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小説・クロスステッチ第1部 <完>
第16章 二度目の夏~第21章 前夜


クロスステッチ 第1部第17章 残照 第1回

2010.04.12  *Edit 

 二学期が始まった。
 今年の夏は例年に比べると涼しかった事もあり、勉強するには良い
夏だったと言えた。毎金曜日の補習クラスの存在は、長い休みでダレ
がちになる受験生にとっては有難い存在だった。ペースを乱さずに
勉強する事ができた。夏に行われた模擬試験の結果も、全員が概ね
好感触だった。指導に当たっている増山も、生徒達に手ごたえを
感じて気持ちがハイになってきた。
 これからは、模試の結果を踏まえて、答案用紙の書き方や時間配分等、
具体的な部分を中心に勉強する事になる。全員、志望校に受かって
欲しいと願わずにはいられない。それ程みんな、よく頑張っていた。
 この夏休み、父親との事で会って以来、理子とは二人きりでは
会っていなかった。勉強の邪魔をしたくはなかったし、自分も忙し
かったのもある。理子の方からも、何も言っては来なかった。
ただ、毎日何をしたのかは把握していた。互いにメールで報告
し合っていたからだ。
 休み中理子は、姉の紫に連れられてウエディングドレスを決めに
行ったようだ。とても素敵なドレスを選んでくれたと喜んでいた。
半日をドレス選びで費やしたわけだが、その事で別段焦ったりも
していなようで安心した。
 別の日は、一日、最上ゆきと熱海まで海を見に行ったと言って
いた。それには丸一日を費やしている。熱い盛りの真夏日なのに、
海を見る為だけにわざわざ熱海まで出かける事には、さすがの
増山も驚いた。去年と一昨年は伊東まで行ったと言う。今年は
受験があるから熱海にした、と聞いたが、それなら江の島や
鎌倉でもいいじゃないかと思うのだが、本人達は伊豆の海
を見たいのだと言うのだった。
 そんなに海が好きなのか。泳げないのに。ハネムーンは、
海のある場所にしようと増山は思った。
 理子は他の日にも、家族の毎年恒例の、伊豆高原への2泊3日
の避暑にも出かけていた。父親の会社の保養所があって、子供の
時から毎年行っているそうだ。伊豆高原なのでビーチは無い。
保養所は海に近い場所にあるから海がよく見え、夜は潮騒が
煩くて、なかなか寝付けないのだと言う。今年は潮騒の音を
聞きながら、先生の事を思っていた、とメールが来た時、
増山の胸は嬉しさに熱くなった。
 こうして長い夏休みを、理子は有意義に過ごしたようだ。受験生
にとっては最大の夏とも言えるが、切羽詰まった感は全く感じられ
なかった。逆に余裕すら感じられる。模試の結果も上々だった。
油断はできないが、この分でいけば、合格できそうだという確か
な手応えを感じられる。
 月末に、文化祭がある。3年生は殆どのクラスが展示だったが、
10組は違った。期末テストの後に、今年の文化祭は何をやるかと
決めたのだが、意外にも、自主ビデオを制作して上映しようと言う
事になった。受験の意識が高いクラスなだけに、この提案には
増山も驚いた。
 提案した生徒が言った。
 「今年最後だからこそ、何か形になる物を残したいです。あり
きたりの展示なんかじゃなくて」
 その意見に、多くの者が賛同した。また、内容が面白い。ドキュ
メンタリーとして、全員が1,2分程度の学校生活の様子を撮影し、
それを45分程度に編集すると言うものだった。学校内の事柄で
あれば、何を撮っても構わない。勿論、倫理に抵触する内容は禁止
である事は言うまでも無い。人であろうと、風景であろうと、物で
あろうと、何でも構わないのだ。
 だがそうすると、作品としての出来は、全て編集にかかってくると
言える。編集次第で、ただのつまらない記録映画になるか、面白い
ドキュメンタリーになるかが決まってしまう。その編集の仕事を、
生徒達は増山に振って来た。
 「もし、つまらない作品になってしまったら、責められるのは
編集した人間ですから、それを誰かに押しつけるのは可哀そうじゃ
ないですか。そのショックで受験に失敗したら大変だし」
 そう言われて、増山は辟易とした。増山だって忙しい。それこそ、
つまらない作品になったら、責められるのは自分ではないか。
 「俺はやりたくない」
 増山は憮然とした態度ではっきりと言った。
 「ええーっ?」
 と、ブーイングが湧いた。
 「お前らの文化祭だろう。お前らがやりたくてやるのに、何で
最後の編集を俺に投げるんだよ」
 「でも、先生・・・」
 「でもじゃない。俺だって忙しいんだ。自分達で全部できないなら、
最初からやるな」
 結局、生徒達は自分達で編集する事になった。誰が編集するか希望者
を募ってみたら、数人が手を挙げた。その中に、理子がいたので増山は
驚いた。東大を受験すると言うのに、そんな事をして大丈夫なのか?
