かった最初の時と違い、芹歌の躰は敏感に反応した。指を這わせただけで、
甘い吐息が洩れ、切ない声を上げる。まるで楽器が鳴っているようだ。その音色が
真田の官能を刺激して、二人で演奏している時と同じように高揚してくる。
 秘めやかな場所に指を当てると、驚くほど潤っていた。それほど感じてるのかと思うと、
愛しさが一層募る。わずかに擦るだけで、躰がビクンと跳ね、大きな声があがる。
指でそっと円をえがくと、更に声が増してブルブルと体を震わした。
「あっ……ぃや……」
 芹歌は紅い顔をして、歯を噛みしめるようにして首を横に振った。
「芹歌、好きだよ。凄く……可愛いよ。大好きだ」
 耳たぶを噛み、舌で愛撫する。
「ずっと……、お前が好きだった。ずっと、抱きたかったんだ……。だけどお前は、
あまりにも純粋過ぎて……」
 真田は首筋に鼻と舌を這わせた。芹歌の首から肩にかけてが、たまらなく
好きだった。学内コンクールで、ノースリーブのドレスを選んだのも、そのラインが
見たかったからだ。ドレスを着た芹歌を見た時、思わずその肩に口づけしたくなったのだった。
 優しくて純粋で可愛らしい花のような、少女の面影を残した女。音楽に対しては
深くて鋭くて厳しいくせに、それ以外では鈍くて幼い。生意気で頑固で意地っぱりで、
脆い。面倒くさいヤツだと何度も思うが、それでも愛しさの方が勝るのだ。
 真田の手が激しくなる。ピンクの蕾を口に含み、強く吸っては舌で転がす。
「あぁん……ん……」
 身悶える姿がたまらなく色っぽく、真田は芹歌の全てを愛したくなって、その内腿に
思わず歯を当てて吸った。その刹那、これまでにないせつない声が芹歌の口から洩れ、
真田は突き上げるように膨張してくるのを感じた。
 だが、まだ味わいたくて我慢した。内腿を吸うだけで、こんなに感じて興奮している。
そう思うと、口はその先へ進まずにはいられない。舌を這わせながら目的の場所まで
辿りつき、おもむろに、その中心に舌を当てた。
「んあぁぁぁ……ん、はあぁっ……」
 とても気持ち良さそうな、色気に満ちた声に真田も更に興奮した。
「ゆ、幸、也さ……ん……、や、恥ずかし……」
 悶えながら首を振る様が愛しくなってくる。
「大丈夫だよ……、恥ずかしくなんかない。凄く綺麗だ……」
「あっ……ん」
 芹歌の腰が震えて来たので、真田は口を外して、ひとつになった。
「ん、あぁ……」
 思わず声が出る。芹歌の中は、押し出さんばかりにキツく締まって絡みついてきた。
芹歌自身は、しきりに首を振っている。それだけ感じているのだろう。真田は
芹歌の躰を抱きしめながら、「好きだよ……。たまらなく好きだ、芹歌が」と、
言わずにはいれなかった。本当に、たまらなく好きだ。心の底から求めている。
こうして躰を重ね合わせる事ができて最高の喜びを感じている。
 真田は芹歌の手を握った。その手に口づけると、芹歌の躰がビクンと反応し、
中が一層締まった。
(もう、離すまい。この手を二度と……)
 固く心に誓った。


 真田の暖かい腕にくるまれて、芹歌は自分がいかにこの人を求めていたのか
改めて知った気がした。大晦日の時に、既にわかっていた筈だったのに。あの時、
この人の手を永遠に離したくないと思ったのに、何故、自ら離そうとしてしまったのか。
 いや、離すつもりではなかった。結婚に関しては保留にしつつも、演奏家としては
パートナーでい続けるつもりだったのだ。それを許さなかったのは真田だ。
ただ一緒に弾ければそれでいいと思っていた芹歌の甘い考えを、真田が拒否した。
全てを失いそうになって、初めて心の底から愕然とし、崖から突き落とされるような
眩暈を感じた。
 そして、真田が部屋を出て行こうとしてドアを開けた時、大田の声が聞えて来て、
過去の事が一瞬の速さで蘇った。また、前のように色んな女性を抱くのか、と
思うと矢も盾もたまらずに彼の元に駆け寄って、背後から抱きついて
「嫌、行かないで」と言っていた。
 必死だった。恥も外聞も何も無い。まさに心だけで行動していたと思う。
「芹歌……」
 深い声が胸に沁みて、心が温かくなる。
「ごめんな……」
「幸也さん……」
 そっと額に口づけられた。
「元々の原因は、やっぱり俺だな。くだらない事で始まって、更にそれをこじらせて
