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小説・目覚めのセレナーデ
第二章・秋は戯れ


目覚めのセレナーデ 2-25

2015.09.09  *Edit 

「お前……」
「こんにちは。神永です」
 真田は驚いた顔のまま、辺りをキョロキョロと見まわした後、久美子と神永が腕を
組んでいるのを見て、更に目を剥いた。
「なんだ、お前達、どういう関係だ。お前、何で久美子と一緒なんだ。芹歌はどうした!」
「え?あの……」
 あまりの形相に、神永は戸惑っている。
「真田さん、芹歌は今日は来てないです。用事があるとか言って」
「そうか。それならそれでいい。だが、お前達、一体どういう訳だ?お前、神永君
だったか。芹歌と付き合ってるんじゃないのか。それなのに久美子と腕なんか組んで、
何やってるんだよ。二股かっ!」
「真田さん、何言ってるの?」
 久美子は驚いた。何でそういう話しになるんだ。それに、この男の口から二股を
責める言葉が出てくる事自体、可笑し過ぎる。
 神永の方は、目をパチクリさせていた。
「久美子、お前の悪い癖だな。興味を持つとすぐこれだ。どんな野郎を相手にしようが
お前の自由だが、親友の男だけはやめろ」
「はぁ?なんですか?それ。親友の男?違いますよ」
 一体真田は何を根拠にそんな事を言うのか。それに、他人の事に口を挟んでくる事も
理解できない。こんな人ではなかった筈だ。
「あの……、どういう事ですか?僕にはよく分からないんですけど」
 真田はムッとしたように口を尖らせた。
「分からないのはこっちの方だ。神永君は芹歌と付き合ってるんだろう。それなのに、
何故久美子と……」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
 神永が右手を上げて、真田の言葉を遮った。
「どうして、そんな誤解をされてるのか分かりませんが、僕と芹歌さんは付き合って
などいませんよ」
「嘘をつくな!」
「嘘じゃありません。本当です」
 真田は不信げに神永を見つめた。
「君は……浅葱家に頻繁に出入りしてるじゃないか。彼女のお母さんにも気に入られてる。
それに芹歌自身が君と付き合ってるって……」
「え?芹歌さんが言ったんですか?」
 神永は信じられないような顔をした。久美子も驚きだ。
 真田は二人の驚いている様子を見て、顎を摩りながら考え込んだ。
「真田さん。僕と芹歌さんが付き合っていないのは、本当の事ですよ?」
「あたし、芹歌がそんな事を言うなんて信じられないんだけど」
 真田の目が久美子に向いた。理解できないような顔をしている。
「一体、芹歌さんは何て言ったんですか?」
 神永の問いかけに真田はゴクリと唾を飲み込んだ。
「俺が……、神永君と付き合っているのか?と訊いたら……『付き合ってたら
どうだって言うんですか』と言ったんだ。だから俺は、てっきり付き合ってる事を
肯定したと思ったんだが……。違ったって事なのか?」
 久美子は目を瞑った。全く呆れかえる。馬鹿じゃないの、と思ったら、
「馬鹿ユキ……」と誰かが言った。声の主は純哉だった。
「何が馬鹿だ」
「馬鹿だから馬鹿って言ったの。君がこれほどの馬鹿だとは思わなかった」
 真田は憤慨しながら、怒りの矛先を神永へ向けた。
「大体、君が悪いんだ。彼氏でも無いのに女二人所帯の家へ頻繁に出入りしやがって。
非常識にも程がある。こういう誤解は、何も俺だけに限った事じゃない。近所でも
そういう噂が立ちかねないんだぞ」
 神永の方は、ただ驚いていた。
「真田さん、そんな風にして芹歌も責めたんでしょ。だからよ。売り言葉に買い言葉。
いつもの事じゃない。それをまともに受けるなんて、どうかしてる」
 久美子に言われて真田は口を噤み、拳を握りしめた。歯ぎしりせんばかりに悔しそうだ。
「き、君は、一体、芹歌をどう思ってるんだ」
 まるで歯ぎしりしながら、その隙間から声を出すような言い方だ。
 そんな真田の様子に、神永は大きく一つ息をつくと、「僕は芹歌さんが好きです」
と言った。その瞬間、その場の空気の動きが止まったように感じた。誰もが息を呑んでいる。
 久美子は知っている。彼の気持ちを。そして、浅葱家での出来事も。
「僕は芹歌さんが少しでも楽になれたらと思ってました。幸い、お母さんが僕を
気に入ってくれたので、色々役に立てたと思ってます。だけど、あなたの話しを聞いて、
芹歌さんが僕を遠ざけた理由がよく分かりました。僕自身が拒絶されたわけじゃ
なかった、って事も。あなたには感謝します」
 神永はペコリとお辞儀をすると、久美子の腕を抜いて走り去って行った。
「あー、あー、焚き付けちゃったようだよ?どーすんの、馬鹿ユキ」
(全くだ)
 男って、間抜けばっかりだ。
 久美子は溜息をついた。

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