 茶道部と合唱部の練習もある。合唱では、今年もソロをやると言って
いた。思いも寄らない事だったから、つい、理子を凝視してしまった。
理子は増山の驚いた視線を受けて、にっこりと微笑んだ。増山は慌て
て視線を逸らせた。撮影は9月半ばまでで、編集はそれからやる。
撮影の順番はクジで決めた。
 増山はその日、理子にメールした。

  “編集なんて引き受けて、
   大丈夫なのか?”

  “多分・・・。好きなんです、
   そういう事。
   最初で最後だから楽しみです”

 理子の返事を見て、度胸のあるヤツだと思った。そう言えば、
写真を撮るのが好きだと言っていたと、姉の紫から聞いた。それを
聞いて、紫が結婚祝いにカメラを買ってやる約束をしたが、ついでに
高級なレンズまで買ってやるハメになったとぼやいていた。
「あの子、ちゃっかりしてる」と、笑っていた。
 だが増山は、そんな理子の様子を知るにつけ見るにつけ、何だか
不安になってくる。彼女の事だから気を抜いているわけでは無いだろう。
だが、この余裕な感じは一体なんなのだろう?もしかしたら、不安の
裏返しなのだろうか・・・。

 理子は文化祭のビデオ撮影で、自分の番が回って来た時、増山との
思い出の場所を撮影した。教室、職員室、図書室、音楽準備室、体育館、
職員玄関、校長室、二人で歩いた廊下・・・。ありきたりの風景だが、
理子の目から見たアングルで撮った。これらの風景を、映画の中に
散りばめたい。そう思って編集を買って出た。立候補をした中に、
岩崎もいたので心強い。
 元々、写真やビデオ撮影は大好きで、家でも自分が殆ど担当している。
父の宗次もそういった事が好きだった。だが、母は撮られるのが嫌いで
ある。撮られるのが嫌い、と言う点では、理子も同じだった。矢張り
撮られるより、撮る方が面白い。撮られるのが嫌いなのは自分に自信が
無いからだ。写った自分が気に入らない。
 今年の夏休みは、理子にとっては辛かった。
 週1の補習クラスがあったのが救いと言えた。
 何が一番辛かったかと言えば、家にいる事だ。
 まだ中2の妹、優子は、毎日のように友達と遊びに出ていた。理子と
優子は4つ違いで、小学校は2年間だけ一緒に通った。優子が学校に
入って一緒に遊ぶ仲良しの友達ができるまでは、理子がいつも連れて
歩いていた。黒目勝ちで色白の可愛い妹だったので、友達の家へ連れて
行っても喜ばれた。
 この妹と理子は仲が良い。喋り出すのが遅く、勉強も利発とは言え
ない、のんびりした妹の世話を、理子はいつも焼いてきた。母も、
この成長の遅かった娘が生まれてからは彼女にかかりきりで、理子は
早くから放っておかれた。苛めにしても、優子が小2の時に苛めに遭
った時、母が学校へ怒鳴りこんで行ったのだった。理子が受けた仕打ちに
比べれば大した事では無く、本人も逆に迷惑だったと後から言っていた。
 普段の生活でも、母は妹には甘い。ピアノにしても、優子が習いたい
と言い出してから買ったのだ。経済的な理由もあって、理子が習い始め
た時は安い電子ピアノだった。それでも大変な中、買ってくれて習わせ
てくれたのだから感謝しなければならない。
 受験にしても、理子は県立高校一本で、滑り止めの私立の併願は無し
だった。その為に、確実に入れる所と言うことで、ランクを2つも下げ
て朝霧を受験したのだった。大学も同じだ。国公立一本のみ。妹は学力
が劣る事もあってか、今から私立の滑り止めを考えているようだ。母の
話しだと、3年になったら家庭教師を雇うかもしれないとの事だった。
 こうやって考えてみると、姉妹での不公平感は拭えない。それでも
理子は、母に不満は持っても妹への愛情には微塵も翳りが無かった。
母に対しても、高校の事に関してだけは、ランクを下げて朝霧へ入学
したからこそ、増山と出会う事ができたのだから感謝している。