しまった。だけど、少しだけでもいいから、わかってくれないか?俺の想いを……」
 絡めた指先に力が入って軽く握られた。もう片方の手は、芹歌の肩を優しく
撫でている。芹歌は握られた手を握り返した。
「私の方こそ、ごめんなさい……。もう何がなんだかわからなくなってしまって、
音楽以外では相性が悪いんだって思うようになってしまって。好きであっても、
上手くいかないに違いない、実際にこうして上手くいってないって……。それに……」
 芹歌は逡巡した。
「それに?」
「それに……、幸也さんには、何度も『愛してる』って言われてても、ピンと来ない
部分もあって……。だから些細な事で、すぐに疑心暗鬼になってしまうと言うか……」
 ギュッと肩を強く握られた。
「俺の本気度が伝わりきれてないって事なのか……」
 声が少し暗い気がして、芹歌は慌てて謝った。
「ごめんなさいっ、何て言うか、その……、わかってるんだけど、わかりきれて
ないって言うか。だって、だって。幸也さんは自分の事、わかってないと思う。
どれだけ凄い存在なのかって事。幸也さん自身は自分の事だから思わないのは
当然だけど、幸也さん以外の人間にとっては、凄い人なのよ?そんな凄い人に
愛されて、嬉しいけど、愛され続けていける自信がないって言うか……」
 上手く言えなくて、段々声が小さくなる。
 真田はフッと小さく笑った。
「お前の言いたい事、何となくだがわかる気はする。だけどさ。なぁ。
音楽家って孤独だと思わないか?」
「え?」
 突然何だろうと思うが、言われて考える。
「音楽は、心を限りなく広くて豊かにしてくれるよな。だけど、孤独な戦いでも
あるだろう?アンサンブルやオケだって、基本の練習は個人個人だ。それぞれが
技量を磨き、メンタルを鍛えないと成立しない。演奏する事で、周囲と繋がる事は
できるし、共に楽しめるが、基本はやっぱり、孤独だ」
 確かにそれはそう思う。
「まぁ、それは何も音楽に限った事ではないと思うけどね。だけど俺は、ずっと
天才って囃し続けられて、周囲から特別な目で見られてきた。親にさえもね。
俺自身は、確かにバイオリンを人より巧みに扱えるけど、自分を天才だなんて
思った事は無い。自分は自分で人より努力してると自負してる。だからこそ
自信満々なんだ。自信満々になれる程、やってるからね」
 それは、そうだろうと思う。学生の時に彼の伴奏になった時、彼が人一倍
努力しているのを間近で見て来たのだから。天才と言うのは、きっと人より
努力できる才能の事を言うのではないか、と思うほどだった。
「だが正直、やればやるほど孤独を感じてた。痛いほどの孤独を味わいながら、
何故自分はそうまでして演奏するんだろう?と疑問に思う事もあったよ。だけど、
そんな思いを吹き飛ばしてくれたのが、お前なんだよ」
「えっ?」
 芹歌は一瞬、頭の中が空白になったような気がした。意味が全く解らなかったからだ。
頭を起こして、見上げた。静かな瞳が芹歌を見降ろしている。その瞳は、凪いだ
海のように穏やかに感じられた。
 真田は首をもたげて、そっと芹歌の唇に口づけた。そして、芹歌の頭を自分の
胸に優しく押し当てて髪を撫でる。
「お前と組み始めた最初から、俺は何か特別な物を感じてた。それが何なのか
最初はわからなかったが、続けていくうちにわかった。お前とやってると孤独を
感じないって事に。それは、他のどんな伴奏者にも感じ無かった事だった。
共に奏でる喜びが湧いて来て、新しい世界が広がって、音がどんどん豊かに
なっていくのが楽しくて、ずっと弾いていたいと思わせる。お前が俺の孤独な心に、
ずっと寄り添って、理解して盛り立ててくれるのが何より嬉しくて、体中から血が
沸き立つように興奮するんだ。だから、演奏後、本当はそのままお前を抱いて
しまいたいくらいの想いに満たされてたんだが、それができないから別の女で
発散してた。お前と目を合わせたら何をするか解らないから、極力見ないようにしてた。
ロスマリンの時、久しぶりの高揚に思わずお前と目を合わせた事で我慢できなくなって、
キスしてしまった。だけど、お前が口をキュッって結んだものだから、
拒否されたと思って後悔した……」
 真田は芹歌の頭のてっぺんにキスをした。芹歌はやるせない程、
