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小説・目覚めのセレナーデ
第二章・秋は戯れ


目覚めのセレナーデ 2-16

2015.08.24  *Edit 


 突き抜けている。彼だけでなく、両親も婚約者も。
 こんな人を好きになったら、女はたまらなく辛くなるだろうな、と思う。
「純哉くん……、本気で誰かを好きになった事、ないでしょ?」
 久美子の問いかけに、フフンと笑った。
「君だって、無いくせに」
 その通りだ。だが、この先も無いとは限らない。その時に、この男はどうするのだろう。
「そう言えば……」
 久美子は話題を変えた。
「さっきの芹歌との話し。真田さんの事だけど、私、二人の会話が全然理解できなかったん
だけど、どういう事なの?」
「理解できないって、どの辺が?」
 純哉はソファの上で大きく伸びをした。
「真田さん、一体どうしちゃったって言うの?どこか悪いとか?」
「う~ん……」
 片倉は考え込むように腕を組んだ。
「知ってるんでしょ?芹歌も」
「久美ちゃん、それは誤解だよ。僕も芹歌ちゃんも、知らないんだ」
「え?でもだって……」
「幸也から、何も聞かされてない。だから、知らないんだよ。ただ、何かあったようだと
僕は察してるし、芹歌ちゃんも察したんだ」
「純哉くんは、親友だし、察するっていうのは分かるけど、芹歌まで何で?元パートナー
だったから?それとも、スケジュールが入って無いみたいだったから?」
 なんだか、モヤモヤする。自分だけが知らない事が。
「それから、須山さんって誰なの?」
 純哉は愉快そうな笑顔を見せた。
「須山さん、知らないの?君達の同期だよ?教養学部だけど」
「え?嘘っ、知らない、そんな人……」
 初めて聞く名前だった。
「卒業後にさ。大学の職員として就職したんだよ。今度の学内コンサートの担当に
なったらしいよ」
「その人と、真田さんが?」
「そうなんだよねー。大学職員だからさ。幸也、今月から授業を1コマ担当してるじゃない。
だから何かと接触がある上に、学内コンサートの件でやりとりが多くなったからなのか、
いつの間にか、始まってた」
「綺麗な人なの?」
「まぁ、綺麗な方かな。でも、どこにでもいそうなタイプだよ?」
「他の女の人達、とも言ってたわね」
「うん。あとね、僕たちと同期で幸也と同じバイオリンの、大田さん?彼女、大学院まで
進んで今、研究生なんだよね」
「ええ?あの、大田君子さん?」
 久美子は驚いた。真田と同期のバイオリニストだが、在学中から地味で目立たなかった。
大学院まで進んだ事で、少しだけ名前が売れた程度だ。
「ビックリでしょう。幸也が在学中は、同じバイオリン科にいながら、殆ど接触が
無かったもんね」
「その人がどうして?凄い、地味な人だったような……」
 あの真田が相手にするようなタイプだとは思えないし、大田自身だって、真田のような
タイプよりも、もっと堅実そうな男を対象にしているように思える。
「あの人ね、凄い変わったよ。大学教師になるつもりで残ってるらしいけどさ。
もう僕たちと同じ三十路だもんね。小奇麗に化粧して、色っぽくなってる。
今研究生だけど、来年度から助手として国芸に就職するらしい。でもって、
客員助教になる幸也の助手兼秘書役もやるんだってさ。だから、今から予行演習?
のつもりなのかな。幸也の手伝いをしてるよ」
「それがきっかけで、関係ができたって事なの?」
「そうみたい」
 何だか驚きだ。帰って来て、まだ3カ月余りだって言うのに、もうこれなのか。
「だけど、二人とも学内の人じゃない。お互いに知ってる身でしょ。大丈夫なの?」
「ま、表面上はね。内面では、どう思ってるかは知らないよ?だけど、学内の人間
だからこそ、幸也の性癖は十分知ってる筈。芹歌ちゃんだって、いつものことだって
笑ってたじゃない。あの2人も、そう割り切るしかないでしょう。そもそも、
“彼女”なわけじゃないんだし」
「それはそうだけど……」
 在学中も、真田の女遊びの派手さは有名だった。特にコンクール前の1年間、
つまりは芹歌と組んで間もない頃からだが、その頃はピークと言えたかもしれない。
練習で疲れきっている筈なのに、女を漁る。
 そんな状況だったから、芹歌と恋仲なのではないかとの噂が起きても、皆、疑いながらも
否定もしていた。芹歌が自分以外の人間の伴奏をするのを烈火の如く怒って嫌がるのは、
単に独占欲が強いだけだろうと。
「もしかして、妬いてる?」
 純哉が横目で伺うように見ている。
「アタシが?なんで?」
「だって、あいつが帰国して、真っ先に寝たのは久美ちゃんじゃない」
 久美子は口に付けたワインを思わず吹きそうになった。
「や、やめてよ。そんなの、関係ないじゃない。芹歌が言うように、いつもの事でしょう」
「そうだけどさ。在学中だって、色々と女は絶えなかったけど、その中でも、一番多く
関係してたのは久美ちゃんじゃないの?」
 ワイングラスを置いて、久美子は純哉を見つめた。
「純哉くんこそ、妬いてるんじゃないの?」
「僕が?まさか!って、言いたい所だけど、少しは妬いてるかもね」
「また、ご冗談を」
 この人のこの手の台詞は、あまり信用できない。
「私も芹歌も2級下だから、その前の事は知らないわけなんだけど、真田さんって、
入学した時から、ずっと女遊び、多かったの?」
「そうだね。モテたからね。早くから有名人だったから、何もしなくても寄ってくるし。
ただ、練習時間がハンパないからさ。あまり遊んでる時間も無いんだよね。暇なんて
無いわけだから。それでもほら。男だから。休み時間にさ。その辺でさ。やっちゃったり
してたよ、あいつは」
「えー?何それ。その辺って、まさか学内で、って事?」
「そー。学内で。レッスン室もあるし、トイレとかでも。茂みの中もあったね。別の友人が
見張りをさせられてたりした」
 久美子は驚愕で目が丸くなった。二の句がつげない。
 よく、そんな相手をするものだ。自分なら相手が真田でも、そんなのは嫌だ。
ホテルで良かったと今更ながらに思う。
「なんかちょっと、ガッカリかも……」
「あはは、そう?久美ちゃんクラスでも、そういうのは嫌なんだ」
「ちょっと~、何?久美ちゃんクラスって、どんなクラス?」
「好きもの……」
 妖しい目を向けて来る。
「もうっ!私、野外は嫌」
「それはそれは残念だ。野外もね。楽しいものだよ、刺激が多くて。開放的だし」
「じゅ、純哉くんも、そんな事してたの?」
 思わず目を剥いた。
 純哉はニッと笑って、「勿論」と答えた。


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