 三者面談の時に、増山から色々と言われた母だったが、結局のところ、
あまりこれまでとは変わっていない。母はいつもそうなのだ。言われ
た最初のうちは実践していたが、すぐに元に戻った。中学へ進学して
給食から弁当になった時も、弁当を作ったのは最初の3日間だけだった。
後は殆どがパンで、時々気が向いた時やたまたま早く起きられた時に、
前日の残り物があれば、それを詰める、そういう弁当だった。
 そんな調子だから、食事に関しては特に気を使われてはいなかった。
朝食は相変わらず理子が作る。夏休みに入ってからは、昼食も理子が
作った。あり合わせの材料で簡単な物を作るのだが、人に作らせて
おきながら、内容や味に母は煩く文句をつける。
それに対して文句を言うと、「親に対して何を言う」とか、
「居候の癖に生意気な」と、怒られる。「この家にいる限り、この
家の決まりに従ってもらう」といつも豪語していた。「この家の決まり」
とは、母が一人で勝手に決めた決まりで、その時の気分によって
変わる場合が多い。
 増山から言われて、唯一改善されたのはノックだった。あれ以来、
母はノックをしてからドアを開けるようになった。だが、ドアの前へ
来るまでは、相変わらずの忍び足だった。何故、足音を忍ばせてやって
くるのか、理解できない。娘が部屋で一体何をやっているのか。
本当に勉強をしているのか。疑っているとしか思えない。
 ノックも無しに、いきなりドアを開けられていた時は、毎度の事
ながら心臓がドキっとして本当に迷惑だったので、取りあえずノックを
してくれるようになって、少しは落ち着いた。それでも、ノックはいき
なり来るわけだから、あまり心臓に良いとは言えない。
 この母と、毎日二人なのである。
 去年までは良かった。学校の図書室でゆきと二人で勉強していたから。
だが今年はそれも無い。部活にしても、茶道部に関しては自分のお手前
の時だけの参加だったので、2週に1度のペースだ。合唱部は週に1度。
歴研には時間的に余裕が無くて出られなかった。
 ゆきとの海や紫とのドレスの打合せは、理子にとっては勉強の息抜き
と言うよりは、家から解放される良い機会だった。とは言っても、
母は嫌な顔をしていた。ただ文句は言わなかった。増山の言葉が効いて
いたのかもしれない。
 こんな夏休みの理子の心の内は、増山には伝えなかった。メールは
毎日交換していたが、理子は余計な事は書かなかった。書く事で、
自分で自分のやるせない気持ちを追い込んでしまいそうな気がしたからだ。
 だから、新学期が始まってホッとした。家にいる時間が激減して
嬉しかった。だがその分、勉強の時間が減ったわけで、本来なら
編集なんてやっている場合ではないのだ。だが、もうすぐ卒業と
思うと、何故か心が落ち着かない。これで最後と思うと、打ち込み
たい気持ちになってくる。
それに、長い夏休みの弊害なのか、あまり家へ帰りたくない気持ちが
強くなってしまった。休み中、あまりに家に居過ぎたか。こんな事なら、
ゆきと図書室で一緒に勉強していた方が良かったかもしれない。
学校に来れば、増山がいる。顔を見る事ができなくても、ただそれ
だけで嬉しい気持ちになれる。
 実際、今がそうだ。毎日、朝と帰りにまた増山の顔が見られる
ようになって、心に花が咲いたようだ。日本史の授業がある日は
尚更だし、数少ない部活の日も、同じ校舎の中にいるのだと思うと
暖かい気持ちになってくる。夏休み中は、補習クラスで顔を見ら
れる事だけが、唯一の幸せだったが、新学期が始まった事で、
幸せな気持ちが増えた気がする。
 ビデオ撮影が全員終了した。これから編集作業に入る。学校から
一番家が近い、田中と言う男子の家で編集作業をしようと言う事に
なった時、それを聞いた増山が反対した。
 「学校行事の事なんだから、学校でやるように。視聴覚室を