胸がせつなくなるのを感じた。
「お前じゃ無きゃ、駄目なんだよ。他の誰も変わりにはなれない事を、もう十分、
わかりすぎるほど、多くの時間を一人で過ごしてきた。だからもう、これ以上の
空白の時間は要らない。芹歌が俺の想いに答えられないのだとしたら、すっぱりと、
綺麗さっぱり離れて諦めるしかないって、さっきは思ったんだ。コンクールを直前にして
非情過ぎると思いつつもな。だから、引き止めてくれて良かった。心から礼を言うよ。
ありがとう」
 胸が熱くなってきた。こんな風に心の内を語られて、芹歌はやっと自分の過ちを悟った。
「ごめんなさい……」
 感情が溢れて来るのと同時に、涙がこぼれてきた。
「私、馬鹿だった。あなたを信じて無いわけじゃなくて、自分に自信が無かったから。
だって、あなたは本当に素晴らしい人なんだもん。だから、私なんて相応しくないって。
だから、一緒に演奏できるだけで幸せだって思ったの。それ以上を望むのは贅沢なんだって。
本当は、望んでたのよ?でも、おこがましい気がして、自分の本心を見ないように
してたんだと思う。あなたの全てを欲してたのに……」
「芹歌……」
 ギュッと強く抱きしめられた。躰が密着し、足が絡んだ。急に躰の奥に疼きが生じて、
熱い吐息が口から洩れた。その息が、真田の胸の上を滑っていく。身体が反転し、
芹歌は真田に組み敷かれた。
 黒い瞳が潤んだように輝いている。熱い想いが溢れているように感じた。
唇が落ちて来て芹歌の口を塞いだ。最初から唇を開かれて、舌が入って来た。
貪るように、食べられてしまうような濃厚さで、芹歌の体は震えた。
 唇が頬から耳に伝い、「愛してる……、芹歌……俺の……」と低い声で囁きながら、
耳をしゃぶられ、舌を入れてこられた。それが体中に痺れをもたらす。
 真田は激しかった。
 体中を吸われ、体中に歯を当てられた。
「芹歌の体は……、瑞々しい桃の実のようだ」
 そう言いながら、体のあちこにかぶりつく。芹歌はその度に、軽い痛みと
快感で叫び声をあげた。
 激しい営みの後、何度も繰り返し口づけを受け、愛しさが更に募るのだった。
心が愛に対して全開になっていると感じる。こんなにも一人の男性を強く愛しいと
思うのは初めてだった。愛し、愛される事が、こんなにも喜ばしい事なんだと
わかった事が何より嬉しい。
「幸也さん……」
「ん?」
 幸也の唇は、まだ芹歌のあちこちに口づけている。身も心も溶けそうに思う。
「こんなに……、幸せって思うの……初めてかも……」
「それは……、俺もだ。俺も、同じだよ……」
 真田の唇が、肩先から背中へ滑り、芹歌は思わず声をあげた。
「いや、くすぐった……」
「フフン、そうか。それは気持ちがいいって事だな?」
 真田が鼻で笑って、背中に唇を這わし始めた。滑らかで薄い唇が微かに触れるように
這う度に、体中がざわざわして得も言えぬ快感が波のように襲ってくる。
「芹歌の背中、すごく綺麗だよ。なめらかで気持ちいい……」
 喋る息が更に肌をくすぐる。真田が焦らすように、背中を攻め、長い腕が前に回って
草叢の中に指を当てられた時には、もうそこは滴る程、潤っていた。
「芹歌……、こんなに濡らして……。可愛いよ」
 真田の言葉に恥ずかしくて首を振る。首まで熱かった。そんな芹歌の耳朶を
後ろから噛んで、背後から入って来た時、背中が反った。
「ん……ぁ……」
 奥の方から忍び寄って来る何かに揺さぶられるように、体が震える。自分の中で
真田のものが蠢いていて、突き上げられて頭がおかしくなりそうだ。躰の震えが激しくなった。
「あっ、あぁ……、や、……怖い……、あぁん……ん」
「大丈夫だよ、芹歌、大丈夫……、愛してるよ、……芹歌っ」
 それは唐突にやってきた。躰が大きく揺れた後、フワッと宙に浮かぶような心地がして
頭が真っ白になった。真田の腕の中で全身の力が抜けて、ぐったりとなる。
「あぁ……芹歌……」
 真田は優しく芹歌の体を包み込むように抱いて、頬にそっと口づけた。
「凄く、良かったよ……。俺の、芹歌……。愛してる……」
 芹歌は全てを預けて、たゆたった。


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