借りてやるから、あそこの機材を使って編集しろ」
 と、言った。増山は、男子の中に女子は理子一人だけだったから、
危惧したのだった。だが、増山のそんな心配は理子にはまるで
通じていなかった。
 増山に言われて、視聴覚室での編集作業が始まった。まずは、
最初から最後まで、撮影されたものをそのままの状態で観た。これが、
意外と面白かった。何の脈絡も無いわけだが、それが却って意外性が
あって笑えるものだった。内容は機知に富んでいる印象を与える。
それぞれが思いのままに撮ったわけだが、ユーモアとペーソスの
両方が入り混じっている感じだ。
 皆で話し合って、基本の流れは変えずに、花や風景や、理子が
撮った校舎内の様子のカットを随所に散りばめる事にした。それに
よって、漫然とした感じにまとまりが出ると考えた。
 タイトルは『メモリーズ -朝霧高校、学び舎の日々-』となった。
BGMに、理子のピアノ演奏を付けてくれるようにメンバー達から
言われて、理子は躊躇した。音楽の事なんて全く考えていなかったが、
実際に映像が出来あがってくると、BGMは必要だと感じていた。
感じてはいたが、選曲は難しい。みんなに曲のイメージを出して
もらって、理子は考えに考えて何曲かチョイスした。
 その、チョイスした曲を録音する為に合唱部の部活の後に残って
いたら、増山がやってきた。音楽準備室で逢うのは久しぶりだ。
去年の夏以来かもしれない。
 この日は吹奏楽部の練習日では無かったので、増山が入って
来た時の理子の驚きは大きかった。
「久しぶりだな」
 増山はそう言って爽やかな笑みを浮かべた。八重歯が僅かに覗き、
頬にエクボが小さくできた。その笑顔に、胸がキュンとした。
 去年、まだ二人が思いを打ち明ける前にここで逢った時の事を思い出す。
「なんだかんだで、2カ月近いのかな。それに、ここで逢う事自体、
一年ぶりくらいじゃないか?」
 懐かしそうに言う増山に、理子は敢えて冷静に言った。
「先生、どうしてここに?」
「お前がBGMの担当になったと聞いたから、もしかして今日あたり、
いるんじゃないかと思って」
「それで、何か私に用事でも?」
理子の言葉に、増山は苦笑いした。
「用事が無かったら、逢いに来ちゃいけないのかな」
理子の心が震えた。
「もう、ずっと逢って無いから、お前に逢いたくなった。だから来た」
「毎日、会ってるじゃないですか」
増山は溜息を吐いた。
「相変わらず、つれないな」
そう言って、増山は理子のそばへ来た。理子の胸が高鳴る。
「ちょっと、向こうへ避(よ)けろよ」
増山はそう言いながら、理子が座っているピアノの椅子に腰を
下ろして来た。長椅子タイプだが、二人で座るにはきつい。
増山は理子の肩を抱いた。
 「先生・・・」
 驚く理子に、増山はキスをした。久しぶりのキスだ。最後に
したのはいつだっただろう。確か、期末テストの前の週に逢った
のが最後だったから、そうすると約3カ月ぶりになる。
 だが理子は、強引に増山から唇を外した。
 「先生、何やってるんですか。学校ですよ・・・」
 「そんな事はわかってる。でも、心配いらない。誰も来やしないさ」
 声が甘い。
 「でも、もし来たら・・・」
 「ちゃんと、鍵は締めといたから」
 と、増山は笑った。
 「横川先生って事も有り得ますよ」
 横川とは音楽教師で合唱部の顧問だ。教室に用が有って、やって
来ないとは限らない。あの先生なら鍵を持っている。
 理子の言葉に、増山は楽しそうに笑った。
 「横川先生は、もう帰ったよ。だから、誰も来ない」
 密着した状態で、増山に甘い声で囁くように言われて、理子は
息苦しかった。
 増山は再び顔を寄せて来て、理子の唇を塞いだ。誰も来ないと
言われても、矢張り学校だけに落ち着かない。だが、増山は執拗で、
理子の唇からなかなか離れなかった。唇を舐めたり噛んだり舌を
入れたりと、いつまで経っても終わらない。
 やがて、増山の手が、ブラウスへと伸び、リボンを取ると、ボタン
を外し始めた。まさか、ここでそんな事にまで及ぶとは思って
いなかったので、理子は抵抗した。だが、そんな理子の抵抗は
お構いなしに、ボタンはどんどん外されてゆく。そして、ボタンが
外れたブラウスの間から、大きな手が侵入してきた。滑らかな指が
胸の隆起をなぞる。そしてその手は、ブラジャーの中へと差し込まれた。
理子は体を震わせた。
 「先生、・・・やめて」
 理子は無理やり唇を外してそう言った。増山の顔を見ると、甘く
やるせない表情をしている。
 増山は止めない。ブラジャーに差し込まれた大きな手は、理子の
乳房をゆっくりと揉んでいた。理子の口から甘い吐息が漏れる。
 「先生ってば・・・」
 理子は懇願する。それでも増山の手は一向に止まらず、長い指で
乳首を擦った。その刺激に、思わず声が出る。やがて揉んでいた
理子の乳房をブラジャーから出すと、そこに口を付けた。理子は
体をビクンとさせた。増山は乳首をしきりにしゃぶってから顔を離すと、
再び理子の唇にキスをした。
 「今ここで、理子が欲しい」
 甘く切なげに囁かれ、理子は胸をギュッと鷲掴みにされたように感じ、
子宮が疼いた。だが理子は頭を振った。
 増山は再び理子に口づけると、手をスカートの中に入れて来て、
理子の太腿を撫で始めた。理子は慌てて足を固く閉じたが、増山は
そんな理子の足の間に強引に自分の足を差し入れて開いたのだった。
すべすべした増山の長い指先が内腿を何度も行き来する。理子は
どんどん昂っていくのを感じた。
 「せ、先生・・・、本当に、お願いだから、やめて・・・」
 息も絶え絶えに訴えた。
 「お前に逢いたかった。お前にキスし、お前の体に触れ、お前を
感じたかった。ずっと・・・」
 低くて甘い声が、悩ましげに言った。
 その声を聞くだけで、体が痺れてくる。頭が考える事を止め
ようとしてしまう。
 増山の長い指が、下着の上から理子の熱い場所に触れてきた。
 「濡れてるよ、理子・・・」
 そう囁いて耳たぶを噛む。
 指が下着の横から入ってきて、直接触れた。
 「あっ、いや・・・」
 理子は冷んやりした指の感触に腰を引こうとしたが、増山の腕に
しっかり抱きしめられて身動きが取れなかった。そして、その巧みな
指の動きに抗(あらが)う事が出来なくなってきていた。頭が朦朧と
してくる。快楽の波が押し寄せて来て、引き返せない所まで理子を
連れて行く。
 増山は理子の下着を取ると、自分の上に跨るように座らせて、
ゴムを付けた後に彼女の中に侵入した。理子は、子宮の奥まで貫かれて
いる感じがした。増山の先端が鋭い感覚で理子を刺激する。思わず
大きな声が出そうになるのを、必死で堪(こら)えた。増山はそんな
理子の体を抱きしめた。二人とも服を着たまま座った状態だった。
その事が余計に二人を熱くした。おまけにここは学校だ。しかもまだ明るい。
 理子は、ふと増山の顔を見た。珍しく眼鏡をかけたままだ。
眼鏡越しに見る、切なげに目を瞑る増山の顔は新鮮だった。その目が、
ぱっちりと開いた。いつもの知的な顔が、とてもアンニュイな表情に
なっている。眼鏡を外した時の色気に満ちた顔とは違う顔がそこには
あった。まるで少年のようだ。不思議な気がした。眼鏡をかけた普段の
顔は、クールでとても大人っぽいのに。
 「理子・・・、そんなに見ないでくれ」
 そう切なげに呟くと、増山は唇を寄せて来た。そして、下から
理子を突きあげて来た。
「ああっ・・・」
 思わず声が漏れる。
 何度かそうして突きあげた後、増山は理子の体を強く抱きしめたまま、
果てた。
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